ネタバレあります、注意!!
「ゲームの館殺人事件」登場人物一覧:
金田一一:言わずと知れた主人公、最終回まで犯人ではありえません。
美雪:言わずと知れたヒロイン、こちらも最終回まで(以下略)。
宝樹滋:ゲームプログラマー、自称有名人
真津本潤:美佳が経営する店のウェイター
菊川梢:美佳が経営する店のホステス
麦林美佳:バーのママ。潤と梢の雇用主。正体は梢の母・早苗。
霜村志保:婦人服の会社社長、生馬の母。2話で爆殺される。
霜村生馬:志保の息子、4話で毒殺される。
ゲームマスター:覆面の人物
<8話あらすじ>
自身が「犯人=ゲームマスター」であることを認めた麦林こと早苗はその過去について語り始める。
当時、やり手のTVプロデューサーだった早苗。
夫との間に梢をもうけたものの、捨てられてしまう。
夫を見返すべく心機一転し独立したものの、経営が行き詰まった早苗は、たまたま関わった儲け話が詐欺だった為にトラブルとなり、人を殺してしまう。
こうして、追い詰められた早苗は樹海へ向かうことに。
自殺するつもりだったが、そこで白骨化した麦林美佳の遺体を発見し、成り替わることを決める。
そこで、知り合いだったもぐりの医者に頼み麦林の顔に整形した。
ところが、その医者が脅迫してきたために殺害してしまう。
早苗はすでに2人も殺害していたのだ。
その後、麦林として生活していた早苗は水商売を営むことに。
潤を雇い入れたのちに、どういう巡り合わせか梢が雇って欲しいと訪ねて来る。
自身の娘だと知った早苗は、梢が破産出来ずに借金に苦しんでいることを知らされる。
ちょうどその頃、志保が載った新聞記事を目にした早苗は、梢を救う方法を思いつく。
志保の持つ100億の財産を梢に相続させるという荒業である。
こうして、相続法について調べ上げた早苗は志保、生馬の順ならば梢に相続権が発生することを利用し、殺害計画を実行に移したのだった。
ここまで語った早苗は吐血する。
どうやら、先が短いらしい。
そのまま逮捕され警察病院に入院する早苗。
だが、梢が相続すると確信している彼女は満足そうだった。
数日後、早苗の病室を訪ねる人影があった。
潤、梢、金田一、美雪の4人である。
梢から早苗へ報告すべきことがあると言うのだ。
それは、「梢が遺産を相続しない」ことだった。
驚く早苗に梢は告げる。
「全部、私(梢)と同じ境遇の子供に寄付しちゃった……」
呆れ果て怒りに震える早苗に潤が頭を下げる。
どうやら、早苗の生き様を聞かされた潤と梢は自分たちも早苗のように逞しく生きていくと決めたらしい。
そこで、遺産は受け取らないと決めたのだ。
さらに、潤は梢と結婚することを早苗に伝える。
その言葉を聞き、涙を流す早苗―――。
病院からの帰り道、金田一は「100億あれば10万円くらい欲しかったなぁ。それがあれば、あれもこれも買えるのに」と物欲に取りつかれていた。
上手く使えば美雪との距離をもっと縮められると考えたのだ。
しかし、金田一の考えも知らず、美雪は金田一の手を引き先へと進む。
そんな美雪の姿に「このままでも、まぁいいか」と思う金田一だった―――「ゲームの館殺人事件」エンド。
<感想&推理>
8話目にてエピソード最終話となりました。
ここまでで、ちょうどコミックス1冊分くらいでしょうか。
どうも、狙ってこのボリュームになったようです。
かなり、無茶のあるラストでしたね。
「早苗がこの事件前に2人も殺害していた!!」との事実が必要だったとは思えない。
特に医者を殺害する必要性は皆無。
凶悪アピールにもなっていないし。
さらに、志保&生馬親子は財産があった為に巻き込まれただけで過去の早苗に何の遺恨もなかったことも判明。
てっきり、早苗を追い詰めた詐欺に志保が関与していると思われましたが、志保たちは完全なる被害者でした……って、オイ!!
しかも、早苗はそんなに梢のことを考えるなら自身でお金を残そうよ。
ママやってるんだから、顔はある程度きくでしょうに。
ちょっとでも梢の力になろうとするならともかく、元夫の関連で人の財産を狙うのはメチャクチャでしょう。
ものすごくモヤモヤ。
そして、潤と梢は早苗を見習っちゃ駄目です。
見習うとヤバいです。
見習うなら明智か剣持あたりにしてください。
なんだか、ラストが適当な「お涙ちょうだい」に感じられました。
もっとも、涙も出ませんが。
完全にラストで評価を落としましたね。
では、全体のまとめを。
「ゲームの館殺人事件」全体としては所々光る箇所があったものの、往年のあの輝きを取り戻すには遠かった……との印象。
悪くはないのですが、「これが金田一少年の事件簿、最高傑作です!!」と声高に主張されれば「嘘でしょ……」とツッコミを入れたくなる感じか。
何より、志保殺害でのもっとも肝心なトリック「志保に残るべきと思わせた映像は何か?」が明かされないままというのは致命的でした。
前回の感想でも述べたとおり、これだけは何とか説明してほしかった。
少なくともミステリを名乗るのならば、そこを明かすのは最低ラインではないかと……。
これだと「何とかして密室を作ったんですよ!!」と同じになってしまう……。
ここは「なぜ、金田一たちが参加させられたか?」や「黒ひげマスクの意味」など、他がなかなか良かっただけに非常に惜しまれます。
しかし、前回の「高度1万メートルの殺人」と比較すれば明らかな改善が見られています。
2012年春に掲載される予定の次エピソードに期待しつつ、感想を終えるとしましょう。
◆「ゲームの館殺人事件」関連過去記事
・「金田一少年の事件簿」より「ゲームの館殺人事件」(講談社発行週刊少年マガジン連載)第1話ネタバレ批評(レビュー)
・「金田一少年の事件簿」より「ゲームの館殺人事件」(講談社発行週刊少年マガジン連載)第2話ネタバレ批評(レビュー)
・「金田一少年の事件簿」より「ゲームの館殺人事件」(講談社発行週刊少年マガジン連載)第3話ネタバレ批評(レビュー)
・「金田一少年の事件簿」より「ゲームの館殺人事件」(講談社発行週刊少年マガジン連載)第4話ネタバレ批評(レビュー)
・「金田一少年の事件簿」より「ゲームの館殺人事件」(講談社発行週刊少年マガジン連載)第5話ネタバレ批評(レビュー)
・「金田一少年の事件簿」より「ゲームの館殺人事件」(講談社発行週刊少年マガジン連載)第6話ネタバレ批評(レビュー)
・「金田一少年の事件簿」より「ゲームの館殺人事件」(講談社発行週刊少年マガジン連載)第7話ネタバレ批評(レビュー)
◆シリーズ関連過去記事
・「金田一少年の事件簿」より「錬金術殺人事件」のまとめはこちら。
「錬金術殺人事件」まとめ(「金田一少年の事件簿」より)
・同じく「高度1万メートルの殺人」のまとめはこちら。
「高度1万メートルの殺人」まとめ(「金田一少年の事件簿」より)
・さとう先生による読み切り「トキメキトキナ消失宣言」のネタバレ批評(レビュー)はこちら。
「別冊少年マガジン」(講談社)より「トキメキトキナ消失宣言」ネタバレ批評(レビュー)
◆金田一少年の事件簿シリーズコミックはこちら。
◆金田一少年の事件簿シリーズ映像作品はこちら。
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