<あらすじ>
覆面パトカーで巡行し、傷害、強盗、殺人などの事件が発生した場合、現場に真っ先に駆けつけ事件の初動捜査に当たる「機動捜査隊」。勤務は交代制ではあるが当番の際は24時間勤務、犯人との遭遇率が高いため、常に拳銃の所持を義務付けられているという精神的にも肉体的にも過酷な任務だ。そんな危険な任務を担う「機動捜査隊」、通称「機捜」の一部隊で、警視庁第二機動捜査隊(二機捜)に所属する警部補の沢村舞子(沢口靖子)は、巡査部長の金子(赤井英和)と巡査長・富田(松尾諭)、巡査・佐藤(斉藤祥太)と班を組んで日々任務に当たっている。
ある日、いつものように金子とペアを組み、受け持ち管内のパトロールに出た舞子は、タクシー強盗が発生したとの無線指令を受け、現場へと急行する。被害に遭ったタクシー運転手(加瀬尊朗)は、乗客を装った犯人に後部座席から殴られ、金銭を奪われたものの幸い怪我は軽傷。舞子と金子は運転手から調書を取ると、駆けつけた救急隊員に運転手を預ける。その矢先、舞子と金子の背後で突然爆発音が轟いて振り向くと、近くの雑居ビルから白煙が上がり、窓ガラスが吹き飛んでいた。舞子たちがビル内に入ると「三室法律事務所」と記された一室のドアが吹き飛び、入り口で負傷した女性事務員(小川奈那)が一人倒れていた。女性を救出した舞子と金子は、後から駆けつけて来た富田、佐藤とともに被害状況の確認など初動捜査を行う。
爆破が起こった場所は弁護士・三室基樹(松澤一之)の部屋で、現場の状況からどうやら三室宛の郵便物に爆発物が仕掛けられていたようだった。だが、三室はまだ事務所に出勤しておらず、被害は事務所内の破損と女性事務員の軽傷だけで済んだ。三室本人とは連絡が取れず所在も不明なまま、舞子たちは爆破事件の捜査を担当する捜査一課特殊犯係に捜査を引き渡し現場を後にする。舞子たちは、再び舞子と金子、富田と佐藤の二班に分かれパトロールを再開。ところが、今度は富田と佐藤がタクシー強盗の無線指令を受け、現場に急行。被害者のタクシー運転手・永田(尾美としのり)に被害状況を聞き込むと、犯人はどうやら舞子たちが調書を取ったタクシー強盗と同一犯の可能性が高いことがわかった。
すると今度は、管轄内のとあるマンションの駐車場で他殺体と思われる男性遺体が発見されたとの無線指令が入り、舞子たちはその現場へ。そして、刺殺された遺体の身元が事務所で爆破事件の起きた弁護士の三室だと判り驚く。犯人は三室を爆破で殺害出来なかったために刺殺したのか…。爆弾とナイフというあまりにも違いすぎる手口に同一犯の犯行なのか戸惑う舞子と金子。釈然としない二人の前に、所轄の強行犯係である篠原弓絵(井上和香)が姿を現す。篠原は、金子が刑事課にいた頃、金子の下に新人で入ってきた刑事で、今では数人の部下を束ねる優秀な刑事となっていた。
篠原に捜査を引き渡し二機捜の分駐所に戻った舞子たちは、上司の堀田(石倉三郎)から弁護士・三室の事件に関する捜査本部の緊急捜査会議に参加するよう命じられる。捜査会議では、三室が以前弁護を引き受け身元引受人にもなっていた、伊藤真治(森廉)という刑務所から出所したばかりの男が最有力容疑者として浮上していることが報告され、管理官の真壁洋一(羽場裕一)から伊藤の緊急手配要請が下される。爆破事件と刺殺事件が起きた時差と手口に矛盾を抱く弓絵と舞子は、容疑者を伊藤だけに絞ることに疑念を抱くが、捜査本部は意見を取り合わない。そんな矢先、容疑者の伊藤が巡回していた警官の追跡から逃れようとしてビルから転落、駆けつけた舞子たちの前で死亡してしまう。捜査本部では被疑者死亡のまま伊藤が書類送検されることになるが・・・。
(月曜ゴールデン公式HPより)
では、続きから……(一部、重複あり)。
三室弁護士事務所爆破事件の現場でリュックを背負った子供をみかける舞子。
場違いなその姿に舞子は興味を抱く。
休む間もなく連続してタクシー強盗事件が2件発生。
被害者の1人、永田は頭部に怪我を負っていた。
連続する事件に、忙し過ぎると富田たちは不満を洩らす。
次いで、三室弁護士が刺殺される事件が発生。
舞子は現場で新聞記者の土居と出会う。
土居は刺殺事件以外に何かの事件を追っているようだが……。
さらにそこでも例のリュック少年を見かけることに。
三室殺害について伊藤という男性が容疑者として浮上。
伊藤は代議士である山園吾一事務所の付近をうろついていたところを警戒中の巡査に発見。
追跡した巡査の前で、屋上から転落死してしまう……。
捜査責任者である真壁は、被疑者死亡で捜査を終わらせようとするが、その部下の1人・篠原は納得いかない様子。
ついに、篠原は独りで捜査を開始する。
舞子たちは伊藤が山園事務所に居たことに注目。
事務所付近へ足を運んだところ、土居に出会う。
伊藤を追い込み死亡させた巡査が署長賞を貰うことに憤懣やるせない様子の土居は、5年前と同じだと言う。
伊藤は5年前に子供を轢き逃げしていた。
当時、伊藤は刑事に追われており逃げる途中で子供を轢いてしまった。
結局、追っていた刑事は子供を助けるべく救急車を呼んだことで伊藤を逃がすことに。
子供はそのまま死亡。
後日、伊藤は出頭したのだった。
このときに伊藤を追った刑事も表彰されたが、数日後に自殺していた。
今回もコレと同じことが起こるのではないかと土居は危惧しているのだ。
そこへタクシー強盗の急報が飛び込んでくる。
舞子たちは現場へ急行する。
先着したのは富田たち。
激しく抵抗する強盗だったが、取り押さえられることに。
タクシー強盗は弱肉強食の世の中だから当たり前と反省の色もない。
ところが、そんな強盗も永田の件だけは覚えがないと主張するが……。
その頃、真壁と意見が対立し捜査本部で孤立していた篠原は三室殺害現場付近を歩く吾一の息子・山園夏彦の映像を入手。
その関与を疑っていた。
同じ頃、舞子は5年前の事件を調べていた。
薬物対策課の井伏刑事が、かねてよりの捜査対象である伊藤を追ったことで起こったこの事件。
轢き逃げにあった被害者は永田淳とその母親で、淳は死亡していた。
淳の父親の名前を目にし驚く舞子。
そこには例のタクシー強盗の被害者である永田智也の名があったのだ。
タクシー強盗が左利きだったことに気付いた富田は永田の証言に矛盾があることに気付く。
舞子たちは永田がアリバイ工作したのではと疑うが……。
真壁から睨まれていた篠原から山園夏彦の情報を入手した舞子。
三室弁護士刺殺事件と山園事務所の両方に土居が現れていたことで、土居が何かを掴んでいると察した舞子は土居から情報を引き出す。
伊藤と山園夏彦には古い付き合いがあった。
5年前にも、伊藤と夏彦は親しく交流があったらしい。
そして轢き逃げ後、伊藤は三室弁護士に付き添われ出頭していた。
さらに、自殺した井伏は伊藤の他にもう1人同乗者が居たと主張していたらしい。
土居は轢き逃げした運転手が伊藤ではなく、夏彦だったのではないかと疑っていたのだ。
同時刻、篠原は真壁の再三の制止を無視し独自捜査を続行。
ついに夏彦の部屋である証拠を発見し、夏彦の逮捕状を請求していた。
一方、舞子たちはリュック少年を再発見し保護していた。
少年によれば、母親が帰って来ないらしい。
空腹に耐えかねた様子の少年に食事を奢る舞子。
少年があちこちの現場に現れたのは、以前にも母親とそこを訪ねた為。
母親が夏彦を捜していたと聞いた舞子は、少年の語る夏彦が山園夏彦と知り驚く。
少年の名は吉岡正平5歳と判明。
育児放棄が疑われた為にそのまま連れ添うことに。
正平の怪我に注目した舞子。
犬の置物のある駒沢のマンションで転んだらしい。
そこは三室弁護士の刺殺現場だった。
正平によれば転んだ原因は白い手袋をしたおじさんとぶつかったからとのこと。
舞子は、時間的にも三室弁護士刺殺事件との関連を疑い、手袋からタクシー運転手である永田の顔を思い浮かべる。
連絡を受けた正平の母・真里菜が正平を引き取るべく署へやって来る。
真里菜は正平を放置し、夏彦と遊び呆けていたらしい。
現在の夏彦の居場所は知らないと語る真里菜。
夏彦が海外へ留学することを知った真里菜は、シロマルヤで買ったプレゼントを置いて来たと証言。
真里菜は外を出歩いた正平を叱りつけるが、舞子は育児放棄した真里菜を諭す。
舞子の言葉に、真里菜はあっさりと反省する。
正平の証言により、永田を追う舞子たち。
舞子から永田について聞かされた篠原は、あくまで夏彦の犯行であると主張。
5年前の事件の説明を受けて漸く納得を示すが、どうにも様子がおかしい……。
真壁に永田について報せる舞子たちだが、真壁は夏彦の犯行を疑わない。
篠原が夏彦の部屋で三室弁護士殺害の凶器を発見していたのだ。
凶器はシロマルヤの袋から出て来たらしい。
その頃、当の夏彦は永田に襲撃され捕まっていた……。
永田が消えたことで舞子は永田に緊急手配をかける。
それは真壁に真っ向から反抗することを意味していた。
ところが、永田は捕まらない。
どこかから情報が漏れているのか?
さらに、凶器の出処がシロマルヤの袋からだったことを思い出した舞子は「ありえないこと」に気付く。
そもそも、シロマルヤの袋は夏彦の留守中に真里菜が持ち込んだ物だったからだ。
つまり、凶器自体が篠原が仕込んだモノに違いない。
篠原と永田は仲間だったのだ!!
その頃、永田は夏彦の前で動機を語り出していた。
数ヵ月前、永田のタクシーに乗り込んで来た夏彦と三室弁護士。
2人は永田のことなどまるで覚えておらず、5年前の真相について語り始める。
やはり、轢き逃げは夏彦の犯行だった。
それを金で伊藤が身代わりになったのだ。
事実を知った永田は復讐を決意するように。
篠原の関与の証拠を捜す舞子は、土居に井伏の交友関係を調べるよう依頼。
土居によれば、井伏は“東京ディープブルー”と呼ばれるサークルに所属していたとのこと。
舞子は、篠原が身に着けていたダイバーズウオッチを思い出す。
井伏と篠原は恋人同士だったのだ。
一方、永田に監禁されている夏彦。
そこへ拳銃を構えた篠原が現れる。
篠原は永田に銃口を向けると、所持していたナイフを捨てるよう命令。
そのナイフを夏彦に拾うように指示する。
ところが、今度はナイフを拾った夏彦に銃を向ける。
正当防衛に見せかけ射殺するつもりなのだ。
三室弁護士殺害は永田の犯行。
永田は狂言のタクシー強盗でアリバイを確保した。
その後、篠原が凶器を夏彦の自宅から発見し夏彦にすべての罪を着せ殺害する計画だった。
爆弾を使用したのは伊藤に容疑を向ける為である。
夏彦を射殺しようとする篠原だったが、そこへ舞子たちが現れる。
捨て身の洋平の行動により、篠原は夏彦射殺に失敗し逮捕される。
自身の動機について明かす篠原。
井伏は夏彦こそが轢き逃げ犯であると知りながら逮捕できない自身の無力さに絶望し自殺していたのだ。
正義は失われたと繰り返す篠原に、舞子は篠原の正義も受け継ぐと誓う。
永田も連行され、事件は解決した。
舞子はすべての真相を土居に託し、報道による正義の執行を任せるのだった―――エンド。
<感想>
「警視庁機動捜査隊216」の記念すべきシリーズ化となる第2作目です。
第1作である前作は2010年7月19日に放送されているので、実に1年3か月ぶりのシリーズ続編となります。
シリーズ前作(第1作目)については過去記事でネタバレ批評(レビュー)ありますね。
・月曜ゴールデン 警視庁機動捜査隊216〜長い夜「眠らない街で交差する二つの殺人…エリート女性がなぜ売春を?大都会に潜む心の闇に機捜が迫る!リミットは24時間!?」(7月19日放送)ネタバレ批評(レビュー)
では、ドラマ版感想を。
う〜〜〜ん、微妙。
まず、永田のアリバイ工作が無意味。
単独犯ならばアリバイ工作が必要だが、複数犯なら共犯の篠原に殺害を依頼すればいいだけ。
どうしてもアリバイが必要ならば、それこそ篠原に証言して貰えば良い。
篠原は井伏とは結婚していないので5年前の事件からも分からない筈。
ここが納得できない。
そして、ひとつひとつの結論が性急過ぎるかなぁ……。
真里菜と正平少年のくだりは余りにも……。
あんなあっさり反省って……。
他にも、ラストも投げっぱなしの感が強い。
正義を口にしつつも、実際の執行は土居に丸投げするのはどうなんだろう。
結果も出ていないし。
夏彦を助けに飛び込んで来た舞子たちも微妙だった。
もう少し、間があってもいいと思うが……。
他にも、篠原の正義など消化不良も多い。
少なくとも、ラストでも真壁を登場させ何らかの形で関与させるべきだった気がする。
総合すると情報量が多いものの活かしきれていなかった印象。
全体的な雰囲気を重々しく見せてはいるものの、中身が追い付いていない。
前回の批判点が今回もまるまる通用すると言うべきか。
ただ、シリーズ化した以上はコレがこのシリーズのカラーとなるワケだから今後もこの調子なんだろうなぁ……。
キャストからも分かるように、キャラクターについて細かく設定していると思われるだけに、もっとそれが窺えるシーンがあっても良かったかも。
<キャスト>
沢村舞子(さわむらまいこ)[警視庁第二機動捜査隊警部補・38歳]:沢口靖子
○
金子洋平(かねこようへい)[警視庁第二機動捜査隊巡査部長・49歳]:赤井英和
○
篠原弓絵(しのはらゆみえ)[世田谷中央警察署強行犯係巡査部長・35歳]:井上和香
○
富田康介(とみたこうすけ)[警視庁第二機動捜査隊巡査長・34歳]:松尾諭
佐藤守(さとうまもる)[警視庁第二機動捜査隊巡査・26歳]:斉藤祥太
○
山園夏彦(やまぞのなつひこ)[大学院生・27歳]:窪塚俊介
吉岡真里菜(よしおかまりな)[キャバクラ嬢・26歳]:磯山さやか
伊藤真治(いとうしんじ)[無職・27歳]:森廉
三室基樹(みむろもとき)[弁護士・50歳]: 松澤一之
今田昭一郎(いまだしょういちろう)[タクシー強盗犯・29歳]:西興一朗
三上晃広(みかみあきひろ)[世田谷中央警察署強行犯係巡査長・27歳]:溝呂木賢
○
堀田睦夫(ほったむつお)[警視庁第二機動捜査隊警部・54歳]:石倉三郎
○
真壁洋一(まかべよういち)[警視庁管理官・52歳]:羽場裕一
○
永田智也(ながたともや)[タクシー運転手・40歳]:尾美としのり
○
土居健作(どいけんさく)[東亜新聞社会部記者・43歳]:西村雅彦 ほか
(順不同、敬称略、公式HPより)
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