2011年03月29日

「ラブ・ケミストリー」(喜多喜久著、宝島社刊)

「ラブ・ケミストリー」(喜多喜久著、宝島社刊)ネタバレ書評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<あらすじ>

2011年 第9回 『このミス』大賞優秀賞受賞作

東大で理系草食男子が巻き起こす
前代未聞のラブコメ&ミステリー

東大卒の著者が描く“日常系コメディ”登場!

天才的化学センスをもつ藤村桂一郎は、初恋によってスランプに!
突然現れた死神・カンロに振り回され、超オクテの草食男子はどこへ行く!?

「理系非モテ男子に贈る、前代未聞空前絶後の有機化学ラブコメ!」(大森望/翻訳家・書評家)と選考委員も絶賛した、第9回『このミス』大賞優秀賞受賞作の登場です!東大院卒の著者が描いた、東京大学で繰り広げられる、草食男子の有機化学ラブ・ミステリー。
専攻している有機化学の分野において、天才的化学センスをもつ東大院生の藤村桂一郎。ところが初めて恋をしたことによって、その能力を失ってしまった。悶々とした日々を過ごしていた彼の前にある日、「あなたの恋を叶えてあげる」と、謎の少女が現れて……。
(宝島社公式HPより)


<感想>

第9回「このミス大賞」優秀賞受賞作品。
大賞は「完全なる首長竜の日」。
同じく優秀賞に「羽根と鎖」。
関連記事は下部の過去記事よりどうぞ。

公式HPにミスがありますね。
現われたのはカンロではなく、カロンですね。
カンロだと、のど飴になっちゃいます……。

では、内容を。
これはいい意味で応募先を間違えていると思う。
「このミス大賞」のイメージで読むと足下を掬われる。
ミステリじゃない、完全なるラブコメだ……。
ただし、普通のラブコメじゃない。
極上のラブコメです!!

関連して、ミステリ要素に過度な期待は抱かないこと。
ミステリ要素は、誰がカロンに依頼したか……その一点。
もちろん、依頼者を絞り込めるように伏線も張ってありますが、幾分ロジックが弱いので。
でも、それを抜きにしても充分、面白いよ。

それと、男性視点でのラブコメであることには留意されたし。
女性は違和感を覚えるかもしれない。

オススメとまでは云いませんが、読むのもアリな作品だと思います。
作者の次作に期待!!

◆関連過去記事
「完全なる首長竜の日」(乾緑郎著、宝島社刊)ネタバレ書評(レビュー)

第9回「このミステリーがすごい!」大賞が決定!!栄冠は「完全なる首長竜の日」に

<ネタバレあらすじ>

闇の中。
二人の人物が会話を交わしていた。
病気により余命幾許もないらしい1人に、もう1人が未練を断つ為に願いを叶えてやると持ちかける。
どうも、死神が取引しようとしているらしい。
この取引を持ちかけられた人影は「桂一郎の能力の復活」を願う。
それを聞き「桂一郎を愛しているからだね」と揶揄する死神。
こうして、取引は成立した。

どんなに複雑な物質であっても、瞬時に合成ルートを編み出す能力を持つ大学院生・藤村桂一郎。
まさに天に愛された才能と称してもよい能力を持つ桂一郎は誰からも期待されていた。
気軽に相談できる同性の親友・東間もそんな1人。

ところが桂一郎は研究室にやってきた新人秘書・真下美綾にひと目惚れ。
能力を失ってしまう。

そんなある日、カロンと名乗る黒衣の妖女が現われる。
カロンこそは件の死神だった。
カロンは「キミの能力を取り戻してあげる」と美綾への告白を迫る。
桂一郎の能力が失われたのは恋愛が報われないことに落ち着かないためで、この恋をふっきるか、恋を適えてしまえば能力も戻ると言うのだ。
桂一郎はカロンの助けを借り美綾へアタックを開始。
東間にもアドバイスを貰いつつ、美綾と相思相愛にまで至るが……。

その矢先、東間が倒れてしまう。
余命幾許もないらしい。
カロンへの依頼者は東間だったのだ。

桂一郎は、カロンに自身の寿命半分と引き換えに東間の助命を願う。
寿命の半分を失う事はどんなに長く生きても定年まで生きられないことを示す。
だが、天才は若くして創業を為し、歴史に名を残している。
桂一郎もまた、その例に倣おうと決めたのだ。
この願いを適えるカロン。

こうして、東間は助かるが……。

東間の病室に見舞いに向かう桂一郎。
だが、当の東間はおらず、可憐な女性が1人居るばかり。
しかも、その女性は自身が東間本人だと言う。

実は東間は性同一性障害に悩んでおり、身体は男性だが心は女性だった。
桂一郎のことを愛していたのだ。
だが、自身の境遇を省みて身を引くことを決意。
代わりに桂一郎の能力を取り戻させようとしたのだった。

カロンは桂一郎の寿命半分と引き換えに東間を助けたことを告げ、助けた際に東間の身体を女性化したことを教える。
しかも、関係者の記憶も桂一郎と東間以外は細工を加えてあるので日常生活にも困らないらしい。
桂一郎の能力を維持し続けるには、研究に理解のある新しい相手と一緒に生活することだと忠告し、笑いながら消えて行くカロン。

それを聞き互いを意識する二人。
桂一郎は東間の姿に胸をときめかせるのだった―――エンド。

『ケミストリーシリーズ』第2弾『猫色ケミストリー』ネタバレ書評(レビュー)はこちら。

『猫色ケミストリー』(喜多喜久著、宝島社刊)ネタバレ書評(レビュー)

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「超再現!ミステリー」第4回「“美人死神が大暴れ…余命わずかな人の願い何でも実現します!”興奮クリス松村(秘)結末」(5月8日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「ラブ・ケミストリー」です!!
ラブ・ケミストリー



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