2011年06月06日

「棘の街」(堂場瞬一著、幻冬舎刊)

「棘の街」(堂場瞬一著、幻冬舎刊)ネタバレ書評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<あらすじ>

自身のミスで被害者を殺害された刑事は、自らの誇りを取り戻すため捜査に邁進していくが……。己の存在意義、組織と個人、そして親と子。様々に揺れる心情を丹念に描ききった傑作警察小説!
(幻冬舎公式HPより)


<感想>

ハードボイルドものです。

個人的な感想としてはあんまりでした……展開に魅力がない感じかな。
どこかで見た展開の繰り返しと、どこかで見たキャラクター造詣。
著者の他の作品を読んでいれば、その類似に気付かれる方も多いかと思います。
結局、中盤を読むのが苦痛でいくらか読み飛ばしてしまいました。
さらに、記憶喪失の少年のくだりが無くとも物語が成立しているのはネタバレあらすじをご覧頂ければお分かりの通りです。
このように、シナリオを構成するエピソードの数々が余計なものにしか見えないのも難点かも。

もっとも一番の難点は、堂場先生ならばもっと上手く物語が展開させられる筈であること。
これまた、著者の他の作品を読んでいれば理解して頂けようかと思います。

ちなみに、物語のラストで語られる上條と真人を分けた物についてですが、「街を出たかどうかの差」よりは「年齢やその時代背景」の方が大きいような気がするのでどうにも納得できません。
ここらも不服。

なお、本作は土曜ワイド劇場にて2011年6月18日にドラマ版の放送が予定されています。
主演は仲村トオルさんです。

仲村さんと言えば、映画「行きずりの街」でも主演されていましたね。
今、思いついたのですが、「棘の街」はコレにも似ているんですよね。
まぁ、ハードボイルド展開だからこそかもしれませんが。

「行きずりの街」(志水辰夫著、新潮社刊)ネタバレ書評(レビュー)

管理人は仲村さんの演技は好きなので、ドラマには大注目です。
シナリオ面は、原作通りだとかなり非情なので改変も止むなしかと思われますが、どのようなシナリオになるか期待ですね。

2011年6月18日追記土曜ワイド劇場「棘の街〜白骨死体は初恋の人の愛息!母親失格!帰郷刑事待つ同窓生の暗い秘密」(6月18日放送)ネタバレ批評(レビュー)追加しました。

<ネタバレあらすじ>

過去の上杉光良誘拐事件で身代金引き渡しに失敗した刑事・上條。
以降、犯人からの連絡が途絶えたことで事件は未解決となっていた。

ところが1年後、光良の死体が発見される。
上條は過去の失敗による汚名を返上すべく、自ら望んで事件発生の地である故郷へと戻る。

上條は故郷に苦い思い出があった。
過去の恋人、捨てた息子、反発していた父……。
過去に切り捨ててきたそれらと向き合うことを余儀なくされる上條。

やがて、事件の影に「ホワイトスノウ」と呼ばれる薬が関連していることを掴んだ上條は誘拐事件の真相を突き止める。

光良誘拐事件は狂言だった。
光良は仲間内の争いで、誘拐以前に殺害されていたのである。

光良の所属していたグループのリーダー・真人こそが犯人だった。
そして、そのグループには上條の捨てた息子も加わっていた。
上條は息子を助け、グループと対決することに。

銃で武装した真人を相手にした上條はある秘策を実行に移す。
それは非情の策だった。

息子の罪を償わせるべく警察に通報し息子を引き渡すと、駆け付けた捜査員に真人の相手をさせたのだ。
そうとは知らない真人は捜査員相手に発砲し、逆に射殺されてしまう。
息子は父に裏切られたと知り絶望のまま、連行されていく。

残された上條は息子と刑事の仕事を天秤にかけた結果がコレだったと自嘲すると、真人と自分が似ていたのだと気付く。

真人も上條も本質は同じだった。
この街を出ようとしていた2人、その差は実際に街を出たかどうかだったのである―――エンド。

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「棘の街 (幻冬舎文庫)」です!!
棘の街 (幻冬舎文庫)





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