<あらすじ>
ある日、ディスカウントチェーン店の元社長・大路重義(江良潤)が何者かに狙撃され、負傷する事件が起きる。大路は、多額の負債を抱えて会社を倒産させながら、法の網を潜り抜け自分の莫大な資産は守る一方で、債権者や従業員を蔑ろにしているという評判の人物。事件の数日前、「私刑人」と名乗る謎の人物からそのことを理由に脅迫状が大路に送り付けられていた。大路が軽傷ですんだことから「私刑人」が再度狙撃してくる可能性があると考えた警察の上層部は、政財界にも顔が広い大路が、万が一殺害されるようなことがあっては警察の面目に関わると、本庁に「私刑人対策室」を設け、捜査一課三係の班長・那須(加藤剛)に捜査の陣を任せる。
捜査を任された那須は、捜査に当たるメンバーとして、所轄の地域課に所属し交番勤務をしていた伊吹伸介(吉田栄作)を呼び戻す。伊吹は5年前、所轄の刑事をしていたが、事件の捜査で那須と衝突し、那須が交番勤務に異動させた男だった。伊吹は自分を交番勤務へ追いやった那須が突然、自分を捜査一課に呼び戻した理由が解らず、着任早々那須に食って掛かる。しかし、那須からは理由を語られないまま、早速、大路の護衛を命じられる。
伊吹は護衛のため大路の入院先を訪ねるが、そこで伊吹は偶然、妹・郁恵(田野聖子)の夫である義弟の利通(柚原旬)に遭遇する。なんと甥の翔太(横山幸汰)が轢き逃げに遭い、同じ病院に搬送されていたのだ。翔太はひき逃げに遭った際、偶然現場に居合わせた外科医の藤谷冴子(横山めぐみ)の素早い対応により一命をとりとめ、さらに、冴子が轢き逃げをした車両のナンバープレートを目撃していたことから、飲酒運転をしていた山葉文雄(三浦英明)が轢き逃げ犯として早々に検挙される。
ところが伊吹は数日後、郁恵から検挙された筈の山葉が暴力団とも繋がりが深い大物代議士の圧力で保釈されたらしいと聞いて驚く。しかも、その大物代議士が奈良岡邦泰(若林豪)だと那須から聞かされ、一層激しい衝撃を受ける。何故なら5年前、那須と共に殺人事件の捜査をしていた伊吹は、事件の裏に奈良岡が関係していると突き止め、必死に奈良岡の身辺を捜査していたのだが、奈良岡から圧力をかけられたあと、交番勤務に異動させられたからだった。
伊吹は、山葉の後ろ盾に奈良岡がいると知り、5年前と同様、また泣き寝入りする羽目になるのかと苛立つが、那須から甥の轢き逃げ捜査は所轄に任せ、「私刑人」の捜査に集中するよう諭される。そんな矢先、伊吹たちが護衛している目の前で再び大路が「私刑人」から狙撃されてしまい…。
(月曜ゴールデン公式HPより)
では、続きから……(一部、重複あり)
大路の経営していたチェーン店「ジャストマックス」再建の為に銀行から派遣されていた平川という男性が大路と銀行の板挟みにあい自殺していたことが判明。
その息子・平川健太郎がライフルの選手であり、傭兵でもあることが分かった為に「私刑人対策室」は彼を追う。
一方、あくまで脅しには屈しないと平然としていた大路。
2度目の銃撃を受けてしまう。
「次は殺す!!」私刑人の脅迫に怯えた大路は態度を急変させ、私財を投げ打ち債権者や社員を救う旨を発表。
世間は私刑人に喝采を送る。
翔太を轢いた山葉が司法取引で釈放される。
山葉は奈良岡の娘・ミカと親しいらしい。
背後に奈良岡が居ると知った伊吹は驚く。
5年前、伊吹が交番勤務となるきっかけとなった事件に奈良岡が関連していたからだ。
それは、奈良岡の愛人が殺害された事件だった。
伊吹は奈良岡を疑ったが、結果、那須により交番勤務にされてしまっていた。
何故、奈良岡が山葉を庇うのか?
山葉は翔太への慰謝料も払わない。
伊吹は山葉に対し憤りを隠せなかった。
翔太の担当医・藤谷冴子も伊吹に同調する。
今度はその山葉が私刑人により狙撃されてしまう。
山葉は翔太に慰謝料を支払うことに。
これにより、私刑人の評判はさらに高まる。
私刑人の声明文が「週刊インサイド」に掲載される。
確認したところ、関西弁を駆使する男から情報提供の電話があったと言う。
平川健太郎は過去に神戸に住んでいた。
よもや、平川か?
「私刑人対策室」の宮崎葉子は平川に接触するが、平川は傭兵時代に足を負傷しており、車椅子生活を送っていた。
その頃、山葉は奈良岡を脅迫していた。
奈良岡は知人の鍛冶に山葉殺害を依頼するが……。
直後に、山葉が狙撃され死亡する。
ライフルの線条痕から私刑人とは別の人物による犯行が疑われることに。
山葉が覚醒剤を扱っていたことが判明。
伊吹は奈良岡の娘・ミカが覚醒剤を使用しており、山葉が奈良岡を脅迫した為に口封じに殺害されたと睨む。
直後、奈良岡と繋がりのある鍛冶会長が狙撃される。
伊吹が調べたところ、最初の標的である大路も奈良岡に資金を献金していた。
標的となった3人が3人とも奈良岡と縁のある人物だったのである。
これにより、奈良岡こそが私刑人の本当の狙いではないかと伊吹は考えるように。
山葉殺害時、現場付近から若い女性が逃げ去ったとの証言が得られる。
その正体は、奈良岡ミカだった。
山葉殺害は奈良岡ミカの犯行なのか?
一方、伊吹は週刊誌記者を装い、奈良岡周辺を洗う。
そこで、名越という名前を聞き込む。
なにか秘密があるらしいが……。
同じ頃、奈良岡ミカを探っていた「私刑人対策室」の本郷だったが、奈良岡からの圧力がかかり捜査を中断されてしまう。
5年前の自身の件と重ね合わせた伊吹は那須へ激しく反発する。
しかし、伊吹は知らないが5年前の事件には事情があった。
奈良岡から伊吹への圧力を軽減していたのは当の那須だったのだ。
本来ならば、伊吹は辞職を余儀なくされているところだった。
翔太が意識を回復。
甲斐甲斐しく翔太に治療を施した冴子に惹かれて行く伊吹。
数日後、伊吹は「名越」という人物について突き止める。
「名越彩」は「奈良岡ミカ」の同級生。
当時、シンデレラの主役の座を巡り、ミカと彩の間で確執が発生。
主役を射止めたのは彩だったが、ミカはそれに激怒。
彩に盗難の罪を着せ、自殺するまでに追い込んでしまった。
名越綾の遺族は自殺の原因はミカにあると追及したが、奈良岡の圧力の前に敗れたらしい。
その遺族の名前は藤谷と言った……。
冴子を想い浮かべた伊吹は藤谷の行方を追う。
その頃、藤谷は病院を辞職していた。
矢先、奈良岡ミカが狙撃される。
その狙撃手こそ、藤谷冴子だった……。
冴子は山葉殺害をミカに自供するよう要求していた。
冴子こそが私刑人だったのだ。
ミカは山葉を殺害したことを父である奈良岡に告白、助けを求める。
伊吹は私刑人が冴子であることを対策室に報告。
週刊インサイドに電話してきた人物が男性だったことから、もう1人共犯者がいると看破する。
奈良岡は圧力により、私刑人の包囲網を形成する。
奈良岡の言いなりになることを嫌った伊吹はサボタージュしようとするが……。
そこへ那須が現れ、私刑人の正義を許すなと諭す。
この言葉に心を動かされた伊吹は単独での捜査を決行。
その頃、奈良岡親娘は鍛冶の私兵を頼りに河口湖の別荘に逃げ込んでいた。
その様子をそっと眺める冴子。
ミカの周囲からモデルガンを販売している大森が浮上。
伊吹は、ミカが大森から借りたライフルで山葉を殺害したのではないかと考えたのだ。
葉子たちに大森の捜査を依頼する伊吹。
自身は、平川健太郎が治療を通じて冴子と接触があった可能性を考慮。
平川こそが私刑人の共犯者だと確信する。
犯行声明を送り続けたのは平川だったのだ。
伊吹は、冴子に殺人を犯させてはならないと平川を説得。
平川は冴子の居場所を明かす。
同時刻、葉子の捜査で大森がミカにライフルを貸したことが証明される。
その頃、冴子は鍛冶を人質にその私兵を無力化。
奈良岡親娘へと迫っていた。
そこへ駆け付けた伊吹は、冴子へと銃を向ける。
法律に従わず個人的な正義に頼る私刑人・冴子を否定する伊吹。
さらに、ミカの山葉殺害を立証できると説得された冴子は躊躇する。
その隙を突き、鍛冶がライフルを奪う。
伊吹と冴子にピンチが迫るか……と思いきや本郷たちが突入。
あっさりと奈良岡親娘と共に鍛冶も連行される。
冴子は「もっと早く伊吹に出会いたかった」と告げると、これも連行される。
ミカは山葉殺害を認める。
鍛冶も5年前の奈良岡の愛人殺害を認める。
奈良岡は引退を余儀なくされるらしい。
こうして事件は解決した。
畑中から5年前、交番勤務にされた真相を聞かされた伊吹。
さらに、那須の言葉「人が100人いれば100の正義がある。だが、警官が信じるのは使命としての正義だ」を耳にし、自身の進む道を見出す。
当の那須は伊吹の異動を拒み、上層部と対立していた。
そんな那須に自身の正義を貫くことを誓う伊吹だった―――エンド。
<感想>
原作は森村誠一先生の「正義の証明」(幻冬舎刊)。
<あらすじ>
社会的に非難を浴びる人物に麻酔弾を撃ち込む「私刑人」。彼はなぜ執拗に犯行を重ねるのか?法に庇護されなかった弱者と、暴力団、警察との壮絶な闘いを描く、森村ミステリーの金字塔。
上巻:あらゆる悪の手口を詳述したベストセラー『悪魔のガイドブック』にそそのかされた少女輪姦事件が発生。世間の批判は版元社長・金山に集中するが、責任を認めない彼はある日、「私刑人」と名乗る謎の人物に襲われる。社会的に批判を浴びる人物に、法に代わって天誅を加える私刑人とは?法と私物化した正義の手に汗握る攻防戦がついに始まった。
下巻:「私刑人」の捜査は混迷を極めていた。そんなある日、次期政権を射程に入れた大物政治家・隴岡の私設秘書殺害事件が発生する。エスカレートする天誅に一気に高まる緊張感。そしてついに掴んだ犯人逮捕の糸口。私刑人の正体とは?法に庇護されなかった弱者と、権力との壮絶な闘いを描く森村ミステリーの金字塔、衝撃のクライマックスへ。
(アマゾンさん&幻冬舎公式HPより)
原作は牛尾&棟居の豪華共演作。
ドラマ化第一報はこちら。
・森村誠一先生「正義の証明」(幻冬舎刊)ドラマ化!!
では、ドラマ版の感想を。
シリーズ化しそうな感じでしたね。
見てて「南平班」思い出しました。
ただ、あちらの方がこちらよりも完成度が高いなぁ……。
・月曜ゴールデン「警視庁南平班〜七人の刑事〜3 古都伝説殺人事件!!日光・金沢で起こる不可解な悲劇の連鎖…東照宮の猿が四百年見続けた涙の真実!?失われた指が誘う死のルート!」(5月16日放送)ネタバレ批評(レビュー)
一部で「相棒」の音楽が使用されていましたね、驚きました。
それにしても、原作とは別物だったような気がします。
しかも、当初こそスケールの大きな物語でしたが、途中から個人的な復讐劇に変更されてしまい残念でした。
結局、設定こそ興味深かったものの、最後はいつもどおりでした。
期待が大きかっただけにガッカリ感も大きいなぁ……。
特に鍛冶が冴子から銃を奪い突き付けながらも、本郷たちの突入であっさり降参するシーンはまさにコントでした。
その間、わずか30秒。
あのシーンは必要だったのか?
そして、夕焼けの中、鉄棒で懸垂する伊吹……ラストはまたもコントでした。
なんだろう、この違和感を伴うドラマは……。
テーマであろう「正義」についても、ほとんど考えることなくあっさり解決してしまうし。
余りに軽過ぎるような気が……。
◆森村誠一先生関連過去記事
【終着駅シリーズ】
・土曜ワイド劇場「森村誠一の終着駅シリーズ・途中下車する女 凶器のない密室殺人を追う!!置き忘れた写真の中の殺人構図」(9月24日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・土曜ワイド劇場「終着駅の牛尾刑事vs事件記者冴子・森村誠一の完全犯罪の使者!!富山八尾〜風の盆に始まる殺意の連鎖!!赤いルージュの伝言」(12月18日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・土曜ワイド劇場「森村誠一の終着駅〜新宿着あずさ22号の殺人同乗者・消えた姉と三千万の行方…顔のない脅迫者を追う!!」(7月31日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・土曜ワイド劇場「森村誠一の灯〜終着駅の牛尾刑事vs事件記者冴子!!バス事故から生還した3人新宿〜妙高高原に運命の連続殺人!?」(12月12日放送分)ネタバレ批評(レビュー)
【棟居刑事シリーズ】
・土曜ワイド劇場「森村誠一の棟居刑事 目撃美女は二度死ぬ猫が運ぶ犯人!?悪い男vs手玉に取る女…愛と欲の背徳の詩集」(7月30日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・土曜ワイド劇場「森村誠一の棟居刑事 愛犬が暴く不倫四重奏!」(11月21日放送分)ネタバレ批評(レビュー)
【その他ドラマ】
・金曜プレステージ「3週連続・罪と女とミステリー第1夜! 森村誠一サスペンス・破婚の条件〜夫殺しを夢みた秘密の殺人日記 その夜、傲慢夫は既に殺されていた!追い詰められ墜ちてゆく女は極限の果てに!悲しい女の業を描いた本格サスペンス」(8月26日放送)ネタバレ批評(レビュー)
【アタミステリー紀行関連】
・「アタミステリー紀行2010」結果が発表される
・「熱海の靴屋」(森村誠一著、アタミステリー紀行2010より)3つのミスにチャレンジ!!
・近付く「アタミステリー紀行2010」の足音……
・アタミステリーへの誘い……
(アタミステリー紀行2009について触れた過去記事です)
【その他】
・森村誠一先生「義仲・巴ネットワークフォーラム・イン・富山」にて講演
・クリスマス(12月24日)の森村誠一さん!!
(「森村誠一 謎の奥の細道をたどる」についての過去記事です)
<キャスト>
伊吹伸介(いぶきしんすけ):吉田栄作
○
藤谷冴子(ふじたにさえこ):横山めぐみ
○
本郷信洋(ほんごうのぶひろ):野村宏伸
宮崎葉子(みやざきようこ):黒坂真美
及川大介(おいかわだいすけ):山口翔悟
関口伸一(せきぐちしんいち):頼三四郎
○
畑中巌(はたなかいわお)…中原丈雄
○
鍛冶修(かじおさむ)…井田國彦
○
奈良岡邦泰(ならおかくにやす)…若林豪
○
那須宏明(なすひろあき)…加藤剛 ほか
(順不同、敬称略、公式HPより)
◆森村誠一先生の作品はこちら。
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