2011年10月26日

「相棒season10(ten)」第2話「逃げ水」(10月26日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「相棒season10(ten)」第2話「逃げ水」(10月26日放送)ネタバレ批評(レビュー)です!!

日本で100番目に早い(たぶん)、「相棒season10(ten)」第2話「逃げ水」(10月26日放送)ネタバレ批評(レビュー)。

相棒1


<ネタバレあらすじ>

10月といえど暑さの残るこの季節、伊丹たちが事件現場へと足を運んでいた。
被害者は川北誠也(川野直輝)。

川北は5年前に新開拓海(和木亜央)という青年を殺害した罪で懲役5年の実刑を受けていた。
川北の遺体の背中には足蹴にされた跡が残されていたが……。

容疑者として拓海の父・新開孝太郎(綿引勝彦)が浮上。
刑事での判決に不満を持ち、民事で損害賠償を求める訴訟を起こしていた孝太郎。
その弁護士となったのは、元法務大臣の瀬田(渡哲也)だった。
瀬田と面識のあった右京(水谷豊)は神戸(及川光博)と共に早速会いに行く。

瀬田によれば、川北は1億円あまりの賠償金の支払いを命じられていたが、いまだに一度も払われていないらしい。
しかも、川北の父が行方不明だとも教えられる。

瀬田から紹介され、新開を訪ねる右京たち。
新開は川北が支払いを滞らせていることを主張。
川北が全く反省していないと語気を荒くする。

4年前、川北の両親は損害賠償を新開夫婦に持ちかけた。
感情的に納得いかなかった新開は拒否。
川北側の弁護士はそれを逆手に取ると「誠意が通じた為に損害賠償など必要ないと新開側から申し出があった」と主張。
この為に川北の判決が軽いものになったらしい。
新開はこのことからも川北家に不信感を抱いていた。

新開の妻は「(川北の死を)罰が当たった」と語るが……。

次に川北の姉を訪ねることに。
川北の姉は結婚していた。
神戸は、姉の自宅付近で川北の父と思われる初老の人物を見かける。

川北の姉に話を聞く右京たち。
川北の母は事件の心労がもとで死亡、姉も父の行方は知らないらしい。
川北の姉は「こうなって(弟が死亡して)良かった」と呟く。
姉は川北に損害賠償の支払い意志を確認したが、川北自身は支払いを拒否していたことも分かる。
最後に川北の父の写真を借り受けることに。
それは間違いなく神戸の見かけたあの男性だった。

川北の姉によれば、川北の父は川北の出所の日を知らない以上、殺すことは出来ないと断言するが……。

神戸が捜査一課に川北の父を見かけたことを報告していたそのとき、新開夫婦が現れる。
川北の父に対する目撃証言を持ち込んで来たのだ。
ひと月前に見たとの夫婦の証言をもとに捜査を開始しようとする伊丹たちに新開の妻は「あのときは捜査してくれなかった……」と不満を口にする。

その頃、右京は角田課長に依頼し煙草を吸って貰っていた。
どうも、被害者である川北の遺品と同じ銘柄らしいが、この行動に何かの意味があるのだろうか?

そこへ神戸から目撃証言について報告を受けた右京は新開夫婦を訪ねる。
右京はタイミングが良いことに注目。
川北の姉宅を右京たちが訪れたことを知った上での情報提供であると看破する。
つまり、新開夫婦は何度も姉の家に足を運んでいたのだ。
新開夫婦によれば、これが初めてではないらしい。

少しでも被害者の気持ちを知って貰いたいとの行動だったと弁明する新開。
他意はなかったと付け加えるが、その妻は「(川北の姉が)スーパーでお寿司なんか買ってと泣いて怒ってたじゃないの!!」と夫の気持ちを代弁する。

妻の言葉に新開は、被害者遺族の気持ちを川北家にも味あわせるつもりだったと打ち明けることに。
そんな新開の行動を瀬田も知っていたらしい。
「通われる加害者家族も辛いが、通う被害者遺族も辛い筈だ」と瀬田に諭されて以降は、あの日が初めてだと説明する。

そこへ現れる瀬田。
瀬田立ち会いのもとで、川北から届いた反省の手紙を読む右京。
そこには謝罪の言葉が綴られていたが……新開によれば、川北は減刑の為にこれを書いていたらしい。
その証拠に刑が確定した途端、ピタリと止んでしまったと言う。
川北を許せないと繰り返す新開。

損害賠償請求の訴訟を起こして以来、「そんなに金が欲しいのか?」などと新開の行動を非難する手紙や貼り紙が届くようになったことも分かる。
それでも川北への怒りはおさまらなかったと憤る新開。

一方、伊丹たち捜査一課は着々と捜査を進めていた。
その過程で、川北の父を捜しに来た30代の女性が居たことが判明。
さらに、川北の父の住居も明らかになる。
だが、当の川北の父は既に転居していた。

30代の女性の正体が判明。
新開の依頼で川北の父を捜していた探偵だった。
しかも、探偵から川北自身の行方も突き止めていたことが明らかにされる。

これを受けて、伊丹たちは新開夫婦が川北を殺害したと判断。
追及するが、瀬田に止められる。

翌日、新開夫婦がマスメディアに対し川北殺害を認める旨の発言を行う。
世間の耳目がこの事件に集まることに。

その頃、川北の父の所在も判明していた。
ビジネスホテルを転々としているらしい。
伊丹たちはそちらへと向かう。

川北の父は、加害者家族としてマスコミ報道にさらされたことを涙ながらに語る。
妻はその餌食になったと口にする川北の父。
川北の父は息子を捨てたことを後悔していないらしい。
それどころか、新開夫婦の手で息子が殺されたと聞かされると安堵の表情を見せる。
さらに、息子が死亡したことで家族は救われたとの感想まで洩らす。

同時刻、川北の姉の前には右京と神戸が居た。
川北を殺害したのは実の姉だったのだ。

最初に川北の姉宅を訪れた際に右京は煙草の残り香を嗅いでいた。
それが川北の銘柄と同じだったのだ。
そして、川北の遺体の背中に残された男物の靴跡。
あれは姉宅から運び出した際に、玄関で他の靴の裏がスタンプされたものだった。

川北の姉は「弟は2人も殺した」と訴える。
「新開拓海と私の母を殺した」のだ、と。

にも関わらず、川北は何の反省もせず、あの日、姉の前へと現れた。
川北は損害賠償として少しだけ新開夫婦に支払うと、後は誤魔化すつもりだった。
弟の不誠実な対応に怒りを禁じえない姉。
しかも、弟は逃げれば済むかもしれないが、自分はそうはいかない。
またも、この弟の所為で新開夫婦の矢面に立たされることになるのである。
夫も巻き込んでしまう……。

そんな姉の気も知らず、呑気に川北は出所した当日のことを語り始める。
アスファルトから立ち上る熱気。
真夏日に見た水たまりは近付いても近付いても離れて行く。

「あれ、なんて言ったっけ?」

その瞬間だった。
川北の姉は自身に背中を向ける弟に凶器を振り下ろした。

崩れ落ちる弟に「逃げ水よ……」と伝えながら。

「今度は弟ではなく、私自身のしたことで責められるんですよね」
どこかほっとしたような川北の姉の言葉。
こうして姉は罪を認めた。

川北の父に事情を説明する右京。
娘が息子を殺したことを察した父親はその場で泣き崩れる。

そして、新開夫婦。
右京から自首を否定された夫婦は捜査を妨害したとして公務執行妨害の罪を望む。
新開夫婦の目的は、刑事でも民事でも癒されない傷があることを世の中に問いかけることだったのだ。

「私自身の正義よりも、あなたがたの感情の方が大切です」
瀬田はそんな新開夫婦の気持ちを理解した上で、誤っていると知りつつその行動を支持する。

出頭する新開夫婦を見送る右京と神戸。

新開宅からの帰路。
下りの坂道を右京と神戸が歩いている。

「加害者に一生をかけて償って欲しいとの希望は被害者遺族に限ったものではないんですね」と神戸。
それに対し無言の右京。

沈黙に耐えかねた神戸は次の問いを口にする。
「何故、父親に娘の犯行を教えたんですか?少なくとも杉下さんが教える必要は無かった」

そんな神戸の問いは、情を重んじれば至極もっともなもの。
それに対し、右京はにべもない。
「人の罪を問うべき者として、当然の態度です」

神戸を置いて去り行く右京、その背中越しに“逃げ水”を見る神戸―――2話了。

<感想>

シーズン10(ten)第2話。
脚本は櫻井武晴さん。

さて、今回はというと……。

テーマは「被害者遺族と加害者家族の心の傷」でしょうか?
事件とは当事者だけではなくその周囲をも巻き込んでしまうとのメッセージが込められていたように思われました。

しかし、何よりも本エピソードで注目すべきは裏テーマ。
「正義と情」です。

瀬田と右京の対比が際立っていましたね。
自身の正義を持つものの、新開夫婦の心情を理解し優先させる瀬田。
一方、自身の正義を持ち、その正義こそが全ての基準となる右京。

右京ならば瀬田のような対応は出来ないでしょう。
それはラストの神戸との会話でも明らかにされています。

確かに右京は正義を志す者にとっては模範となるべき存在でしょう。
だが、同時に情を理解する神戸にとって、右京は“逃げ水”のように遠い存在に見えてしまった。
この差は非常に大きい。

「絶対的正義」を標榜する右京。
これは右京ならではの武器ですが、同時に限界のようにも思えます。

これが本シリーズにどのような影響を与えて行くのか?
それとも、2話のみに留まるのか?
シーズン10を視聴する上で、またひとつ注目ポイントが増えましたね。

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posted by 俺 at 23:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 相棒 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
逃げ水って右京の神戸の想いも含んでるのか、さすがです。
管理人さん。

川北のオヤジさんが泣き崩れたときは思わずもらい泣きしてしまいました。
Posted by 青山 at 2011年10月27日 14:22
Re:青山さん

管理人の“俺”です(^O^)/。

“逃げ水”は姉や神戸だけではなく、新開夫婦の感情の持って行き場が失われていることも示しているのでしょうね。

川北の父を演じた役者さん、迫真の演技でしたね。
「家族を守れた」の伏線があって「娘の犯行を知らされた」際の悲嘆が胸に迫りました。
Posted by 俺 at 2011年10月29日 23:25
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