<あらすじ>
小学校で急病人が発生したという通報が入り、横浜みなと消防署の救急救命士・牧田さおり(浅野温子)たちは現場に急行する。倒れていたのは11歳の道端美咲(近藤里沙)で、担任教師によると、美咲には持病があるという。彼女が所持する薬を確認したさおりはすぐに腎臓病を患っていることを見抜き、病院まで搬送した。幸いすぐに意識を取り戻したが、まだ小さな美咲が重度の病を抱えていることを知り、さおりは胸を痛める…。
数日後、歩道橋からバレリーナの片岡梓(純名里沙)が転落。救急出場の指令を受けたさおりたちは、足を痛めた梓を病院に運ぶ。梓は、やり手の代表・磯貝明子(夏樹陽子)率いるバレエ団の花形ダンサーで、「何者かに突き落とされた」と主張する。
梓を病院に送り届けた直後、さおりは偶然、まだ入院中だった美咲と再会する。笑顔で話しかけるさおりに対し、美咲は「どうせ死ぬんだから、助けることなんかなかったのに」と反発する。
美咲の態度がどうしても気になったさおりは、夜勤明けに彼女の見舞へ。だが、やさしく励ましても、美咲は自暴自棄なことばかり口にし、病院内で有名なバレリーナである梓を見かけても「バレエなんて大嫌い」と吐き捨てるように言うだけ…。
美咲の母・今日子(中原果南)によると、美咲の病気を根治させるには移植手術しかないのだが、夫はすでに他界しており、検査の結果、自分はドナーに適していないことが判明、肉親間の生体腎移植ができないのだという。そこで現在は、亡き夫の友人だった橋本由紀夫(志村東吾)の助けで、“救う会”を設立。海外での移植手術を目指して寄付金を募っているところだということだった。
一方、梓が歩道橋から突き落とされた事件について、佐久間刑事(羽場裕一)たちが捜査を開始、現場から女が逃走したという目撃証言が浮上していた。“横浜市危機管理室”から対外交渉広報管理官として神奈川県警に異動になった伊東肇(中村俊介)は、現場の状況から見て、犯人の目的は殺害ではなく、梓にケガを負わせることだったのではないかと推理する。折りしもバレエ団では横浜公演を控えており、梓の代役を務める後輩バレリーナ・三ツ矢加奈子(華城季帆)に疑いの目が向けられる。
しかし、梓が最近、不審者に付きまとわれていたことも発覚。マンションの防犯カメラを調べたところ、梓の周囲に出没していたのは、フリーライターの佐々木文明(金山一彦)だとわかる。佐々木は取材で得たスキャンダルをネタに恐喝を繰り返す、いわくつきの記者だった。佐々木はいったい梓の何を探っていたのか…!?
そんな中、バレエ団のリハーサル室で加奈子が刺殺される事件が起きた…!
加奈子のバッグの中から、梓と美咲を隠し撮りした画像が収められたメモリーカードが見つかった。
加奈子と美咲には何の関係もないはずなのに、いったいなぜ美咲の写真が…!?
やがて、美咲の容態が悪化する事態も発生。さおりは事件の真相を突き止め、美咲を救うことができるのか…!?
(あらすじ・写真共に公式HPより)
では、続きから(一部、重複アリ)……。
メモリーカードから美咲と梓を調べていた人物が浮上。
佐々木というその人物は加奈子に頼まれ、調査していたと証言。
梓と美咲の間になにかあるのか?
一方、加奈子殺害時に今日子の車が付近で目撃されたことから今日子が取り調べられることに。
矢先、美咲の容態が悪化。
娘の元へ駆け付けたい今日子は梓に車を貸したと明かす。
こうして梓は取り調べられることに。
梓は加奈子殺害については否定。
確かに加奈子に会い、あることで脅迫されたが毅然と拒否したと断言する。
そのあることとは……実は梓と今日子は昔のバレリーナ仲間だった。
そう、美咲は梓の娘だったのである。
バレリーナとしての成功を願う梓に代わり今日子が美咲を引き取り育てて来たのだ。
実の親娘ならば腎移植が可能かもしれない。
梓と美咲の関係を知ったさおりは梓に美咲を救うよう頼み込むが、梓は次の公演を控え否定する。
その頃、橋本は金融業者に追われていた。
橋本は多額の借金を抱えていたのだ。
追い込まれた橋本は、返済の為に美咲の寄付金に手を伸ばすが……。
同時刻、美咲の病室に何者かが忍び込む。
侵入者は美咲の人工呼吸器を破壊。
美咲は容態が急変しICUへ運び込まれる。
美咲襲撃犯の足跡痕を採取した伊東は特定を急ぐ。
同じ頃、今日子はさおりに梓を歩道橋から突き落としたのは自分だと告白する。
美咲を助けたかった今日子は梓に腎移植して貰いたかった。
そこで、バレエを諦めさせ移植に協力して貰う為に襲ったのだ。
娘を想った行動とは言え、自身の行いを悔いた今日子は出頭することに。
さおりは美咲を救うべく、美咲の夢がジゼルを踊ることであることを梓に伝え再度の協力を求める。
さおりの言葉を聞いた梓は大きく心を揺らがせる。
その頃、伊東は足跡痕がサイズ24のパンプスのものであると突き止めていた。
しかも、美咲襲撃のみならず、加奈子殺害時にも同様のものが発見されたことを知る。
つまり、美咲襲撃と加奈子殺害犯は同一人物なのだ。
伊東は取調室に出入りした人間の中に犯人が居ると推理。
取調室の足跡痕を調べた結果、バレエ団の代表・磯貝明子のものであると突き止めることに成功する。
矢先、事故が発生。
磯貝明子が運転する車が埠頭の倉庫に突っ込んだのだ。
その助手席には梓が乗っていた……。
現場へ駆け付けたさおりは梓から美咲を救う為に自分を助けて欲しいを依頼される。
その意志を汲んださおりは、決死の救助活動を展開。
無事、梓と明子を救い出すことに成功する。
助かった明子は伊東により逮捕される。
明子は梓の才能を高く買っており、梓に夢を託していた。
しかし、加奈子は梓を追い落とそうとしていた。
そこで、明子は加奈子を殺害することに。
これで夢を守れたと安心していた明子だが、梓は美咲に母親としての情を抱きつつあり腎移植を行う恐れがあった。
そこで、美咲を襲ったのだ。
今回の事故の原因は、梓から美咲への腎移植を持ち出され絶望のあまり無理心中を図ろうとして失敗した為に起こった事故だった。
さおりは「子供の命を奪ってまで行った公演では誰も感動しない」と明子の行動を否定する。
こうして事件は解決した。
梓襲撃に対する今日子の罪は被害者である梓自身の取りなしもあって不問となった。
そして、腎移植当日。
梓と今日子は手を取り合い、美咲を助けることを誓い合う。
さらに、梓はさおりに対し、移植後に再びバレエに復帰することを宣言するのだった。
一方、美咲の寄付金に手をつけかけた橋本。
しかし、ギリギリで踏み留まった彼はコンペに成功し経営を盛り返していた。
そんな橋本に今日子と自身のことを頼む美咲。
今日子と橋本は美咲に認められたことを喜ぶのだった―――エンド。
<感想>
「救急救命士・牧田さおり」シリーズ8作目。
前作は2010年5月1日の放送だったので、実に1年4カ月ぶりの新作となりました。
前作(7作目)のネタバレ批評(レビュー)はこちら。
・土曜ワイド劇場「救急救命士・牧田さおり 時効直前!爆破テロが暴いた指名手配の女の正体!殺人犯の指紋が嘘をついたワケ…」(5月1日放送)ネタバレ批評(レビュー)
では、ドラマの感想から。
なにか違和感がありました。
これまでのシリーズと違って軽過ぎるような……。
特にさおりのキャラクターがかなり変わっていたような気がします。
それと、今回の事件自体がさおりが関わる必要が薄かったのもネック。
どちらかといえば、事件解決だけならば伊東たちだけで十分な案件に思えました。
構図自体も梓への傷害についてはバレエ団内部の犯行にミスリードしようとしていたことから(美咲の腎移植の件もあって)早期に今日子の犯行であると見当がつきますし、そこから今度は加奈子殺害の犯人がバレエ団の関係者であることも予測できるでしょう。
したがって、意外な犯人という印象はありませんでした。
おそらく、美咲襲撃犯を寄付金を欲した橋本の犯行に見せかけるミスリードも途中にありましたが、それもあまり効果的とは言えなかったかも。
し・か・し、本作の本分は其処には無くむしろ人情話にあったように思えました。
その観点で見ると、梓が移植を引き受けたことやラストの橋本のくだりはかなり良かった。
ミステリとしては些か弱いですが、人情モノとしては充分に及第点。
なかなか満足できるドラマだった気がします。
<キャスト>
牧田さおり:浅野温子
伊東 肇:中村俊介
佐久間刑事:羽場裕一
長谷川洋司:石丸謙二郎
片岡 梓:純名里沙
磯貝明子:夏樹陽子
道端今日子:中原果南
橋本由紀夫:志村東吾
小松 瞳:森 カンナ
佐々木文明:金山一彦 ほか
(公式HPより、敬称略)
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