ネタバレあります、注意!!
<1話あらすじ>
友人たちと遊園地へ出かけた金田一&美雪。
6人で遊んでいたところ、金田一と美雪に気を遣った残り4人のメンバーは2人っきりにするよう計らう。
置いて行かれた形の2人だったが、金田一はこれ幸いと美雪とのデートを楽しむ。
美雪も満更ではない様子。
ところが!!
帰宅しようにも、美雪は財布を落とし、金田一は500円しか現金を所持していないことが判明。
2人でバスに乗るだけでも600円かかる。
このままでは帰れない―――窮地の金田一は美雪にバスを自身が徒歩での帰宅を提案する。
しかし、美雪は2人で連れ添っての帰宅を譲らない。
そこで、揃って徒歩で帰宅することに。
思わぬアクシデントだったが、金田一と美雪の仲は深まる。
ところが、そんな時に限って追い討ちがかかるのが「金田一少年の事件簿」ルール。
雨が降り始め、美雪が足を挫いてしまう。
仕方なく、咄嗟の機転で通りかかったバスを拾う金田一。
そのまま、バスに送ってもらうことにする。
金田一によればバスの乗客は10から15人ほど。
ほっと一息つく金田一。
しか〜〜〜し、多くの読者の予想通り、このバスにはいつもの通りあのシルエットが乗っていた。
しかも、運転席に……。
シルエットに包まれた運転手はガスマスクを着用すると車内へガスを撒き始める。
それは眠りへと誘われるガスだった―――。
眠りこけ意識を失っている金田一たちを廃病院へと運び込むシルエット。
車椅子にエレベーターを使い4階の精神科へとひとり、またひとり運搬する。
次に金田一が気付いた頃には、周囲は異常な雰囲気に包まれていた。
周囲の人間全員が全員「黒ひげ危機一発」風の被り物を被らされていたのだ。
人数は金田一と美雪を含め8人。
金田一によれば、比率は自身と美雪を除き男3人、女3人らしい。
中には「生馬」と呼ばれる息子と名を呼んだ母親らしき人物の姿も。
混乱する金田一に目の前のテレビから声が聞こえて来る。
中には不可思議な仮面を身に着けた人物が映っていた。
「何者だ!?」
誰何の声が響く中、画面の人物は自身を「ゲームマスター」と名乗り「被り物を外そうとすると爆発する」と脅迫する。
しかも、5分以内に廃病院脱出ゲームに参加することを要求。
参加しなければ同様に死亡すると言う。
画面の隅ではカウントダウンが開始されており、数字は減るばかり。
何が何やら分からぬまま、生命の危機に曝された金田一と美雪。
果たして―――2話に続く。
<感想&推理>
大体、半年ぶりの「金田一少年の事件簿」が連載開始されました。
新作のタイトルは「ゲームの館殺人事件」。
前作「錬金術殺人事件」も2010年5月頃からの連載だったことを考えると1年に長編が1本ペースになっていますね。
さて、そんな「ゲームの館殺人事件」ですが、「ソリッド・シチュエーションスリラー」を舞台にしています。
要は密閉空間において閉じ込められたプレイヤーたちが脱出すべくゲームに挑むストーリーかな。
このジャンルのミステリだと、最近では矢野龍王先生の諸作品とかが有名でしょうか。
当ブログの記事では、矢野龍王先生の「三猿ゲーム」や米澤穂信先生「インシテミル」とかゲーム「9時間9人9の扉」、同じく「ダンガンロンパ」もこれに該当しますね。
ちなみにこのシチュエーションを利用した「リアル脱出ゲーム」というものが現実にあります。
・公開された「インシテミル 7日間のデス・ゲーム」ネット上での評判は!?&ネタバレ批評(レビュー)
・「インシテミル」(米澤穂信著、文藝春秋社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・「ミステリ愛。免許皆伝!メフィスト道場 」&「ミステリ魂。校歌斉唱!メフィスト学園」(講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・リアル「極限脱出 9時間9人9の扉」がそこに……。
・【流行】PSP「ダンガンロンパ」が凄いらしい……
上記の作品の多くは脱出することをメインに置いていますが、脱出の方法を犯人を突き止めることに限定すると、館モノや孤島モノも該当しそうですね。
そうすると、この系統の古くはアガサ・クリスティの名作「そして誰もいなくなった」あたりになるのかなぁ。
と、ある意味これこそ「ミステリ」の王道と言えるわけですが、その王道を利用した本作。
早速、推理にかかりましょう。
【推理】
とりあえず、気にかかるポイントを列挙。
@バスの乗客は10から15人。
A舞台は廃病院の4階の精神科。3階には内科、1階はエントランス。ちなみに2階は不明。
B参加メンバーは男3人、女3人(金田一&美雪除く)。黒ひげ危機一髪風味の被り物着用。
今回はこんなところか。
で、注目は@とBの人数の差。
乗客の数が減っている……これが何を意味するのか?
そして、A舞台をわざわざ4階にした理由。
少なくとも犯人は8人運搬しているので普通に考えれば3階でも2階でも良い筈。
つまり、2階と3階は別の用件で使っている可能性が高い。
これに人数の差を加えると別の階でも同様にゲームが行われているのかも?
そして、金田一と美雪の参加。
犯人にしてみればこれは偶然の産物以外の何物でもないワケで、本来ならばゲームに参加させずに寝ている間にどこかに放置で良かった筈。
それをわざわざゲームに参加させているということは、事後の証人に仕立てようとしている可能性が高い。
当然、単なる愉快犯では無く目的があって殺人を実行しようとしているのでしょう。
したがって、トリックも用意している。
つまり、画面に映る「ゲームマスター」なる人物は実際には存在せず、メンバー中に犯人がいる。
さらに、被り物を使用していることをみると、これでアリバイトリックを仕掛ける気なのは明白。
これは入替りありそうです……。
現在、有力なのは「金田一が自身と美雪を除き男女3人ずつ」とわざわざ述べていることから、男性のふりをした女性か、女性のふりをした男性が紛れている可能性かな。
これらを総合すると、犯人はあの廃病院内で2組のゲームが階をまたいで行われており、それを利用してアリバイを作ろうとしている……のかもしれない。
そして、今のところ容疑者は画面に合わせて質問した人物……になるのかな?
まさか……あいつ……って黒ひげの誰だ(笑)!?
と、まぁ、今回はここまで。
進展を見せるであろう第2話に期待!!
◆シリーズ関連過去記事
・「金田一少年の事件簿」より「錬金術殺人事件」のまとめはこちら。
「錬金術殺人事件」まとめ(「金田一少年の事件簿」より)
・同じく「高度1万メートルの殺人」のまとめはこちら。
「高度1万メートルの殺人」まとめ(「金田一少年の事件簿」より)
・さとう先生による読み切り「トキメキトキナ消失宣言」のネタバレ批評(レビュー)はこちら。
「別冊少年マガジン」(講談社)より「トキメキトキナ消失宣言」ネタバレ批評(レビュー)
◆金田一少年の事件簿シリーズコミックはこちら。
◆金田一少年の事件簿シリーズ映像作品はこちら。
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