2011年04月14日

「密室殺人ゲーム・マニアックス(後編)」(歌野晶午著、講談社刊、メフィスト2011 vol1収録)

「密室殺人ゲーム・マニアックス(後編)」(歌野晶午著、講談社刊、メフィスト2011 vol1収録)ネタバレ書評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<あらすじ>

●綾辻行人・有栖川有栖のミステリ・ジョッキー 第11回 グロテスクなヴイジョン
●歌野晶午 密室殺人ゲーム・マニアックス 後編!
●西尾維新 読切短編「哀川潤の失敗」掲載!

<短期集中連載>
歌野晶午/あさのあつこ

<読切小説>
赤城毅/乾くるみ/三津田信三/西尾維新

<連載小説>
二階堂黎人/新堂冬樹/石持浅海/北山猛邦/恩田陸/綾辻行人/有栖川有栖/我孫子武丸/円堂都司昭/喜国雅彦/石黒正数

<巻末>
座談会
(講談社公式HPより)


<感想>

前編の設定を受けて紡がれた後編です。

感想としては、かなりの問題作かもしれないなぁ……。
嵯峨島の役割は読者の役割でもあると考えると本作を読む事により読者自身が東堂の狙いに嵌まっていることに他ならないワケで……複雑だ……。

しかも、トリックも問題提起モノだし。
「認知され過ぎた古い器械トリック」と「誰も知らない新技術の器械トリック」。
前編から片鱗は見えていたけど、こう来たかという感じ。
それに1人5役。

1人5役までやっちゃった以上、次作があるとすれば1グループに見せかけた2グループによる相互殺人とかかなぁ……。

こんな感じ?

@出題者は頭狂人。
解答出る。

A出題者はザンギャ君。
頭狂人は欠席。
解答出る。

B出題者は教授。
頭狂人は出席。
ザンギャ君欠席。
解答出る。

C出題者はaXe。
頭狂人&教授欠席。
解答出る。

で、結果として@BのグループとACのグループは同一のように見えて実は同時間軸の別グループ。
仮にこの2つのグループを@BがA、ACをBとする。

@の時点でAグループの頭狂人がBグループの頭狂人を殺害(A5人、B4人)。
Aの時点でBグループのザンギャ君がAグループのザンギャ君を殺害(A4人、B4人)。
Bの時点でAグループの教授がBグループの教授を殺害(A4人、B3人)。
Cの時点でBグループのaXeがAグループのaXeを殺害みたいな感じかな。

で、最終的に互いが互いのグループで密室殺人ゲームを行っていたことが分かる……とか。

どうでしょう?

ちなみに「メフィスト」本誌によれば「マニアックス」もノベルス化されるそうです。
追加部分があるのかどうか、気になりますね。

◆シリーズ前作&前々作&前編ネタバレ書評(レビュー)はこちら。
・シリーズは此処から始まった。
「密室殺人ゲーム王手飛車取り」(歌野晶午著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)

・シリーズ2作目は意外な展開に。
「密室殺人ゲーム2.0」(歌野晶午著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)

・更なる新キャラクター登場で新展開に!!
「密室殺人ゲーム・マニアックス(前編)」(歌野晶午著、講談社刊、メフィスト2010 vol3収録)ネタバレ書評(レビュー)

蛇足1:「密室殺人ゲーム王手飛車取り」以降1人だけ消息が明らかにされていない人物がいる。
そう、1作目の「伴道全教授」である。
彼女の消息は未だ不明となっているが、シリーズが続けば出て来ることもあるのだろうか?

蛇足2:本作に登場する5種のハンドルネーム。
これ、実際にネット上に存在しています。
本作を模したのかオリジナルなのかは不明ですが……。
特に「044APD」さんは割と多い。
検索してみれば一目瞭然。
あなたもネット上で出会うことがあるかも……。
「扉は開かれた」のか!?

<ネタバレあらすじ>

登場人物一覧:
頭狂人:プレイヤーのひとり、映像はダースベイダーのマスクを着用。愛称は「ベイダー卿」。
044APD:プレイヤーのひとり、映像はプジョー505。愛称は「コロンボ」。
aXe(アクス):プレイヤーのひとり、映像はホッケーマスクに手斧の怪人。
ザンギャ君:プレイヤーのひとり、映像はカミツキガメ。
伴道全教授:プレイヤーのひとり、映像は口に含み綿をした白衣の人物。
嵯峨島:視聴者のひとり。三坂の友人。
三坂:視聴者のひとり。嵯峨島の友人。
東堂:マニアックスでのaXeの正体らしいが……。

【前回までのあらすじ】

ネット上で殺人ゲームを出題し合うハンドルネーム「頭狂人」「044APD」「aXe」「ザンギャ君」「伴道全教授」の5人。
ここまでなら普通(?)の光景かもしれない。
だが、彼らは普通では無かった。
彼らの殺人ゲームはすべて彼等自身が犯人として実行したリアルな事件ばかりだったのだ。
しかも、既にそれぞれがゲームの出題者として参加しており、これはプレイヤーが全員殺人者であることを示していた---。

月日が経ち、過去にこのゲームの参加者のひとりだった初代aXeこと尾野が逮捕されて以来、ゲームの存在は公になった。
今ではあちこちにこのゲームの参加者が表立ってではないが存在している。
中には尾野らオリジナルメンバーに憧れそのスタイルを取り入れた者達もいた。

そんな中、動画投稿サイトにある映像が投稿される。
それは、この殺人ゲームの出題および解答風景だった。
つまり、実際に人が1人殺害されており、投稿者は自らが犯人だと名乗っているのだ。
その上でこの動画の視聴者に挑んでいる。

嵯峨島も、この映像を見つけた友人・三坂に誘われるままに挑戦し、意外な解答の前に手痛い敗北を喫してしまうのだった。
しかし、嵯峨島はこの犯人は数日中に逮捕されるだろうとうっすら思うのだった―――。

【前回までのあらすじ 終わり】

嵯峨島たちが目にした動画の投稿者の身許はすぐに判明した。
その名は東堂。
彼は不動産会社の社員だが、怠慢が過ぎクビになっていた。
警察は威信に懸けて東堂の行方を追うが、杳として知れなかった―――。

二週間が過ぎたある日。
またも三坂に誘われた嵯峨島は、動画投稿サイトに新たな動画がアップされていることに気付く。
それは新たな殺人ゲームの始まりだった。

勝手に動画を投稿したことでメンバー全員から批難されるaXe。
とはいえ、実は1人欠けていた。
どうも、教授は急用とやらで不在らしい。

逃げた教授はさておき、自分の身の危険を感じるザンギャ君に044APDが次なるゲーム開始を告げる。
今度の出題者は頭狂人だった。

頭狂人は「透明人間」をテーマに出題を行う。

とある劇場で殺害された女優。
彼女は殺害直前まで楽屋にて歌の練習をしており、多くの人が歌声を耳にしていた。
不思議なことに楽屋への道はすべて人により塞がれており、透明人間でも無ければ突破は出来ない。
少なくとも、40分前から密室となっていたのである―――。

この謎に挑むメンバー。

事前に犯行現場に潜み、犯行後もその場に潜み続けていたのだろうと推理するザンギャ君。
だが、頭狂人はその説を否定。

これに対し、aXeは古典の名作を持ち出す。
予め女優の歌声を録音したデッキをセットし殺害時刻を誤認させたと推理したのだ。
つまり、殺害時刻は密室が完成する40分よりも前になる。

唖然とするメンバーだが、頭狂人はこれも否定する。

いよいよ、真打・044APDの登場。
044APDはaXeの説を踏襲しつつ、改良を加える。
デッキに吹き込んだものを再生したのではなく、録音した音声を電波で飛ばしたと推理する。
やはり、殺害は40分以上前に行われたことになる。

これが正解となり、続いて第2問を出題する頭狂人。
同じくテーマは「透明人間」。

今度はある研究室での殺人事件。
研究生の1人が衆人環視の中、撲殺されたと言う。

先程と同様、様々な意見が出るがこちらもやはり真打は044APDだった。
頭狂人は渋々、正解を認める。

答えは「天狗の隠れ蓑」ならぬ「光学迷彩」だった。

被害者の所属する研究室では「光学迷彩」を研究しており、既に完成させていたのだ。
先程の音声トリックがレトロな焼き直しならば、本作は前代未聞の新技術の応用である。
流石に認知されていない最先端の技術を用いたトリックに難色を示すメンバーたちだが、頭狂人と044APDは「そういうゲームだから」とまとめてしまう。

呆気にとられる嵯峨島は、数日後に新たな動画を発見する。
それは、伴道全教授からのリベンジ宣言だった。

伴道全教授は自身の過去の想い出を一方的に述べると、「既にゲームは始まっている」と締め括る。

さらに、数日後。
嵯峨島はあるリアルタイム配信の映像を眺めていた。
それは、伴道全教授の殺害実況中継だった。

先のリベンジ宣言に隠された真の意味に気付いた者だけが目にすることが出来る映像に嵯峨島も辿り着いたのだ。

某所に現れた教授は早速殺害にかかる。
そこへ二人の男性が登場し、教授を拘束してしまう。

何が起こったのか……ワケのわからぬ嵯峨島を置いてさらに警察が現場に到着。
教授を東堂と名指しし、現行犯逮捕する。

教授のメッセージを解いた者全てが嵯峨島と同じ行動をとったわけではない。
良識に従い市民の義務を果たそうとした人々も多く居たのだ。

その最たる者が教授こと東堂を取り押さえた2人だった。
しかも、同時に通報者も出現し、結果として東堂は逮捕された。

それでも、謎は残る……東堂はaXeだった筈、何故、教授を名乗っていたのか?
この疑問は数日後に解消した。

日時指定で自動配信された映像に答えがあったのだ。
東堂は逮捕される可能性も考慮に入れていたらしい。
自身のメッセージを動画に託していた。

それによれば、今回のメンバー全員は東堂による1人5役。
頭狂人も、aXeも、ザンギャ君も、教授も、044APDすら、すべてが東堂の演技だったのである。
映像を配信する性質上、加工することは簡単だったと語る東堂。

その目的は、参加メンバー5人だけで行うゲームでは無く、視聴する人間をもそれと知らず巻き込むことだった。
オープンなゲームを狙ったのだ。
確かに前回に続き、今回も多くのネット住民が推理に参加していた。
嵯峨島も、三坂も意図せず東堂のゲームに参加していたのである―――エンド。

後編が掲載された「メフィスト 2011 VOL.1 (講談社ノベルス)」です!!
メフィスト 2011 VOL.1 (講談社ノベルス)





前編が掲載された「メフィスト 2010 VOL.3 (講談社ノベルス)」です!!
メフィスト 2010 VOL.3 (講談社ノベルス)





「密室殺人ゲーム2.0 (講談社ノベルス ウC-)」です!!
密室殺人ゲーム2.0 (講談社ノベルス ウC-)





「密室殺人ゲーム王手飛車取り (講談社文庫)」です!!
密室殺人ゲーム王手飛車取り (講談社文庫)






【関連する記事】
posted by 俺 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 書評(レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。