<あらすじ>
奥多摩で、妻の牧恵(益戸育江)と一緒にペンションを営む、鈴木五右衛門(中村梅雀)は、旧知の大学教授、稲田隆蔵(中本賢)に紹介された女優、瑚堂楓(高橋由美子)の身辺を警護することになった。楓とマネージャーの蜂谷志織(柊瑠美)は最近脅迫状が届くなどの嫌がらせが続いていると怯えていた。
ドラマの撮影現場で、北里由衣(仲川遥香)との迫真の演技を見せる楓を、五右衛門は注意深く見守った。
収録が順調に進み、楓は五右衛門と牧恵を自宅に招く。五右衛門は楓の夫で作家の関笙一郎(津田寛治)を紹介され、自分が四年前に担当した未解決の殺人事件を思い出す。
その事件は二人の少年が高校生の小笠原幸(古川小夏)を殺害したものだ。だが、被害者を遺棄した少年が車の運転を過って死んだため、幸の遺体は発見されていないまま。さらにもう一人の少年が関笙一郎の小説をまねて犯行に及んだと自供。この事件をきっかけに、関はその後作品を書けなくなってしまっていた。罪の意識を引きずる関に、五右衛門は慰めの言葉をかけた。
思い立った五右衛門は幸の父、小笠原二三男(鶴田忍)を久しぶりに訪ねた。小笠原は今も犯人と関を恨んでいると語る一方で、最近この辺りで再開発が進み、地上げが進んでいると話す。再開発を強引に手掛けるのは大手不動産会社の代表、磯貝数子(立石凉子)と、社長・保(小林高鹿)の親子である。
そこへ、警視庁の八重樫久吉刑事(村田雄浩)と部下の城下香津美(石川梨華)が飛び込んできた。二人は、最近の大雨のために出土した遺体が、幸のものらしいと告げる。DNA鑑定の結果、遺体が幸だと判明する。
そんな矢先、遺書が添えられた関の水死体が東京湾で発見される。警察は自殺だと判断するが、五右衛門は遺書が偽装されたものだと見抜き、関は殺されたのではないかと疑いを深める。
依然続く楓への嫌がらせ。夫の関を殺した犯人は誰か。五右衛門はそれぞれの真相を推理する。さらに土地取引に関わる不審な人物の言動にも注目するが・・・。
(月曜ゴールデン公式HPより)
では、続きから……(一部、重複アリ)
楓への嫌がらせが続いたある日、ついに楓が襲撃を受ける。
しかし、その楓は香津美が変装した囮だった。
こうして、犯人を取り押さえた香津美。
犯人は金で雇われていたらしい。
一方、五右衛門は犯人に指示を与えていた志織を捕まえる。
志織は元・子役。
過去の栄光を忘れ難く、今もちやほやされている楓を憎んでいたらしい。
しかし、楓が志織のことを元・子役と知った上で誰よりも応援していたと聞かされ泣き崩れる。
こうして、楓の嫌がらせ事件については終結を迎えた。
だが、まだ関笙一郎の死の謎が残されている。
関の遺書を見た五右衛門は普段の関が「総て」と書くところを遺書では「全て」となっていたことからこの遺書が関以外の人物の手によるものと見抜く。
その頃、町の開発運動に反対していた小笠原が刺されてしまう。
幸い通報が早かった為に命は取り留めることに。
そちらも気になるが、関の遺書も気にかかる五右衛門は楓に遺書の件について確認。
楓によれば最新の技術を用いた筆跡鑑定で合致したので間違いないと言う。
だが、最新の技術が常に正しいとは思えない五右衛門は関が小笠原にあてた謝罪の手紙を借りて肉眼での筆跡鑑定に挑む。
結果は、遺書の筆跡は手紙のものと完全に合致。
だが逆に完全過ぎた為に、犯人がこの手紙をもとに上から写し取ったものと看破する。
その頃、楓は保に誘われ釣りに来ていた。
そこへ、五右衛門が現われる。
救急車への通報が若い女性と聞いた五右衛門は楓が通報者だと指摘するが否定される。
楓は何かを隠していると見た五右衛門は次なる手を打つ。
保の開いた開発説明会に乗り込んだ五右衛門。
そこで、小笠原が刺された際に犯人のものと思われるボタンが落ちており、さらに凶器の鋏が側溝から回収されたと偽情報を流す。
そこで動揺したある人物の行動を追うよう香津美に指示する。
その人物は自分で埋めた鋏を確認しホッと一息ついたところを香津美に逮捕された。
その正体は小笠原と同じ反対派の煎餅屋。
彼は既に保に買収され賛成派に転じていた。
そこで小笠原の説得を行おうとしたのである。
だが、小笠原は頑強に抵抗した上に鋏を持ち出し追い払おうとした。
そこで揉み合いになり誤って刺してしまったらしい。
通報者はやはり楓だった。
せめて関の謝罪の意志を汲み取って欲しいと店を訪ねたところ、小笠原が刺されていたらしい。
こうして、小笠原の傷害事件も解決した。
残るは関の事件のみ。
そんな折、保と会った五右衛門は彼が楓の愛猫・ミーシャが元気を無くしていると口にしたことで不審を抱く。
料亭・富士代に保を呼び出す楓。
憧れの楓に呼び出された保は勇躍すると「雪の間」へ真っ直ぐやって来る。
2人きりになった楓と保。
楓は関の死が自殺では無く他殺だと保に告げると、関の死を願っていたと続ける。
これを聞いた保は大喜びで自身が関を殺害したと認める。
そこへ颯爽とやって来たのは五右衛門。
「やはり、あなたが犯人でしたね」と保に詰め寄る。
否定する保だったが、五右衛門の追及は厳しい。
まず招待状に記されていない「雪の間」へ真っ直ぐやって来たことから、保が盗聴していたことを指摘する五右衛門。
「雪の間」の話は楓の家で五右衛門が口にしたことであり、盗聴していなければ分からないと断言する。
以前、保は「猫のミーシャが元気を無くしている」と口にしたが元気を無くしていたのは猫では無く亀だった。
音でしか情報を拾えなかったので間違えたのだ。
ついに盗聴を認める保だが、殺人は否定。
しかし、こちらも五右衛門に抜かりは無かった。
関の遺書偽造に使用されたと思われる小笠原への手紙に磯貝家で飼われているチンチラの毛が付着していたこと。
さらに、関の死亡当日の保のアリバイにも言及する。
これに「夕方まで釣りをしていたが、夜には帰った」と口にしたことが保の命取りに。
五右衛門の狙いはアリバイの内容ではなく、保に自分から夜のアリバイを口にさせること。
実は、関の死亡推定時刻は公表されておらず、夕方から夜のアリバイを口にした保は関の死亡推定時刻を知っていたことになる。
これは犯人しか知りえない事実だ。
さらに、保の釣果に白ギスとアナゴがあったことで夜釣りをしていたことが判明。
嘘のアリバイを証言したことまで指摘された保は罪を認める。
普段から楓宅を盗聴していた保は、関が楓を責めるのを聞いて激怒。
楓を救うべく関を殺害したのだった。
10年前、仕事に失敗し落胆していた保は楓にファンレターを送った。
それは返事を期待しない行為だったが、楓から「あなたはあなたの人生を生きて」との励ましを受けた。
それを目にした保は感激し楓の大ファンになったのだ。
以来、楓に恩を返そうと様子を窺っていたと言う。
これが関殺害の動機だった。
そんな保に「お前のしたことは恩人の楓を苦しめただけだ」と諭す五右衛門。
五右衛門の言葉を聞き、保は自身の罪と向き合うことにする。
こうして事件は解決した。
小笠原は順調に回復を見せる。
そんな小笠原に「実は関さんを許していたんでしょ」と語る五右衛門。
静かに頷く小笠原は関の最後の手紙を楓に渡すよう託す。
その手紙には小笠原への謝罪と共に関の楓への真心がしたためられていた。
楓は亡き夫の真意を知り、涙を流す。
すべてを終え、今日も五右衛門たちは釣りをする。
そこには、おニューの釣り具で武装した香津美の姿もあった―――エンド。
<感想>
2010年9月6日に放送された「釣り刑事」のシリーズ2作目。
前作の批評(レビュー)はこちら。
・月曜ゴールデン 釣り刑事〜竿に掛かった大悪党!!「自然豊かな奥多摩で殺人事件が発生!!続けて起こる連続殺人を元刑事の鋭い着眼と釣り人ならではの知識を駆使して事件の真相に迫る」(9月6日放送)ネタバレ批評(レビュー)
ちなみに前作は管理人が選ぶ「2時間ドラマラズベリー賞」ノミネートに輝いた作品。
・【企画】管理人が選ぶ「“2時間ドラマ”アカデミー賞&ラズベリー賞2010」ノミネート発表!!
果たして今回の感想は!?
早速、述べて行きましょう。
スピーディーな展開で意外と面白かった。
複数の事件が並行して多発しつつ、それぞれがそれぞれで解決されるのは映画版の「踊る大捜査線」を思い起こさせました。
少なくとも前作に比べるとレベルアップしていたように感じます。
・「踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ!」(2010年、日本)ネタバレ批評(レビュー)
ただ、どれだけ事件を起こすんだよ……という気持ちは無きにしもあらず。
なにしろ、3件で3人の犯人が出てるワケですからね。
でも、どうせなら次回はもっと増やして欲しいな。
5件で5人くらいやったら2時間ドラマ史に名を残せるのではないか。
あと、印象として細かい伏線が多いかな。
しかも、伏線を張った直後に回収するパターンが多い気がする。
ここらは分かり易くて良かった。
この間の「美食カメラマン星井裕の事件簿」に続き、改善の見られるシリーズになりましたね。
第3弾に期待!!
【中村梅雀さん主演ドラマ過去記事リンク】
◆弁護士・森江春策シリーズ(原作・芦辺拓先生)
・土曜ワイド劇場「弁護士森江春策の事件 殺人同窓会・すり替った友人の死体〜君は一体誰!!密閉空間の移動トリックで法廷が踊る!?」(8月21日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・上記の前作(シリーズ1作目)についてのネタバレ記載あり。
「裁判員法廷」(芦辺拓著、文藝春秋社刊)ネタバレ書評(レビュー)
◆赤かぶ検事シリーズ(原作・和久峻三先生)
・水曜劇場「赤かぶ検事 京都編 名物検事登場…正義人情の法廷サスペンス決定版…不思議な誘拐…幼児が2度消えた?犯人だけ自首?証人が死んだ?謎が謎を呼ぶ冬の古都…初回2時間スペシャル」(1月13日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・月曜ゴールデン 赤かぶ検事奮戦記2−悪女の証言−「京都未亡人殺し裁判…父は検事で娘は弁護人火花散る父娘対決!証言台に立った被告の妻がひた隠す真実は?夫を裏切り悪女と化したその理由は」(10月18日放送)ネタバレ批評(レビュー)
<キャスト>
鈴木 五右衛門(すずき ごえもん):中村梅雀
○
鈴木 牧恵(すずき まきえ):益戸育江
○
八重樫 久吉(やえがし きゅうきち):村田雄浩
○
城下 香津美(しろした かつみ):石川梨華
○
稲田 隆蔵(いなだ りゅうぞう):中本 賢
○
瑚堂 楓(こどう かえで):高橋由美子
○
関 笙一郎(せき しょういちろう):津田寛治
○
磯貝 保(いそがい たもつ):小林高鹿
磯貝 数子(いそがい かずこ):立石凉子
○
蜂谷 志織(はちや しおり):柊 瑠美
小笠原 二三男(おがさわら ふみお):鶴田 忍
小笠原 幸(おがさわら ゆき):古川小夏
北里 由衣(きたざと ゆい):仲川遥香(AKB48) ほか
(順不同、敬称略、公式HPより)
アマゾンさんにて「釣り刑事」で商品を調べてみたらこれが真っ先に出ました。
パッと見て理由が思いつかなかったのですが、やがて“ソレ”に気付くとじわじわやって来ました。
とはいえ、本書の内容は非常に真面目。
「鬼平犯科帳」好きにはオススメです!!
そんな「江戸刑事人名事典(著者・釣洋一先生)」はこちら。
江戸刑事人名事典
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