<あらすじ>
弁護士・森江春策(中村梅雀)は、人がよすぎて国選の仕事ばかりしていたこともあって自分の事務所を潰し、今では先輩弁護士・片山郁夫(長谷川初範)が代表を務める“キャピタル総合法律事務所”に籍を置く“イソ弁”の身となっていた。
ある日、森江は、年下ながら事務所の先輩でもある若手弁護士・今井由香(金子さやか)と共に、“シリウス会・長谷川病院”の顧問弁護士に着任することとなった。片山に率いられて2人は長谷川病院に赴き、病院理事長・長谷川洋三郎(山本圭)に挨拶する。末期のがんを患っている洋三郎は、その特別病室に入院していたのだ。
だが、対面もそこそこに、森江たちは洋三郎の長男であり、病院長の実(矢島健一)から、病院のそばにある長谷川家を訪ねてほしいと依頼される。実の妻・潤子(いしのようこ)に、相談したいことがあるらしい。
聞いてみると、潤子のもっぱらの心配事は、洋三郎の遺産問題だった。理事長の余命はもはや半年、そろそろ遺言書を残すように助言してほしいという。しかし、遺言は個人の意志だからと、片山はきっぱり断る。
ところがそこに、病院から、洋三郎の容態が急変したという連絡が入った。急ぎ、病院に駆けつける森江たちだったが、すでに洋三郎は絶命していた…。
警察の調べによると、洋三郎の死因は薬物死。何者かが点滴パックに注射器で致死性の薬物を注入した痕跡が見つかったという。真っ先に疑われたのは、洋三郎を担当していた看護師の松原美智代(高橋かおり)。森江たちが病室を立ち去ってから、実の回診によって急変が発見されるまでの間、洋三郎の病室に入ったのは彼女ひとりだけだったのだ。その事実は防犯カメラによって証明されており、美智代はかたくなに犯行を否認するものの殺人容疑で逮捕されてしまう。
森江たちはさっそく美智代と接見するが、彼女を信じようとする森江に対し、由香は美智代の犯行に間違いないと相容れない。そんな中、美智代は、なんと10日前に洋三郎と結婚し、婚姻届を提出していると言い出して…!?
その後も、「弁護士は被疑者の味方であるべき」として美智代を救おうとする森江と、彼女の弁護を降りて院長夫妻の要望どおり婚姻無効の訴えを出したほうが得策だと考える由香は、何かと対立。そんなとき、美智代が保険金を狙って前夫を殺害していたという黒い疑惑が浮上し、さすがの森江も動揺するが…!?
やがて、裁判がはじまった。担当公判検事は、またしても森江の司法修習生時代の同期であり、“地検のエース”とよばれるキレ者・菊園綾子(若村麻由美)で…!?
(土曜ワイド劇場公式HPより)
では、続きから(一部、あらすじと重複あり)……
病院長・長谷川実が法廷での証言中に毒殺される。
死因は実が服用していた常備薬の1つをシアン化カリウムとすり替えたものだった。
菊園は美智代が逮捕される前に毒物を仕掛けたと考え、調査を命じる。
と、案の定、常備薬を用意したのは美智代だと判明。
しかも、実の妹・マキの栄養剤からもシアン化カリウムが検出され、美智代の立場はさらに不利なものに。
あくまで美智代を信じる森江とそんな森江を冷ややかに眺める今井由香。
2人は対立するが……。
美智代の前夫の死について調べ始めた森江。
そこで、美智代が前夫の保険金を受け取っていなかったことを知る。
なんでも、前夫には多額の借金があり、その返済に充てたらしい。
森江は美智代が保険金を受け取っていないことから犯人ではないと信じる。
そこで森江と同じく美智代を調べていた菊園と出会うことに。
森江を軽蔑する由香に、森江の立場もまた正しいと論ずる菊園。
あくまで、森江を軽んじる由香だったが……。
森江の被疑者を信じる姿勢は美智代の頑なな心をも動かし始めた。
美智代は森江に嘘を吐かないことを約束し、自分は殺していないと訴える。
その頃、潤子とマキは財産分与について激しく対立していた。
同日夜、マキが何者かに車で襲われてしまう―――。
一命を取り留めたマキは美智代の犯行だと騒ぎたてるが、当の美智代は拘留中であり犯人ではありえない。
森江は真犯人の存在を確信する。
一方、菊園は潤子を調べていた。
結果、潤子が瀬尾と接触していたことが判明する。
瀬尾はシアン化カリウムの管理責任者だった。
もしや、潤子は瀬尾と不倫しているのか?
美智代の無罪を証明したい森江は洋三郎殺害時の特別病棟のトリックに挑む。
殺害当日、差し入れがあったことに注目する森江。
配達員によれば、季節のフルーツゼリーを8個配達したと言う。
特別病棟のスタッフは7人、1つ余る計算だが……。
森江は“透明人間”が居たことに気付く。
真犯人を追い詰める―――その為に菊園と協力することに。
森江は事務所のボス・片山の出馬を願う。
薬剤師・瀬尾を証人として呼び出す森江。
マキを車で襲撃した犯人が瀬尾であると指摘する。
さらに、菊園との連係プレーにより瀬尾は襲撃を認める。
だが、瀬尾は洋三郎殺害犯では無かった。
次に証言台に立ったのは片山。
殺害当日の状況について確認する森江。
「点滴パックに薬剤を注射することが可能な人物は誰か?」との問いを発する。
「被告人である美智代さんです」と片山。
ところが、森江は「もう1人犯行可能な人物が居る」と断言する。
どよめく法廷。
「その人物とは―――」
森江が指摘した犯行可能な人物―――それは、長谷川洋三郎その人だった。
洋三郎は自殺だった。
特別病棟のスタッフ7人に加えたもう1人、その正体は当の患者だったのだ。
ところが、片山はそれを否定する。
点滴パックに薬物を混入させた注射器が見当たらなかったからだ。
しかし、森江は第一発見者である実が注射器を隠したと断じる。
実は相続分を増やす為に美智代に罪を着せようとしたのだ。
「家族は美智代の入籍をその時点では知らなかった筈だ」
片山は冷静に森江の推理を否定する。
だが、森江は当の片山こそが実や潤子に入籍の事実を教えたと弾劾する。
森江に代わり菊園が証人尋問を。
片山は追い込まれていく。
ホテルの宿泊者カードを持ち出す菊園。
片山と潤子の不倫の証拠だと言う。
そう、潤子と不倫していたのは瀬尾ではなく片山だったのだ。
カードにある名前は長谷川実。
だが、「Dr」ではなく「Mr」に印が残されていた。
つまり、実を名乗ったその人物は医者ではなかったのだ。
郵便局の記録から洋三郎の遺書が片山に届いていたことも明らかになる。
これが証拠となり、片山は罪を認める。
実殺害とマキ襲撃も財産を狙った片山と潤子の犯行だった。
洋三郎の遺書には、美智代にすべての遺産を渡すと記されていたらしい。
それが動機だったと語る片山。
菊園は洋三郎の死がそもそも事件では無かったことから、美智代への容疑を取り下げる。
後日、洋三郎の墓前にて美智代は洋三郎に想い出を貰ったと語る。
こうして、事件は解決した。
森江は今回の事件を通じて名を上げた。
そこで、いよいよ事務所の再建に乗り出すことに。
由香は森江事務所への移籍を希望、森江に興味を持ったらしい―――エンド。
<感想>
土曜ワイド劇場「弁護士・森江春策の事件」シリーズ第3作。
前作(第2作)が2010年8月21日に放送されているので、実に1年2カ月ぶりの新作となりました。
前作については過去記事ありますね、こちらをどうぞ!!
・土曜ワイド劇場「弁護士森江春策の事件 殺人同窓会・すり替った友人の死体〜君は一体誰!!密閉空間の移動トリックで法廷が踊る!?」(8月21日放送)ネタバレ批評(レビュー)
では、ドラマ感想。
全体的に粗いなぁ……。
美智代が借金の返済に充てたから保険金目的じゃないとか。
それは違う気が、むしろ動機として濃厚じゃないかなぁ……。
他にも美智代に罪を着せる筈が、美智代にアリバイが成立するような犯行を行うし……どうにも、ロジック面が納得いかない。
さらに瀬尾関連がおざなりだし。
瀬尾が潤子たちに買収されていたかどうかくらいは触れても良いのでは?
ついでに、前回までの菊園ポジションが今回の由香でしょうかね。
そこまでして無理に森江を貶めなくてもいいような気もするが……。
う〜〜〜ん、微妙だ……。
◆関連過去記事
【森江春策シリーズ関連】
・原作である森江春策シリーズ第1作にして初々しい学生・森江青年が初登場する作品はこちら。
「殺人喜劇の13人」」(芦辺拓著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・原作である森江春策シリーズ最新刊はこちら。
「綺想宮殺人事件」(芦辺拓著、東京創元社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・土曜ワイド劇場版「森江春策」シリーズ第1作となった「弁護士・森江春策の裁判員法廷 殺人レシピのさしすせそ」のネタバレ批評(レビュー)も含んでます。
「裁判員法廷」(芦辺拓著、文藝春秋社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・「探偵Xからの挑戦状!」にあなたも挑戦!?「森江春策の災難」ネタバレ批評(レビュー)です。
「森江春策の災難」(芦辺拓著)ネタバレ批評(レビュー)
<キャスト>
森江春策:中村梅雀
菊園綾子:若村麻由美
高柳明信:金田明夫
菊園喜助:竜 雷太
町田澄代:角替和枝
松原美智代:高橋かおり
片山郁夫:長谷川初範
長谷川潤子:いしのようこ
今井由香:金子さやか
長谷川 実:矢島健一 ほか
(敬称略、順不同、公式HPより)
◆芦辺拓先生が描くその他の森江春策シリーズはこちら。
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