<あらすじ>
図書館に勤めている主人公・里見昌枝(稲森いずみ)は、愛して結婚したはずのフリーライターの夫・里見慎冶(津田寛治)のことが、結婚7年目にして理由もなく突然嫌いになる。毎日つけていた日記にも容赦なく口出ししてくる夫。自分の気持ちを持てあました昌枝は、自らの貯金を下ろして慎治に内緒で小さなアパートを借り、誰にも読まれることのない本当の日記をつづっていた。そして夫への嫌悪感を抑えきれず、図書館から借りてきた数々の推理小説などを参考に殺害計画を企てては、日記に書き続けた。本気で夫を殺すつもりはなかった昌枝だが、アパートを借りていることを知られてしまい、ついに犯行を計画通りに遂行するときがきたとマンションへ向かうと、慎治は何者かに殺されていた。
さらに慎治の死後、昌枝に慎治の生命保険金1億円が舞い込むことが生命保険会社社員の中西光彦(石黒賢)によって知らされる。2人が急速に距離を縮めていく中、中西の元妻である田村美代子(鈴木砂羽)も慎治の死を知り、昌枝へ接触を図る。慎治の殺害事件を担当することになった刑事の遠山勝也(松方弘樹)と水島敦(丸山敦史)は日々捜査を続けるうちに、遠山は昌枝が何かうそをついていることに気づく。突然の大金と新しい恋人、そして願ってやまなかった自由を昌枝は手に入れることになるのだが…。
(金曜プレステージ公式HPより)
では、続きから……(一部、重複あり)
昌枝は夫・慎冶の殺害計画を1人練っていた。
凶器はアイスピック、移動手段はスクーター。
具体的な手段を思い浮かべ、想像の中で何度も夫を殺す昌枝。
だが、ギリギリで踏み留まっていた。
ある日、アパートの存在を夫に知られた昌枝。
追い詰められた末に殺害計画を実行に移すことに。
その晩のうちに、夫のマンションを訪ねると夫は既に殺害されていた。
狼狽した昌枝は夫の死体に突き刺さったアイスピックを引き抜くとその場を逃げ出す。
ところが、移動手段に選んだスクーターがない!!
昌枝は慌てふためいたものの、仕方なく走って逃げ出す。
翌朝、警察により夫の死を知らされた昌枝。
一体、誰が自身の計画を奪ったのか……内心の動揺を押し隠し気丈にふるまうのだった。
そんな昌枝に中西と名乗る男が接近。
中西は生命保険会社社員。
なんでも、慎冶は生前に1億もの保険に加入しており、その受取人が昌枝になっていたらしい。
青天の霹靂に驚く昌枝。
そんな昌枝をさらに驚かせる出来事が。
慎冶には美代子という愛人がいたのだ。
しかも、美代子は中西の元妻だった。
さらに、昌枝の消えたスクーターが盗難にあっていたことが判明。
夫のマンションから少しの距離から発見されてしまう。
捜査本部は昌枝に容疑の眼を向ける。
ただ1人、遠山は昌枝以外に犯人がいる……と考えるが。
昌枝は1億を受け取る手続きを取る為に中西と会い続ける。
少しずつ縮まっていく中西と昌枝の距離。
いつしか、昌枝は中西に恋心を抱いていた。
一方、遠山は慎冶の所持品から「クラブ・コスタリカ」のライターを発見。
10年前、奥多摩の山中で村野という女子大生が死体で発見された事件を思い出していた。
その犯人とみられる人物を目撃したのが慎冶だったのだ。
だが、慎冶は犯人についての情報を小出しにし決定的な証言もしなかった。
もしや、今回の殺人はそこに起因しているのでは……そう考えた遠山は10年前の事件を追う。
その頃、昌枝は何者かに尾行されていた。
慌てて部屋へと逃げ込む昌枝。
そこへ現れたのは中西だった。
中西によれば逃げ出す男の後ろ姿を見たと言う。
この1件で昌枝は中西をさらに信頼するように。
もはや、昌枝の中で中西への想いを止めるものは無かった……。
ついに2人は交際し始める。
初めての夜を迎えたその日、昌枝は夫の本の中からマイクロSDを発見する。
中西と共に確認したところ、中に入っていたデータには殺された女子大生と写る男の姿があった。
昌枝は遠山にマイクロSDを提出するが……何故か中身は消えていた。
データが消えていたことを疑問に思う遠山はマイクロSDの復元を指示。
復元に成功する。
そのデータに残った男の姿に「どこかで見たような……」と既視感を覚えるのだった。
しかも、遠山は慎冶がある人物と接触していたことを突き止める。
その人物はあのマイクロSDに写る人物だった……。
ついに保険金が下りることが決定。
昌枝は中西と共に祝うが……酔っぱらった中西は1億の使い道を勝手に決め出す。
中西には政治家の兄が居るらしく、中西はその兄に対抗して出馬する野望があった。
困惑する昌枝に、豹変した中西は「お前が夫を殺したんだろ」と迫る。
否定する昌枝だが、中西は聞く耳を持たない。
ついには、中西から暴力と脅迫で支配されるようになる。
追い込まれた昌枝は中西殺害を決意。
夫のときと同様に殺害計画を日記につけ始める。
そして……ある晩、実行に移してしまうのだった。
昌枝は中西の死体と殺人計画を綴った日記を人知れず山中に埋める……。
作業を終え帰宅した昌枝を待っていたのは遠山だった。
慎冶殺害犯が捕まったらしい。
犯人は代議士の早坂だった。
早坂は中西の腹違いの兄だったのである。
早坂は慎冶から10年前の女子大生殺害で脅迫されていた。
そこで慎冶を殺害したのだった。
10年前、早坂は愛人である女子大生と別れたがっていた。
そこで、弟である中西に相談したところ、中西が女子大生を殺害したらしい。
10年後、今度は慎冶の処分に困った早坂はまたも中西に相談。
中西は早坂に完全犯罪が出来ると計画を授けた。
早坂はそれを実行に移した。
中西は昌枝の犯行計画を知り、それに便乗し早坂を使い慎冶を殺害したのだ。
早坂の口から中西の名前が挙がったことにより、遠山は中西を追う。
しかし、当の中西は昌枝に殺害されている。
当然、中西が見つかる筈がない。
遠山は昌枝に中西の行方を教えるように迫る。
だが、昌枝がそれを教えられる筈もない。
そんな昌枝に遠山は、このままでは慎冶の殺害すらも中西と組んだ昌枝の計画犯罪になってしまうと告げる。
逃げ場を失った昌枝。
進退窮まった彼女は自身が夫の殺害計画を日記にしたためていたことのみ認める。
ところが、今度はその日記が無い限り昌枝の無実は証明できないと断られてしまう。
日記は中西と共に埋めてしまった……どう足掻いても逃げられないことを悟った昌枝。
ついに中西殺害を打ち明けるのだった―――エンド。
<感想>
原作は森村誠一先生の「破婚の条件」(幻冬舎刊)。
<あらすじ>
結婚七年目、突然夫の慎治が嫌いになった里見昌枝は、嫌悪を抑えきれず殺害計画を企てる。だが犯行計画当日、すでに慎治は何者かに殺されていた。慎治の生命保険金一億円が舞い込むことも分かった。自由と大金、新しい恋人。幸せの絶頂かに見えたが…。
結婚七年目にして突然夫に殺意を抱いた妻。だが殺人計画決行当日、夫は別の何者かに殺害された。夫の死後、現れた男、そして次々と発覚する謎。欲望に取り憑かれた男女の秘密とは? 棟居刑事シリーズ最高傑作。
(幻冬舎公式HPより)
原作は棟居刑事シリーズだったんですね。
となると、ドラマ版はかなり改変されているのかな?
昔懐かしい作りの2時間ドラマでしたね。
往年の火曜サスペンス劇場的展開でした。
犯行に中西が関与していること、ラストで昌枝が遠山に逮捕されるであろうことは早々に予期出来ていましたが、そこへ至るまでの過程が上手く描かれていたと思います。
ひとつ難点があるとすれば早坂の存在が中西の口から出て来る10時25分まで伏せられていたこと。
もっと早めに伏線として出しておいても良かったかもしれません。
それと気になったのですが、昌枝に容疑がかかったとしてもあれだけで逮捕される筈は無いので、それはそれとしてグレーのままでいれば、中西殺害を自白する必要は無かったのでは……と思っちゃいました。
何も、黒であることを率先して認める必要はなかったのでは……そこらがラストありきのご都合主義的な印象を受けて弱いかも。
とはいえ、なかなか楽しめたと思います。
さて、来週(9月2日)は『夏樹静子サスペンス・検事霞夕子〜無関係な死〜』が放送です。
原作は『死なれては困る』(徳間書店刊)収録の中編『路上の奇禍』。
これにはネタバレ書評(レビュー)ありますね、興味のある方は過去記事をどうぞ!!
・『死なれては困る』(夏樹静子著、徳間書店刊)ネタバレ書評(レビュー)
・金曜プレステージにて「3週連続 罪と女とミステリー」放送決定!!
そうそう、森村誠一先生のドラマ化といえば「正義の証明」がドラマ化されるそうです。
こちらは牛尾&棟居の豪華共演作。
・森村誠一先生「正義の証明」(幻冬舎刊)ドラマ化!!
このドラマにも期待です。
◆森村誠一先生関連過去記事
【終着駅シリーズ】
・土曜ワイド劇場「終着駅の牛尾刑事vs事件記者冴子・森村誠一の完全犯罪の使者!!富山八尾〜風の盆に始まる殺意の連鎖!!赤いルージュの伝言」(12月18日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・土曜ワイド劇場「森村誠一の終着駅〜新宿着あずさ22号の殺人同乗者・消えた姉と三千万の行方…顔のない脅迫者を追う!!」(7月31日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・土曜ワイド劇場「森村誠一の灯〜終着駅の牛尾刑事vs事件記者冴子!!バス事故から生還した3人新宿〜妙高高原に運命の連続殺人!?」(12月12日放送分)ネタバレ批評(レビュー)
【棟居刑事シリーズ】
・土曜ワイド劇場「森村誠一の棟居刑事 目撃美女は二度死ぬ猫が運ぶ犯人!?悪い男vs手玉に取る女…愛と欲の背徳の詩集」(7月30日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・土曜ワイド劇場「森村誠一の棟居刑事 愛犬が暴く不倫四重奏!」(11月21日放送分)ネタバレ批評(レビュー)
【アタミステリー紀行関連】
・「アタミステリー紀行2010」結果が発表される
・「熱海の靴屋」(森村誠一著、アタミステリー紀行2010より)3つのミスにチャレンジ!!
・近付く「アタミステリー紀行2010」の足音……
・アタミステリーへの誘い……
(アタミステリー紀行2009について触れた過去記事です)
【その他】
・森村誠一先生「義仲・巴ネットワークフォーラム・イン・富山」にて講演
・クリスマス(12月24日)の森村誠一さん!!
(「森村誠一 謎の奥の細道をたどる」についての過去記事です)
<キャスト>
里見昌枝:稲森いずみ
中西光彦:石黒 賢
田村美代子:鈴木砂羽
里見慎治:津田寛治
水島 敦:丸山敦史
佐々木 恵:西尾まり
山下刑事:西ノ園達大
早坂有一:野村宏伸
大宮課長:ベンガル
遠山勝也:松方弘樹 ほか
(順不同、敬称略、公式HPより)
◆森村誠一先生の作品はこちら。
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