ネタバレあります、注意!!
<あらすじ>
十数年前のあの日、手術室で何があったのか? そして今日、手術室で何が起こるのか? 心の限界に挑む医学サスペンス。
笑顔で手術室に入った父は、冷たい骸となって戻って来た。誰も予想していなかった、術中死。さっきまで、あんなに元気だったのに――。それをきっかけに心臓外科医を目指した夕紀は、実は誰にも言えないある目的を胸に秘めていた。その目的を果たすべき日に、手術室を前代未聞の危機が襲う!
(新潮社公式HPより)
<感想>
ミステリ的要素は薄いが、人の職業意識(プロ意識)に強く働きかける作品です。
人の持つ使命とは何か?
その職業に就いた以上、果たすべき義務は何か?
など、いろいろ考えさせられます。
夕紀と西園の関係など、人間ドラマを読みたい方にオススメ。
印象的だったのは、望が自身に与えられた使命を果たすべく、譲治に願うシーン。
その実直さにうたれたからこそ、譲治はあの行動をとるワケで。
本作一番の見どころではないでしょうか。
ただ、全体としては内容的にも展開的にも些か力不足に感じました……。
上手くまとまっているのですが、まとまり過ぎてて小さくおさまっている感じ。
贅沢かもしれませんが、ちょっと不満かも。
ちなみに本作はNHKさんでドラマ化されます。
放送日は2011年11月5日、12日の2回を予定とのこと。
詳細は下記過去記事リンクよりどうぞ!!
・『使命と魂のリミット』ドラマ化
東野圭吾先生『使命と魂のリミット』がNHKさんでドラマ化!!
2011年11月5日追記:
・土曜ドラマスペシャル「使命と魂のリミット(前編) 病院に届く謎の脅迫状…犯人の狙いは?」(11月5日放送)ネタバレ批評(レビュー)
追加しました。リンクよりどうぞ!!
2011年11月12日追記:
・土曜ドラマスペシャル「使命と魂のリミット(後編) 極限状況の大手術!結末に待つものは?」(11月12日放送)ネタバレ批評(レビュー)
追加しました。リンクよりどうぞ!!
2011年9月現在、東野圭吾先生の作家25周年を記念して、講談社、文藝春秋社、集英社にて「人気作品ランキング」が実施中。
その中間結果発表が行われました、こちら。
・東野圭吾先生「人気作品ランキング」中間結果発表!!
<ネタバレあらすじ>
登場人物一覧:
夕紀:研修生、ある目的を胸に秘めている。
西園:高名な医師。
七尾:刑事。
譲治:望の恋人。
望:看護師。
島原:自動車会社の重役。
夕紀は10年前に手術で父を亡くしていた。
執刀したのは西園教授。
実は、警官だった夕紀の父は過去に暴走する西園の息子を取り締まり死なせていた。
10年後、西園は夕紀の母と恋人同士になっていた。
一方、夕紀は西園と同じく医師となっていた。
もしや、西園は故意に父を死なせたのでは……と考えた夕紀はそれを確かめる為に医師として西園に近付いたのだ。
遂に心中に秘めた疑惑をぶつけようとしたその日、病院に脅迫状が届く。
騒然となる院内。
警官の七尾らが捜査を開始する中、脅迫はますますエスカレートしていく。
院内の動揺は広がるばかり。
だが、西園は自動車会社の重役・島原の手術を強行する。
島原の手術は今を逃せば成功は難しいものだったからだ。
しかし、脅迫者もまた本気だった。
脅迫者の手により病院は停電を起こし、手術は大混乱することに。
そんな中でも、西園はベストを尽くすべく全力を注ぐ。
西園の姿に疑惑が揺らぎ始める夕紀。
島原を助けようと奔走する西園は、到底、私欲で患者を死なせる人間には見えなかったからだ。
それだけ、西園は医師としての使命を果たそうとしていた。
一方、七尾は脅迫者の狙いが病院そのものではなく、むしろ患者にあるのではないかと疑い始めていた。
島原の周囲を調べたところ、欠陥車が原因で死亡事故が発生していたことが判明。
しかも、夕紀の言葉をきっかけに欠陥車により恋人を失った譲治こそが脅迫者であると突き止める。
譲治は病院に勤める看護師・望の恋人だった……。
譲治は恋人の復讐の為に望に近付き、仇である島原の情報を収集していたのだ。
望は事実を知りショックを受けてしまう。
その頃、島原の手術は変わらず難航していた。
このまま、電気が流れなければ……西園たちを焦りが襲う。
そして、島原以外の患者たちも停電により体調を崩しつつあった……。
その頃、譲治は事の成り行きを息を潜めて見守っていた。
失った恋人への報告と、騙すことになった望への罪悪感を抱えながら。
そこへ、望から電話がかかって来る。
罵声が飛ぶものと思っていた譲治だったが、望は体調を崩した他の患者たちの為に停電を解除するよう依頼する。
望もまた自身の仕事を成し遂げようとしていた。
この望の言葉に心動かされた譲治は停電を解除。
亡き恋人へ復讐の失敗を報告すると七尾と望が待つ病院へと出頭することに。
停電が解除されたことで島原の手術は成功。
夕紀はといえば、今回の事件を通じて西園への疑いを解きつつあった。
西園はそんな夕紀に自身の抱えていた秘密を語り始める。
夕紀の父とは互いに話し合って和解していたこと。
夕紀の母とは手術時点では関係がなかったこと、手術後に慰めているうちに深い仲になったこと。
夕紀の父の手術に対しても今回同様にベストを尽くしたこと。
そして、自分に対して夕紀がどんな感情を抱いているかも知っていること。
西園からすべてを聞かされた夕紀は疑惑が誤解であったことを確信する。
言葉だけではない、西園の行動が真実を示していた。
こうして納得した夕紀だったが、その目の前で西園が倒れる。
2人目の父を死なせるわけにはいかない……夕紀は西園を助けるべく、西園と同じくベストを尽くそうと立ち上がるのだった―――エンド。
◆東野圭吾先生関連過去記事
【「使命と魂のリミット」ドラマ化】
・東野圭吾先生『使命と魂のリミット』がNHKさんでドラマ化!!
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・「11文字の殺人」(東野圭吾著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
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・容疑者Xの献身(文春文庫版)&映画版
・「真夏の方程式」(東野圭吾著、文芸春秋社刊)ネタバレ書評(レビュー)
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【その他】
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