2011年11月17日

水曜ミステリー9「松本清張企画最終章 聞かなかった場所〜謎に満ちた夫の急死!燃える山鹿灯籠が暴く愛人との密会…女性官僚が堕ちた獣道(3週連続松本清張特別企画“聞かなかった場所” 夫に愛人が?女性官僚が堕ちた罠…俳句に隠された密会の屋敷)」(11月16日放送)ネタバレ批評(レビュー)

水曜ミステリー9「松本清張企画最終章 聞かなかった場所〜謎に満ちた夫の急死!燃える山鹿灯籠が暴く愛人との密会…女性官僚が堕ちた獣道(3週連続松本清張特別企画“聞かなかった場所” 夫に愛人が?女性官僚が堕ちた罠…俳句に隠された密会の屋敷)」(11月16日放送)ネタバレ批評(レビュー)です!!

<あらすじ>

厚生福祉省に勤める浅井恒子(名取裕子)は、女性・子育て支援局の次長として活躍するやり手のキャリア・ウーマン。
部下である総務課長の沼袋(金田明夫)に対するあたりは厳しいが、「少子化」をテーマにした恒子の講演会は、笑えて為になると常に評判だ。
夫の英夫(伊藤洋三郎)は一応小説家だったが、若い頃に大きな文学賞を受賞して以来全く小説が書けず、家計は全て恒子が支えていた。
そんなある日、恒子は突然出張先で英夫が亡くなったことを知らされる。長年心臓に持病を抱えていたが、心筋梗塞を起こしてしまったのだという。
しかも恒子は葬儀後、義妹の博美(川上麻衣子)から意外なことを聞かされる。
なんと英夫は大塚で倒れ亡くなったというのだ。馴染みのない大塚になぜ英夫はいたのか…?全く心当たりがない恒子は引っ掛かるものを感じる。
しかし、英夫が倒れた際近くの薬局の店主が救急車を呼ぶなどして介抱してくれたこともあり、博美に促され恒子は薬局へお礼に向かうことになる。
数日後、恒子と博美は大塚にやって来た。
坂の途中にある古ぼけた小さな薬局・高橋薬局で英夫は息を引き取ったのだという。
恒子は、店主の高橋(大杉漣)に感謝の言葉を口にするが、どこか様子のおかしい高橋の態度に戸惑いを覚える。
しかも、英夫が坂のどちらから歩いて来たのかを尋ねたところ、坂の上からだと聞かされ、恒子はますます困惑する。
坂の上にはラブホテルが軒を連ねていたのだ…。
英夫は浮気をしていたのか?そもそも英夫が何の為に大塚へ行ったのか?疑問を抱いた恒子は手掛かりを探し始める。
坂の上のラブホテルをしらみつぶしに当たるなど大塚に通いつめる恒子だったが、英夫のことを見かけたという目撃証言は一向に得られず、やがて恒子は次第に手がかり探しを諦め、もとの多忙な生活に戻っていく。
そして、3ヵ月後。ますます仕事に打ち込むようになり、出世街道をひた走る恒子は、ある晩ふと思いつき再び大塚へと足を向ける。
ところが大塚に行ってみると、坂の途中にあったはずの高橋薬局は、駅前の一角へと移転し新装開店していた。駅前の店へと足を運ぶと、 古ぼけた薬局店の冴えない店主だったはずの高橋が、若い従業員を雇いはつらつと働いていた。何故坂道の小さな店から、立地の良い駅前へと移転することが出来たのか…?気になった恒子は、登記簿を調べることにする。
すると思わぬ事実が判明し…。
(水曜ミステリー9公式HPより)


では、続きから(一部、重複アリ)……。

高橋が移転した駅前の土地は価値にして1億円。
到底、高橋には無理だと考えた恒子は調査を開始。
そこで、駅前の土地の持ち主が久保家のものだと突き止める。
高橋が久保家から譲り受けたのだ、何かの報酬に違いない。

しかも、久保孝子の家が大塚にあったのだ。

何がしかの作為を感じた恒子は久保家の家政婦から情報を聞き込む。
それによれば、英夫の死亡した当日に小火騒ぎがあったらしい。
民芸品の凧にアロマの火が燃え移ったと言う。
家政婦は直接現場を見たわけではないが、消火活動に使われたと思われるバケツが3つあったことを覚えていた。

バケツが3つ。
孝子1人ならばバケツは多くても2つで充分だ。
つまり、もう1人その場に居たことになる。

にも関わらず、孝子はその人物の存在を隠している。
しかも、高橋に弱味を握られ土地を与えることにもなっている。

考えられることはただ1つ。
孝子の家に英夫が居たのだ。
そこで小火騒ぎが起き、消火活動を行った為に英夫が発作を起こして死んだのだ。

しかも、高橋が偽証しているとするならば、移動途中ではなく久保家の中で死亡したに違いない。

ここまで推理した恒子は孝子にぶつかるが、孝子は平然としたものだった。
苛立った恒子は対決を決意。

祖父を見舞い、八王子病院から帰宅途中の孝子を掴まえる。
近くの茂みへと場所を移った恒子と孝子。

恒子は自分の推理を再度、語って聞かせると孝子に謝罪を要求する。
ところが、孝子は開き直ると逆に恒子を馬鹿にし始めた。
プライドが傷つけられた恒子は思い余って孝子を殺害してしまう。

慌てて逃げ出した恒子は、途中で怪我をしてしまい立ち往生することに。
そこへ八王子病院の橘看護師が通りかかる。
手当てを受け、車で駅まで送り届けて貰う恒子。

半月後、恒子は厚生福祉省初の女性局長に就任。
一躍、脚光を浴びる。

一方、下岡たち捜査員の必死の捜査にも関わらず、孝子殺害犯は杳として知れなかった。

安心していた恒子だったが……孝子殺害を恒子の犯行と見抜いた人物が居た。
高橋である。

高橋は恒子に脅迫を始める。
恐れ慄く恒子。

間の悪い時には悪い事が重なるもの。
ある日、恒子は講演会の参加者リストの中に八王子病院の名前を見つける。

(マズイ……橘は私の顔を覚えているかもしれない)

そう考えた恒子は「八王子病院の橘看護師率いるチームの取り組みは素晴らしい」と表彰するよう指示を出す。
表彰式は講演会と同じ日である。
別のイベントに橘を参加させることで、自分がスケジュールを変更することなく顔合わせを避けたのだ。

この狙いは上手くいった。
恒子はほっと胸を撫で下ろす。

一方、高橋の脅迫はエスカレートするばかり。
我慢の限界を超えた恒子は高橋殺害を決意し、包丁を買い求める。

そのまま職場へ向かうと、沼袋から来客について紹介される。

なんでも、お礼が言いたいとやって来た人物がいるらしい。

まさか―――強張る顔を止められない恒子。
そんな恒子の前に現れたのは橘と仲間の看護師たちだった。

推薦してくれた恒子に表彰のお礼を伝えに来たのだ。

橘は恒子の顔を見て「会いましたよね?」と語りかけて来る。
覚悟を決めた恒子は「お礼なんて……私の方が言いたいぐらいよ」と呟く。

「罪を重ねることを阻止してくれたわ……」
それは、聞こえるか聞こえないかの小さな声。

恒子の手から提げられた紙袋が力無く床に落ちる。
そこからは使われることの無くなった包丁の鈍い光が覗いていた―――エンド。

<感想>

「水曜ミステリー9」3週連続松本清張特別企画の第3弾。
松本清張先生原作「聞かなかった場所」(角川書店刊)のドラマ化です。

<「聞かなかった場所」あらすじ>

妻の死の真相を追って運命に翻弄される一人の男。力作長編。

農林省の係長・浅井が妻の死を知らされたのは、出張先の神戸であった。外出先での心臓麻痺による急死とのことだったが、妻が倒れた場所は、妻が一度も口にしたことのない町であった…。一官吏の悲劇を描く力作長編。
(角川書店公式HPより)


「聞かなかった場所」はこれまでに2度ドラマ化されています。
管理人は風間杜夫さん主演の1997年版を再放送で視たことがあります。

さて、そんなドラマ版の感想を!!

今回はかなり意欲的なシナリオでしたね。
なんと、主人公を男女逆転にしています。

そして、ラストもかなり意欲的。
高橋殺害を決意した時点でエンディングに入り、そのまま終わりかと思いきや!!
橘が登場し、急転直下のラストとなりました。

これはこれでかなり良いドラマでした。
3週連続企画の締めを飾るに相応しい出来だったと思います。

ちなみに、渡辺いっけいさん演じる下岡も3本全部出演。
ゲスト的な役割ばかりでしたが、皆勤でした。

<キャスト>

浅井恒子(厚生福祉省・女性・子育て支援局次長(のち局長)):名取裕子
久保孝子(厚生福祉省・福祉・援護局):酒井美紀
石田博美(英夫の妹):川上麻衣子
浅井英夫(恒子の夫):伊藤洋三郎
花井駒子(孝子宅の家政婦):石井トミコ
市川洋介(厚生福祉省・女性・子育て支援局審議官):藤堂新二
丸山芳江(英夫の教え子):茅島成美
橘 真弓(看護師):森奈みはる
下岡有作(警視庁捜査一課刑事):渡辺いっけい
沼袋 潔(厚生福祉省・女性・子育て支援局総務課長):金田明夫
高橋千代吉(薬局経営):大杉漣 ほか
(順不同、敬称略、公式HPより転載)


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ドラマ原作「聞かなかった場所 (角川文庫)」です!!
聞かなかった場所 (角川文庫)



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