<あらすじ>
宅配便の配達員、井上匡(脇知弘)は、白石透(吉田朋弘)へ届けるDVDが自分も熱狂するアイドルのものであることに気付き、梱包を解いて盗み見る。期待に反し、映っていたのは北九州空港からバスや特急ソニックを乗り継いで、工業団地に至る行程と見知らぬ男の顔だった。
井上は慎重に包を元に戻し、DVDを白石に届けた。その数日後、DVDに映っていた男、小柳直記(若狭勝也)が工業団地で射殺された。さらに井上と一緒にDVDを見た友人の岡島多加志(成松慶彦)も東京の板橋で殺害された。怖くなった井上が警察に届け、十津川警部(渡瀬恒彦)が捜査を開始する。
凶器の拳銃が発見され、小柳と岡島は同じ銃で撃たれたことが判明した。十津川は空路、九州へ向かい、北九州空港で、暴漢に襲われた小笠原ひろみ(遊井亮子)を偶然に救う。ひろみは市議会議員、小笠原欽也(山田純大)の妻である。
十津川は北九州警察の川口刑事(高杉亘)と共に、DVDを発送した小倉にある会社を訪ねる。社長の山脇浩(池内万作)は事件との関わりを否定するが、十津川は、ふてぶてしい山脇の態度が気になった。
そんな中、行方が分からなくなっていた白石が首を吊って遺体で発見された。捜査本部は、小柳と岡島を殺害した白石が、逃げられないと観念して自殺したものとみていた。
しかし、十津川はDVDを発送した会社の山脇社長と殺害された小柳、そして市議会議員の小笠原が、偶然にもそれぞれ十年前に大きな転機を迎えていたことに疑問を持った。さらに十津川は、ひろみから夫の小笠原が何かに怯えていると相談を受ける。
一方、亀井刑事(伊東四朗)はわずかな手掛かりから十年前の意外な事実をつかむのだが…。
(月曜ゴールデン公式HPより)
では、続きから……(一部、重複あり)。
「小倉マーメード商会」の発送した「アイドルZ」のDVDが発端となったこの事件。
小柳、岡島、白石と既に3人の死者が出ていた。
そんな中、白石が筋弛緩剤を注射されていたことが判明。
その死が自殺では無く、他殺であると判断される。
その頃、東京の亀井は小柳宅からペイントボールに使われるペイント弾を発見する。
十津川は同様のペイント弾を山脇の会社で目撃しており、関連性を疑う。
しかも、小柳の身に10年前に何かあったらしいことが分かる。
そこで、亀井たちはペイントボール、10年前、横浜を手掛かりに資料を当たることに。
一方、十津川は小笠原ひろみから、夫の小笠原が不審な電話に悩まされているとの情報を入手。
その電話には「メオトイケ」という言葉が含まれていた―――。
しかも、十津川はひろみから「消したい過去はあるか?」と尋ねられる。
十津川は小笠原夫妻に事件の秘密が隠されていると推理するが……。
矢先、ひろみが怪しい人物により襲撃される事件が発生。
現場に居た十津川により襲撃は失敗、襲撃犯も逮捕される。
逮捕された襲撃犯の名は水野。
水野は黙秘を貫く。
十津川は亀井に先の3つに「メオトイケ」を加えて調査することを指示。
結果、横浜の変死事件が浮上する。
それは、女乙池明の不審死についてだった……。
「オトメイケ」は地名では無く、名字だったのだ。
真相に辿り着いた十津川はある作戦を実行に移す。
同夜、小笠原欽也のパソコンに「十年前の真実について」とのメールが届く―――。
メールの内容により呼び出された小笠原の前に亀井が現われる。
昨夜まで東京に居た亀井を刑事と知らない小笠原は山脇を使い殺害を企てるも失敗。
隠れて様子を窺っていた十津川たちに逮捕される。
小笠原、山脇、小柳の3人は10年来の友人だった。
3人ともが転機を迎えたのは10年前、すべては女乙池の変死事件から始まっていた。
亀井を囮としたことで違法捜査だと指摘する山脇だったが、十津川は「亀井は10年前の本当の目撃者の代理に過ぎない」と口にする。
真の目撃者は―――小笠原の妻・ひろみだった。
ひろみは夫が殺人者であることを知っていた。
10年前、酔って絡んできた女乙池を誤って殺害してしまった小笠原。
その場に居た山脇と小柳は事件を黙認することに。
そして現在。
小柳は金に困って小笠原を脅迫してきた。
小笠原は山脇に相談。
相談された山脇は水野を使い小柳を殺害。
その罪を白石になすりつけようとDVDを送ったのだ。
ひろみは夫の犯行を知り、十津川にサインを送り続けたのだ。
こうして、小笠原と山脇は逮捕された。
それを知った水野は自身の犯行を語り出す。
山脇の依頼で小柳を殺害。
白石は山脇から小柳を尾行するよう依頼されており、そこで水野に殺害された。
その後、岡島を殺害。
さらに、小柳殺害にひろみが疑惑を抱いたことから山脇にひろみ殺害を依頼され実行に移し逮捕されたのだった。
事件が解決し、夕日に照らしだされる山の上で黄昏る十津川と亀井―――エンド。
<感想>
月曜ゴールデン版「十津川警部シリーズ」第44弾。
意外なことにこちらの過去記事はありません。
渡瀬さん演じる十津川シリーズは本作が初批評(レビュー)となります。
ちなみに、高橋英樹さん主演の土曜ワイド劇場版「十津川警部シリーズ」は2011年4月現在で第55弾。
こちらは過去記事もアリ。
原作は西村京太郎先生「十年目の真実(正式タイトルは「十津川警部 十年目の真実」)」双葉文庫版。
双葉文庫版は2009年に発売されていますね。
ちなみに「十年目の真実」には祥伝社版も存在しています。
ドラマ原作となる「十津川警部 十年目の真実」あらすじは―――
<あらすじ>
新幹線の車内で爆弾が炸裂し、小柳夫妻が即死した。その直後、“犯行を指示するビデオがある”との通報に、十津川警部は色めきだった。だが、容疑者には完璧なアリバイがあった。やがて小柳が関わる過去の事件が明るみに出るや、捜査は意外な展開に!!
(双葉社公式HPより)
あらすじを見る限り、ドラマ版はかなりアレンジを加えている様子。
さて、そんなドラマ版感想を。
ここから批判が始まります。
いつものやつです。
気分を害される怖れがあるので注意!!
毎度お馴染み、このパターンだよ……
ツッコミどころが満載。
強敵っぽく見せていた山脇の行動が意味不明。
白石に罪を着せるにしろ、あのDVDがある以上、早晩、白石への依頼人の存在は浮上していた筈。
DVDからマーメード商会に行き着く可能性は高い。
何しろ、白石のPCにマーメード商会のHPのログが残っていたのだから。
これでは、工作の意味が無い。
したがって、岡島は殺害される必要が無い。
小柳殺害を疑われたからとひろみを殺害しようとするのも無茶がある。
そんなことを言っていたら真っ先に狙うべきは十津川だろう。
むしろ、ひろみは小笠原に説得させればそれで良かった筈だ。
それでなくとも、九州で小柳を殺害してしまえば現地で小柳と関わりのある小笠原や山脇に容疑が向くのは必然でリスクが高すぎる。
水野に依頼したのならば北九州である必要は無かった。
なんだか、計画自体に無理がある。
下手に工作しない方が良かったのではないだろうか。
最近ならともかく、10年前のペイント弾を山脇と小柳が共に保存していたのも……苦しいか。
亀井刑事が東京の事件と北九州の事件とをあっさり結びつけちゃうのも不可思議。
あらすじだと拳銃発見後だけど、本編だと死体を見ただけで結びつけてた……。
まるで他には事件が起こっていないかのよう。諸葛孔明以上の神算です。
山脇が何も見ずに顧客名簿から岡島と白石を漢字のフルネームで検索できたのも伏線になるのかと思いきや放置。
てっきり、そこを指摘するものだとばかり……(注1)。
そういえば、指令DVDの小柳の写真と小柳の殺害報道の写真が同じなのも気になった。
しかも、捜査本部でも同じ写真が使われてた。
写真の入手経路が1つしかないみたいだ。
他に写真は無かったのかなぁ……。
何より、前半部分(小倉マーメード商会やアイドルZ)は不要だったような……。
無くても成立しそう、実に30分で解決する事件でした。
導入部と結末部分とが乖離し過ぎている印象。
微妙……。
(注1):この「フルネーム検索問題(管理人命名)」については、実は問題では無かったことが発覚致しました!!
劇中にて、メモ用紙を渡すシーン&山脇による「ニュースを見た」発言があるとのこと。
ミスっちまった……テヘヘ(笑って誤魔化そう……)。
キュン太郎さん、ご指摘ありがとうございました(^o^)/。
(2011年4月13日追記)
<キャスト>
十津川省三(とつがわしょうぞう):渡瀬恒彦
○
小笠原ひろみ(おがさわら):遊井亮子
○
西本刑事(にしもと):堤大二郎
○
川口刑事(かわぐち):高杉 亘
○
安原刑事(やすはら):山村紅葉
小西刑事(こにし):中西良太
○
村川刑事(むらかわ):古川りか
島田刑事(しまだ):清野秀美
山下刑事(やました):山田アキラ
小林刑事(こばやし):内山翔人
○
山脇 浩(やまわきひろし):池内万作
○
小笠原欽也(おがさわらきんや):山田純大
○
亀井定雄(かめいさだお):伊東四朗 ほか
(順不同、敬称略、公式HPより)
◆関連過去記事
【土曜ワイド劇場版の十津川シリーズはこちら】
・土曜ワイド劇場「西村京太郎トラベルミステリー 伊豆の海に消えた女(西村京太郎スペシャル 伊豆の海に消えた女特急踊り子160分間の殺意!遺書と指紋の罠十津川警部vs謎の5人の美女)」(10月2日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・土曜ワイド劇場「西村京太郎スペシャル 山形新幹線・つばさ111号の殺人!謎の駅に途中下車のトリック十津川警部vs黒い帽子の女…」(2月6日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・土曜ワイド劇場「西村京太郎サスペンス(西村京太郎トラベルミステリー55) 寝台特急カシオペア殺人事件・函館駅6分停車の罠!走る密室で妻が誘拐され消えた…十津川警部に謎の挑戦状!!」(11月27日放送)ネタバレ批評(レビュー)
【金曜プレステージ版の十津川シリーズはこちら】
・金曜プレステージ 西村京太郎サスペンス十津川刑事の肖像3 危険な判決「許されざる復讐心…容疑者への憎悪が生む第2の殺人…ナイフに刻まれたギリシャ語が示す真犯人の殺意」(10月15日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・金曜プレステージ 西村京太郎サスペンス十津川刑事の肖像2「都民1300万人を誘拐した…都知事への脅迫電話で始まる連続殺人事件…死体に隠された秘密とは?愛と憎しみの復讐劇」(6月4日放送)ネタバレ批評(レビュー)
【原作者・西村京太郎先生関連記事】
・関連するドラマはこちら。
金曜プレステージ 西村京太郎スペシャル警部補・佐々木丈太郎「告白〜狙われた小学校…次々殺される育児放棄の親達!容疑者は女教師、生徒が目撃者崩壊した教室で何が」(8月13日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・関連するその他の事柄はこちら。
西村京太郎先生が選ぶ自身のベスト3作品とは?
「湯河原文学賞」作品募集!!(審査員をされてます)
「第二回麻雀トライアスロン 雀豪決定戦」に綾辻行人先生&西村京太郎先生が参加!!
【関連する記事】
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面白い解説、読ませていただきました。
推理ドラマを色々な角度で観るのが好きなので、
ここに書かれている事は楽しいです。
ただ、顧客名簿検索のシーンは、
刑事が何やら紙を渡していたので、
そこにフルネームが書かれていたんじゃないでしょうか?
また、小柳だったかな、三人目も検索してましたが、
それは、写真を見せたあと、「ニュースでみた」と山脇が言ってたと思いますから、
ニュース画面から名前を覚えていても
不自然ではなかったかも?と思います。
どうでしょうか
こちらこそはじめまして!!
管理人の“俺”です(^O^)/
ああ……そんなシーンがあったんですね。
完全に見逃していました……(T_T)/
管理人も偉そうな事は言えないなぁ……。
早速、その部分は訂正させて頂きます!!
本記事で楽しんで頂けたようで幸いです。
管理人の批評(レビュー)は、割と批判(というか難癖)が多くなるので読んだ方が楽しんで下さっているのか心配だったのですが、一安心(^o^)/
今後も批評(レビュー)を続けたいと思っていますので、至らぬ点についてはご指摘のほど、宜しくお願い致します<(_ _)>
コメントありがとうございます(^O^)/!!
管理人の“俺”です!!
保護責任者遺棄致死についてのご指摘なので、乙女池の死についてのことかと思われます。
記憶を探りながらとなりますが、確か小笠原が乙女池と揉み合いになり、突き飛ばして死亡させてしまった件ですね。
確かにご指摘の解釈も妥当かと思われます。
あらすじでは、乙女池の死については動機に属する類であることと「誰が誰を」直接的に害したか(被害者と加害者の関係)を重視し、「小笠原が乙女池を殺してしまった」と考えられる為に、上記のような直截的な表現となっております。
「小倉マーメード商会」で検索したら一番上に出たので来てみました。
レビューを拝読し、同じような矛盾点を考えている方がいらっしゃって安心しました(^-^)b
さて、以前キュン太郎様が指摘された顧客名簿検索の件、私はまた違う疑問を持っています。
山脇は「岡島多加志」を一発で変換していましたが、通常は「たかし」と打てば最初は「貴司」「隆史」などと変換されると思います。
それを一発で変換できるのは取引を証明することになるのに、なぜそこに警部は突っ込まないんだ…と。
まぁ、ほんの些細なことなのですがf(^_^;
余談ですが、小倉から戸畑に行くのにわざわざソニックは使わないな…と北九州市民としては感じました(笑)
レビュー面白かったです。ありがとうございました。
これからの更新も楽しみにしています。
こちらこそ、初めまして!!
管理人の“俺”です(^O^)/!!
管理人も同士を得て嬉しいです!!
なるほど、「白石透」ならクリア出来ても「岡島多加志」は普通では変換出来ませんね。
どうしても、他の字が優先的に候補に表示されます。
これは意外なところで、大きな手掛かりが表示されていたことに……。
十津川警部、痛恨の見逃しだ……。
2時間ドラマで地元が舞台になってるとそれがありますよね。
あの場所からその場所までそれで移動はないだろう……とか。
あの場所からその場所までこの短時間では移動できないだろう……とか。
地元では無いですが、旅行で行ったことのある土地が映るのも嬉しかったりします。
これも2時間ドラマ視聴における醍醐味ですね!!
まだまだ2時間ドラマレビュアーとしては駆け出しな管理人ですが、今後もレビューし続けたく思います。
宜しくお願い致します(^O^)/!!