<あらすじ>
諸星光介(船越英一郎)は生まれ育った東京の下町・谷中で、いなくなったペットや人を捜す「捜し屋」をしている。姪の直子(鈴木理子)を助手にして、寄せられた情報を元に寺や公園を捜しまわる毎日だ。
ある日、光介に人捜しの依頼が入る。依頼人は木村静子(岡本麗)。夫の慎平(大地康雄)が一週間前に勤め先を退職し、離婚届をおいて家を出たという。話を聞いた光介の幼馴染の弁護士・支倉珠希(床嶋佳子)は「勝手すぎる」と慎平に憤る。光介には「娘・瞳(佐藤めぐみ)の結婚が近いから夫を連れ戻したい」と言った静子だったが、実は以前から離婚を考えており、そのための財産分与を決めるために夫を捜し出したかったのだ。しかも慎平は建築関係の仕事をしたいという瞳の夢に反対し、長い間親子関係は断絶しているという始末。慎平と瞳が会ったのは、3年前にひき逃げに遭い亡くなった慎平の母の葬儀のときだけだという。やりきれない思いを抱いた光介は、神奈川で体験林業を行っている木材会社にいる慎平をようやく捜し当てる。光介は慎平に会いに行くが慎平は黙るばかりで何も話さない…。
そんな最中、光介は谷中で男の死体を発見する。殺されたのは土屋剛(渡邉紘平)という無職の男。土屋の持ち物についていた特徴的な指紋と苔のことを知った光介は、慎平がこの件に関わっていると直感する。
慎平の、静子の、瞳の、それぞれが家族に抱く想いと希望を知った光介。慎平は本当に殺人事件の犯人なのか? 家族の絆を信じ、事件の手がかりを捜して光介が走る!
(公式HPより)
では、続きから……(一部、あらすじと重複あり)
静子から依頼を受け、消えたその夫・慎平を捜すこととなった光介。
一方、土屋という男性が死体で発見され高原らは捜査を開始していた。
慎平の消息を尋ねて、その娘・瞳に話を聞くことに。
瞳は空間デザイナーを職業としていた。
慎平について尋ねるが、激昂してしまい話にならない。
その婚約者・原田も瞳とその父・慎平の確執には頭を悩ませていた。
直後、静子が慎平を捜していたことに理由があることが判明。
静子は慎平との離婚を希望しており、財産分与の為に慎平が必要だったのだ。
慎平の年金受給を狙って5年後まで離婚を待つと言い張る静子に寂しさを感じる光介。
さらに、静子から「慎平がガウディに憧れを抱いていたこと」や、「慎平が体験林業に興味を抱いていたこと」を聞き出す。
光介は体験林業先へと足を運ぶことに。
すると、そこには慎平が居た!!
慎平の左手を見て驚く光介。
左手親指の腹に傷があったのだ。
土屋の死体の腕時計に残された指紋にも同じような傷が残っていた……。
光介は慎平について深く知ろうと考え、木村家について調査することに。
8年前に瞳が家を出た理由は慎平と進路について衝突した為だった。
瞳は建築家になろうと大学進学を拒否。
ところが、当の慎平は瞳に進学を強要し、衝突したのだ。
結果、家を出た瞳は祖母の助力で生活する傍ら設計事務所に勤務し、独学でスペインに留学したらしい。
ところが、その祖母も3年前に轢き逃げされ死亡していた。
瞳は愛する祖母の死に嘆き悲しんだと言う。
轢き逃げ犯は捕まっていないらしいが……。
光介は慎平の心を開くべく、その職場に潜入。
生活を共にすることで真相に近付けると考えたのだ。
そこで“林業を再生させる会”への入会を熱心に奨める若者と出会う。
若者によれば「この職場には加藤という男がおり、大変危険らしい」が。
その間にも、原田と瞳の結婚準備は着々と進んでいた。
光介は、土屋の殺害当日、土屋が由美と呼ばれる女性と共にいたことを突き止める。
由美は土屋の妻だった。
由美が地元のスーパー“じばさんず”に勤務していることを知った光介は由美の自宅へと向かう。
土屋夫妻に1千万円以上の借金があることが判明。
しかも、由美は東京に金策に出ているらしい……。
その頃、静子は慎平との離婚を真剣に考えていたが、光介の妹・彩子から夫の大切さについて教えられ考え直すように。
東京にて由美を掴まえた光介。
土屋は死の直前、山の作業員をしている昔の同僚に会いに行くと言い残していた。
どうも、その同僚を金策のあてにしていたらしい。
しかし、由美にはその元同僚の名前が分からない。
光介は由美から聞いた情報をもとに土屋の元同僚を捜すことにする。
土屋の行きつけのバーのマスターから、加藤こそが元同僚だと聞き込む光介。
しかも、土屋と加藤が3年前に会社を辞めていたことも明らかに。
3年前といえば、慎平の母が轢き逃げに遭った事故と符合する。
慎平は轢き逃げ犯について調べていると察した光介は真相を追う。
静子は彩子と話したことで慎平に対しての考えを改めていた。
慎平の真意を知ろうと考えた静子は慎平に会いに出向く。
そこで静子は、光介に心の内を明かすよう促す。
慎平は静子の説得を受け、光介に真情を伝える。
慎平によれば、瞳がガウディを目指し建築家になろうとすることで、自分のように挫折するのではないかと心配だったと言う。
だが、瞳は空間建築に出会い、進むべき道を見出した。
そして、慎平が林業に拘った理由。
それは、静子が独立を志しており自分が必要とされていないことに気付いたからだった。
邪魔にならないように姿を消そうと決めたのだ。
少しずつ心を開きだした慎平に、光介は自分が弟を亡くした経験と慎平の母の経験を重ね合わせ、何を調べているのか教えてくれるよう頼む。
静子の邪魔にならないように林業に携わろうと決めた慎平。
そこで偶然にも加藤の電話を聞いてしまう。
「あいつ、トマト抱えた婆さん撥ねた上に、仲間を殺して独り占めしやがった」
慎平には心当たりがあった。
轢き逃げにあった母はトマトを抱えていたのだ。
加藤を監視し始めた慎平。
土屋殺害当日も、加藤を尾行し気絶した土屋を発見していた。
ところが、そこで何者かに後ろから殴りつけられ気絶してしまったらしい。
意識を回復した時には土屋も居なくなっていたと言う。
だから、慎平の指紋が残ったのだ。
慎平の熱い想いを汲んだ光介は犯人捜しに協力を申し出る。
同じ頃、静子は瞳に慎平から聞いた真意を伝えていた。
慎平が祖母の轢き逃げ犯を追っている―――驚くと共にあくまで反発する瞳。
傍で聞いていた原田は轢き逃げ事件に興味を持ち、結婚式の延期を瞳に提案する。
翌日、加藤が慎平の命を狙う。
危機一髪、光介が慎平を助けるが……加藤はそのまま行方をくらましてしまう。
高原から静岡県で起きた3年前の事件について情報を得た光介。
加藤が電話で語っていた「独り占めしやがった」という言葉に興味を持ったのだ。
一方、加藤は死体で発見される。
何者かに口封じされたのだ。
3年前、吉村という資産家が強盗に遭い1億円を盗まれた挙句、殺害されていた。
慎平の母の事故現場もその事件現場の近く。
強盗犯が逃走途中に慎平の母を轢き逃げしたのでは……と考えた光介。
事件について調べると意外な事実が浮かび上がる。
強盗犯は4人組。
そのうち1人は吉村の甥っ子・ヒロシ。
ヒロシは偽ブランド品を扱っており、吉村はそんなヒロシを嫌い相続人から除外した為に恨まれていたとのことだった。
だが、当のヒロシは何者かに殺害され死体で発見されていた。
光介は土屋、加藤、ヒロシが強盗犯だと推理。
残る1人がすべての事件の犯人であると考える。
4人組の接点がインターネット上の闇求人サイトにあると判明。
光介は残った1人が慎平に怯えていると言うが……。
その頃、慎平は静子のもとへと戻っていた。
静子から「計画が狂っちゃったわ」となじられる慎平。
肩を落としながら電気を点けるが、そこには……。
そこには、物置に仕舞い込まれた筈の慎平作の机が並べられていた。
「よく見ると、結構いいじゃない」照れながら呟く静子。
慎平は少し静子との距離が縮まったと喜ぶ。
光介の調査により、過去にヒロシと原田が同じアパートに住んでいたことが判明。
原田こそが残った1人であり、加藤が原田に気付いた為にすべてが始まったと推理する光介。
慎平が見た加藤の電話の相手は土屋。
つまり、「轢き逃げし、独り占めした」人物こそ原田なのだ。
そして、慎平が山の中で土屋を見たにも関わらず死体発見現場が別だったことに何らかの意味がある筈と考え始める。
光介の情報提供を受けて高原たちは土屋の死体発見現場を掘り返すことに。
同時刻、光介と慎平は原田を訪ねていた。
怒りのあまり原田を殴る慎平。
瞳は原田が祖母の轢き逃げ犯であり他の殺人犯であると聞かされ動揺する。
しかし、原田は証拠が無いと認めない。
そこへ、高原たちが駆け付ける。
その手にはバールが握られていた。
バールを見た途端、原田は逃走を試みるものの光介に阻止される。
遂に罪を認める原田。
3年前の事件の真相はこうだ。
もともとの首謀者はヒロシと原田。
土屋と加藤は求人サイトで集めた。
吉村を殺害したのはヒロシ。
1億円を盗み出すと、車で逃走を図る。
運転手は原田。
しかし、原田は運転途中で瞳の祖母を轢き逃げしてしまう。
その後、1億円を1人占めするべくヒロシを殺害した。
3年後、事務所は好調。
瞳という婚約者も得て、何もかも上手くいくかと思われたが……。
原田に気付いた土屋と加藤が脅迫をかけてくる。
土屋は原田が金庫を取り出すときに素手で使用したバールを保管していた。
困った原田は加藤に土屋を殺すよう依頼。
バールの在処は土屋しか知らない。
そこで、加藤は土屋から聞き出した上で始末した。
バールは土屋の死体発見現場に埋められていたのだ。
しかし、掘り返すことが出来ず加藤はバール回収を諦める。
原田はバールを回収すれば加藤を殺害しようと尾行していたが目論見が外れてしまう。
その後、轢き逃げした相手の孫が瞳だと知り驚愕。
慌てて調べている慎平の口封じを加藤に依頼するがこれも失敗。
始末に困った原田は加藤を口封じしたのだ。
あくまであがく原田だが、その場で逮捕され連行される。
瞳は婚約者の原田の思わぬ裏切りに絶望してしまう。
そんな瞳に声をかける慎平。
慎平が母の死の真相を追ったのは祖母を愛していた瞳の為だったのだ。
慎平は瞳に8年前の自身の心配が杞憂だったと謝罪。
さらに、瞳に「父親としてお前を守る」と約束。
ここに親娘は和解するのだった……。
慎平一家は山梨へ引っ越すこととなった。
慎平と瞳は2人で空間デザインの会社を興した。
静子は染物に専念するらしい。
そして、今日もまた光介は姪の直子と共に“捜し屋”として街を走り抜ける―――エンド。
<感想>
「捜し屋★諸星光介が走る!」シリーズ第6作目です。
前作は2010年4月12日に放送されているので、実に1年半ぶりの新作となりました。
では、ドラマの感想を。
公式のあらすじと順番が違ってた〜〜〜。
かなり混乱しちゃいました。
最終的に出た情報は同じなんだけどね。
結構、あらすじが長くなっちゃいましたね。
割と情報量があったか?
まぁ、被害者だけで祖母、吉村、ヒロシ、土屋、加藤と5人も居るからかもしれないけど。
内容的にはなかなか面白かった。
特に「何故、山中から死体発見現場へと移動したか」のロジックは良かった。
あれをもっとクローズアップしても良かったかもしれない。
とはいえ、証拠品が埋められた土地に死体を遺棄するのはどうかとも思うが……。
あらすじでは省略しているものの、雑誌など他の伏線も丁寧に回収されており好感が持てました。
アリでしょう。
テーマとしては「夫婦愛(男女愛)&家族愛」か。
慎平&静子と亡き夫を想う彩子など年輪を感じさせる夫婦の一方で、原田&瞳の若いカップルの悲恋などが対照的だった。
この悲恋がそのまま、家族愛に反映されるのは単に「意外な犯人」に留まることなく良い設定だったと思う。
ここもなかなか良かった。
船越さん演じる光介の行動的なキャラクターもストーリーと上手くマッチしており、完成度が高かったような気がする。
面白かった。
<キャスト>
諸星 光介(もろぼしこうすけ):船越英一郎
○
支倉 珠希(はぜくらたまき):床嶋佳子
○
諸星 彩子(もろぼしあやこ):香坂みゆき
諸星 直子(もろぼしなおこ):鈴木理子
○
木村 慎平(きむらしんぺい):大地康雄
木村 静子(きむらしずこ):岡本 麗
木村 瞳(きむらひとみ):佐藤めぐみ
木村 早苗(きむらさなえ):松浪志保
○
原田 紘一(はらだこういち):塚原大助
高原 正人(たかはらまさと):松永博史
今岡刑事(いまおかけいじ):渡部大輔
○
加藤 武雄(かとうたけお):土師正貴
土屋 剛(つちやたけし):渡邉紘平
土屋 由美(つちやゆみ):福田ゆみ ほか
(順不同、敬称略、公式HPより)
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いくつもの伏線が張られていて、それがやがてひとつの真実に結びつく、これぞミステリーといえる作品です。
ところでこの作品には、被害者の土屋が行きつけにしていたバーのマスター役で、ダンディ坂野さんが出演しています。
そのバーで、諸星は事件の謎を解く手がかりを「ゲッツ!」しました。(マスターも元工場の従業員でした。事件の被害者たちとも面識がありました)
このシーンが瞬間最高視聴率を記録したそうです。意外な気もしますが・・・。
こんばんわ!!
管理人の“俺”です(^O^)/!!
もう放送から1年が経過したんですね。
ちょっと記憶が明確ではないのですが、確かにダンディさん、出演されていたような気がします。
意外な登場の仕方だったと思うのですが、マスター役だったんですね。
そして、あのシーンが最高視聴率だったとは。
意外性があったことが良かったのかもしれませんね。