ネタバレあります、注意!!
<あらすじ>
「気が小さいのさ」あたしが覚えている彼の最後の言葉だ。あたしの恋人が殺された。彼は最近「狙われている」と怯えていた。そして、彼の遺品の中から、大切な資料が盗まれた。女流推理作家のあたしは、編集者の冬子とともに真相を追う。しかし彼を接点に、次々と人が殺されて…。サスペンス溢れる本格推理力作。
(アマゾンドットコムさんより)
<感想>
フジテレビさんにて、東野圭吾先生「11文字の殺人」&「ブルータスの心臓」&「回廊亭殺人事件」の3作がドラマ化されるとの報を受けて読み返してみました。
再読です。
後味が悪かったこともあって、初読時はあまりいい印象を持っていませんでしたが、改めて読んでみるとなかなか考えられています。
あの結末も味があるように感じられました。
今回ドラマ化される3作のうちではもっとも面白く感じた作品です。
「ブルータスの心臓」が観念的過ぎ、「回廊亭殺人事件」がトリッキー過ぎとするならば、本作「11文字の殺人」は3作中で、もっとも良いバランスを誇るでしょう。
ドラマ向けの作品とも言えます。
ただし、東野圭吾先生の作品としては後の「加賀シリーズ」や「名探偵の掟」などの方が好きですね。
それらに比べるとストーリーテリングに物足りない部分が見受けられます。
結論として、東野先生ファンの方は読んでおくべきでしょう。
それ以外の方には、そこまでオススメの作品ではありません。
なお、ドラマ版「11文字の殺人」の放送枠は「金曜プレステージ」。
それぞれ―――
「11文字の殺人」が2011年6月10日。
「ブルータスの心臓」が2011年6月17日。
「回廊亭殺人事件」が2011年6月24日放送予定とのことです。
・フジテレビにて、東野圭吾先生「11文字の殺人」&「ブルータスの心臓」&「回廊亭殺人事件」の3作がドラマ化!!
同じくドラマ化される「ブルータスの心臓」&「回廊亭殺人事件」ネタバレ書評(レビュー)はこちら。
・「ブルータスの心臓」(東野圭吾著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・「回廊亭殺人事件」(東野圭吾著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
2011年6月10日追記:
金曜プレステージ「東野圭吾3週連続スペシャル 11文字の殺人 あの日恋人はなぜ殺されたのか?無人島より殺意を込めて…11文字に込められた悲しき殺意!クルーズツアーで何が起きたのか?」(6月10日放送)ネタバレ批評(レビュー)
<ネタバレあらすじ>
女性推理作家であるあたしの恋人が殺された。
彼は最近「狙われている」と怯えていたところだった。
さらに、彼の遺品の中から、大切な資料が盗まれてしまう。
「無人島より殺意を込めて」との11文字のメッセージを目にしたあたしは編集者の冬子とともに真相を追うことに。
しかし、あたしに出会った関係者は次々と殺害されていく。
どうも、1年前の無人島クルーズツアーでの水難事故に原因があるらしい。
資産家の山森が主催したクルーズだが、事故の結果、竹本という男性が死亡していたのだ。
やがて、冬子までが殺害されてしまう。
遂にあたしが突き止めた真実は驚くべきものだった……。
彼氏やその他の関係者を殺害した犯人は冬子だったのである。
そして、冬子を殺害した犯人はクルーズ参加者の1人・金井だった。
冬子は彼氏とあたしを引き合わせた恩人だった。
だが、それには目的があったのだ。
実は竹本と冬子は恋人同士だった。
冬子はクルーズで死亡した竹本の死の真相を突き止めるべくクルーズ参加者に近付いていた。
そのきっかけにあたしを利用したのだ。
偶々、あたしと彼との間で交際が始まったものの、それは副次的なものだったのである。
あたしを通じて彼に取り入ると竹本の死の真相を知った冬子。
復讐を決意した彼女はあたしが出会ったクルーズ参加者を順に殺害し始める。
だから、あたしが関わった人が真っ先に狙われたのだ。
そして、冬子は金井の恋人・志津子を殺害しようとしたものの、待ち伏せていた金井の返り討ちにあったのだ。
志津子もまたクルーズ参加者だった。
竹本の死の原因は志津子にあった。
クルーズで起こった事故で海に投げ出された参加者たち。
中でも志津子の恋人・金井は1人逃げ遅れて、溺れそうになっていた。
金井を助けるよう必死に他の参加者に懇願する志津子。
竹本は救助の条件として「一晩、志津子が竹本に付き合うこと」を提示。
藁にもすがる思いの志津子はそれを了承したのだった。
こうして、助け出された金井。
だが、事情を知り逆上。
報酬を要求する竹本を叩き伏せてしまう。
動かなくなった竹本を見た山森は、竹本を批難し金井の行動を支持する。
他の参加者をとりまとめると竹本を海へと捨てたのだった。
だが、海に捨てられる直前まで竹本は気絶していただけで生きていた。
この為に、復讐の対象が金井ではなく、クルーズの参加者全員に拡がったのだった。
「無人島より殺意を込めて」のメッセージも冬子が贈ったものだった。
真相に愕然としたあたしはさらに黒幕の存在に気付く。
すべての黒幕のもとへと赴くあたし。
黒幕は資産家・山森だった。
山森は竹本が気絶した際に生きていることを知りながら、彼が邪魔だったために故意に殺したのだ。
さらに、仇を狙ってきた冬子を金井に協力するふりをして利用し抹殺した。
あたしは山森本人にその事実を突きつける。
多少の動揺を見せる山森。
だが、それ以上はどうしようもない。
あたしは思う。
明日にでも山森の手があたしに伸びるかもしれない。
そう、冬子を排除したときと同様に。
帰宅したあたしはひたすらシャワーを浴びる。
それは、嫌なものすべてを洗い流そうとするかのようだった―――エンド。
◆東野圭吾先生関連過去記事
【「麒麟の翼」関連情報】
【「白夜行」&「幻夜」&「夜明けの街で」映像化ニュース】
・東野圭吾先生「白夜行」映画化に続き、「幻夜」がWOWOWにてドラマ化決定!!
・東野圭吾さん原作「白夜行」日本版映画化決定!!
・東野圭吾先生原作「夜明けの街で」が2011年映画化、キャストは近日公開!?
【東野圭吾先生原作ドラマ関連】
・金曜プレステージ 東野圭吾スペシャル 探偵倶楽部「大ヒット原作ドラマ化!名探偵最強コンビ誕生!大物社長突然の失踪に隠されたセレブ一族の醜い骨肉の争い…消える死体…驚愕密室トリックを暴け!」(10月22日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・2夜連続ガリレオSP「ドラマレジェンド ガリレオエピソードΦ」(12月28日放送分)ネタバレ批評(レビュー)
・「流星の絆」(TBS系、2008年)
【東野圭吾先生著作ネタバレ書評(レビュー)】
・容疑者Xの献身(文春文庫版)&映画版
・「探偵倶楽部」(東野圭吾著、角川書店刊)
・「白夜行」(東野圭吾著、集英社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・「幻夜」(東野圭吾著、集英社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・「殺意取扱説明書(毒笑小説より)」(東野圭吾著、集英社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・「夜明けの街で」(東野圭吾著、角川書店刊)ネタバレ書評(レビュー)
【加賀恭一郎シリーズ】関連過去記事
・シリーズ7作目「赤い指」ネタバレ書評(レビュー)はこちら。
「赤い指」(東野圭吾著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・シリーズ8作目「新参者」ネタバレ書評(レビュー)はこちら。
「新参者」(東野圭吾著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・シリーズ9作目「麒麟の翼」ネタバレ書評(レビュー)はこちら。
「麒麟の翼」(東野圭吾著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・ドラマ版「新参者」ネタバレ批評(レビュー)はこちら。
「新参者」(TBS、2010年)
・ドラマ版「赤い指」ネタバレ批評(レビュー)はこちら。
東野圭吾ミステリー 新春ドラマ特別企画「赤い指 シリーズ人気No.1ドラマ化最愛の人が殺人を犯したら!?加賀が解く涙の連鎖・家族の絆とは “新参者”加賀恭一郎再び!」(1月3日放送)ネタバレ批評(レビュー)
【その他】
・米国版「容疑者Xの献身」発売される!!タイトルは「The Devotion of Suspect X」!!
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