ネタバレあります、注意!!
「ゲームの館殺人事件」登場人物一覧:
金田一一:言わずと知れた主人公、最終回まで犯人ではありえません。
美雪:言わずと知れたヒロイン、こちらも最終回まで(以下略)。
宝樹滋:ゲームプログラマー、自称有名人
真津本潤:美佳が経営する店のウェイター
菊川梢:美佳が経営する店のホステス
麦林美佳:バーのママ。潤と梢の雇用主
霜村志保:婦人服の会社社長、生馬の母
霜村生馬:志保の息子
ゲームマスター:覆面の人物
<5話あらすじ>
生馬が死亡。
2人目の犠牲者が出たことで衝撃を受けた金田一は美雪を守るべく警戒心を強くする。
次なるステージへと向かう一行。
ゲームマスターからのメモに従って、とある部屋へ入った一行を謎のガスが襲う。
「ゲームオーバー」……美雪の脳裏をその言葉が過る。
次々と倒れ行くプレイヤーたち、金田一と美雪も意識を失う。
そんな中、犯人らしき人影だけはニヤリと微笑むのだった……。
やがて、意識を取り戻した金田一と美雪の目の前には剣持と明智が居た。
何者かから警察に事件の通報がありやって来たらしい。
こうして保護されたプレイヤーたちは、病院にて事情聴取を受ける。
内容は以下の通り。
宝樹「自分はゲームプロデューサーだが、こんなゲームは作らない」
梢「遊園地には麦林に誘われて行ったが、現地で麦林がはぐれてしまい困った。
電源が切れていたらしく麦林とは連絡がつかなかった。
お金に関しては、親の借金と自身が彼氏に貢いだ為に返済に苦労している」
潤「遊園地には麦林について行った。お金に関しては、ギャンブルで借金がある。」
麦林「遊園地には一見の客からチケットを貰ったことで出掛けた。
梢や潤とはぐれた上に携帯の電源が切れてしまい連絡が取れず困った。
その為に、バスには2人とは別に乗ったが車内が暗かったので確認出来ないだろう」
この話を陰で聞いていた金田一はただ1人明らかにおかしな発言をしている人物がいると指摘。
さらに、明智から「志保、生馬の順で殺害された意味」について示唆されたことで、真相に気付いた金田一は、確認する必要があるとして現場である廃病院へ向かう。
第1ステージ……爆発で焼け爛れたその部屋で3D眼鏡に関連した何かに気付く。
第2ステージ……生馬が知恵の輪を「大嫌い!!」と叫んでいたことを思い出す。
第3ステージ……本当に毒はカップめんではなく箸に入っていたのか?
第4ステージ……剣持からエチケットの意味を聞く。
以上、すべてを回った金田一はついにあの言葉を口にする。
「犯人が分かった!!」と―――6話に続く。
<感想&推理>
前回批評(レビュー)に記載した通り、あっさりとゲームは終了。
それに伴い問題編も終了の様子。
犯人・ゲームマスターの狙いは霜村親子で決まりです。
しかも、今回は推理クイズはなし。
これは、ちょっと残念ですね〜〜〜。
で、前回の記述通りだったことで犯人は前回怪しいと挙げた麦林で決まりでしょう。
本作のテーマは「誘導及び操り」。
つまり、「あるターゲットを狙い、その人物が得意とするか不得意とするゲームでその人物を罠が直撃するように狙い、他の人物が罠にかかると横から注意を促し罠を回避させ、ターゲットが罠にかかるまでステージを続けている」ということになります。
おそらく、例の催眠ガスの部屋も霜村親子が生きていればゲームの舞台となっていたのでしょう。
その場合は眠らせた上で殺害したか、別のステージに移動したと思われます。
とりあえず、「ゲームの館殺人事件」でポイントとなるのは次の6つと考えられます。
@5話で金田一が注目した「明らかにおかしな発言」とは何か?
A第1ステージで志保が豹変した理由。
B第2ステージで金田一が気付いたこと。
C第3ステージで金田一が気付いたこと。
D第4ステージのトリック。
E志保、生馬の順で殺害した理由。
まず、麦林を犯人としてそれぞれの解を求めると。
@常連から貰った筈のチケットが一見の客から貰ったことになっている。
A3D眼鏡により、他のメンバーが得られない情報を得ることが出来た。
黒髭のマスクは3D眼鏡を隠す為のもの。
B第2ステージは生馬がターゲットだったこと。
C梢が手にした毒入りカップめんに鍵が入って無かったことから、初めからカップめんに毒が混入されていたこと。箸では無い。(毒入りカップめんには鍵は必要ない)
梢のカップめんは元は生馬の物。やはり、生馬がターゲットだった。
D「エチケット」とは「ワインボトルのラベル」のこと。ワインに詳しい生馬がターゲット。
E相続権が移動することを計算している。犯人は志保からは相続権を得られず、生馬を経由すれば得られる立場である。
これは見事に前述のテーマに即しています。
ほぼコレで決まりでしょう。
5話で麦林が無理なくバスの運転手をやれることも証明されましたし。
ただし、注意すべきはE。
志保&生馬と麦林の関係性。
普通に考えれば、生馬経由で相続の権利を持つ別の第3者の為に麦林が犯行を犯したと考えられますが……あえて、別の可能性にチャレンジしてみましょう。
麦林が犯人としてその経歴が不透明なことも考えると次の仮説が成り立ちます。
実は麦林は男だった!!
梢や潤から「麦ママ」と連呼されているのは彼が男性であることを隠す為(バーはオカマバー)。
「紳士」でありながら「女性」だった「怪盗紳士」と同じロジックです。
で、麦林が男性だとすると志穂の夫の可能性が浮上。
志保と麦林は離婚しており、本来なら志保の財産は生馬に受け継がれる。
だが、その生馬が死亡すれば他に兄弟が居ない限り父親にも相続権が生まれる。
今回の殺人の目的はそれだった。
回りくどいゲームを行ったのも相続権の推移を第3者の前ではっきりさせる狙い。
志保とは生馬が幼い頃に別れており、第1ステージに黒髭のマスクを選んだのも志保には正体を見破られる怖れがあったから。
ちなみに、志穂は離婚後に財を為しており離婚前には一銭も手に入らなかったなどのストーリーもある……かもしれない。
まぁ、かなり極端な仮説ですね。
妄想に近いかも。
ただ、今回推理クイズが無かったことを考えるとストーリーにかなりの飛躍がある可能性は高い。
この仮説通りだと、梢もニューハーフになるが……当たってれば今回ラストのオチに持ってきそうかな?
しかし、気になるのは1話の金田一が思い浮かべたバスの乗客の人数。
ゲーム参加者と明らかに人数が合わないのですが……。
これは本筋と関係ないのでしょうねぇ。
◆「ゲームの館殺人事件」関連過去記事
・「金田一少年の事件簿」より「ゲームの館殺人事件」(講談社発行週刊少年マガジン連載)第1話ネタバレ批評(レビュー)
・「金田一少年の事件簿」より「ゲームの館殺人事件」(講談社発行週刊少年マガジン連載)第2話ネタバレ批評(レビュー)
・「金田一少年の事件簿」より「ゲームの館殺人事件」(講談社発行週刊少年マガジン連載)第3話ネタバレ批評(レビュー)
・「金田一少年の事件簿」より「ゲームの館殺人事件」(講談社発行週刊少年マガジン連載)第4話ネタバレ批評(レビュー)
◆シリーズ関連過去記事
・「金田一少年の事件簿」より「錬金術殺人事件」のまとめはこちら。
「錬金術殺人事件」まとめ(「金田一少年の事件簿」より)
・同じく「高度1万メートルの殺人」のまとめはこちら。
「高度1万メートルの殺人」まとめ(「金田一少年の事件簿」より)
・さとう先生による読み切り「トキメキトキナ消失宣言」のネタバレ批評(レビュー)はこちら。
「別冊少年マガジン」(講談社)より「トキメキトキナ消失宣言」ネタバレ批評(レビュー)
◆金田一少年の事件簿シリーズコミックはこちら。
◆金田一少年の事件簿シリーズ映像作品はこちら。
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