2011年06月04日

金曜プレステージ「西村京太郎2週連続スペシャル第二弾!警部補・佐々木丈太郎(3) 密告〜惨殺体は刑事姿無き愛人の完全犯罪ネコの毛と白骨死体が語る涙の絆とは?女達の愛憎劇、いま開幕」(6月3日放送)ネタバレ批評(レビュー)

金曜プレステージ「西村京太郎2週連続スペシャル第二弾!警部補・佐々木丈太郎(3) 密告〜惨殺体は刑事姿無き愛人の完全犯罪ネコの毛と白骨死体が語る涙の絆とは?女達の愛憎劇、いま開幕」(6月3日放送)ネタバレ批評(レビュー)です!!

<あらすじ>

半年前、とある中華料理店で1人の男性客が包丁を片手に暴れ出した。そこに偶然居合わせた警部補・佐々木丈太郎(寺脇康文)は、ぼうぜんと立ちつくすおかみの多賀子(丘みつ子)をすかさずかばう。男は、丈太郎に襲いかかろうとするが、そこに立ちふさがった警視庁捜査一課の伊知地寛之(松重豊)が無事に男を取り押さえ、事なきを得た。
佐々木家には新しい命が誕生し、平穏な日々を送っていた。そんなある日、居酒屋にて絞殺と思われる伊知地の遺体が発見される。現場へ向かった丈太郎は、かつてコンビを組んだこともある彼の変わり果てた姿を前に衝撃を隠せない。そこには、ビデオカメラを回す若手刑事・降谷拓(石黒英雄)の姿もあり、丈太郎は彼をけげんそうに見ていた。しかし、この降谷とコンビを組んで事件を担当することになる。殺害された伊知地のスーツには、女性用のファンデーションが付着しており、女がらみのトラブルの可能性も出てきた。また、伊知地は暴力団との癒着や前歴者に対する脅迫による金品の授受の疑いもかけられていたことが明らかになり、事件の謎は深まるばかりであった。
一方、科捜研では、丈太郎の妻・涼子(横山めぐみ)と三浦さくら(山村紅葉)が、殺害に使われたであろうネクタイの指紋の検証を急いでいた。
そんな中、捜査本部に犯人の名前を教えると言う匿名の電話が入った。1つの事件から次々と連鎖して起こる殺人事件。捜査をするにあたり降谷が設置した捜査本部の隠しカメラには、矢島監察官(杉本哲太)の姿があった。彼もまたこの事件の真相を追いかける1人であった…。

警察内部か、それとも女性がらみの犯行なのか…犯人の目的は一体何なのか!?
佐々木と降谷の世代を超えた新たなコンビがたどり着く事件の真相とは…!?
(金曜プレステージ公式HPより)


では、続きから……(一部、重複あり)。

伊知地が前歴者から金品を脅し取っていたことが判明。
過去の正義感に溢れる伊知地を知る丈太郎はショックを受ける。

伊知地は過去に1人娘を亡くしており、妻・美代子との仲は上手くいっていなかったらしい。
証明するように、伊知地が橋本有希名義のマンションに入り浸っていたことが判明。
橋本有希を犯人と指摘する匿名電話もあり、そのマンションを訪ねる丈太郎だが、橋本有希は不在。
仕方なく、部屋を調べたところ3種類の猫の毛が検出される。

捜査が進むにつれ、橋本有希が架空の人物であると分かる。
しかも、3種類の猫の毛は猫カフェのものだった。

猫カフェとは猫との触れ合いを提供する喫茶店のこと。
猫カフェを廻った丈太郎はそこで美代子を発見する。
店員によれば、美代子は常連で若い男性と連れ立っていたと言う。
写真を確認したところ、男性は伊知地では無かった。

そんな捜査中の丈太郎と降谷を見つめる男の影があった―――矢島監察官である。
何かを探っているらしいが……。

美代子と猫カフェに出入りしていた若い男の正体が判明。
男の名は宮崎雄一、過去に伊知地に逮捕されていた。

美代子が出頭してくる。
伊知地との離婚を望んでいた美代子。
だが、伊知地は応じなかった。
そこで殺意を抱いた美代子は、橋本有希という架空の人物を捏造し、伊知地が橋本に殺害されたように見せかける準備を整えると、伊知地を絞殺したらしい。
宮崎は伊知地に恨みがあり美代子を唆していたのだ。
だが、美代子は一回しか首を絞めていなかった……つまり、止めを刺した人物が別に居たことになる。

伊知地の緑の手帳が紛失していたことが分かる。
しかも、凶器のネクタイから宮崎の指紋が検出されたことで容疑は宮崎へと向く。

早速、宮崎宅へと赴いた丈太郎たち。
だが、そこには頭を殴られた宮崎の死体が転がっていた。
あの緑の手帳も発見されるが……。

手帳からは、とあるページが持ち去られた形跡が。
しかも、手帳に「丸に丈の字」の記載があったことから丈太郎の関与が疑われてしまう。
結果、丈太郎は捜査を外されることに。

1人になった降谷は捜査を続行する一方で、こっそり丈太郎に協力する。
丈太郎に対しクールに振る舞っていた降谷だが、実は情が深かったようだ。

丈太郎は伊知地の脅迫ネタの中から、1つだけ未解決事件があることに注目。
それは、奥多摩の白骨死体発見の報だった。
降谷から、手帳の持ち去られたページに「殺害か」との記載があったことも聞く。

そこで、伊知地のメモから「つつじ愛園」へ向かうことに。
そこには、中華料理店の多賀子が大事にしていたものと同じ紙皿で作られた時計があった。
さらに伊知地が聞き込みをしていた内容を突き止めた丈太郎。
伊知地は「黒沢龍彦」という子供に興味を持っており、両親の所在と彼の父親が暴力を奮っていたかどうかを根掘り葉掘り聞いていたらしい。
しかも、紙皿の時計を最初に作ったのが黒沢龍彦だと聞かされる。

多賀子のフルネームが黒沢多賀子と判明。
少しずつ丈太郎の中で推理が組み立てられていく。

黒沢龍彦の消息が明らかに。
黒沢は警察官の夫婦に引き取られ、同じく警察官となっていた。
引き取った夫婦の名は、矢島と言った。
そう、矢島監察官こそ黒沢龍彦だったのだ。
合わせて、黒沢龍彦の父が失踪していることも分かる。

奥多摩の白骨死体は男性だった。
矢島と接触した丈太郎は白骨死体が矢島の実父であり、それこそが矢島に不正を暴かれかけた伊知地が矢島の弱みを捜し突き止めたことであると断言する。
否定する矢島だが……。

今度は多賀子へと確認する丈太郎。
多賀子は暴力を奮う夫を龍彦を守る為に殺害したことを認める。
そこへ駆けつける矢島。

矢島は多賀子と親子であることを認め、すべてを語り始める。

丈太郎の推測通り、矢島に追及されていた伊知地は逆に弱味を握るべく過去を調べ多賀子を突き止めると脅迫した。
矢島は伊知地から脅迫されたことで、実母の所在を知った。
再会した2人。

そんな矢先、宮崎により伊知地が殺害される。
伊知地の死を知り安心していた多賀子だったが、手帳を手に入れた宮崎により脅迫されてしまう。
多賀子が宮崎に脅迫されていることを知った矢島は母を守る為に宮崎を殺害したのだった。

手帳へと「丸に丈の字」を書き込んだのは、矢島だった。
丈太郎ならば真相に辿り着きかねないと危惧した結果の行動だったと言う。

こうして、宮崎殺害の罪で矢島は逮捕される。
多賀子は息子を逮捕するならば夫殺害で自分も捕まえてくれと訴えるが、そちらは時効が成立していた。
丈太郎は矢島が罪を償うことを待つよう多賀子を諭す。

事件は解決した。
家族を守ろうとする―――その気持ちこそが大切だと降谷に語る丈太郎は降谷の実家へと降谷を連れて訪ねる。
家族の絆を確認する降谷。

そして、丈太郎は息子・壮太や母、妻と共に家族4人の繋がりを深めるのだった―――エンド。

<感想>

西村京太郎2週連続スペシャルの第二弾は「警部補・佐々木丈太郎」シリーズとなりました。
「警部補・佐々木丈太郎」シリーズはこれまでに2作放送されており、今回で3作目。
シリーズ前作は2010年8月13日に放送で、ほぼ10カ月ぶりの新作となります。
そんな前作はこちら。

金曜プレステージ 西村京太郎スペシャル警部補・佐々木丈太郎「告白〜狙われた小学校…次々殺される育児放棄の親達!容疑者は女教師、生徒が目撃者崩壊した教室で何が」(8月13日放送)ネタバレ批評(レビュー)

ちなみに2週連続スペシャルの第一弾は「十津川刑事の肖像4」でした。

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さて、「警部補・佐々木丈太郎」シリーズ3作目の原作は西村京太郎先生の「午後の脅迫者」(講談社)に収録された短編「密告」。
「午後の脅迫者」あらすじはこんな感じ。

<あらすじ>

短編の醍醐味ここにあり!
まさに、選りすぐり!!

・ノベルス版あらすじ
“ちょっと毛色の変った慈善事業”を始めた派出所勤務の警官。人助けのためと手を染めた軽犯罪だったが、いつしか禁断を犯す快感はエスカレートし、欲望が目的にすり替った途端……(柴田巡査の奇妙なアルバイト)。
西村京太郎の長いキャリアの中でも、胸がすくようなトリックの切れ味を示す傑作を9本集めた短編集。

・文庫版あらすじ
私立探偵が夢みた成功報酬3千万はいったい誰の手に?妻は会社を経営する夫の素行調査を探偵社に依頼した。夫は探偵にしっぽをつかまれるが、逆に妻に「男」を作ってくれれば3千万出すという。成功直前の在る夜、探偵の眼の前で一閃フラッシュが光って……。トリックの妙を示した秀作ぞろいの好短編集。
(講談社公式HPより)


この「午後の脅迫者」は面白いことに文庫版が1985年、ノベルス版が2002年に発売されるとの逆転現象が起こっています(ノベルス版から文庫版が一般的な流れ)。
想像ですが、一旦ノベルス版が絶版されたのではないでしょうか?
いろいろ考えてみるのも面白そうです。

では、ドラマ版感想を。

テーマは「家族愛」でしょうね。
ただ、ちょっとモヤモヤします。

家族愛を謳っていながら、矢島の養父母をまるきり無視するのはどうなのでしょうか?
実母との間で自己完結してしまいましたが、矢島さんは育ての親のことも考えてあげてください。
丈太郎もそこを指摘してあげてください。

ちなみに、ラストでの降谷のエピソードは……いい話のような違うようなこちらもモヤモヤ。
なんか、ちょっと違う気がしました。

そして、伊知地の娘の死は本編には関わってきませんでしたね。
てっきり、死の真相が絡むかと思ったのですが……。

これはこれでいいけど……どうせなら、伊知地親子と黒沢親子を比較しつつ家族愛について訴えかけた方がドラマとしては良かったのではないかと思います。
ところが、伊知地の方は夫婦だったのが、なんとも。
かといって、丈太郎夫妻と比較しているワケでもなし。
やっぱり、モヤモヤ。

もっと、ストレートかつ徹底して「家族愛」を押し出した方が良かったかも。
それこそ、クドイぐらいに。
本作では、どこか冷めていた気がしました。

さて、来週からはいよいよ東野圭吾先生原作ドラマが3週連続放送されます。

フジテレビにて、東野圭吾先生「11文字の殺人」&「ブルータスの心臓」&「回廊亭殺人事件」の3作がドラマ化!!

第1弾は「11文字の殺人」。
ネタバレ書評(レビュー)がありますね。

「11文字の殺人」(東野圭吾著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)

他にも「ブルータスの心臓」や「回廊亭殺人事件」もありますね。

「ブルータスの心臓」(東野圭吾著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)

「回廊亭殺人事件」(東野圭吾著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)

興味のある方は今のうちに原作を予習して挑みましょう!!

<キャスト>

佐々木丈太郎:寺脇康文
佐々木涼子:横山めぐみ
降谷 拓:石黒英雄
三浦さくら:山村紅葉
佐々木春代:吉行和子
矢島:杉本哲太
伊知地寛之:松重 豊
伊知地美代子:霧島れいか
多賀子:丘 みつ子 ほか
(順不同、敬称略、公式HPより)


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「第二回麻雀トライアスロン 雀豪決定戦」に綾辻行人先生&西村京太郎先生が参加!!

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