2011年11月16日

『検事の本懐』(柚月裕子著、宝島社刊)

『検事の本懐』(柚月裕子著、宝島社刊)ネタバレ書評(レビュー)です!!

ネタバレあります!!注意!!

<あらすじ>

各紙誌で話題『最後の証人』シリーズ作品

横領弁護士の汚名をきてまで、恩義を守り抜いて死んだ男の心情を描く「本懐を知る」など、骨太の人間ドラマと巧緻なミステリー的興趣が、見事に融合した極上の連作短編集。

13万部突破の法廷ミステリー『最後の証人』著者の作品! 県警上層部に渦巻く嫉妬が、連続放火事件の真相を歪める「樹を見る」。出所したばかりの累犯者が起こした窃盗事件の真実を抉る「罪を押す」。同級生を襲った現役警官による卑劣な恐喝事件に、真っ向から対峙する「恩を返す」。東京地検特捜部を舞台に、“検察の正義”と“己の信義”の狭間でもがく「拳を握る」。横領弁護士の汚名をきてまで、恩義を守り抜いて死んだ男の真情を描く「本懐を知る」。骨太の人間ドラマと巧緻なミステリー的興趣が見事に融合した、『このミス』大賞作家による傑作検察ミステリー連作集です。

目次

第一話 樹を見る
第二話 罪を押す
第三話 恩を返す
第四話 拳を握る
第五話 本懐を知る
(宝島社公式HPより)


<感想>

あくまで個人の感想です。
読むと気分を害される場合があります、注意!!


短編集。
前作「最後の証人」の佐方がシリーズ化。
佐方の検事時代のエピソードが述べられています。
結果として、前作よりも明らかにスケールダウンした印象。

何より、あらすじがそのままネタバレしているパターンです。
ストーリーはあらすじそのままの結末。
そして、何処かで見たようなエピソードばかりでした。
しかも、エピソードにオリジナリティが加えられていないので「何処かで見た」そのまま結末を迎える。

例えば、2時間ドラマや「ハンチョウ」など人情系刑事ドラマで視たことのあるエピソードが並びます。
その為、ドラマ化するには適してると思われますが、小説としてはどうも……。

確かに前作でもその傾向はありましたが、長編ならではの展開の妙もありましたし捻りもありました。
しかし、本作は本当に直球過ぎる。
その直球が何処かで見たことあるような気がするのでどうにも……。

それに、“人間ドラマ”や“職における正義”などを読むならば、先達の先生方の作品があるし……。
その先達、例えば『最後の証人』で推薦文を記されていた横山秀夫先生と比べても本作はどうにも弱い。
どうしても本作を読みたいと思わせるだけの力が無い。
柚月先生は短編ではあまり映えないか?
正直、ファンの方以外は読む必要はないかなぁ……。

前作に比較すると、本作に関しては間違ってもオススメ出来ない。
少なくとも管理人はそう思う。

柚月先生自体は力のある作家さんだと思うので次作に期待です。

<ネタバレあらすじ>

第一話「樹を見る」

放火事件の犯人が捕まった。
犯人は18件中17件は犯行を認めたものの1件だけは認めようとしない。

佐方は犯人が否認した13件目に疑問を持ち、独自の捜査を始める。

13件目だけは死者が出ていた。
被害者に恨みを持つ者の犯行と推測した佐方は捜査の結果、被害者と不倫の愛の末に捨てられた女性の犯行だと突き止めるのだった―――1話了。

第二話「罪を押す」

窃盗で刑期を終えた男が時計を盗むとの再犯を起こした。
佐方は調書に疑問を持ち、独自の調査に乗り出す。

男が盗んだ時計から、店員と男以外の第3の指紋を発見。
そこから、男がその第3の人物を庇っていると見抜く佐方。

男は別れた息子にプレゼントとして時計を贈ろうとしていた。
そこで、苛めから万引きする男子学生を目撃。
彼を助けるべく庇ったのだ。

だが、「罪は裁かれなければ気付かない」と佐方に諭されると真実を明かすのだった―――2話了。

第三話「恩を返す」

佐方のもとに高校時代の同級生の女性からSOSが届いた。
過去のビデオ出演を悪徳刑事に脅迫されているらしい。
女性は友人に騙されビデオ出演してしまっていた。

佐方は相手の刑事の素性を掴むと、自ら出向き身分を明かすと脅迫できないように恫喝する。
こうして、事件は解決する。

実は佐方には同級生の女性に恩義があった。
高校時代、先輩に絡まれた佐方。
父が横領事件の犯人とされていた鬱憤もあり、暴発しかけた。
そこを女子生徒がナイフで相手を刺し、必死に佐方を止めてくれたのだ。

このくらいで恩義は返しきれてはいないだろうなぁ……。
佐方はそう思うのだった―――第3話了。

第四話「拳を握る」

特捜部から外された佐方。
特捜部は事件を解決するが、そのすべては人知れず働く佐方の貢献であった。
にも関わらず、更迭されてしまった佐方。
本当の正義は何処にあるのだろうか?―――第4話了。

第五話「本懐を知る」

佐方の父は過去に横領事件で告発され、そのまま病死していた。
しかし、これには事情があった。

当時、佐方が横領したとされる金品は、亡くなった前社長の遺志によりその愛人と子供に渡されていた。
しかし、故人の遺志を尊重した佐方の父はその秘密を隠したまま死亡したのだった。

父の死後、佐方はこの事実を知った。
そして、父の職責に対する堅固な意志は息子である佐方にも受け継がれているのだ―――5話了。

◆関連過去記事
【佐方シリーズ】
『最後の証人』(柚月裕子著、宝島社刊)ネタバレ書評(レビュー)

『検事の死命』(柚月裕子著、宝島社刊)ネタバレ書評(レビュー)

『心を掬う』(柚月裕子著、宝島社刊『しあわせなミステリー』収録)ネタバレ書評(レビュー)

『業をおろす』(柚月裕子著、宝島社刊『『このミステリーがすごい!』大賞作家書き下ろしBOOK』掲載)ネタバレ書評(レビュー)

【その他】
『臨床真理』(柚月裕子著、宝島社刊)ネタバレ書評(レビュー)

【「大藪春彦賞」関連記事】
「第15回大藪春彦賞」受賞作は柚月裕子先生『検事の本懐』に!!

「検事の本懐」です!!
検事の本懐





前作「最後の証人 (宝島社文庫)」文庫版です!!
最後の証人 (宝島社文庫)





前作「最後の証人」単行本です!!
最後の証人





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