2011年11月18日

『ステップファザー・ステップ』(宮部みゆき著、講談社刊)

『ステップファザー・ステップ』(宮部みゆき著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<あらすじ>

中学1年生の双子、直と哲の兄弟が住む家に落っこちてきたのは、なんとプロの泥棒だった。双子に助けられた泥棒は、なぜか一緒に暮らし始めることになった。困惑する泥棒をよそに、まるで父子のような(!?)家庭生活がスタートする。その3人のまわりで次々と起こる6つの事件。宮部みゆきがお贈りする、大傑作!
(講談社公式HPより)


<感想>

「ステップファザー」とは「継父」のこと。
見知らぬ双子から、いつの間にか「お父さん」と呼ばれるようになっていた泥棒によるハートウォーミングな物語です。

2008年に発売された新装版(セブンイレブンとの共同企画版)ではカバーイラストを「鋼の錬金術士」で知られる荒川弘先生が担当されました。

実は新装版とそれ以前の文庫版では収録作品数が違います。
以前の文庫版では次の7作品を収録。

『ステップファザー・ステップ』
『トラブル・トラベラー』
『ワンナイト・スタンド』
『ヘルター・スケルター』
『ロンリー・ハート』
『ハンド・クーラー』
『ミルキー・ウエイ』

ところが、新装版ではこの中の『ワンナイト・スタンド』が未収録。
そこで、あらすじ通り6作品となっています。
理由はおそらくその内容かなぁ……大人向けなので。
未収録分『ワンナイト・スタンド』については、下でネタバレ書評(レビュー)しているのでそちらをどうぞ。

ちなみにシリーズとしては他にも作品があります。
単行本未収録分としては次の5作。

『バッド・カンパニー』
『ダブル・シャドウ』
『マザーズ・ソング』
『ファザーズ・ランド(前後編)』

これについては管理人未読なので内容は不明。
ただし、『マザーズ・ソング』、『ファザーズ・ランド』と父母を想わせるタイトルから哲と直の両親が関連しているのではないかと思われます。
真偽のほどは如何に!?

そんな『ステップファザー・ステップ』ですが、TBS系列にてドラマ化が決定しています。
2012年1月9日より、毎週月曜日20時から放送です!!
詳しくは下記の過去記事よりどうぞ!!

『ワンナイト・スタンド』はこっちも外してきそうだなぁ……。

宮部みゆき先生『ステップファザー・ステップ』(講談社刊)がTBSにてドラマ化か!?

2012年1月9日追記

ステップファザー・ステップ「宮部みゆき原作ステップファザー・ステップ 大ベストセラー解禁!!泥棒が双子のパパに!?笑える!泣ける!ニセモノ親子の本物の絆…!!」(1月9日放送)ネタバレ批評(レビュー)追加しました。

<ネタバレあらすじ>

登場人物一覧:
泥棒:主人公、職業・泥棒、一人称は“俺”。
宋野哲:双子の1人。
宋野直:双子の1人。
柳瀬の親父:“俺”に仕事を紹介する仲介屋。
灘尾礼子:女性教師
画聖:天才的な贋作家。

◆『ステップファザー・ステップ』

ある雷雨の夜、プロの泥棒である“俺”は盗みに入るべく標的の家へと屋根沿いを走っていて雷に撃たれてしまう。
意識を失くした“俺”を介抱したのが、標的の隣の家に住む双子の少年・哲と直。
哲と直は両親がそれぞれ別の相手と駆け落ちしている遺棄児童だった。

哲と直は介抱した礼に自分たちの父親代わりを務めて欲しいと依頼。
拒否したいところだが、哲と直は“俺”の指紋を採取しており断れば警察に突き出すと言う。
こうして、しぶしぶ“俺”は2人の親代わりを務めることに。

なし崩しで2人の生活費を稼がなければならなくなった“俺”は、当初の目的通り標的を狙うことに。
標的は若い女性の1人暮らし。
最近になって親族の遺産を受け継いだと評判だった。
標的である住人を引きつけるよう双子に任せると、隣家へと忍び込む“俺”。

ところが、そこは鏡だらけの屋敷だった。
至る所に鏡が設置されていたのである。
気持ちが悪くなった“俺”は、2階に別の人気がしたこともあり撤退することに。

しかし、“俺”はあることに気付いていた。
元弁護士で現在ではこの道の斡旋業を営む柳瀬の親父に情報収集を依頼すると、案の定の結果が判明する!!

それに基づき、再度、隣家に忍び込む“俺”。
直後に「隣家に泥棒を見た」と双子に通報させる。

結果、隣の住人を名乗っていた女はいずこかへと逃走する。
そう、隣の住人はいつの間にか偽物にすり代わっていたのである。

本物の住人は耳が不自由だった。
恋人がおり、その恋人と暮らす為に鏡で相手を確認できるようあちこちを鏡で囲んでいたのだ。
しかし、財産狙いの偽物が現れ本物を2階に拘束し、成り済ましていたのだった。
“俺”はそれに気付いたのだ。

こうして、偽物は排除された。
忍び込んだ際に盗んだ1400万円は双子と折半することに。
これで義理は果たした筈だったが……。

何故か、双子のお手柄を褒めるべくやって来た警察官の前で父親役を演じる羽目に陥るのだった―――エンド。

◆『トラブル・トラベラー』

双子と関わり合いになるのは避けようと考えていた“俺”。
距離を取っていたがSOSの電報が届く。
放って置くわけにもいかず、助けに行くことに。

旅行先で金を盗まれたらしい。
不思議なことに犯人は5000円を代わりに置いて行ったと言う。

そこから、仲間内で“画聖”と呼ばれる男を思い出した“俺”は近くの美術館で当の本人を見つける。
“画聖”はある絵を落ち着きなく見上げていた。

声をかけると盗んだ金は返すと言う。
話してみると、双子に置いて行った5000円が偽札であることが判明。
“画聖”の手による作品らしい。
ところが、その札は郵便局で使用できるほど精巧なものだった。
柄はともかく紙質と透かしはどうしようも無い筈だが……首を傾げる“俺”。

そんな折、美術館で人質籠城事件が発生。
警察が到着し犯人が投降したことで事件は呆気なく終わりを告げるが……。

5000円札が気にかかった“俺”は郵便局へ出向き回収する。
確かに透かしはある、紙質も本物だ。
だが、水につけると絵柄が溶けだして消えてしまった!!
やはり、“画聖”の作品だったのである。

美術館に戻ってみると“画聖”が例の絵を恍惚の表情で見つめていた。
その姿にあることに気付いた“俺”は柳瀬の親父に調査を依頼する。
結果、ある意外な事実が判明する。

後日、美術館の権利を持つ市長を呼び出すことに。
市長は口止め料を支払った。

実は市長の息子が“画聖”を使い贋作を作らせていたのだ。
籠城騒動の際に絵をすり替えたのだ。
だから、当初、落ち着きのなかった“画聖”は事件後に見違えるような自信に溢れていた。
もともと、本物の紙幣を使って偽札を作るにはかなりの金銭的余裕が必要だ。
それもこれも依頼料があったから出来たことだったのだ―――エンド。

◆『ワンナイト・スタンド』

双子から父兄参観に来てほしいとの依頼があった。
断ろうと考えていた“俺”だったが、いつの間にか双子と仲良くなっていた柳瀬の親父の説得と、担任教諭が美人と聞いて考えを変える。

参観日に向けて打ち合わせすべく双子宅を訪れる“俺”。
そこで、切り抜かれた新聞紙の束を見つける。
それは不穏なキーワードばかりが狙って切り取られていた……。

父兄参観当日、若い父親として物珍しがられる“俺”。
男性は“俺”以外には2人。

1人はまるで刑事のような風貌の男。
もう1人は地元の開業医で代議士に出馬する予定の男だった。

珍しがられることに閉口し始めた“俺”だったが、双子の担任教諭が現れると機嫌を持ち直す。
担任教諭は灘尾という名前の美人だった。

灘尾は板書することなく事前に用意したらしい用紙を使い授業を進める。
授業自体は滞りなく終わりを告げるが、そこで1つハプニングが。

なんと、双子が入れ替わっていたのである。
生徒たちはそれを事前に知らされており、“俺”が気付くかどうか賭けをしていたらしい。

こうして、笑いが巻き起こった教室は和やかな雰囲気となり、父兄会に突入。
“俺”は双子から聞いた「一卵性ソーセージ」ジョークを交えつつ、過不足なく勤め上げた。
ところが、最後に意外なことを聞かされる。

なんでも、父兄参観を延期するように新聞の切り抜きが用いられた脅迫状が校長のもとへ届いたらしい。
双子宅で見たものと結び付ける“俺”。

そして、帰宅直前に見た灘尾先生の親指の黒いシミ。
そこから、ある事実に気付く。

双子に事実確認をしたところ、双子はあっさりと認める。

脅迫状は双子の仕業だった。
しかし、悪意はない。
ある人物を助ける為だったのである。

実は父兄参観中に授業を行っていた灘尾は双子の別人だった。
本物の灘尾は裁判所に出廷中だったのだ。
親指のシミは宣誓書へ捺印したものだった。

灘尾の入れ替わりがバレないように、父兄に対しての煙幕として“俺”。
生徒に対しての煙幕として哲と直の入れ替わりが行われていたのだ。

灘尾はとある暴行事件の被害者だった。
身を汚された灘尾は自殺未遂を引き起こす。

その第一発見者が哲と直だったのだ。
そして、父兄の中に見かけた刑事風の男は本職の刑事だった。
そのときから灘尾に協力していると言う。

暴行事件の犯人は捕まったが、合意であると主張。
そこで裁判で被害者の証言が必要となった。
すなわち、灘尾の証言である。

だが、灘尾が出廷する為に休暇を取れば噂になってしまう。
教育者として隙があると校長に批難されるだろう。
そうなると、灘尾は教員を続けられない。

校長と例の開業医は代議士を目指している潜在的なライバルである。
校長が灘尾を追い込んだことを好機と見た開業医が自分の為に騒ぎ立てることは大いに考えられた。

困った灘尾に、双子は脅迫状を使い父兄参観の日付をずらさせようと提案。
しかし、これも上手くいかなかった為に今回の作戦となったワケだった。

これを聞いた“俺”は哲と直の両親捜しを始めることを誓う。
なぜなら、強い意志を持った灘尾に本気で惹かれ始めたからだ。
灘尾を口説きたい、その為には双子の親ではないことを明かさなければならないワケで―――エンド。

◆『ヘルター・スケルター』

近所の湖から車に乗ったままの男女2人の水死体が発見される。
“俺”はひょっとしてこの男女こそが哲と直の両親ではないかと考え出す。

哲と直はあの年で頭が良すぎる。
まさか、喧嘩に明け暮れる両親に嫌気がさして2人が殺害してしまったのではないか……。

そう考えると哲と直が怪物のように見えて来るから不思議だ。
これまでのあの愛くるしい笑顔も何か裏にあるのではないかと思えて来る。
怪我をして弱気になったことも手伝って妄想は膨らむばかり。

だが、湖で発見された男女が不倫の末の心中カップルであると判明。
妄想は妄想でしかなかったとほっと胸を撫で下ろすことに。

ところが、真相はまだ他にあったのである。
もっとも、哲と直が両親を殺したわけではない。

心中死体に真相が隠されていたのだ。
実は不倫カップルは轢き逃げ事故を起こしていた。
追い詰められた2人は死を選ぶ。
この時点では死体は湖には落ちていない。

困ったのは残された不倫男の妻だ。
悩んだ挙句、轢き逃げ事故を隠すべく証拠の車ごと死体を始末することに決めた。
そこで、湖に車ごと落としたのだ。
すべては残された娘の為であった―――エンド。

◆『ロンリー・ハート』

周囲に誰も居ない中で、男性が死亡してしまう。
第一発見者は通りがかった車の運転手。

この正体不明の不可解な事件。
だが、柳瀬の親父の自治会で起こった連続窓割り事件をきっかけに謎が解ける。

連続窓割り事件の原因は置き石だった。
愉快犯が道路に置いた石が車に撥ねられ、窓ガラスを割っていたのだ。

そう、これと同じことが起こっていたのだ。
誰かの置き石を撥ねたのは第一発見者の運転手だった。
それが被害者の頭に当ったのだ―――エンド。

◆『ハンド・クーラー』

哲と直の同級生の女の子が困っていると言う。
彼女の父親は銀行の融資担当なのだが、ある時期から急に見知らぬ新聞が自宅に投函されるようになったのだ。

真相は父親が融資担当であるということにあった。
父親は過去にとある案件を一時間待つことが出来ず、不渡りを出させていたのだ。

不渡りを出した会社の社長は死亡。
その息子2人がこの事件を思い出させる為に新聞を投函していたのだ。

だが、皮肉なことに少女の父親は心当たりがあり過ぎて全く意図に気付いていなかったのだった。
届けられた新聞、そのメッセージは発行元の住所……その郵便番号にあったのである―――エンド。

◆『ミルキー・ウエイ』

哲と直の家へやって来た“俺”に大きなショックが!!
なんと、双子の父親と名乗る人物がそこに居たのである。
そして、肝心の双子の姿はまったく見えない。

遂にお払い箱となったか……と肩を落とした“俺”。
しかし、せめて別れのメッセージだけでもと留守番電話に吹き込むことに。
だが、改めてみると格好悪い。
吹き込んだ内容を確認するべく、外部から伝言を再生してみると意外なメッセージが残されていた。

なんと、哲と直がそれぞれ別々の相手に誘拐されていたのだ!!
驚き慌てた“俺”は柳瀬の親父と“画聖”の力を借りて、誘拐犯退治に乗り出す。

2件の誘拐犯は“画聖”の仕掛けたドッキリに呆けている間に捕まえた。

哲と直を取り戻した“俺”。
いつ帰って来るか分からない2人の両親に遠慮するのもなんだか馬鹿らしい。
開き直った“俺”は双子にこれまで通り接していこうと決める。

今しばらく、この生活は続きそうである―――エンド。

◆宮部みゆき先生関連過去記事

【書評】
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【その他】
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「ステップファザー・ステップ (講談社文庫)」です!!
ステップファザー・ステップ (講談社文庫)





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posted by 俺 at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 書評(レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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