<あらすじ>
女流推理作家・結城梨花子(永作博美)は、恋人の川津雅之(長谷川朝晴)から、「誰かに狙われている」と打ち明けられる。梨花子は『廻りの森』という小説でヒットを飛ばして以来、3年間まったく書けずにいた。そんな梨花子に付き添い、支えているのが編集者の萩尾冬子(星野真里)だ。川津を紹介したのも冬子だった。
その川津が遺体で見つかった。警察は事故なのか、自殺なのか、原因はまだわかっていない、と言う。フリーライターだった川津の仕事が最近減っていたことや、借金を抱えていたことなども聞かされ、川津のことを実はあまりわかっていなかった梨花子。遺体が発見された萬年橋の上に立ちつくす梨花子は、川津は殺された…自分が真相を突き止める、と決意する。
梨花子は川津のマンションで、生前川津が大事にしていた荷物を預かる。川津が亡くなる前日の手帳には、「山森スポーツプラザ」と記されていた。川津は足を痛めていたのにジムに行ったことを不審に思った梨花子は、冬子と一緒に山森社長(石黒賢)を訪ねる。
取材を進めていくうちに、梨花子が出会った人々は次々と殺されていく。いったい誰が? なぜ? すべての謎を解く鍵は1年前、山森が主催したクルーズツアーでの水難事故。「無人島より殺意を込めて」という11文字の手紙。無人島でいったい何が? 梨花子は事件に隠された『悲しい秘密』にたどり着く…。
(金曜プレステージ公式HPより)
では、続きから(一部、重複アリ)……
恋人の川津の死に疑問を抱いた梨花子は、真相を調査し始める。
ところが、その過程で出会った川津の仕事仲間・新里も殺害されてしまう。
いよいよ、川津の死に不信感を抱いた梨花子。
調べていくうちに、1年前のクルーズ事故が関係しているのではと疑うように。
川津や資産家の山森も参加していたそのクルーズ。
事故の内容はクルーザーが沈み、近くの無人島までクルーズ参加者が泳いで避難したとのものだった。
しかし、参加者のうち竹本という男性が溺れて死亡していた。
クルーズの参加者には山森の部下の金井や志津子の名もあった。
金井と志津子は婚約寸前らしいが……。
竹本の兄に事情を聴いたところ、竹本は過去に水泳部に所属しており溺れるとは信じられないと口にする。
さらに、死亡した竹本には彼女が居たこと、遺品のスキットルが紛失していたことを教えられる。
矢先、やはりクルーズに参加していた坂上が殺害される。
しかも、梨花子まで何者かに狙われる。
クルーズに連続殺人の原因があると判断した梨花子は、同じくクルーズに参加していた山森の娘・由美に接触し事故当時の事情を聞く。
由美によれば、事故当時に「彼を助けてください」と叫んでいた女性が居たと言う。
溺死したのは竹本。
名簿の参加者で連絡が取れない古沢靖子が竹本の恋人だと考えた梨花子は、犯人は康子ではないかと推理する。
梨花子は山森から、真相を知りたいならば冬子と共にクルーズに参加しないかと誘われる。
それに応じることに。
クルーズに参加し、無人島に一泊する梨花子。
他の参加者は大森、金井、志津子に冬子ら。
その夜、不意に眠りに襲われた梨花子。
冬子の「あれ、10時ですね?」との声を聞きながら早めに寝ることに。
ところが、その隙に冬子が消えてしまう。
梨花子が山森に訴えたことで夜中の捜索が開始されるが、冬子は見つからない。
翌朝、冬子が死体で発見される―――。
冬子の死にショックを受けた梨花子は過去に思いを馳せる。
梨花子が最近、小説を書かない理由。
それは、作家だった元夫よりも売れてしまった為に元夫との関係がぎくしゃくし離婚してしまった為だった……。
冬子の死が他殺だと考えた梨花子はクルーズ参加者の誰かが冬子を殺害したと主張するが、10時以降には全員にアリバイがあった。
外に出たのは志津子のみだが、その志津子も10時前には戻って来ていたらしい。
冬子の死は自殺として処理されるが……。
由美によれば、冬子の死亡当日、志津子以外にも2回入口の扉が開いたと言う。
最後に扉を出た人物は煙草の匂いをさせていたらしいが……。
自宅に帰り冬子の遺品を整理していた梨花子は竹本の物と思われるスキットルを発見。
その中にあったメモを目にし古沢靖子の正体に気付く。
古沢靖子を呼び出す梨花子。
靖子の正体は志津子だった……。
志津子は家出をしており、実家にバレないように古沢靖子という偽名を用いていたのだ。
事故のときも偽名を使っていた。
川津、新里、坂上を殺害した犯人は冬子だったんですね?―――確認する梨花子に頷く志津子。
そんな冬子を殺害したのは金井と志津子だった。
由美の語った煙草の匂いとは喫煙者の金井のこと。
出入りした人間は志津子、冬子、金井だったのだ。
だが、冬子殺害時には金井にも志津子にもアリバイがある。
これには理由があった。
実は死亡した冬子こそがアリバイ工作を行っていたのである。
冬子は梨花子に黙って部屋の時計を工作し、梨花子に10時だと誤認させていたのだ。
冬子は志津子殺害を目論み、アリバイ工作を行い返り討ちにあったのだ。
そう、竹本の恋人は冬子だったのである。
1年前の事故の真相をスキットルの中のメモに記載していた竹本。
そこには、溺れかけていたのは金井だと記されていた。
竹本は金井を助けに行ったのだ。
溺れていた金井。
志津子は金井を助けるよう参加者に求めるが誰も応じない。
そんな中、竹本は志津子と一晩過ごすことを条件に救助に応じる。
金井は竹本に救助されたが、条件の話を聞き竹本と揉み合ううちに岩に叩きつけてしまう。
怖くなったクルーズ参加者は、竹本を海へと放り込んだのだった。
これで終わったと安心した参加者たちだが、「無人島より殺意をこめて」その11文字の脅迫文が届くようになる。
直後、次々と参加者が殺害されたのだ。
事情も分からず混乱していたところ、梨花子が調査を開始し1年前の事故に目を着けた。
そこで、金井は梨花子を襲う。
警告だったらしい。
一方、竹本と冬子の関係に気付いた山森は、犯人が冬子であると気付き、冬子に取引を持ちかけようとする。
志津子を交渉の窓口としたが、冬子は応じることなく志津子を襲い、結果、冬子は金井に殺害された。
こんなことになるなんて……と嘆く志津子。
実は金井が竹本を岩に叩きつけた際には竹本は気絶しただけだった。
それを海に捨てた為に竹本を死んでしまったのである。
この話を聞いた梨花子は黒幕の存在に気付く。
山森宅を訪ねる梨花子。
梨花子は金井たちに冬子を殺害させるように謀ったことを批難。
さらに、由美を気遣いつつ山森に「竹本さんが生きていたことを知りながら殺しましたね?」とメモを渡し去っていく―――。
川津、冬子の想い出を胸にした梨花子。
事件の真相が秘められたスキットルを捨てると、新たな小説を書くべく行動を起こすのだった―――エンド。
<感想>
東野圭吾先生「11文字の殺人」がドラマ化されました。
・フジテレビにて、東野圭吾先生「11文字の殺人」&「ブルータスの心臓」&「回廊亭殺人事件」の3作がドラマ化!!
原作ネタバレ書評(レビュー)ありますね。
興味のある方はこちらからどうぞ。
・「11文字の殺人」(東野圭吾著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
では、ドラマ版の感想を。
映像化すると「11文字の殺人」はあんまりでしたね……軽過ぎるのかなぁ。
復讐する側、される側ともにちょっと説明不足か。
梨花子が襲われるシーンや、小説を書かなくなった理由をカットしてでも冬子側や金井側に力を入れた方が良かったのでは?
正直、原作を読んでいてもちょっと、きょとんとしました。
特に原作から次のシーンを外したのは失敗かも。
・取引を持ちかけようとした坂上を聞く耳を持たず一撃で殺害する冬子。
・志津子に条件のことを明かされた際の冬子の発言「そんな精力的な彼(竹本)が好きだった」。
これがあるかないかで冬子のパーソナリティへの印象がだいぶ変わって来ると思う。
これがあれば、冬子の行動にも説得力があった筈なんだけど……。
それ無しで、「冬子に取引は通じないから、取引を持ち出したのは冬子殺害を目論む山森の陰謀」は成立しないでしょう。
一応、説明しておくと。
原作だと冬子への取引は2回あって、最初は山森から指示を受けた坂上が持ちかけているんです。
ところが、会った途端に冬子に殺害されてしまい呆然というシーンがあるんです。
で、2回目の志津子&坂上の取引に続いています。
これ以降はほぼドラマ版と一緒なんですが、やっぱりこれあった方が良かったよなぁ。
それと、ラストも改変されていましたね。
ドラマ版は明らかな改悪かなぁ。
あの後味の悪さこそが黒幕が山森である意味なのに。
そこが無ければ山森を黒幕にする意味がなくなるでしょう。
ワケが分からなくなるだけでは?
ラストについて詳しくは原作「11文字の殺人」ネタバレ書評(レビュー)をご確認ください。
なんだか、梨花子が勝手に納得して立ち直っていたように見えました。
ちょっと、残り2作のドラマ化も心配。
次回は「ブルータスの心臓」です。
こちらもネタバレ書評(レビュー)ありますね。
興味のある方はこちらからどうぞ。
・「ブルータスの心臓」(東野圭吾著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
2011年6月18日追記:金曜プレステージ「東野圭吾・3週連続スペシャル第二弾!“ブルータスの心臓” 完全犯罪殺人リレー バトンは死体!大阪〜名古屋〜東京をつなぐトリックと殺意!悪女に翻弄されるエリート研究者の運命は!?」(6月17日放送)ネタバレ批評(レビュー)追加しました。
ちなみに、次々回の「回廊亭殺人事件」もネタバレ書評(レビュー)があります。
・「回廊亭殺人事件」(東野圭吾著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
<キャスト>
結城梨花子:永作博美
萩尾冬子:星野真里
金井三郎:原田龍二
川津雅之:長谷川朝晴
篠原功一:眞島秀和
坂上 豊:浅利陽介
山森由美:日向ななみ
春村志津子:安達祐実
山森卓也:石黒 賢 ほか
(公式HPより、敬称略)
◆東野圭吾先生関連過去記事
【「白夜行」&「幻夜」&「夜明けの街で」映像化ニュース】
・東野圭吾先生「白夜行」映画化に続き、「幻夜」がWOWOWにてドラマ化決定!!
・東野圭吾さん原作「白夜行」日本版映画化決定!!
・東野圭吾先生原作「夜明けの街で」が2011年映画化、キャストは近日公開!?
・遂に加賀恭一郎が映画に!!「麒麟の翼」映画化発表!!
【東野圭吾先生原作ドラマ関連】
・金曜プレステージ 東野圭吾スペシャル 探偵倶楽部「大ヒット原作ドラマ化!名探偵最強コンビ誕生!大物社長突然の失踪に隠されたセレブ一族の醜い骨肉の争い…消える死体…驚愕密室トリックを暴け!」(10月22日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・「流星の絆」(TBS系、2008年)
【東野圭吾先生著作ネタバレ書評(レビュー)】
・「探偵倶楽部」(東野圭吾著、角川書店刊)
・「白夜行」(東野圭吾著、集英社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・「幻夜」(東野圭吾著、集英社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・「殺意取扱説明書(毒笑小説より)」(東野圭吾著、集英社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・「夜明けの街で」(東野圭吾著、角川書店刊)ネタバレ書評(レビュー)
【探偵ガリレオシリーズ】
・容疑者Xの献身(文春文庫版)&映画版
・「真夏の方程式」(東野圭吾著、文芸春秋社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・2夜連続ガリレオSP「ドラマレジェンド ガリレオエピソードΦ」(12月28日放送分)ネタバレ批評(レビュー)
【加賀恭一郎シリーズ】関連過去記事
・シリーズ7作目「赤い指」ネタバレ書評(レビュー)はこちら。
「赤い指」(東野圭吾著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・シリーズ8作目「新参者」ネタバレ書評(レビュー)はこちら。
「新参者」(東野圭吾著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・シリーズ9作目「麒麟の翼」ネタバレ書評(レビュー)はこちら。
「麒麟の翼」(東野圭吾著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・ドラマ版「新参者」ネタバレ批評(レビュー)はこちら。
「新参者」(TBS、2010年)
・ドラマ版「赤い指」ネタバレ批評(レビュー)はこちら。
東野圭吾ミステリー 新春ドラマ特別企画「赤い指 シリーズ人気No.1ドラマ化最愛の人が殺人を犯したら!?加賀が解く涙の連鎖・家族の絆とは “新参者”加賀恭一郎再び!」(1月3日放送)ネタバレ批評(レビュー)
【その他】
・米国版「容疑者Xの献身」発売される!!タイトルは「The Devotion of Suspect X」!!
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