ネタバレあります、注意!!
<あらすじ>
一代で財を成した一ケ原高顕が死んだ。妻子を持たない高顕の莫大な財産の相続にあたり、彼の遺言状が一族の前で公開されることになった。公開場所は旅館“回廊亭”。一族の他には、菊代という老婆が招待されていた。だが、菊代の真の目的は、半年前に回廊亭で起きた心中事件の真相を探ることだった…。その夜、第一の殺人が。斬新な趣向を凝らした傑作長編推理。
(アマゾンドットコムさんより)
<感想>
本作は枝梨子の一人称で進みます。
ミステリよりも枝梨子の愛の記録と言った方が正確かもしれません。
枝梨子はただ1人の男性を愛し、命尽きるその時まで愛し抜きました。
そんな物語です。
ミステリ的には、かなり工夫が凝らされた長編です。
二重、三重に仕掛けが張り巡らされているのは「ネタバレあらすじ」をご覧頂ければお分かりでしょう。
主人公・枝梨子が菊代という老婆に変装した理由も納得です。
そして、枝梨子が狙うべきターゲットの正体にも……。
それだけに、以前「回廊亭殺人事件」を読んだ時は実写化は不可能かなぁ……と思っていました。
……が、そんな「回廊亭殺人事件」がドラマ化されるそうです。
詳細は下記よりどうぞ。
合わせて、同じくドラマ化される「11文字の殺人」について原作ネタバレ書評(レビュー)もあります。
・フジテレビにて、東野圭吾先生「11文字の殺人」&「ブルータスの心臓」&「回廊亭殺人事件」の3作がドラマ化!!
・「11文字の殺人」(東野圭吾著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・「ブルータスの心臓」(東野圭吾著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
果たして、実写化された「回廊亭殺人事件」は如何に!?
気になりますね〜〜〜!!
2011年6月25日追記:金曜プレステージ「東野圭吾・3週連続スペシャル第三弾!“回廊亭殺人事件” 最愛の恋人を殺され復讐の鬼と化した女…整形で顔を変え巨額遺産をめぐり欲望渦巻く一族に潜入!愛を奪った犯人は誰なのか?」(6月24日放送)ネタバレ批評(レビュー)追加しました。
<ネタバレあらすじ>
ある晩、枝梨子は二郎に首を絞められ焼死しかけた。
その際に二郎は死亡してしまう。
二郎は枝梨子にとって最愛の人。
警察によれば、死の直前に二郎は老人を轢き逃げしており、逃げ切れないと追い詰められての無理心中と思われた。
だが、枝梨子には二郎が犯人ではないことは分かっていた。
二郎は殺されたのだ。
最愛の人を失い、自身も大きな火傷を負った枝梨子は犯人への復讐を誓う。
枝梨子は菊代という老婆に変装すると自身を襲った犯人が居る「回廊亭」へと潜り込む。
そこでは亡き資産家・一ケ原高顕の遺産相続について話が為されようとしていた。
縁者が集まったそこには、高顕の愛人・真穂や鯵沢弘美たちが居た。
ところが、そこで殺人事件が発生。
枝梨子は自身の復讐相手がこの殺人に関与していると気付き、犯人を追う。
過去―――枝梨子と二郎の出会いは必然だった。
枝梨子は一ケ原高顕の秘書。
彼から有能さを買われた枝梨子は、余命短いと知った彼から顔も知らぬその息子を捜すよう依頼される。
候補を2人にまで絞り込んだ枝梨子は二郎と出会い、彼こそが高顕の息子であると確信する。
やがて、二郎は枝梨子に交際を申し込み、2人は男女の仲に。
そして、あの日がやって来た。
二郎こそが息子であるとの報告書をまとめようとしていた枝梨子は襲われ、大火傷を負ったのだ。
当の二郎も死んでしまった。
二郎の仇討ちに燃える枝梨子は推理を巡らし、真穂が一連の事件の犯人であると突き止める。
遂に二郎の復讐に乗り出した枝梨子はそれと気付かれずに近付くと真穂を殺害する。
ところが、二郎と枝梨子を狙ったのは真穂だけではなかった。
真穂は共犯者に過ぎなかったのである。
そして、枝梨子もまた主犯が別に居ることを知っていた。
なぜなら、枝梨子は襲われた際にはっきり相手の男の顔を見ていたから。
共犯である真穂への復讐を果たした枝梨子は主犯への復讐を目論む。
警察による厳戒体制の中、真穂殺害の容疑で連行されかかる枝梨子。
枝梨子は菊代に化けていた際に仕掛けた火薬を爆発させ屋敷を火に包みこむ。
出口へと殺到する人々の中で、唯一、枝梨子の前に現れた人物―――彼こそは枝梨子を襲い二郎を殺害した男だった。
その名は鰺沢弘美。
かつて、二郎の名を騙り枝梨子と愛を語らった男である!!
そう、弘美は男。
しかも、枝梨子の首を絞めたのは二郎と名乗っていた弘美だった。
枝梨子は弘美を二郎と信じ込んで交際しており、「二郎が殺された」とは、「枝梨子の愛した枝梨子にとっての二郎(もちろん、正体は弘美)」が「実は二郎を騙っていた弘美」に殺されたことを指していた。
弘美は二郎と共に自身も一ケ原高顕の息子候補に上がっていたことも知っていた。
しかし、弘美はその直前に実の祖父に出会っており、自身が高顕の息子ではないことを知った。
そう、本物の二郎こそが高顕の息子だったのだ。
だが、遺産を狙う弘美は二郎を騙り枝梨子に近付き情報を引き出した。
その上で、本物の二郎を殺害すると自身のルーツを知る祖父を轢き逃げして殺害。
その罪を二郎に着せた上で枝梨子を襲い、無理心中に見せかけたのだ。
すべては報告書にある二郎の名を弘美に書き換える為。
真穂も弘美の協力者だった。
枝梨子は「回廊亭」にやって来て弘美が真犯人だとすぐに理解した。
だが、共犯者が不明だった為に共犯者を探し続けたのだ。
そのうちに事件が起こり、真穂の関与に気が付き復讐した。
今度は二郎を騙り、枝梨子の愛した二郎を殺した弘美の番だ。
だが、弘美は此処で口封じに枝梨子を殺害するつもりだった。
ナイフを持ち出した弘美の姿に今度こそ愛した二郎が死んでしまったことを痛感する枝梨子。
これまでは、どこかで期待していたのかもしれない。
しかし、枝梨子には秘策があった。
炎の中、弘美に刺される枝梨子。
枝梨子はそのまま弘美を抱きかかえると油をかぶる。
足掻き逃げようとする弘美だが、枝梨子の渾身の力にはかなわない。
当然、炎の舌は2人を呑み込んでいく―――。
湧き上がる弘美の悲鳴。
枝梨子は幸せそうな微笑みを浮かべた―――エンド。
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・容疑者Xの献身(文春文庫版)&映画版
・「探偵倶楽部」(東野圭吾著、角川書店刊)
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・「幻夜」(東野圭吾著、集英社刊)ネタバレ書評(レビュー)
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「新参者」(東野圭吾著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
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【その他】
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私もドラマ化されると聞いて急いで読んだのですが、かなり変更されてましたね。
鯵沢弘美が最後まで出ないのは、ネタバレを防ぐため・・・でしょうか。
結構面白かったです。
コメントありがとうございます(^O^)/。
管理人の“俺”です!!
変更点ありましたね〜〜〜。
中でも、菊代を美代子に変更したのは大きかった。
鯵沢弘美関連も工夫を凝らしていました。
ただ、どの変更点もドラマ化する上で必要とされるものだったと思います。
管理人もドラマ版は良かったと思いました!!