2011年12月04日

ドラマスペシャル 境遇「あの“告白”の湊かなえ初のドラマ書き下ろしミステリーすべては幼児誘拐から始まった!過去に翻弄された女達…35年前の殺人事件に驚愕の謎」(12月3日放送)ネタバレ批評(レビュー)

ドラマスペシャル 境遇「あの“告白”の湊かなえ初のドラマ書き下ろしミステリーすべては幼児誘拐から始まった!過去に翻弄された女達…35年前の殺人事件に驚愕の謎」(12月3日放送)ネタバレ批評(レビュー)です!!

<あらすじ>

県議会議員の夫と5歳の息子と共に幸せな毎日を送る高倉陽子(松雪泰子)。そんな彼女が、テレビ局主催の絵本大賞新人賞を受賞し、その出版記念パーティーが盛大に開催される。陽子が会場の壇上で、受賞作『青空りぼん』を朗読していると、陽子の親友・相田晴美(りょう)が会場に姿を現した。朗読しながら感情が高ぶり、涙がこみ上げていた陽子は、晴美の姿を見て、再び朗読を続ける…。

朗読が終わり、壇上から降りた陽子は、晴美と抱き合い、受賞の喜びを噛みしめる。そんな二人の姿を、少し遠くから一人の初老の女性(いしだあゆみ)がじっと見つめていた…。

陽子が新人賞を受賞したことで、彼女の周りは一気に騒がしくなっていた。数ヶ月前、不正献金疑惑で警察に事情聴取された夫・正紀(沢村一樹)のイメージ回復のため、正紀の母・弘子(白川由美)や、後援会長の後藤良隆(岸部一徳)が、躍起になって陽子を表に出そうとしていた。

しかし、当の陽子はそんな状況に戸惑っていた。というのも、『青空りぼん』は、晴美と初めて出会った17年前、彼女が陽子に打ち明けた話を元に書いた絵本だったのだ。生後間もなく児童養護施設に預けられた晴美は、母親が残した手紙と青いりぼんだけが支えだった。そんな大切な話を、同じように幼い頃、別の児童養護施設で育った陽子にだけ打ち明けてくれたのだった。しかも、陽子は息子・裕太(西本晴紀)やボランティアをしている施設の子どもたちのために絵本を書いただけだったのだが、それを後藤が勝手にコンクールに応募したのだ。

数日後、正紀がソウルで行われる国際会議に出発した。その直後、正紀の事務所で頼まれたサインをしていた陽子は、裕太をスイミングクラブに迎えに行ったはずの正紀の秘書・後藤亜紀(田畑智子)が一人で帰って来たことに気づき、彼女を問いただす。だが、亜紀は知らないと言うばかり。焦った陽子はあちこち探し回るが、一向に見つからない。しかもその直後、事務所に「息子は預かった。無事返して欲しければ、世間に真実を公開しろ」という脅迫状がファックスで届く。

狼狽した陽子は警察に通報しようとするが、誰が犯人かわからない以上、通報はしない方がいいと後藤に止められてしまう。さらに後藤は、ソウルにいる正紀に電話をかけようとする陽子に、「正紀くんの政治生命を断つつもりですか?」と言い放つ。政治家の妻であることを忘れるなと後藤に釘を刺された陽子は、晴美に助けを求めるが…!?
(朝日放送公式HPより)


では、続きから(一部、重複アリ)……

裕太が誘拐され脅迫状が届く。
そこには「息子を返して欲しければ真実を公開しろ。白川渓谷事件を思い出せ」と記されていた。
奇しくも正紀に不正献金疑惑が持ち上がっていたこともあり、「真実」=「不正献金疑惑」だと考える陽子。
岩崎によれば、不正献金を受け取っているのは正紀ではなく後藤らしいが……。

亜紀が何故、裕太を迎えに行かなかったのかを疑問視する岩崎。
亜紀は「陽子の不貞」について密告電話があり、待ち合わせ場所へ向かった為に迎えに行けなかったと弁明する。
結局、相手はやって来なかったらしい。

“密告者”と“誘拐犯”が同一人物ではないかと考える陽子。
つまり、すべては計画的に仕組まれていたのだ。

切羽詰まった陽子は晴美に助けを呼ぶことに。
陽子には犯人に心当たりがあったのだ。

正紀の身辺をうろつく怪しい女性に覚えがあった陽子は晴美とともに彼女を捜す。
ハッピータウンの袋から、女性の名前が橋本弥生だと判明する。
弥生は『青空りぼん』の著者の大ファンらしい。
弥生の行方を追う晴美。

別れ際、晴美から不正献金疑惑についてリークがあったことを教えられる陽子。
“リーク犯”と“誘拐犯”は同一人物なのか?

一方、陽子は亜紀から「岩崎が怪しい」と告げられる。
亜紀と共に岩崎を問い詰める陽子だが、岩崎はリークは認めるが誘拐は否定。
リーク自体も正紀を守る為で、私腹を肥やす後藤が許せなかったと打ち明ける。
岩崎は犯人ではなかった。

時間ばかりが過ぎ、焦る陽子に犯人から次なる脅迫文が。
「“川辺町殺人事件”を調べろ」と言うのだ。

晴美の協力で事件を調べた陽子は驚くべき事実を知る。

“川辺町殺人事件”とは、高松という男性が借金の無心を断った為に下田という男性に殺害された事件だった。
橋本弥生は加害者・下田の妻。
そして、弥生は当時妊娠しており、その子供の年齢が陽子と合致したのだ。

代議士夫人である陽子が殺人犯の娘!!
そのセンセーショナルな事実は陽子を追い込む。
誘拐犯人はこの事実を明かせと脅迫しているのだ。
 
その夜、自宅へと帰った晴美。
出迎えたのは―――誘拐された筈の裕太であった。
誘拐犯は陽子がもっとも信頼する晴美だったのだ!!

晴美は上司である宮下と不倫していた。
ある日、宮下は“川辺町殺人事件”について晴美に洩らす。
晴美が被害者・高松の娘ではないかと言うのだ。
そうなると、陽子は加害者・下田の娘となる。
この想像が晴美の心に火をつけた。

晴美は陽子に嫉妬していた。
晴美と陽子は同じ境遇だった。
だが、一方は代議士夫人となり、もう一方は上司と不倫し遊ばれている。
そこで、2人の不平等を是正する為にリセットさせようと目論んだのだ。

晴美は陽子をもっとも残忍な方法で抹殺すべく、自分の事は伏せ弥生と正紀にも事情を教えるが……。

陽子は裕太のことを想い、正紀と離婚し家を出る覚悟を決める。
陽子は出演する「ミツコの部屋」の生放送ですべてを公開しようと決めたのだ。

「ミツコの部屋」放送当日、陽子は『あおぞらリボン』は友人・晴美のエピソードがもとであることを明かす。
さらに、自身が「福愛園」の出身者だとも。

驚く弥生。
弥生が子供を預けたのは「慈光園」だった。
そう、弥生の子供は陽子では無かったのだ……。

しかし、そうと知らない陽子は川辺町殺人事件の加害者・下田こそが実父であると発言してしまう。
晴美は会心の笑みを浮かべるが……。

そこへ、正紀がサプライズゲストとして現れる。
正紀は晴美から放送のことを聞き、駆け付けたのだ。
正紀は陽子の行動を支持し、自身の不正献金疑惑について打ち明ける。
不正献金を受け取っていたのは後藤だと暴露したのだ。
すべてを失っても家族が居れば再起できると宣言する正紀。

放送がコマーシャルに入り、スタジオに現れた弥生。
弥生は陽子ではなく、晴美が実の娘であると告げる。
『あおぞらリボン』のエピソードは弥生が娘に託したものだった。

真実を知った陽子は、放送中に晴美に向けてメッセージを送る。
そのメッセージを見た晴美は……。

放送が終わり、晴美のもとへ向かった陽子。
そこには裕太ひとりが居た。
晴美は何処かへと姿を消したと言う。

陽子は2人の想い出の地「福愛園」へと急ぐ。
弥生の言葉を胸に秘めながら―――。

数分前、弥生は「陽子こそが被害者・高松の娘である」と陽子に告げた。
当時、『あおぞらリボン』のエピソードは高松が娘に行い美談となっていた。
それを真似て弥生も娘に同じことをしたのだ。

陽子のエピソードはいつの間にやら風化してしまったが、晴美のエピソードはそのまま残った。
その晴美のエピソードを伝え聞いた陽子が本にしたものが回り回って『あおぞらリボン』として完成したのだった。

「福愛園」で晴美を見つけた陽子は晴美にすべてを告げ、彼女を許す。
すべては2人が同じ境遇だったから……と語る陽子に晴美は謝罪。
こうして2人は友情を取り戻した。

エピローグ

正紀は県議会議員を辞し、市議会議員として再出発。
晴美は弥生と親娘の名乗りを上げ、共に生活することに。
陽子は今日も青い空の下、どこかで『あおぞらリボン』を読み上げるのだった―――エンド。

<感想>

デビュー作『告白』でブレイクした湊かなえ先生がABC放送創立60周年記念の為に書き下ろした原作をドラマ化したものです。
奇しくも『告白』と同じく双葉社から刊行されました。

原作『境遇』については過去にネタバレ書評(レビュー)していますね。
興味のある方はどうぞ!!

『境遇』(湊かなえ著、双葉社刊)ネタバレ書評(レビュー)


朝日放送制作、湊かなえ先生スペシャルドラマのタイトル判明!!その名も『境遇』に!!

朝日放送創立60周年記念にて湊かなえ先生スペシャルドラマが放送予定!!

では、ドラマ版の感想を!!

原作とだいぶ変更点がありましたね。
特にエンディング関係が全く違う。
それと、陽子の出自についても。
やっぱり、あの原作通りだと肩透かし過ぎるからか……。

詳しい変更点については上記の原作ネタバレ書評(レビュー)を見て頂くとして。
とりあえず、変更点として目立ったのはこちら。

「原作」→「ドラマ」の順。

・「陽子の出自が事件と関係が無い」→「被害者の娘に変更」
・「10年後の正紀は政治家として大成」→「10年後の描写なし、市議会議員に立候補」
・「晴美は新聞記者として大成」→「新聞記者を辞め、弥生と同居」
・「弥生について記述なし」→「晴美と生活する」
・「晴美が10年後に自身の犯行を手記で発表」→「描写なし」
・「樅の木町殺人事件」→「川辺町殺人事件」
・「弥生が駆け付けるのは放送が終わって晴美が犯行を明かした後」→「放送中に登場」

こんなとこかな。
正直、原作よりドラマ版の方が完成度が高くなってました。

ただ、余りに「陽子」=「光」、「晴美」=「影」としたのはやり過ぎかなぁ。
勧善懲悪ものっぽい。
もっとも、これは原作通りなのですが……。

それと、『あおぞらリボン』についても変更されてましたね。
リボンを分けませんでした。
この点は原作の方が腑に落ちたか。
いろいろ興味のある方は原作をどうぞ!!

そうそう、湊かなえ先生原作の映像化といえば、その著作『贖罪』のドラマ化、『二十年後の宿題』の映画化も予定されています。
こちらにも注目!!

湊かなえ先生『贖罪』がドラマ化!!

湊かなえ先生原作『二十年後の宿題』(『往復書簡』収録)が映画化!!そこには意外なエピソードが……

◆関連過去記事
「告白」(湊かなえ著、双葉社刊)ネタバレ書評(レビュー)

コミック版「告白」(湊かなえ原作、木村まるみ画、双葉社刊)ネタバレ批評(レビュー)

「贖罪」(湊かなえ著、東京創元社刊)ネタバレ書評(レビュー)

「少女」(湊かなえ著、早川書房刊)ネタバレ書評(レビュー)

“本の雑誌”こと「ダ・ヴィンチ」にて湊かなえ先生特集が掲載、しかも古屋兎丸先生によるコミック版「贖罪」も!!

2010年公開ミステリ系映画(「告白」、「悪人」、「インシテミル」)、DVD化続々

2011年10月7日発売。ドラマ原作『境遇』です!!
境遇





「境遇 絵本付特別版」です!!
境遇 絵本付特別版





ドラマ化される「贖罪 (ミステリ・フロンティア)」です!!
贖罪 (ミステリ・フロンティア)





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