<あらすじ>
警察庁広域捜査課課長の高村順一郎警視正(大杉漣)はある日の昼休み、「ソバを食べに行く」と部下の東圭太(高橋克典)を連れ出すと、いきなり長野県の松本まで車を走らせる。「贅沢だろ」と高村はうそぶくが、実はその目的はソバではなくある喫茶店を訪ねることにあった。
喫茶『竜胆』は15年前、高村が取り逃がした強盗殺人犯の妻、沢田千鶴(手塚理美)が営んでいた。高村が訪ねたこの日、逃亡中の夫、沢田健太郎(由地慶伍)は時効を迎えるはずだった。しかし、殺人事件の時効は廃止され、沢田は一生、殺人犯として追われる身となっていた。にもかかわらず、店の窓には千鶴が結んだ「帰りを待っている」という印の黄色いリボンが翻っていた。そんな千鶴を迷惑がる近隣の人は決して少なくない。複雑な思いに沈む高村と東。
そんな高村たちのもとに、沢田と共犯の井上昭雄(岸端正浩)が神奈川県の小田原城址で、他殺体となって発見されたとの一報が入る。高村たちはすぐに小田原へ急行。警察庁広域捜査課として県警間の調整および捜査にあたることに。
警視正いきなりの登場に神奈川県警は一瞬おののくが、広域捜査官が煙たがられるのに例外はない。それを良く心得ている高村は、井上が住んでいた小田原市内のアパートを東とともに訪ねるが、先に到着していた県警の刑事を気遣い、外で待機することに。それが功を奏し、高村たちは井上が通っていたスナックの情報を得る。店のママによると、二週間ほど前に姿を見せた井上は、近く大金が入るから、その日まで店のツケを待ってくれと話したという。だが、まさにその日、井上は殺されてしまったのだ。ママは悔しそうに、そのとき井上が持って来たお土産を高村たちに見せる。それはなんと松本名菓の瓦煎餅だった。
東は再び松本へと向かい、東京に戻った高村に代わって、佐伯夏美(山崎静代)が東の相棒として松本に乗り込む。井上と松本を結ぶものは共犯者の沢田だ。予想通り、井上は約二週間前、千鶴の店を訪ねていた。千鶴によれば、井上は沢田が戻っていないことを確かめると、名乗りもせずに帰って行ったという。
東たちの聞き込み中、店には工務店社長で町内会役員の猪瀬稔(高知東生)が、横浜に本社があるシルバーキャッスルという超高級老人ホームの社員を連れてやってくる。猪瀬たちは『竜胆』がある場所に老人ホームを建てる計画を推進していた。経済が停滞しているこの地域にとって、魅力的な買収額を提示しているシルバーキャッスルはまさに渡りに船。雇用機会も増えるとあって、近隣住民は千鶴を除いて老人ホーム建設に賛成していた。だが、千鶴は沢田の帰る場所をどうしても残したいという。老人ホーム建設の下請け業者に内定している猪瀬は、沢田が帰って来ること自体が迷惑なのだと千鶴を熱心に説得。が、千鶴は決して首を縦に振ろうとしなかった。
そんな中、意外な人物が井上殺しの目撃者として名乗りを上げる。シルバーキャッスルの社長、森本公明(本田博太郎)だ。森本には城の写真を撮る趣味があり、井上が殺されたその日、偶然にも小田原城の写真を撮っていたのだという。森本が目撃した男は、沢田の特徴と一致。神奈川県警は沢田を井上殺しの重要参考人として手配を決める。しかし、東の考えは違った。二人が連絡を取り合える中だったなら、わざわざ井上が『竜胆』を訪ねる理由がないからだ。それに、千鶴の店を買い上げようとしている会社の社長が、たまたま沢田に似た男を目撃するという話も出来すぎている。だが、東たちの言葉に耳を貸す捜査員は、神奈川県警にも長野県警にもいない。それどころか、二人は捜査にタッチすることすらできなくなる。
仕方なく松本城見学に出かけた東は、そこである重要なことに気づき、図書館で松本城に関する資料をあさりまくる。そんな中、沢田が乗り捨てたと思われる車が松本で発見され、遺留品のライターに書かれていた店を辿って東たちは急きょ東京に戻ることに。
沢田は店の主に、出稼ぎで得たお金はすべて女房に送っていると話していた。その額2千万円。店主は冗談だと思ったというが、沢田には強盗で手にした金があった。だが、井上と二人で山分けしたとなると、1千万少ない計算だ。話を聞き終わると、東は急ぎ横浜へ向かうと、今度はシルバーキャッスルについて調べ始める。
その夜、ようやく松本に戻って捜査に加わった夏美は、捜査員の尾行をまいて出かけようとしていた千鶴を誰よりも早く発見する。ところが、千鶴確保の直前、やってきた車に夏美は撥ねられてしまう。千鶴はその車に乗って逃走。薄れる意識の中で夏美は必死にナンバープレートを見つめるが…!
(あらすじ・写真共に公式HPより)
では、続きから(一部、重複アリ)……。
千鶴に事情を聞いた東と夏美。
花を育てるのが趣味だと述べる千鶴は「グラジオラス」を好んで植えていた。
ふと、店の2階に結ばれた黄色いリボンを気にかける東。
いつから結んだものか尋ねる東に千鶴は「あの夜からです……」と曖昧に答える。
それは4月27日……時効廃止法が成立した日だった。
そんな中、井上の殺害現場付近で沢田を目撃したとの証言が飛び出す。
目撃者であるシルバーキャッスル社長・森本の趣味は名城の天守閣。
小田原城の天守閣を撮影していて、偶然、見かけたと言う。
一方、県警側は沢田の持ち物と見られる「お酒と食事・益田」のライターを県下で入手。
間違いなく県内に居ると思われることから、目撃証言と合わせて沢田を犯人と断定。
沢田の行方を追う。
その陰で、県警に邪険にされ続ける東と夏美はライターの出所を確認する裏付け捜査に回される。
店へと向かう東たち、店主によれば沢田は鶴田と名乗って店に通っていた。
もちろん、偽名である。
さらに2千万円を妻に仕送りしたと語っていたことも判明。
強盗事件の被害額は6千万。
井上と山分けしたのならば3千万円の筈だが……。
ここで、東は「シルバーキャッスル」の成り立ちに注目。
森本をマークするよう高村に進言する。
そんな回り道としか思えない東の行動を疑問に思う夏美。
東によれば井上殺害は沢田ではないと言う。
そんな中、千鶴に不審な動きが……。
県警が尾行をまかれる中、別方向から追った夏美がたまたま千鶴を発見!!
しかし、何者かの運転する車に轢かれ重傷を負ってしまうのだった。
夏美が負傷したことで責任を感じた県警側も歩み寄りを見せることに。
結果、東の意見が受け入れられ始める。
森本が強盗事件当時、警備会社に勤務していたことを突き止めた東。
森本の担当地域は事件の被害者の所在地であった。
強盗は沢田と井上の2人ではなく、森本を加えた3人だったと推理する。
だから、取り分が2千万円ずつだったのだ。
東が森本を疑うのには理由があった。
森本の部屋に飾られていた写真から、その趣味の対象は「現存十二天守」のみと見抜いた東。
「現存十二天守」とは築城当時から今も天守閣が伝えられている12城のこと。
ところが、森本の目撃証言に出た小田原城の天守閣は明治に改築されたものだった。
つまり、森本の興味の対象外だったのだ。
そんな所で写真を撮影する筈がない。
夏美が意識を回復。
証言から夏美を襲った車が「横浜16‐85」だったと分かる。
その頃、千鶴は夏美を轢いた人物=森本と対峙していた。
千鶴は森本から沢田の居場所を教えて貰う約束だったが、森本は逆に沢田の居場所を教えるよう迫る。
森本は沢田に強盗の件で脅迫されており、行方を捜しているらしい。
東の主張により県警も森本を追うことに。
東はシルバーキャッスルが買い占めた地元の何処かの土地に千鶴たちが居ると推測。
危機一髪、千鶴を手にかけようとしていた森本を発見、捕まえる。
井上を殺害したのは森本だった。
井上は社会的に成功した森本を脅迫し口封じに殺害されていた。
森本は沢田も探し出して殺害するつもりだったと認める。
こうして、井上殺害事件は終わった。
しかし、肝心の沢田の行方が掴めない―――。
そんな折、千鶴の店「竜胆」の名の由来が「リンドウ」を植えていたことにあると判明。
だが、去年から「グラジオラス」に代わっている……これの意味するところは何か?
森本に脅迫電話をかけたとされる時刻に沢田らしき人物が映った防犯カメラの映像を入手した東。
顔までは確認出来ないことに肩を落とす東だったが、その歩き方から沢田ではないことに気付く。
鑑識課を呼び、電話が行われた公衆電話を調べた東は真相に辿り着く。
東の向かった先は千鶴の店「竜胆」。
そこには千鶴と猪瀬が居た。
東は千鶴がわざと森本に拘束されたと指摘、事の発端である沢田から森本への脅迫電話も猪瀬による偽装だったと断言する。
すべては沢田が今も生きているように偽装するため。
東の推理は続く。
千鶴と猪瀬は愛し合っており、沢田自身は既に千鶴たちにより殺害されている。
沢田の死体をこの敷地に埋めた為に森本の買収に応じることが出来なかったのだ。
そこで、敢えて猪瀬と対立しているように見せかけ、森本との交渉を調整していた。
証拠を求める猪瀬に、東は「足跡痕」の存在を教える。
森本への脅迫電話が行われた電話ボックス、その中に沢田を名乗った人物の足跡が残っていた。
東によればその足跡は「軽量安全靴」のものだと言う。
そして、工務店社長・猪瀬もその靴を履いていた……。
猪瀬に軽量安全靴の提出を求める東。
もちろん、猪瀬は応えられない。
東の声が「竜胆」に店内に響く。
千鶴が黄色いリボンを結んだ「あの夜」。
法案が成立した日ならば、なぜ「あの日」ではないのか?
つまり、「4月27日の夜」に何かがあったのだ。
グラジオラスは4月の花。
なぜ、この花が植えられたのか?
それは、リンドウを掘り返してすぐに入手出来る花を植えたからに他ならない。
掘り返した理由はひとつ……そこに沢田を埋めたから。
すでに真相を突き止めている東に観念したのか、すべてを明かす千鶴たち。
4月27日、沢田は千鶴の前に現れた。
時効廃止に愕然としていた沢田は千鶴に迫ったが、千鶴に拒否され何が起こったのか気付く。
千鶴は沢田を待ち切れず、猪瀬と愛し合っていた。
カッとなった沢田は千鶴を殺そうとして猪瀬に殺害されてしまう。
沢田の死体を前に困り果てた千鶴たちはリンドウを掘り返し、そこへ沢田の死体を埋めることにする。
そこで、リンドウの代わりにグラジオラスを植えたのだ。
グラジオラスの花言葉は「密会」。
そして、リンドウの花言葉は「悲しんでいるあなたを愛する」。
東は千鶴の変節を咎める。
知らずに花言葉により罪を告白していた千鶴は泣き崩れるのだった……。
こうして、事件は本当に解決した。
東はお土産を手に、広域本部へと戻る。
そこには元気になった夏美の姿もあった―――エンド。
<感想>
シリーズ2作目です。
前作は2010年5月8日に放送ということで、約1年前になりますね。
前作批評(レビュー)はこちら。
・土曜ワイド劇場「広域警察・ふたりの刑事 遷都1300年奈良、飛鳥、平城京をめぐる連続殺人事件!阿修羅と美少女に秘められた驚愕の真実!!」(5月8日放送)ネタバレ批評(レビュー)
では、感想を。
かなり良かったんじゃないでしょうか。
ストーリー的にメインこそシンプルなものの、そこへ向かう伏線が上手く配されていました。
牽強付会が過ぎた前作に比べて、ごたごたした感じもなく、明らかにシナリオが向上しています。
違和感があったのは、城関連が多少投げっぱなしだったことぐらいか。
ここまで上手くまとまっているなら、城関連の知識を「現存十二天守」以外のロジックにも使って欲しかった……。
あそこだけが浮いているように感じられたのは惜しい。
とはいえ、本作はかなりの高評価。
管理人は大好きです。
これは是非、シリーズ3作目も視たい!!
そういえば、本田博太郎さんは「南平班」に続き、今週で2度目の犯人役ですね。
・月曜ゴールデン「警視庁南平班〜七人の刑事〜3 古都伝説殺人事件!!日光・金沢で起こる不可解な悲劇の連鎖…東照宮の猿が四百年見続けた涙の真実!?失われた指が誘う死のルート!」(5月16日放送)ネタバレ批評(レビュー)
「その男、副署長シリーズ」でも思ったけど、本田さんはやはりイイですね。
「その男、副署長シリーズ」またやらないかなぁ……。
<キャスト>
東 圭太:高橋克典
佐伯夏美:山崎静代(南海キャンディーズ)
沢田千鶴:手塚理美
中西みどり:小川菜摘
水沢夏彦:南 圭介
森本公明:本田博太郎
猪瀬 稔:高知東生
高村順一郎:大杉 漣 ほか
(公式HPより、敬称略)
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