2011年05月15日

ドラマスペシャル「最後の晩餐〜刑事・遠野一行と7人の容疑者〜犯人は誰だ!?放火殺人現場から生存者が消えた…そして彼らはなぜ嘘の証言をする?本格推理ミステリー」(5月14日放送)ネタバレ批評(レビュー)

ドラマスペシャル「最後の晩餐〜刑事・遠野一行と7人の容疑者〜犯人は誰だ!?放火殺人現場から生存者が消えた…そして彼らはなぜ嘘の証言をする?本格推理ミステリー」(5月14日放送)ネタバレ批評(レビュー)です。

<あらすじ>

警視庁捜査1課の刑事・遠野一行(佐藤浩市)が、幾重もの謎に包まれた放火殺人事件の解決に挑む。脚本・井上由美子、監督・秋山純。 八木沢(成宮寛貴)がオーナーシェフを務めるイタリアンレストランの開店当日、何者かが店に放火。客から死者2人、重傷者1人、軽傷者3人を出す、放火殺人事件に発展する。警視庁捜査1課で「専任取調官」の異名を持つ遠野(佐藤)は、新人刑事・高村(柄本佑)たちを率いて、直ちに現場へ向かう。店の戸口のシャッターはなぜか上部から30センチだけ降りており、そばにはガソリンタンクが一つ残されていた。どうやら犯人は店に侵入した後、ドア付近にガソリンをまいて火を付け、逃走したようだ。遠野は八木沢から、事件当日、店内には9人の客がいたことを確認する。このうち搬送先の病院、あるいは現場から姿を消していたのは、看護師・ひとみ(安達祐実)、大学生・立松(本郷奏多)、テレビ局報道局勤務のチーフディレクター・河合(石黒賢)ら6人。遠野は彼らの元を訪れ、徐々に驚きの真実を浮き彫りにしていく。
(@nifty tv番組表より)


では、続きから(重複アリ)……

重傷者が死亡し、被害者は3人に。
しかし、現場には9人居たと判明。
残り6人を遠野は追う。

事件当時、現場に居たと思われる人物は次の6名。
ジャパンテレビチーフディレクター・河合弘。
東都大学法学部4年・立松俊太。
産婦人科看護師・島村ひとみ。
衆議院議員・横手信吾。
激安量販店「リミット」の経営者にして詳細不明の謎の人物・富永麗子。
7年前に妻を殺害し、懲役8年の刑を言い渡された仮釈放囚・三条大作。

そして、もう1人。
現在唯一の生き証人である店のシェフ・八木沢鷹彦。
彼は病院で治療中である。
幼児期に父を亡くし、10代で母を亡くしたらしいが……。

課長の杉崎から、過去に遠野が逮捕した安西が出所しまたも事件を起こし逃亡中であることを聞かされる。
安西は遠野の妻・奈津美の元彼氏だった……。
同じ頃、警察学校の校長・内堀が卒業生・高村の仕事ぶりを見に捜査本部へやって来る。
それに励まされた高村はやる気を見せる。

聞き込みをスタートする遠野と高村。
それぞれから情報を得て行く。

河合はノーコメントを貫く。

島村は大学病院に勤務していた前職が判明。
何かに怯えた様子だが……。

立松は任意の事情聴取を盾にとり拒否。
「犯人は捕まらない」と嘯く。

そこへ、八木沢から電話が。
遠野がレストランの内装について興味を持っていたことが気にかかったらしい。
八木沢は適当に話をするとそのまま切ってしまう。

次は富永。彼女の本名は米田。
元ホステスでバーテンの夫との間に娘も居たらしいが、単身博多に移動すると老人の愛人生活をし、その際の手当てを元に現在の地位を築いていた。

続いて三条。
三条は自殺しようとしていたところを遠野たちに止められる。
彼はレストランに居たことを認めるが「分からない」と繰り返す。
犯行についても匂わせた彼は、そのまま取り調べ室へ連行される。
三条が妻を殺害したのは、病身の妻を抱え自身がリストラにあったことを悲観したゆえの犯行だったらしい。
だが、口にしたのはそれだけで放火事件については「分からない」と繰り返すばかり。
遠野は三条の所持していたヘルメットについた煤に注目、赤い線を調査するよう指示する。

さらに「下がったんじゃない、上がったんだ……」と呟く。
遠野は「火災発生前はシャッターが下りていたこと」に気付いたのだ。

ここで富永から遠野へ電話が。
富永は事件当時レストランに横手と共に居たことを認める。
不倫関係だったので黙っていたと言う。

残るは横手。
横手もレストランに居たことを認める。

横手に会って遠野は横手と富永の不倫を否定。
2人が何かを隠していると見抜く。

ここで高村は全員の共謀説を主張。
死亡した3人を殺害する為に6人で共謀したと推測するが、「八木沢に見られるだろ」と遠野に一蹴される。

その頃、安西が奈津美に電話で接触していた。
安西は元彼女の奈津美を遠野にとられたことを恨んでいたのだ。
呼び出された奈津美だが、安西の懇願を拒否する。

逃亡中の安西の件で奈津美を心配した遠野は自宅へ戻り奈津美と話そうとする。
その際に奈津美が「1人でそんなに作れないわよ」と口にしたことである事実に気付く。
それは、八木沢が本気で店を営業するつもりならば1人では運営することは不可能だということだった。
つまり、八木沢は始めから初日の内に店を燃やすつもりでオープンしたのだ。
遠野は生き残りは6人ではなく、八木沢を含んだ7人だったと自嘲する。

当の八木沢は当日の生き残り6人に次々と連絡を取り、「土曜日の同じ時間にもう一度、贖罪の機会を上げましょう」と告げるのだった。
富永、横手、河合は対策を立てるべく、顔を合わせていたがこの電話に怖れ慄く。
どうやら、拒否する選択は出来ないらしい。

八木沢について調べ始める高村。
それによると、八木沢には結婚するつもりの彼女が居たらしい。
しかも、八木沢は彼女と「最後の晩餐」を鑑賞していたと言う。
高村の報告を聞いた遠野は、八木沢の恋人は既に死んでいると推理する。

八木沢の恋人の名は中森。
2人で店を出す予定までたてていたが、ある晩に強盗に襲われ、そこにあった遊具で頭を打ち付け死亡していた。
逮捕された加害者・関口学は直後に自殺。
当初こそ加害者である関口に否定的だった世論だが、関口が就職浪人だったことが明らかになると同情的になったとの経緯があった。

遠野は杉崎に「八木沢が中森の復讐の為に9人を店ごと焼き殺そうとした」と主張し、逮捕状を要請する。

一方、再度八木沢の店に集まった河合たち、三条だけは居ないようだ……。
河合、横手、富永は八木沢を買収しようとするが、八木沢は拳銃を突き付ける。

逮捕状を要請した遠野だったが、杉崎は拒否。
そこへ、高村から電話が。
三条が八木沢の店の前に1人で立っていると言う。
遠野は急ぎ現場へ向かう。
そこへ、今度は奈津美から電話が。
旅行に行くと語る奈津美に不安を隠せない遠野―――。

三条も店内へ、高村も応援が来たのを機に店内へと踏み込む。
そのとき、一発の銃声が―――!!
しかも、店内の面々を飲み込みシャッターが下りてしまう。

そこへ辿り着いた遠野。
中から聞こえるのは八木沢の声だけ。
遠野は八木沢と交渉すると、手錠を隠し店内へと侵入する。
そこには撃たれて倒れ込んだ高村の姿があった……幸い高村は軽傷らしい。

八木沢は今回の事件について語り始める―――。

「私はあなたの罪を知っている」
そう告げて事件当日に9人を呼び集めたらしい。
その場で9人を店内に閉じ込めると、罪の告発もせず火を点けた。
放火事件は八木沢による壮大な無理心中だったのである。
ところが、シャッターが下りきらず脱出されてしまった。

八木沢は遺書を自室に残していることを教えると遠野と高村に逃げるよう促すが遠野は拒否。
八木沢が語ろうとしない招待された9人が狙われる理由について明かす。

招待された9人は中森に関わりのある人物ばかり。

死亡した3人。
伊藤は中森の会社の上司。
パワハラの噂があり、中森から携帯を取り上げた。
この為に強盗に襲われた中森は助けを呼べなかった。

福原は中森が利用していた横浜中央線で自殺を図った。
だが、本気で死ぬ気は無く死ななかった。
この狂言の為に列車が遅れ、中森が関口と会う間接的な原因となった。

大原は事件の目撃者。
だが、不倫していた為に通報しなかった。

生き残った6人。
産婦人科看護師・島村は前職が救急救命で中森の担当看護師。
アンプルを取り違える事故を起こしており、この為に中森が死んだとの噂があった。

東都大学法学部4年・立松はブログに被害者の中森にも非があると主張した。

ジャパンテレビチーフディレクター・河合は関口同情論を報道した。

衆議院議員・横手は河合の報道に便乗し、土下座会見した為に支持率を上げていた。

7年前に妻を殺害した三条は河合と横手の同情論のモデルにされた事件の加害者。
これが河合と横手にヒントを与えることになった。

激安量販店「リミット」の経営者・富永は中森の母親。
産んだ後に捨てていた。

富永が他のメンバーを取りまとめ、八木沢に従順だったのは娘の口から自分の過去がどれだけ洩れているか確認する為だった。

富永の真意を聞き憤る八木沢。
そんな八木沢に三条は射殺されることを望む。
実は、妻殺害について1つだけ嘘があったと言う。

ブラウン管を作り続けていた三条。
しかし、工場を首になってしまった。
その日、家に帰ると妻が薄いテレビが欲しいとねだった。
ブラウン管を貶されたと感じた三条は自身を否定されたような気がして逆上。
妻を殺害してしまった。
ところが、出頭した先ではリストラが動機とされ同情論が集まった。
これまで注目されなかった自分が殺人を犯したことにより人から親切にされたと語る三条。
罰して欲しいと訴える。

そんな三条を一喝する遠野。

シャッターが閉まらなかったのは三条のヘルメットが邪魔をしたからだった。
三条は入店間際、置き場所に困り出入り口にヘルメットを置いたのだ。

つまり、三条は死ぬべきではない、そして八木沢も。
遠野は続ける。

中森は殺害された当日、何故、人気のない道を急いでいたのか?
それは当日が八木沢の誕生日だったから。

八木沢は自身の所為で中森が死んだと悩んだ。
だが、それを認めたくは無い。
恨むべき犯人・関口は死亡している……。
そこで、恨みの矛先を9人に求めたのだと追及する遠野。

八木沢の銃はコルトローマン。
弾の装填数は6発。
既に1発撃っており、5発しかない。
次弾の装填は遠野が許さない。
「では、罪人6人のうち、誰を許すのか」と問う。

これを聞き命乞いする島村と立松。
だが、そんな遠野のペテンも八木沢には通じない。

「あなたを真っ先に撃てばいいんですよ。その後に装填します」
銃口が遠野へと向く。

ここで遠野はジョーカーを切る。
何故、八木沢は理由を告げず9人を殺害しようとしたのか?
この問いに反応する八木沢。

中森は「どうして?」と死の直前まで呟き続けたらしい。
この「どうして?」を「自身が何故死なねばならなかったのか?」と考えたからだと思った八木沢は答えを得られない無念の死であった中森同様に他の面々も理由を知ってはならないと考えたと告白。
気持ちを昂ぶらせ、目に涙を浮かべる。

さらに「最後の晩餐」の絵を引き合いに出し、八木沢を説得する遠野。
不意に飛びかかる。
天井に向け発砲される弾丸、その数4発。
残りは1発。

やがて、追い詰められた八木沢は自身へと銃口を向ける。
そんな八木沢をジッと見つめる遠野。
もっとも八木沢の気持ちを理解したのは、他ならぬ遠野だった。
最後の一発は……全く別の方向へと放たれた。

崩れ落ちた八木沢はそのまま突入した捜査員に逮捕された。

遠野は高村を負傷させたこと、奈津美が出て行ったことから杉崎に辞職を口にする。
帰宅した遠野。
室内はひっそりと静まり返っていた。
奈津美は居なかった。

改めて杉崎に辞職届を提出する遠野。
そんな遠野に警察学校への異動を告げる杉崎。
遠野が辞めるかどうかは異動先の上司の判断によるらしい。

とりあえず従うことにした遠野。
そんな遠野の目の前に、入学希望者らしき人物が2人。
1人は校舎へ向け、敬礼する人物。
もう1人は校舎を見てニヤリと笑う。
対照的な2人……つられて声をかける遠野―――エンド。

<感想>

脚本家の井上由美子さんによるオリジナル作品です。
井上さんは主演の佐藤浩市さんと「パンドラII 飢餓列島」でもコンビを組まれていますね。

では、感想を。

完全に続編ありきでしたね。
ひょっとして、連続ドラマを狙っているのでしょうか?
ドラマ本編は確かにそれっぽい作りでしたが……。

キャストは超豪華でしたね。
遠野役の佐藤さん、八木沢役の成宮さん共に熱演でした。
凄く良かった!!

ラストに出た若者は三浦春馬さんですよね。
これには驚きました。

それにしても、三浦さんと成宮さんとくると、他局ですが「ブラッディマンデイ」を思い出しました。
やっぱり、この2人はイイですね〜〜〜。

「ブラッディ・マンデイ2」(TBS系、2010年)まとめ

出演陣は文句なしです。

ここからは物語の内容についての感想を。

八木沢が最初から容疑者に入っていないのは変でしたね。
あらすじの方では遠野が八木沢も容疑者に入れていると思っていたので、そんな風(容疑者の1人)な書き方になっちゃってます。
で、途中で遠野が八木沢を疑っていないと気付いた瞬間、逆に「犯人は八木沢だろ」となっちゃいました。
まぁ、犯人が分かったからってどうということはないのでしょうが、なんだかなぁ……。
ここらは、ちょっと視聴者を侮っているのではないでしょうかね?
まぁ、どちらかといえば「フーダニット」ではなく、「ホワイダニット」特に「ミッシングリンクもの」に重点を置いていたのでしょうけどね。

ただ、伏線も古典的な類ですし、至って普通の2時間ドラマだと思います。
少なくとも「今までにないミステリ」と宣伝していたほどではないか。
期待値が高くなければかなり面白かったと思うのですが、ハードルが高くなりすぎて些か損なわれてしまったような……。
それと、これはやっぱり連続ドラマ狙ってるでしょ。

シナリオ自体はサプライズこそ無いものの手堅くまとめられており楽しめました。
なんやかんやありますが、全体的にも高評価です。
一見の価値はあるでしょう。

◆関連過去記事
2011年5月14日(土)にはスペシャルドラマ「最後の晩餐〜刑事・遠野一行と7人の容疑者〜」がテレビ朝日さんで放送!!

2011年8月18日発売された本ドラマのノベライズ版「陽はまた昇る エピソード0 刑事・遠野一行と七人の容疑者 (幻冬舎文庫)」です!!
陽はまた昇る エピソード0 刑事・遠野一行と七人の容疑者 (幻冬舎文庫)





「パンドラII 飢餓列島 DVD」です!!
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「1000ピース 最後の晩餐 10-607」です!!
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【関連する記事】
この記事へのコメント
連続ドラマから見始めた者です。「陽はまた昇る、面白いなぁ・・」と思いつつも、よくわからない所が多すぎて「???」でした。
そんな時「あれは、あの2時間ドラマの続きだね」という話を聞き、内容を知りたくて仕方ないけれど、うまく検索出来ず、悶々としていました。
この記事見つけた時は本当にうれしかったです。
文章もわかりやすく、これからドラマが2倍楽しめそうです。
ありがとうございました。
Posted by myumyu at 2011年08月08日 00:02
Re:myumyuさん

コメントありがとうございます(^O^)/。
管理人の“俺”です!!

ご存知の通り、「最後の晩餐」は「陽はまた昇る」のプロローグとなっており、主人公である遠野の背景が描かれています。
そんな「最後の晩餐」は二転三転する展開がメインとなっており、その分複雑なストーリーが展開されました。
それに伴い、この批評(レビュー)も読みにくくなっているかもしれません。

それなので、個人的に「もっと上手くまとめられたのでは」とずっと思っていたのですが、今回、お役に立てたと伺って非常に喜んでいます。
特に「分かり易かった」と言って頂けたことが本当に嬉しい。
これを励みに続けて行きたいと思います(^O^)/。
Posted by 俺 at 2011年08月09日 00:58
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