2011年12月12日

「機動戦士ガンダムSEED」(2002年、日本)

管理人の大好きな「機動戦士ガンダムSEED」が「HDリマスター Blu-ray BOX」で発売されるそうです。
そこで、遂に「機動戦士ガンダムSEED」のネタバレ批評(レビュー)を敢行します。
ネタバレあらすじを読んでみて気に入られたら是非、本編もどうぞ!!

さて、「ネタバレあらすじ」はかなり長いですが、覚悟は宜しいでしょうか?
では、スタート!!

<あらすじ>

C.E.70。経済圏の確立を求めるコーディネイター(ザフト)とナチュラル(地球連合)の軋轢は「血のバレンタイン」の悲劇によってついに武力衝突へと発展した。
モビルスーツを要するザフトを各地で地球軍が圧倒するが、戦渦は予想に反し長引いていく。「血のバレンタイン」から11ヶ月が経った頃、中立国の工業コロニー<ヘリオポリス>に住むコーディネイターの少年キラ・ヤマトは、ザフトによるガンダム奪取作戦に巻き込まれる。その奪取作戦にはザフトの軍人となった、キラのかつての親友アスラン・ザラが参加していた。戦火の中、運命的な再会を果たす二人。しかしキラは、ナチュラルである友人を守る為、唯一奪取を免れたストライクガンダムに乗り、アスランと敵対することになるのだった・・・。
(アマゾンドットコムさんより)


コズミック・イラ70―――遺伝子改造を受けた人々・コーディネイターは、宇宙にプラントという独自のコミュニティを形成。
地球に住む人々・ナチュラルと対立していた。
この事態にナチュラル側は地球軍を組織、プラント側も対抗すべくザフトという名の軍を組織する。
睨み合いが続く中、地球軍の強硬派が核を用いてプラントを攻撃し民間人が虐殺される事件が起こった。
「血のバレンタイン」と呼ばれるこの悲劇により地球軍、ザフト間は戦争状態に突入した。
この事件の裏にはアンチコーディネイター、ナチュラル至上主義を標榜する強硬派のブルーコスモスが暗躍していた。

当初、戦争自体は物量で圧倒する地球軍優勢と思われていたが、実際は違っていた。
ザフトは核の使用を阻止する為に地球に向けてニュートロン・ジャマーを打ち込んだ。
これにより核は効力を失う。

さらに、ザフトは秘密裏に開発していたモビルスーツ・ジンを量産、戦線に投入することで不利を覆した。
モビルスーツの効果は凄まじく、ザフトは支配地域を拡大していく。
だが、これはザフトにとっても枷となった。
支配地域に見合うだけの人員も物量もザフトは持ち合わせていなかったのである。

こうして、互いに決め手を欠いたまま膠着状態に陥ることとなった両陣営。

ここで地球軍側のハルバートン提督はモビルスーツの有効性に注目。
自陣営のモビルスーツ開発に着手する。
開発に際しては、中立を宣言していた技術立国・オーブ首長国の協力を得た。

こうして、オーブの工業コロニー・ヘリオポリスで秘密裏の開発が行われることに。
あらゆる状況下に対応出来るように5体のモビルスーツが試作された。

数タイプのモードに変更することで汎用性を持たせたストライク。
対艦戦用にMA機構も搭載し航続距離を伸ばしたイージス。
近接戦闘に特化したデュエル。
長距離支援に特化したバスター。
特殊工作に特化したブリッツ。

本来、地球軍に勝利をもたらす筈だったこの5体だったが、開発を察知したザフトの名将ラウ・ル・クルーゼにより4体までが奪取されてしまう。

イージスに乗るのはアスラン・ザラ。
プラント最高評議会議員で主戦派で知られるパトリック・ザラの子息である。

デュエルに乗るのはイザーク・ジュール。
こちらもプラント最高評議会議員でザラ派のエザリアの子息である。

バスターに乗るのはディアッカ・エルスマン。
イザークと親しい。

ブリッツに乗るのはニコル・アマルフィ。
ニュートロンジャマー研究者の息子で、ピアノに才を持つ俊英。

いずれもクルーゼ隊のエリートであった。

このクルーゼ隊の奪取作戦によりヘリオポリスは崩壊。
しかし、クルーゼ隊にも思わぬ被害が出ていた。
奪取に際して地球軍側の反撃によりベテランパイロットのミゲル・アイマンを失っていたのである。
これは、奪取し損ねた最後の1体・ストライクに乗ったオーブ側コーディネイターのキラ・ヤマトによるものであった。

キラはアスランと月の幼年学校での親友。
戦争を嫌いプラントを避けオーブの国民となっていたキラはそこで工学部の学生となっていた。
キラは普通の少年として育ち、友人であるサイの婚約者フレイ・アルスターに叶わぬ恋心を抱いていた。
そんな日常を破る襲撃である。
思わぬ再会に驚くアスランとキラ。

結局、アスランの躊躇とキラの素人とは思えぬ操縦技術により、クルーゼ隊の奪取作戦は不完全なものに終わる。
こうして、キラはMS運用母艦・アークエンジェルと共に脱出することとなった。

同行したのはアークエンジェルの艦長となったマリュー・ラミアス。
副官にナタル・バシルール。
そして、地球軍のエースパイロットで“エンディミオンの鷹”と名高いムウ・ラ・フラガ。
それに、他のクルーの面々。

こうして、逃避行を続けることとなった一行。
ムウの駆るMAと共に何度となく追撃を退けるキラ。

途中、ザフトの歌姫であり現最高評議会議長シーゲル・クラインの愛娘であるラクス・クラインを保護する。
ラクスはアスランの婚約者であった。
ラクスを人質にザフトの追撃を避ける作戦が実行されるが、キラはこれに反発。
独断でラクスをアスランのもとへ送り届けるのだった。

ザフトの追撃を受けながらもキラの驚異的な活躍で回避し続ける一行。
だが、アークエンジェルは無事なものの、実際に地球軍の被害は甚大なものとなっていた。

拠点の一つアルテミスはブリッツにより壊滅。
アークエンジェルを保護するべく向かっていた増援部隊はイージス、デュエル、バスター、ブリッツ4体により全滅。
搭乗していたフレイの父も死亡した。
遂には地球降下の際にハルバートンも散ってしまう。
しかも、この降下作戦中にデュエルの手により民間人の乗ったシャトルまで撃墜されてしまった。

これにショックを受けたキラに近付く人物がいた。
政府高官である父を失ったフレイ本人である。
父の仇であるコーディネイターを憎む彼女は、キラを誘惑。
コーディネイターであるキラを利用し、コーディネイター同士で傷付け合せようとしていた。
傷心のキラはこれに応じてしまう。

何とか地球へと降下したものの、そこもザフトの勢力圏内。
“砂漠の虎”と称されるアンドリュー・バルドフェルド率いる部隊の拠点となっていた。
バルドフェルドは四足歩行型局地戦用MS・ラゴゥを駆る強敵。

キラはこの地で反ザフトを掲げるゲリラに救われる。
そこにはキラがヘリオポリス崩壊時に知りあった少女の姿もあった。
彼女の名はカガリ。
活発な彼女に惹かれるキラ。

しかし、バルドフェルドの攻撃は休まる暇を与えない。
何度となく交戦するうちに決戦の意志を固めたバルドフェルドは遂にキラと激突する。

互角の勝負を繰り広げるラゴゥとストライクだが、内なる能力・シードに覚醒したキラの前にラゴゥは討たれるのだった……。
バルドフェルドは恋人・アイシャと共に爆煙の中に消えて行った。
キラはバルドフェルドから「戦争にはゴールがない」ことを教わるのだった。

こうして、バルドフェルドを破ったキラたち。
だが、ザフトの勢力圏を抜ける為の旅は続く。

ザフトではシーゲルに代わりパトリック・ザラが最高評議会議長に就任。
戦時色が強まっていた。

不在のクルーゼに代わり、隊の指揮を執ることになったアスラン。
地球へと降下し、アークエンジェルを追う。

遂に捕捉し、オーブ近海にて激突することに。
そんな中、偶然にもアスランはカガリと出会う。
互いに敵対する2人だったが、アスランの人柄にカガリは惹かれるのだった。

再度、激突する面々。
アスランはイージス、デュエル、バスター、ブリッツの全機を投入。
ここにアークエンジェルは大ダメージを負い、オーブ近海に不時着する。

実はオーブの現代表であるウズミの娘だったカガリ。
その呼びかけに応じたオーブはアークエンジェルを匿う。
アークエンジェルは代わりにストライクの実戦データとキラの技術供与を行う。

オーブ側はこれをもとに量産型MS・アストレイの最終調整を行う。
中立国としての力を保持するべくウズミの考えた策であった。

キラはフレイとの関係を疑問視し、清算するべく別れを切り出す。

一方、アスランはオーブに潜入、キラと再会する。
互いに対立陣営に属していることを再確認した2人は運命を嘆く。

アークエンジェルはザフトの目を逃れてオーブを密かに脱出することに。
だが、アスランが見逃す筈がない。
ここに再度、4体のガンダムが出撃し、ストライクと交戦する。

しかし、キラは驚異的な成長を遂げていた。
ストライクの動きはアスランたちの予測を超える。

デュエル、バスターと戦線を離脱。
イージスも半壊し、それを助けようとしたブリッツがストライクに大破させられる。
コクピットを貫かれたニコルは戦死してしまうのだった。

ニコルを失ったことで自身の甘さを確認したアスランはキラ殺害を決意。
本気でイージスを駆る。

こうして、イージス、デュエル、バスターが出撃した。

デュエルはストライクにより離脱。
バスターがムウのスカイグラスパーと激闘を繰り広げる。
イージスはストライクと一騎打ちとなるが、今回は互角以上の戦いぶりを見せる。

不利となっているストライクを助けるべく出撃したキラの親友・トールだったがイージスに撃墜。
トールは戦死する。

ニコルを失ったアスラン。
トールを失ったキラ。
互いに友を失った親友同士はここに激情をぶつけ合う。

双方、シードに覚醒するとストライク、イージスは損傷していく。
キラがやや優勢となるが、アスランはMA形態でストライクを組敷き自爆を図る。
これには逃げる術もなく、ストライクはイージスの自爆に巻き込まれるのだった。

結果、アスランはオーブのカガリに保護。
キラは行方不明として戦死扱いになってしまう……。

一方、バスターはムウの一撃により墜落。
パイロット・ディアッカは捕虜となった。

多くの犠牲を出しながらも、アークエンジェルは遂に地球軍本部へと辿り着く。
最大の功労者を欠きながらも。

フレイはキラが行方不明と知り、困惑してしまう。
この結果を望んでいた筈なのだが、何故か涙が止まらないのだ。

地球軍本部はアークエンジェルの扱いに困っていた。
まさか、辿り着くとは思っていなかったのだ。
実は、アークエンジェルは捨て駒扱いされており、軍本部では既に新たな旗機が3体も用意されていた。
そこで本部は非情な決断を下す。

ナタル、ムウ、フレイに転属命令が出た。
残されたアークエンジェルメンバーには本部の守備隊への配属命令が。

矢先、ザフトの「オペレーション・スピットブレイク」が発動される。
これは早期決着を狙うザフトによる地球軍本部制圧作戦だった。

こうして、本部は一転して安全地帯から激戦地に。
守備隊であるアークエンジェルも出撃を余儀なくされる。
しかし、奇妙なことにこの防衛戦に地球軍主力部隊の姿はないのだった……。

その頃、プラント首都にあるクライン邸に1人の少年が居た。
誰あろう、キラ本人である。
キラはラクスに保護されていたのだ。

戦争を嫌い、戦うことを拒否するキラ。
ラクスはそんなキラを慈しむように抱擁する。
シーゲル、ラクス親娘はこれ以上の戦火を避けるべく、ザラ派とは別に終戦工作を行っていた。

だが、「スピットブレイク」の目標が地球軍本部であると知ったキラは動揺。
アークエンジェルのメンバーを助けるべく地球に向かうことを望む。

ラクスはそんなキラに力を与えようと行動。
ザフトの最高軍事機密である新型MS・フリーダムを預ける。
フリーダムは核エネルギーで機動する最新鋭機体。
核の無効を無効化するニュートロンジャマーキャンセラー搭載機であった。
もちろん、これは部外秘である。
シーゲル、ラクスらは反逆者として追われる立場に。

フリーダムを受領したキラは一路、地球軍本部へと向かう。
擦れ違ったシャトルにオーブから戻ったアスランが乗っているとも知らずに。

同じ頃、地球軍本部ではアークエンジェルが苦戦していた。
指揮系統は機能せず、各自が散発的に応戦している状況に本部の陥落は目前と思われた。

そこへ転属命令を拒否したムウが意外な情報を持ち込んでくる。
本部地下にサイクロプスが眠っていると言う。
それが爆発すれば本部はおろか周辺地域一帯が吹っ飛ぶ威力らしい。
地球軍本部は基地守備隊を囮にザフト軍の主力を消滅させるつもりだったのだ。

スピットブレイクの目標はクルーゼによって事前にリークされていたのだ。
本部に潜入したクルーゼはサイクロプスを確認すると、たまたま出会ったフレイを連れ去ってしまう。
クルーゼの目的は一体……。

本部の真意を知ったアークエンジェルは現地からの離脱にかかる。
退路を切り開くムウ。
だが、多勢に無勢。
少しずつ、取り囲まれていくアークエンジェル。
そこへ艦橋を狙うジンのライフル―――。

誰もが頭を抱える中、空から一体のMSが舞い降りる。
MSはジンのライフルを狙撃すると、ジンを行動不能に追い込む。
それこそ、キラが操るフリーダムだった。

状況を把握したフリーダムはその圧倒的な性能で周辺を制圧。
サイクロプスの存在を告げ、地球軍、ザフト問わず脱出を勧告する。

フリーダムに挑みかかるデュエルだったが一蹴され戦線離脱。
あくまで不殺を貫くフリーダムはジンを小破させつつ、アークエンジェルの退路を確保する。

こうして、脱出に成功したアークエンジェル。
直後に地球軍本部ではサイクロプスが炸裂。
敵味方問わず多くの命がその光の中に消えて行った。

難を逃れたアークエンジェルは地球軍のやり方に疑問を抱き離反、オーブに身を寄せる。
そこにはフリーダムと共にキラも居た。

一方、オペレーション・スピットブレイクの失敗により多大な損害を被ったザフト軍。
地球上での勢力比は一気に地球軍側へと傾きつつあった。
これに焦りを募らせたザフト軍は、残存勢力を集結。
地球軍唯一の宇宙への移動手段であるマスドライバーを擁する拠点・パナマを攻撃する。
途中、地球軍側のMS・ストライクダガーが実戦投入され一部の戦線で押し返されるものの、最終的に攻略に成功。
この際、投降した地球軍側兵士が復讐心に猛ったザフト軍兵士により多数虐殺されている。

マスドライバーを失った地球軍は、もう1つのマスドライバーを保持するオーブに注目。
中立を標榜するオーブに地球軍側への所属を求める。
これをオーブは拒否。

面目を潰された形になった地球軍側は強硬手段を採る。
軍を投入したのだ。

地球軍指揮官はムルタ・アズラエル、反コーディネーター組織・ブルーコスモスの現盟主であった。
ビジネス界の風雲児としても知られるアズラエルは、この戦闘に3体の新鋭機を投入。

イージスの変形機構を改良し、飛行形態によるヒット&アウェイを実現させた強襲用機体・レイダー。
ブリッツの特殊兵装の設計思想を受け継ぎ、ビーム兵器を無効化するゲシュマイティヒパンツァー搭載機体・フォビドゥン。
バスターの長距離支援を強化し、さらに火力を充実させた支援用機体・カラミティ。

実戦データをとるべくこの3機体が戦線に投入されたのだ。
これにストライクダガー隊が続く。

オーブ側もアストレイにて対抗するが、質量ともに戦力差は埋めようがない。
オーブの苦境を救うべく、自分の意志でアークエンジェルとキラも参戦する。

ストライクに乗り換えたムウ。
捕虜として生活するうちに戦争に疑問を抱いたディアッカもバスターで出撃。
これにアークエンジェルとフリーダムのキラが加わり、戦線は持ち直すかに見えた。

しかし、アズラエル自慢の3機体は強かった。
ストライクダガー相手には圧倒的な強さを見せたフリーダムも、1対3に持ち込まれ追い詰められていく。
その様子をじっと眺める赤い機体があった……アスランが乗るフリーダムの兄弟機ジャスティスである。

ザフト本国ではクライン派は反逆者とされ、拘束あるいは殺害されていた。
ラクスを婚約者とするアスランは事態の急変に戸惑う。
そんなアスランにザラはラクスとの婚約解消と持ち出されたフリーダムの奪取を命じる。
ザラはフリーダムと対抗する為に、フリーダム同様にニュートロンジャマーキャンセラーを搭載したジャスティスをアスランに預ける。
アスランは戦争それ事態に疑問を持ちつつも命令に従う……。

フリーダム=キラの危機を見たアスランは彼を助けるべく、咄嗟に介入行動をとる。
それは友情からか、自分の疑問に答えを見つける為の行動だったか……。

フリーダムとジャスティスの連携によりレイダーたちが不利に。
戦線が膠着していると見たアズラエルは一時撤退を命令。

ここに第1次オーブ攻防戦は終わりを告げた。

わだかまりを抱えるキラとアスランだったが、互いを知るカガリの仲裁で戦争根絶に向け動くことを決める。

その頃、オーブには再度、降伏勧告が行われていた。
一度は退けたものの、無尽蔵に補給できる地球軍側とオーブでは戦力差は絶望的であった。

ここにオーブの指導者にしてカガリの父・ウズミはオーブ国民の国外退去を実施。
オーブ指導部の自決とマスドライバーを自爆させることに決める。
身を呈しても誇りを守ることに決めたのだ。

そこで次世代の首脳部をアークエンジェル、クサナギの2隻と共に離脱させることに。

そこへ地球軍側の攻撃が始まる。
第2次オーブ攻防戦の開始である。

再戦することとなったフリーダム&ジャスティスとレイダー他2体。
撤退までの時間を稼ぐフリーダムたちの目論見は成功。

アークエンジェルとクサナギは無事に宇宙へと飛び立つ。
残されたウズミはカガリに後事を託すと爆死。

クサナギと共に脱出したカガリはウズミから渡された写真により、キラと自身が双子であることを知る。
キラとカガリには出生の秘密があったのだ……。

そして、オーブの決死の行動も無駄になりつつあった。
オーブ制圧に失敗した地球軍だったがパナマを奪還することに成功したのだ。

これにより月基地との連携が可能となり、地球上の戦闘はザフトが守勢に回ることに。
攻勢に転じた地球軍は主戦場を宇宙へと遷す。
だが、未だに勢力図は微妙な均衡を保っていた……。

ザラ派はクライン派への弾圧を強めていた。
シーゲル・クラインは潜伏先にて見つかり射殺される。
クライン派の協力者は逮捕・拘束されて行く。
残るはシーゲルの愛娘・ラクスのみとなっていた……。

ラクスへの包囲網が迫る中、父と話し合うべくプラントへと戻ったアスランが拘束される事態に発展。
アスランは父と決別することを余儀なくされる。
ラクスはアスランを救うと、一命を取り留め協力者となっていたバルドフェルドと共に、フリーダム、ジャスティスの運用母艦として建造された最新鋭艦エターナルでプラントを脱出する。

ラクスをリーダーとするクライン派はアークエンジェル、クサナギと合流。
廃棄コロニー・メンデルを拠点とし様子を窺うことに。

危機のさなかにこそ愛は育まれるのか?

ラクスはキラと急接近。
奇しくも振られた形となったアスランはカガリと急接近する。
マリューはムウと急接近していた。

しかし、恋人たちの時間も長くは続かない。
アークエンジェルを討つべく地球軍が、エターナルを討つべくザフト軍が追撃をかけていた。

地球軍側はオブザーバーとなったアズラエルを中心にレイダーなど例の3機を主力に転属したナタル・バジルールを艦長とするアークエンジェルの同系艦・ドミニオンが。
ザフト軍側はザラの懐刀として信頼厚いクルーゼやイザークの駆るデュエルを中心に3隻からなる艦隊を派遣。

こうして、3つ巴の戦闘が開始される。

クルーゼは最新鋭機ゲイツに乗り、イザークのデュエルと先行して出撃。
これに対し、ムウのストライクとディアッカのバスターが対抗する。

一方、レイダーたちに対してはフリーダムとジャスティスが交戦。

シードを自由に使えるようになったキラとアスランにより、レイダーたちは撤退。
イザークとディアッカは話し合う。
ところが、ムウはクルーゼに敗北、危機に陥るがそこへ駆け付けたフリーダムはクルーゼを一蹴。

機体を失いコロニー内へと逃げるクルーゼを追うムウ、キラ。
そこで驚くべき真実を告げられる。

キラはコーディネーターの中でも不確定要素を全て排除したスーパーコーディネーターの唯一の成功例だったのだ。
そして、クルーゼはムウの父のクローンだった。
そのクルーゼを作った人間こそキラの父であった。

互いの因縁が明らかになる中、クルーゼは逃走に成功。
捕虜として連れ回していたフレイにあるデータを渡すと“最後の賭け”に出る。

捕虜を返還するとした上で、フレイに戦争を終わらせるキーを持っていると触れまわらせたのだ。
これに興味を持ったアズラエルはフレイの奪取を指示。
フリーダムの奮闘虚しく、フレイはレイダーたちに連れ去られてしまう。

データの中身はニュートロンジャマーキャンセラーだった。
これによりアズラエルは核の使用が可能に。
勝利を確信し狂喜乱舞したアズラエルは核ミサイルの量産を行う。
さらに大攻勢を行うべく月基地に物資を集結すると、遂に総攻撃に出る。

標的はザフト最前線基地・ボアズ。
難攻不落と謳われた拠点も核ミサイルの前に敢え無く陥落する。

こうして丸裸となったプラント領内。
ザラは非常事態宣言を発令、最終防衛線ヤキンドゥーエに総力を集め地球軍を迎え撃つ。

最終決戦の様相が色濃くなったことで、終末論も囁かれる中、悲劇を回避すべくラクスたちも動く。
フリーダムらの運用母艦エターナルに搭載してあった高機動装備ミーティアでフリーダムとジャスティスを強化すると地球軍、ザフト軍双方が対峙する決戦場へと赴くのであった。

その頃、地球軍は先制攻撃すべく核ミサイル隊を発進させていた。
狙いはコロニー・プラント群である。
守るべき拠点と非戦闘員を抹殺することでザフトの戦闘意義を奪う作戦だ。

核ミサイルが迫る中、クルーゼに代わり部隊を任されたイザークは部下にミサイル撃墜を指示する。
しかし、レイダーたちの妨害に遭い目的を果たせない。
核ミサイルはプラントに届くかと思われたが……。

そこへ現れたのはミーティア装備のフリーダムとジャスティス。
重武装の2機はミサイルコンテナを射出し、核ミサイルを全弾撃墜する。

一方、ザフト側もやられてばかりでは無かった。
隠し持っていた秘密兵器を使用する、その名はジェネシス。
創世記の名を持つそれは大熱量で前方に存在する全てを焼き払うという空前絶後の巨大兵器だったのだ。

フリーダムとジャスティスにより核ミサイルを撃墜された地球軍はジェネシスの1射を受け半壊させられる。

これに勢いを受けたザフトは反転攻勢に出る。
押されたアズラエルは月基地へ援軍を要請。
その凄まじいまでの破壊力に危機感を募らせたラクスはジェネシス破壊を決意。
ヤキンドゥーエの攻防は苛烈さを増していく。

ジェネシス2射目が月基地へ放たれた。
月基地は壊滅、援軍も焼かれたアズラエルは残存勢力での戦闘を強いられる。
やぶれかぶれになったアズラエルは残った核ミサイルすべての使用を決意。
プラント群へと戦力を向ける。

虐殺を止めるべくアークエンジェルはドミニオンと対決する。
エターナル、クサナギはジェネシスへ。

核ミサイルを止めるべくデュエルはフリーダム、ジャスティスと共闘。
そこへ、バスターとこの日の為にストライクの余剰パーツで造らせたカガリが搭乗するストライクルージュも合流。
核ミサイルはそのすべてが撃破される。

しかも、この戦闘の最中にフォビドゥンがデュエルに撃墜され、カラミティもフリーダムとジャスティスの連携の前に墜ちていた。
残るレイダーもバスターにより撃墜(これはスペシャルエディション版。地上波版ではフェイズシフトの解けたデュエルと半壊したバスターを追い詰めるもバスターの武装を用いたデュエルに撃墜される)。
核ミサイル隊を指揮していた旗艦・トゥーリットルもデュエルに撃沈。
プラント群へと向かった地球軍はドミニオンを残し戦闘能力を喪失しつつあった。

一方、ストライクに乗ったムウの前に思わぬ強敵が現れていた。
フリーダム、ジャスティスの兄弟機であるプロビィデンスを駆るクルーゼである。
全方位攻撃を可能としたドラグーンシステムを搭載したプロビィデンスの前にストライクは完敗。
半壊したストライクはアークエンジェルへと帰投する。

そこに悲劇が待ち構えていた。

ドミニオン側では艦長ナタルとオブザーバー・アズラエルとで意見が激しく対立、反乱にまで発展する。
反乱を起こしたナタルの指示により、搭乗員はドミニオンを退艦。
ナタルはアズラエルと共にドミニオンごと沈もうとするが……アズラエルは拒否。
搭乗員の離脱するドミニオンに油断したアークエンジェルに向け主砲を撃つ。

直撃すればアークエンジェルは沈む。
防ぐべく主砲の前に立ちはだかったのはムウのストライク。
ストライクは爆散し、宇宙へと消えた。

ムウを失ったマリューは報復すべくドミニオンへ主砲を。
これによりドミニオンも沈む。
ナタルとアズラエルも散った。
地球軍側は実質的な指揮系統を失った。

しかし、戦闘は未だ終わっていない……。

アークエンジェルを守備するのはデュエルとバスター。
ジェネシスを破壊するべく向かったエターナル、クサナギとフリーダム、ジャスティス、ルージュ。

キラは何かを感じ、アークエンジェルへと駆け戻る。
そこにはクルーゼのプロビィデンスが居た。

プロビィデンスはアークエンジェルを襲撃。
守ろうとしたバスターを一撃で沈黙させる。
デュエルは同じザフト軍に所属する機体に手出しは出来ない。

守るものの無くなったアークエンジェル。
プロビィデンスは今度こそ標的を定める。

そこへ、フリーダムが到着。
ここにプロビィデンスとフリーダムがまみえることに。

ミーティアを装備したフリーダムの実弾系武装はプロビィデンスのドラグーンシステムの前に撃墜され届かない。
圧倒的なプロビィデンスの火力の前に被弾していくフリーダム。

そこへドミニオンを脱出したランチが……そこに乗っているのはフレイ。
フレイを助けようと駆け寄るキラだったが、非情な運命が待ち受けていた。

キラの意図を察したラウはドラグーンシステムを用いランチごと破壊してしまう。
目の前でフレイを失ったキラをドラグーンの炎が容赦なく焼く。
爆発に呑まれるフリーダム。

その様子に溜飲を下げたラウはジェネシスへと。
消えたかに見えたフリーダム。
しかし、フレイの意志がキラを守っていた。
ミーティア装備こそ失ったものの、フリーダムは健在だった。
キラはフレイの仇を討つべくプロビィデンスを追う。

その頃、ジェネシス付近ではジャスティスとルージュがヤキンドゥーエに突入を開始していた。
駆け戻ったものの、突入を許したプロビィデンスは次なる標的をエターナルに決める。
ドラグーンを向けようとするが……そこへまたもフリーダムが。

こうして、神意(プロビィデンス)と自由(フリーダム)の第2ラウンドが始まった。
怒りに燃えるキラだが、ラウの闇は深く届かない。
「人は理解し合えない」と主張するラウの前に防戦一方。
ドラグーンの烈火の如き攻勢の前に忽ち疲弊して行く。

ヤキンドゥーエ内。
突入したジャスティスとルージュ。
そのパイロットであるアスランとカガリは要塞の中枢・司令本部でパトリック・ザラの変わり果てた姿を目にする。
あくまで敵は根絶やしにするべきと主張するザラと意見が対立したユウキがザラに撃たれ反撃。
相討ちになったのだ。
父を失ったアスランだったが、悲しみに浸る間もなく衝撃の事実を知る。
ヤキンドゥーエは直後に自爆するよう設定されており、自爆と同時に最後のジェネシスが発射されるようになっていたのだ。
アスランはこれを止めるべくジェネシスを内部から破壊することに。

ラウの主張に反論する術を持たないキラは追い込まれて行く。
フリーダムは頭部、右腕部、脚部が破壊。
対するプロビィデンスも右腕部を損傷。

ラウの狙いは「ジェネシスによりナチュラルとコーディネーター双方に深い傷を残し和解の道を断つ」ことだった。
このままでは狙いは達成されてしまう。

しかし、ジャスティスがジェネシス破壊に向かったことを知ったキラは反撃を開始。
ドラグーンに怯むことなく突撃し、プロビィデンスの左腕部を破壊する。

プラント本国ではヤキンドゥーエが自爆するよう設定されたことに困惑。
この隙にクライン派が決起し、ザラ派を一掃する。
プラントはクライン派の手に委ねられた。
地球軍もプラントも戦争遂行派の指導者が消えたのだ。

その頃、ジャスティスを操るアスランはジェネシスを破壊するには内部から核爆発させるしかないと判断。
自爆を試みる。
そこへカガリのルージュが。
カガリは「(アスランが)逃げている」と指摘し「生きることも戦いだ」と諭す。
この言葉にアスランは……。

両腕を失くしたプロビィデンスはドラグーンしか武装がない。
満身創痍のフリーダムに浴びせかけるが、フリーダムは墜ちない。
驚くラウにキラの叫びが止めを刺す。
「それでも、守りたい未来があるんだ!!」
フリーダム最期の一撃がプロビィデンスのコクピットを貫いた―――。

ヤキンドゥーエが自爆し、遂にジェネシスが発射。
射線上から退避するフリーダム。
プロビィデンスはその光に焼かれて消えて行く―――。
直後、ジェネシス内部でジャスティスが自爆。
制御を失ったジェネシスは自壊、その光が地球へと届くことは無かった。

同時にプラント本国は地球軍に停戦要請を。
首脳部を失った地球軍はこれを受諾、和平が成立した。

アスランは戦い抜く為にカガリと共にルージュでジェネシスを脱出し無事だった。
一方、キラはといえば―――。

暗い宙空をトリィ(アスランがキラに贈った鳥類型ロボペット)が翔けて行く。
トリィはモビルスーツや戦艦の残骸を抜け、何処かへと一心に向かう。
アスランたちの横を駆け抜け、向かった先には―――。

キラは暗黒の闇の中へと放り出されていた。

人と人は分かりあえる筈なのに、いつしかここまで憎しみ合うようになってしまった。
どうして此処まで来てしまったのか?

そう涙するキラの瞳に闇を裂き迫る光が映る。
それは少しずつ大きくなって……。

先に立つのはトリィ。
その後ろにはルージュに乗ったアスランとカガリが居た。

まだ人と人とは分かりあえるかもしれない。
キラの頬を大粒の涙が伝う―――エンド。

<感想>

ガンダムファンの中でも賛否両論ある本作ですが、管理人的には確かに完璧とは言えないもののスタンダードの大切さを再認識させた作品として大好きなのです。
シーンごとは凄く良いのです!!

特にラウとキラの対決は良し。
燃えた!!

ただ、本当にシナリオ上の矛盾は多い。

何故、ヤキンドゥーエの自爆とジェネシス発射を連動させる必要があったのか?
そもそも、ジェネシスは一射ごとに交換する必要があり、自爆シークエンスに連動させる必要性が見当たらない兵器。
第一、パトリック・ザラがヤキンドゥーエを自爆させる必然性も薄い。

ジャスティスもジェネシス内部に突入し内部の制御系を破壊すれば良かったのでは?
自爆する必要はあったのか?

ラウの攻撃対象の選定方法も不可解。
彼の目的が「ジェネシスによりナチュラルとコーディネーター双方に深い傷を残し和解の道を断つ」ことならば、真っ先にジェネシスを守るべき。
標的はフリーダムではなく、ジャスティスでしょ。
なのに、何故かアークエンジェルとかエターナルとか狙うし。
しかも、止めを刺さない。

もともとフレイの立ち位置も微妙になっちゃったんだよなぁ。
ヒロイン的には、コーディネーター(プラント)のラクス、ナチュラル(地球軍)のフレイ、ほぼ中立(オーブ)のカガリの3大ヒロインだった筈なのに。
いつの間にか浮いちゃったんだもんなぁ……。
ラウがフレイを連れて行った理由も不明だし。

キラの“不殺”がアクセサリーとなってしまったことも残念。
それにより贖罪が何処かに消えてしまいました。
きちんと罪と向き合う方向で進めた方が良かったと思うのですが。

結局、ラウとキラの因縁が浅いのも不思議。

などなどシナリオ上に難はあるものの、それを覆すほどの面白さがあったのが本作。
確かにシナリオの整合性には難がありますが、シーンと台詞は歴代ガンダムでも屈指だと信じます。

熱く語っちゃうのは好きな証拠なのです。

それにしても、あらすじがちょっと違いますね。
「モビルスーツを要するザフトを各地で地球軍が圧倒するが」の点が違いますね。
まず、「要する」が「擁する」ですし、圧倒していたのは「地球軍」ではなく「ザフト」側です。
但し、物量に優れた「地球軍」がザフトからの侵攻を物量を背景に支えた為に思わぬ長期化になった筈。

というか、「地球軍」ではなく「連合」の方が良かったかなぁ。
ネタバレあらすじでは「地球軍」にしちゃったけど。

ちなみにリマスター版1巻発売日は2012年3月23日!!
要チェック!!

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