<あらすじ>
桐生枝梨子(常盤貴子)は、一代で莫大な財を成した一ケ原高顕(北村総一朗)の秘書だった。幼い頃のやけどが原因で、醜いやけどの傷跡がある枝梨子であったが、高顕は全く意に介さず全幅の信頼をおいていた。
高齢のため、体調の悪かった高顕が亡くなった。四十九日の法要が、高級旅館「回廊亭」で行われ、彼の遺言状が公開されることに。「回廊亭」には、高顕の弟の蒼介(伊武雅刀)、義母弟の直之(田中哲司)、義母妹の曜子(とよた真帆)、義妹の紀代美(片平なぎさ)ら、高顕の一族が集まっていた。そこに、ひときわ目を引く美しい女性・本間美代子が現れる。
美代子は、生前の高顕が信頼を寄せていた本間菊代(井口恭子)の娘だった。皆、口には出さないものの、内心は翌朝に公開される高顕の遺言状が気になって仕方がない一族を前に、「誰が遺産相続するのか、ドキドキする」などと、彼らを挑発するような発言をする。あぜんとする一族の面々。なんと、彼らの前にいる美代子は、整形手術を施し、彼女そっくりの姿になった枝梨子であった。
枝梨子は、過去に「回廊亭」で恋人の里中(田中圭)に無理心中を図られ、そのショックから飛び降り自殺をしたとされていた。しかし真相は、里中は何者かによって殺され、枝梨子は彼を殺した何者かを探し復讐するため、偽装自殺を図り生き延びたのだ。そして、遺言状公開前夜に枝梨子も想定していなかった第一の殺人が起こる。
(金曜プレステージ公式HPより)
では、続きから(一部、重複アリ)……
高顕の遺言が公開される「回廊亭」に集まった一同。
高顕の弟の蒼介、蒼介の息子・武彦、高顕の義母弟の直之、高顕の義母妹の曜子、高顕の義妹の紀代美、紀代美の娘・由香、高顕の恩人である菊代の娘・美代子、「回廊亭」の女将で高顕の愛人・真穂、香苗、一ケ原家の顧問弁護士・古木が揃っていた。
ちなみに古木弁護士の助手・弘美は遅れて来るらしい。
実は美代子は、1年前の「回廊亭」で心中に巻き込まれ失意のうちに自殺したとされる枝梨子その人だった。
心中事件時に恋人・二郎を失った枝梨子は自殺を装い、菊代の力を借り生存していた。
菊代が病死したことを利用し、菊代の娘・美代子を名乗り「回廊亭」に現れたのだ。
目的は二郎を殺害した人物への復讐だった……二郎の死は心中ではなく殺人だったのだ。
翌日には遺言が公開されるその席で、美代子は枝梨子の遺書があると発言。
もちろんそんな物は存在しない、枝梨子本人は生きているのだから。
すべては真犯人を誘き出す罠だった。
その夜、この罠にかかった由香が美代子の部屋へ侵入、遺書を盗み去る。
仇を由香だと考えた美代子は由香を殺害すべく行動を起こすが……。
当の由香は既に殺害されていた!!
由香の死体の傍には「N」のような血文字が残されており、混乱した美代子はその場を逃げ出す。
翌朝、由香の死が知れ渡り警察が「回廊亭」に到着、大騒ぎになる。
その頃、美代子=枝梨子は過去を思い起こしていた。
美代子と二郎は高顕が縁で出会っていた。
枝梨子は高顕の信頼する秘書。
二郎は一ケ原高顕の隠し子だったのである。
高顕は自身が長くないことを悟ると名も知らぬ息子に遺産を相続させようとしていた。
その矢先にあの心中事件が起こった……。
一方、由香殺害で警察は足跡と由香の部屋に残されていた毛髪から犯人を絞り込もうと狙っていた。
正体が露見するのはそう長くないと焦り始める美代子。
案の定、警察は美代子を疑い始める。
美代子は由香の恋人こそが狙うべき仇であると思い定める。
由香と直之がお揃いの宝飾品を所持していたことから、直之こそが犯人だと確信する美代子。
直之の恋人である由香が直之を庇う為に遺書を盗んだと推理したのだ。
直後に、武彦の指紋が由香の部屋の窓から検出される。
警察は武彦を取り調べるがそこで意外な事実が発覚する。
武彦は由香と直之の関係を疑っており、由香の部屋を覗いただけで何もしていないと証言。
さらに、直之の部屋の扉に出入りを確認できるよう仕掛けしており直之が部屋から一歩も出ていないことも証明してしまう。
直之自身も、由香に好意を持たれていたことは知っているが交際していないことを認める。
直之が犯人ではない―――この事実に困惑する美代子。
由香の部屋で見つかった毛髪が特定される。
女将の真穂と香苗、それに該当者なしの物が一本あったらしい。
美代子は自分の物ではないかと戦慄する。
さらに本物の美代子が知っている筈の表千家と裏千家の違いを知らないことで追い込まれて行く。
残された時間は少ない―――これまでの情報を振り返る美代子。
直之は犯人では無かった。
だが、由香は美代子の罠に引っ掛かった。
つまり、由香はドアの開閉音を聞き、好意を抱く直之が心中事件の犯人だと思い込んでいたのだ。
だが、直之は犯人ではあり得ない―――。
ここで、あることに気付く美代子。
そう―――心中事件時、犯人は屋内ではなく屋外を移動しており池を飛び越え逃走したのだ、と。
これに基づき犯人と思われるある人物を女湯に呼び出す美代子。
現れたのは真穂だった……。
真穂は由香が誤解から遺書を盗んだ姿を見て、遺書を奪う為に襲撃し殺害したのだ。
由香のダイイング・メッセージ「N」は「真穂の頭文字であるMを書きかけたもの」だったのだ。
その正体が枝梨子だと知り、呆然とする真穂をアイスピックで一突きする美代子。
真穂は絶命する寸前に「わたしだけじゃない……」と言い残す。
そんな真穂に、美代子は「真の犯人」にも復讐してあげると微笑みかける。
翌朝、古木の助手・弘美が「回廊亭」に到着。
一方、警察は表千家のミスと毛髪から美代子を犯人と断定、追い詰めようとするが……直後、厨房で爆発が起こる。
事前に美代子が仕掛けたものだった。
騒ぎに乗じ、1人別室に居た弘美を呼ぶ美代子。
その弘美こそ枝梨子の愛した二郎だった。
心中事件時、死んでいた二郎は枝梨子の知る二郎とは別人だった。
そこで死んでいた二郎は高顕の本物の息子。
弘美は二郎になりすまし枝梨子に接近。
心中事件に見せかけ枝梨子と二郎を排除すると、真穂と組み自分こそが高顕の息子だと偽って認知させていた。
本名の鯵沢弘美として高顕に相続を認めさせたのだ。
その後、古木の助手として生活し晴れて遺産を相続する日を待っていたのだった。
厨房の爆発により「回廊亭」全体に火が回り始めていた。
美代子の正体が枝梨子と知り、再び愛を囁こうとする弘美。
そんな弘美に「二郎を殺した」と殺意を向ける枝梨子。
枝梨子は「自身の愛した二郎」を殺した憎い仇・弘美に復讐すべく灯油を浴びせる。
それは炎を呼び込み、弘美を焼く。
堪らず床へと倒れ伏す弘美。
憎き弘美の姿はもうそこには無かった、そこに居るのは枝梨子の愛した二郎のみ。
今度こそ愛する二郎と共にあろうとする枝梨子。
燃え盛る炎の中、そっと弘美の身体に身を重ねるのだった、まるであの日の続きのように―――エンド。
<感想>
「金曜プレステージ 東野圭吾・3週連続スペシャル」の第三弾。
第一弾である「11文字の殺人」、第二弾である「ブルータスの心臓」に続き、東野圭吾先生「回廊亭殺人事件」がドラマ化されました。
・フジテレビにて、東野圭吾先生「11文字の殺人」&「ブルータスの心臓」&「回廊亭殺人事件」の3作がドラマ化!!
「回廊亭殺人事件」は原作ネタバレ書評(レビュー)がありますね。
興味のある方はこちらからどうぞ。
・「回廊亭殺人事件」(東野圭吾著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
ちなみに、第一弾の原作ネタバレ書評(レビュー)及び、ドラマ版はこちら。
・「11文字の殺人」(東野圭吾著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・金曜プレステージ「東野圭吾3週連続スペシャル 11文字の殺人 あの日恋人はなぜ殺されたのか?無人島より殺意を込めて…11文字に込められた悲しき殺意!クルーズツアーで何が起きたのか?」(6月10日放送)ネタバレ批評(レビュー)
第二弾の原作ネタバレ書評(レビュー)及び、ドラマ版はこちら。
・「ブルータスの心臓」(東野圭吾著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・金曜プレステージ「東野圭吾・3週連続スペシャル第二弾!“ブルータスの心臓” 完全犯罪殺人リレー バトンは死体!大阪〜名古屋〜東京をつなぐトリックと殺意!悪女に翻弄されるエリート研究者の運命は!?」(6月17日放送)ネタバレ批評(レビュー)
では、「回廊亭殺人事件」ドラマ版の感想を。
原作と比べて幾つか変更が加えられていますね。
なんといっても一番は、枝梨子が老婆・菊代じゃない!!
これは大きかった。
他にも梨枝子の火傷の設定が変更されてたり、細かな点で結構ありましたね。
ただ、今回の変更は全体的に成功だったと思います。
変更していないとドラマ化はかなり難しかった筈です。
弘美の終盤までの不登場も苦肉の策っぽいですが、良かった。
さらに、本物の二郎の設定とか弘美のバックボーンを端折ったのは正解だったと思います。
ただでさえ情報量が多いのがさらに多くなっちゃうので。
ちなみに原作だと、弘美は実の祖父は殺すわ、ラストで枝梨子をナイフで刺すわ、かなりの悪です。
ドラマでもラスト部分は弘美が枝梨子をナイフで刺すのはアリだったような気もしますね。
その方が映えたか?
「回廊亭殺人事件」の主題は枝梨子の一途な愛の物語だと管理人は理解しているので、ドラマ版はその点で合格点です。
原作の特徴を見事に描ききったと思うし、3週連続のラストを締めるには充分な出来でした。
それにしても、東野先生の過去作までドラマ化したとなると、他の過去作のドラマ化も気になる。
次は「犯人のいない殺人の夜」の収録作品をドラマ化して欲しいなぁ……もちろん、表題作は無理だろうけど。
他は結構ドラマ化し易いと思うんだ。
特に「犯人のいない殺人の夜」に収録された「踊り子」は秀逸、あれは是非ドラマ化して欲しい。
あぁ、「さよならコーチ」も映像向けだからアリだな、むしろ映像化すべき。
<キャスト>
常盤貴子
内藤剛志
田中 圭
田中哲司
趙 民和
徳永えり
入来茉里
国生さゆり
とよた真帆
松尾 諭
北村総一朗
伊武雅刀
平泉 成
片平なぎさ ほか
(公式HPより、敬称略)
◆東野圭吾先生関連過去記事
【「白夜行」&「幻夜」&「夜明けの街で」映像化ニュース】
・東野圭吾先生「白夜行」映画化に続き、「幻夜」がWOWOWにてドラマ化決定!!
・東野圭吾さん原作「白夜行」日本版映画化決定!!
・東野圭吾先生原作「夜明けの街で」が2011年映画化、キャストは近日公開!?
・遂に加賀恭一郎が映画に!!「麒麟の翼」映画化発表!!
【東野圭吾先生原作ドラマ関連】
・金曜プレステージ 東野圭吾スペシャル 探偵倶楽部「大ヒット原作ドラマ化!名探偵最強コンビ誕生!大物社長突然の失踪に隠されたセレブ一族の醜い骨肉の争い…消える死体…驚愕密室トリックを暴け!」(10月22日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・「流星の絆」(TBS系、2008年)
【東野圭吾先生著作ネタバレ書評(レビュー)】
・「探偵倶楽部」(東野圭吾著、角川書店刊)
・「白夜行」(東野圭吾著、集英社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・「幻夜」(東野圭吾著、集英社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・「殺意取扱説明書(毒笑小説より)」(東野圭吾著、集英社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・「夜明けの街で」(東野圭吾著、角川書店刊)ネタバレ書評(レビュー)
【探偵ガリレオシリーズ】
・容疑者Xの献身(文春文庫版)&映画版
・「真夏の方程式」(東野圭吾著、文芸春秋社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・2夜連続ガリレオSP「ドラマレジェンド ガリレオエピソードΦ」(12月28日放送分)ネタバレ批評(レビュー)
【加賀恭一郎シリーズ】関連過去記事
・シリーズ7作目「赤い指」ネタバレ書評(レビュー)はこちら。
「赤い指」(東野圭吾著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・シリーズ8作目「新参者」ネタバレ書評(レビュー)はこちら。
「新参者」(東野圭吾著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・シリーズ9作目「麒麟の翼」ネタバレ書評(レビュー)はこちら。
「麒麟の翼」(東野圭吾著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・ドラマ版「新参者」ネタバレ批評(レビュー)はこちら。
「新参者」(TBS、2010年)
・ドラマ版「赤い指」ネタバレ批評(レビュー)はこちら。
東野圭吾ミステリー 新春ドラマ特別企画「赤い指 シリーズ人気No.1ドラマ化最愛の人が殺人を犯したら!?加賀が解く涙の連鎖・家族の絆とは “新参者”加賀恭一郎再び!」(1月3日放送)ネタバレ批評(レビュー)
【その他】
・米国版「容疑者Xの献身」発売される!!タイトルは「The Devotion of Suspect X」!!
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