2011年05月27日

「11文字の殺人」(東野圭吾著、光文社刊)

「11文字の殺人」(東野圭吾著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<あらすじ>

「気が小さいのさ」あたしが覚えている彼の最後の言葉だ。あたしの恋人が殺された。彼は最近「狙われている」と怯えていた。そして、彼の遺品の中から、大切な資料が盗まれた。女流推理作家のあたしは、編集者の冬子とともに真相を追う。しかし彼を接点に、次々と人が殺されて…。サスペンス溢れる本格推理力作。
(アマゾンドットコムさんより)


<感想>

フジテレビさんにて、東野圭吾先生「11文字の殺人」&「ブルータスの心臓」&「回廊亭殺人事件」の3作がドラマ化されるとの報を受けて読み返してみました。
再読です。

後味が悪かったこともあって、初読時はあまりいい印象を持っていませんでしたが、改めて読んでみるとなかなか考えられています。
あの結末も味があるように感じられました。

今回ドラマ化される3作のうちではもっとも面白く感じた作品です。
「ブルータスの心臓」が観念的過ぎ、「回廊亭殺人事件」がトリッキー過ぎとするならば、本作「11文字の殺人」は3作中で、もっとも良いバランスを誇るでしょう。
ドラマ向けの作品とも言えます。

ただし、東野圭吾先生の作品としては後の「加賀シリーズ」や「名探偵の掟」などの方が好きですね。
それらに比べるとストーリーテリングに物足りない部分が見受けられます。

結論として、東野先生ファンの方は読んでおくべきでしょう。
それ以外の方には、そこまでオススメの作品ではありません。

なお、ドラマ版「11文字の殺人」の放送枠は「金曜プレステージ」。

それぞれ―――
「11文字の殺人」が2011年6月10日。
「ブルータスの心臓」が2011年6月17日。
「回廊亭殺人事件」が2011年6月24日放送予定とのことです。

フジテレビにて、東野圭吾先生「11文字の殺人」&「ブルータスの心臓」&「回廊亭殺人事件」の3作がドラマ化!!

同じくドラマ化される「ブルータスの心臓」&「回廊亭殺人事件」ネタバレ書評(レビュー)はこちら。

「ブルータスの心臓」(東野圭吾著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)

「回廊亭殺人事件」(東野圭吾著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)

2011年6月10日追記
金曜プレステージ「東野圭吾3週連続スペシャル 11文字の殺人 あの日恋人はなぜ殺されたのか?無人島より殺意を込めて…11文字に込められた悲しき殺意!クルーズツアーで何が起きたのか?」(6月10日放送)ネタバレ批評(レビュー)

<ネタバレあらすじ>

女性推理作家であるあたしの恋人が殺された。
彼は最近「狙われている」と怯えていたところだった。
さらに、彼の遺品の中から、大切な資料が盗まれてしまう。

「無人島より殺意を込めて」との11文字のメッセージを目にしたあたしは編集者の冬子とともに真相を追うことに。
しかし、あたしに出会った関係者は次々と殺害されていく。
どうも、1年前の無人島クルーズツアーでの水難事故に原因があるらしい。
資産家の山森が主催したクルーズだが、事故の結果、竹本という男性が死亡していたのだ。

やがて、冬子までが殺害されてしまう。
遂にあたしが突き止めた真実は驚くべきものだった……。

彼氏やその他の関係者を殺害した犯人は冬子だったのである。
そして、冬子を殺害した犯人はクルーズ参加者の1人・金井だった。

冬子は彼氏とあたしを引き合わせた恩人だった。
だが、それには目的があったのだ。
実は竹本と冬子は恋人同士だった。
冬子はクルーズで死亡した竹本の死の真相を突き止めるべくクルーズ参加者に近付いていた。
そのきっかけにあたしを利用したのだ。
偶々、あたしと彼との間で交際が始まったものの、それは副次的なものだったのである。

あたしを通じて彼に取り入ると竹本の死の真相を知った冬子。
復讐を決意した彼女はあたしが出会ったクルーズ参加者を順に殺害し始める。
だから、あたしが関わった人が真っ先に狙われたのだ。
そして、冬子は金井の恋人・志津子を殺害しようとしたものの、待ち伏せていた金井の返り討ちにあったのだ。

志津子もまたクルーズ参加者だった。
竹本の死の原因は志津子にあった。
クルーズで起こった事故で海に投げ出された参加者たち。
中でも志津子の恋人・金井は1人逃げ遅れて、溺れそうになっていた。
金井を助けるよう必死に他の参加者に懇願する志津子。
竹本は救助の条件として「一晩、志津子が竹本に付き合うこと」を提示。
藁にもすがる思いの志津子はそれを了承したのだった。

こうして、助け出された金井。
だが、事情を知り逆上。
報酬を要求する竹本を叩き伏せてしまう。
動かなくなった竹本を見た山森は、竹本を批難し金井の行動を支持する。
他の参加者をとりまとめると竹本を海へと捨てたのだった。

だが、海に捨てられる直前まで竹本は気絶していただけで生きていた。
この為に、復讐の対象が金井ではなく、クルーズの参加者全員に拡がったのだった。
「無人島より殺意を込めて」のメッセージも冬子が贈ったものだった。

真相に愕然としたあたしはさらに黒幕の存在に気付く。
すべての黒幕のもとへと赴くあたし。

黒幕は資産家・山森だった。
山森は竹本が気絶した際に生きていることを知りながら、彼が邪魔だったために故意に殺したのだ。
さらに、仇を狙ってきた冬子を金井に協力するふりをして利用し抹殺した。
あたしは山森本人にその事実を突きつける。
多少の動揺を見せる山森。
だが、それ以上はどうしようもない。

あたしは思う。
明日にでも山森の手があたしに伸びるかもしれない。
そう、冬子を排除したときと同様に。

帰宅したあたしはひたすらシャワーを浴びる。
それは、嫌なものすべてを洗い流そうとするかのようだった―――エンド。

◆東野圭吾先生関連過去記事
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【東野圭吾先生原作ドラマ関連】
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【東野圭吾先生著作ネタバレ書評(レビュー)】
容疑者Xの献身(文春文庫版)&映画版

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【その他】
米国版「容疑者Xの献身」発売される!!タイトルは「The Devotion of Suspect X」!!

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posted by 俺 at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 書評(レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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