2011年06月12日

麻耶雄嵩先生、第11回本格ミステリ大賞受賞作「隻眼の少女」について語られる。

麻耶雄嵩先生が、朝日新聞さんにて第11回本格ミステリ大賞受賞作「隻眼の少女」について語られました。

第11回本格ミステリ大賞(小説部門、評論・研究部門)発表!!栄冠はどの作品!?

「隻眼の少女」(麻耶雄嵩著、文藝春秋社刊)ネタバレ書評(レビュー)

記事を読んだところ、「隻眼の少女」で見られる独特な探偵像を目指した理由についてがテーマ。

麻耶先生によれば、みかげは「名探偵がいかにして名探偵となったか?」を体現するとともに「安易な素人探偵へのアンチテーゼ」とのこと。
さらに、「名探偵」は「ヒーロー」であり、ヒーロー然としていなければならないが、同時にヒーローとしての宿命も背負わなければならないとも述べられています。

読者として、非常に参考になるコメントですね。
これから「隻眼の少女」にチャレンジしようと思っておられる方はここらに注意して読んでみるのもアリかも。
また、ミステリ全体としては新たなる探偵像へのヒントとも言えそうです。

記事では、笠井潔先生による「謎解きはディナーのあとで」と「隻眼の少女」への比較についても触れられています。
これによれば、「謎解き」がホームズの流れを汲む「天才的探偵」であり、「隻眼」が近年見られる「天才であるがゆえに自己矛盾を内包した探偵」であるとされているようです。

「謎解きはディナーのあとで」(東川篤哉著、小学館刊)ネタバレ書評(レビュー)

うむむ……難しいですね。
正直、管理人としては、「謎解き」と「隻眼」の探偵像を比較することに意味があるとは考えられないのですが……。

天才的探偵像という意味では両者とも同一(確かにみかげは後天的に名探偵としての英才教育を施されていますがその血統はやはり天才の血筋に属します。一方、影山はいかにしてその推理力が育まれたかについては触れられておらず)だし、無理に上記のようなカテゴライズをすれば、近代とそれ以前の探偵小説との比較にしかなりませんからね。
これではムーブメントを比較したに過ぎない、かと。
比較するなら、構造の近い「謎解き」と「貴族探偵」じゃないかなぁ……と思っちゃいました。

「貴族探偵」(集英社刊)ネタバレ書評(レビュー)

もっとも、管理人はエッセンスをまとめたこの記事を読みはしたものの、原文自体を読んだわけではないので、正確なところは分かっていないのかも(違ってたらゴメン……)。

とはいえ、比較が存在することそれ自体が、「隻眼の少女」が多様な解釈を許す懐の広い作品だということだと言える筈。
第11回本格ミステリ大賞受賞は伊達じゃない!!
そう、思わされる記事でした。

◆関連外部リンク(外部サイトにつながります)
・少女探偵に託すプロ意識 麻耶雄嵩「隻眼の少女」(asahi.comさん)
http://www.asahi.com/culture/news_culture/TKY201106090224.html

◆麻耶雄嵩先生関連過去記事
[メルカトルと美袋シリーズ]
「メルカトルかく語りき」(麻耶雄嵩著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)

「メフィスト 2010 VOL.1」より「メルカトルかく語りき 第二篇 九州旅行」(講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)

「メフィスト 2010 VOL.3」より「メルカトルかく語りき 最終篇 収束」(麻耶雄嵩著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)

【その他】
話題の新作「TRICK×LOGIC(トリックロジック)」収録シナリオが明らかに!!

オール讀物増刊「オールスイリ」(文藝春秋社刊)を読んで(米澤穂信「軽い雨」&麻耶雄嵩「少年探偵団と神様」ネタバレ書評)

「隻眼の少女」です!!
隻眼の少女



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posted by 俺 at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 作家さん情報!! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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