2011年09月02日

「国会議員・漆原翔太郎」(天祢涼著、講談社メフィスト2011 vol.2掲載)

「国会議員・漆原翔太郎」(天祢涼著、講談社メフィスト2011 vol.2掲載)ネタバレ書評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<あらすじ>

●新連載!! 今野敏 「宇宙海兵隊ギガース6」

●我孫子武丸 「狼と兎のゲーム」

<特集>
新世代メフィスト賞作家競作「名探偵」
望月守宮/赤星香一郎/白河三兎/天祢涼/丸山天寿

<短期集中連載>
今野敏/あさのあつこ

<読切小説>
赤城毅/木原浩勝/福田栄一/麻見和史/深水黎一郎/西尾維新/望月守宮/赤星香一郎/白河三兎/天祢涼/丸山天寿

<連載小説>
我孫子武丸/二階堂黎人/綾辻行人/有栖川有栖/円堂都司昭/喜国雅彦/石黒正数

<巻末>
座談会
(アマゾンドットコムさんより)


<感想>

天祢涼先生の短編です。

主人公は二世議員。
語り手である秘書は彼のことを評価していなかったが、実は……との内容でなかなか面白かった。

これを見て「ビッグコミックオリジナル」(小学館)に連載されている永松潔先生の「テツぼん」を思い出しました。
あちらも二世議員で、一見のんびりしながらも趣味の鉄道とその卓越した見識で問題を解決していくとのスタンスは同じ。
あれを鉄道に限定せず活字化したらこんな感じかなぁ……と思ったり。

とはいえ、こちらもきっちりミステリしており、伏線も巧みに張られていました。
充分にシリーズ化可能な出来だと思います。

<ネタバレあらすじ>

登場人物一覧:
翔太郎:主人公、二世議員、男性。
雲井:翔太郎の秘書、男性。
蜂須賀:野党の大物議員、男性。
四葉:蜂須賀の秘書、女性。
戸部:「緑を守る会」の代表、男性。

雲井は代議士である翔太郎の秘書。
翔太郎は二世議員であり、雲井は翔太郎を昼行燈と評価していたが……。

矢先、野党の大物議員・蜂須賀が公園を潰し高層ビルを建てる計画を支持。
これにより、公園を守っていた「緑を守る会」の戸部から翔太郎に仲介依頼が舞い込む。
なんとか、蜂須賀に手を引かせてくれないかと言うのだ。

こうして乗り出した翔太郎と雲井だったが、雲井の見たところ翔太郎は相変わらずやる気の無い様子。
ネットで遊んでいたかと思えば、蜂須賀の著書を慌てて読んだりと一貫性がない。

雲井の脳裏を不安が過るが、今更、手を引くことは出来ない。
戸部と共に蜂須賀と直接交渉することに。

蜂須賀は秘書・四葉を連れ交渉に現れた。
戸部は緊張のあまりか名刺も切らし、出されたお茶にも手をつけようとしない。
一方、蜂須賀の示したビルのプランに興味深そうな翔太郎。
気が気でない雲井は何とか交渉を有利に進めようと蜂須賀の弱味を握ろうと動く。

蜂須賀と四葉の関係を疑った雲井は蜂須賀が愛人・四葉の為にビルを支持していると疑う。
翔太郎はこの推理を蜂須賀にぶつける。

当然、蜂須賀は激怒。
交渉は決裂するかに思えたが……。

途端、翔太郎は真相は別にあると口にする。
雲井のように勘繰る人間が出て来る可能性があることを指摘しつつ、真相を明かした方が蜂須賀の為になると説得を開始。

翔太郎の推理した真相は意外なものだった。

蜂須賀は公園が嫌いなワケではなく、むしろ公園を愛していた。
ところが、この公園は利用者も少なく廃れていた。
最近では、痴漢騒動も起こっていたらしい。

そこで、「愛する公園をこれ以上汚すよりは」とビルの建設を支持していたのだ。
しかも、このビルの最上階には住民たちの憩いの場を設置し、公園に代わるポイントとしようとしていた。

もちろん、秘書の四葉も愛人ではない。
それどころか、四葉こそ公園での痴漢の被害者だった。
被害に遭った四葉を救った人物こそが蜂須賀だったのだ。

蜂須賀は四葉の告発により公園の名に傷がつくことを恐れ、四葉を秘書として雇うことで黙っているように取引していた。

蜂須賀こそが公園の最大の支持者だったことを知った雲井は驚愕。
翔太郎がネットや蜂須賀の著作からこれらの情報を得ていたことに初めて気付く。

しかし、話はここで終わらない。
翔太郎はその痴漢にも心当たりがあると言う。

その痴漢こそ戸部だった。
四葉にあることを確認する翔太郎。
四葉は驚きつつもそれを認める。

実は、四葉が襲われた際に痴漢は指紋を残していた。
四葉はもしものことを考えて、その指紋を採取し保存していると言う。

戸部は四葉を見て、自身が襲った相手であると気付いた。
さらに、指紋を採取された可能性も思い浮かべた為に名刺も渡せず、お茶にも口をつけられなくなったのだ。

こうして、戸部は逮捕された。
翔太郎の見事な手際に感心した蜂須賀は今後の協力を約束することに。

雲井は「ひょっとしてこの人は大物なのでは?」と翔太郎を見る目を変えようとするが、やっぱり普段の態度を見ていると到底、そうは思えないのだった―――エンド。

◆【天祢涼先生関連過去記事】
「キョウカンカク」(天祢涼著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)

「闇ツキチルドレン」(天祢涼著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)

天祢涼先生最新作「空想探偵と密室メイカー」が2011年8月3日発売と判明!!

本作が単行本化!!「セシューズ・ハイ 議員探偵・漆原翔太郎」です!!
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