<あらすじ>
パソコン画面に浮かび上がるチャットの文字―<その男を殺してやりたい>、<私にも、殺してやりたい女がいます>。男はパリで開かれる学会の後、女はフランスで所用を済ませた後、パリ郊外・ルアーヴルのひなびたゴシック調のホテルで対面することになった。男の名は国立北九州大学医学部に勤務する小児科医・大湖浩平(村上弘明)。ほの暗い室内で大湖が女の存在に気づいたその瞬間、突如雷鳴が轟く。照明の消えた一室で引き寄せられるように唇を重ね、結ばれた二人。心に殺意を秘めた者同士。二人はチャットでその思いを語り合っていた。女が殺したいという女、その女は2年前にある人を殺したという。その日から、女はその女を殺さなければと心に誓って生きてきた。大湖は上司である医学部の悪徳教授を殺したいと女に打ち明けていた。その教授は発ガン性物質を含んだ食品を販売している企業と癒着し、子供が犠牲になっているにもかかわらず、その事実をもみ消そうとしていた。暗闇の中でお互いに殺したいほど憎い相手の名前を告げ合う二人。“国立北九州医大の吉見昭臣(津川雅彦)教授”、大湖は女にそう伝えた。“あなたが殺したい女は?”、大湖の問いに女は“永原翠…箱根にあるホテルの娘で、氷のように冷たい心の傲慢(ごうまん)な女”と答えた。大湖が女の名前を尋ねると、女は自らを鮫島史子と名乗った。顔もよく見えない暗闇の中での密会。大湖が我に返ったとき、室内に残されていたのはゲランの香り、そして史子と名乗った女の黒いロングカーディガンから落ちたボタンだけだった。そして、この日の思い出は大湖の心に深く刻まれた。
日本に帰国した大湖は、箱根に向かう。史子に教えられたホテルの近くで目にした永原翠のピアノコンサートを告知するポスター。ちょうどホテルに向けてカメラを構えたその瞬間、出会い頭に自転車に乗っていた娘とぶつかってしまう。娘の名は永原茜(菊川怜)、翠の妹だという。茜は大湖に一目ぼれに近い思いを感じて胸がときめいた。
大湖が勤める北九州の大学病院では、また一人、食品事件の被害者である少年が息を引き取った。吉見昭臣(津川雅彦)教授に駆け込む大湖。しかし、吉見は発ガン性物質など一切関係がないと、取り付く島もない。そんなある日、大湖に不動産屋から一本の電話がかかってくる。“鮫島さん”から大湖に物件の紹介を依頼されたという。“鮫島”と聞いて、不動産屋に急行する大湖。そのころ、市内のホテルでは製薬会社が主催した吉見教授を囲む会が開かれていた。そこに現れた黒いコートを身にまとった謎の女…。その後、大湖は彼を訪ねてきた薊野刑事(佐藤B作)から吉見が不審死したことを聞かされる。私のアリバイを作った上で鮫島史子が実行したのに違いないと確信する大湖。今度は自分が手を下す番だ…。箱根のホテルでは永原翠(小沢真珠)のピアノコンサートが準備されていた。会場を見渡した大湖に、翠の恩師らしい老夫妻とこちらに背を向けた黒いドレスの女が目に入る。鮫島史子が殺したいほど憎いという永原翠の演奏が始まった。そこに、翠に鋭い視線を投げつける和服美人がいることに気づく大湖。満場の拍手の中で、その女性・久米悠子(高橋かおり)だけは拍手をしていなかった。そのとき、恩師夫人が黒いドレスの女性に向かって“フミコさん”と呼びかけるのを聞いた大湖。この女性が鮫島史子なのか…。もう一度会って確かめたい。はやる気持ちを抑え、フミコに近づく大湖。そのとき、背後から声をかけられる。振り返ればそこに茜がいた。茜と話し込むことになった大湖。茜によれば、姉の翠には最愛の恋人がいたが、2年前に自殺、まだその失意から立ち直っていないという。その恋人・久米倫也には妻がいて、翠とは不倫関係にあったという。茜は大湖に魅力を感じていく自分を抑えられなかった。
永原邸のそばまでやってきた大湖。玄関先では姉妹が何やら会話をしている。茜がスポーツカーで出掛けたのに続いて、翠が犬を連れて出てきた。尾行する大湖。辺りに人影はない。鮫島史子との約束を果たすには今しかない。ナイフを握りしめる手に力が入る。この女を殺したいほど憎んでいる鮫島史子は今、どこにいるのだろう…。どんな思いで何をしているのだろうか…。
愛と憎しみに織りなされた交錯する人間模様は、思いもかけない意外な結末へと運命の歯車を大きく回し始めていった。
(金曜プレステージ公式HPより)
では、続きから……(一部、重複あり)。
翠のコンサート会場で成瀬文子と出会った大湖は彼女こそが史子ではないかと疑う。
フランス旅行の話を持ち出すと、確かに話が通じる。
彼女こそが……と確信しかけたところ、フミコの字が違うことが判明。
大湖は別人だったを肩を落とす。
しかし、これで諦めるワケにもいかない。
大湖は翠さえ殺害すれば史子に会えると信じ、池内と偽名を使って翠の周囲を調べ始める。
茜に近付いた大湖は翠の情報を引き出す事に成功。
そこで、翠の不倫相手・久米倫也が自殺したことを聞くことに。
大湖はその久米の妻こそがあの夜の史子ではないかと疑う。
久米の妻の名は悠子。
悠子を一目見た大湖は彼女こそ史子だと考え、彼女の為に翠を殺す決意を固める。
交換殺人を約束した以上、悠子に声はかけられない。
そこで訪ねた証拠として、こっそり医学雑誌を残す大湖。
せめて、彼女に自分の誠意を理解して欲しいとの行動だったが……。
遂に翠殺害を決行。
大湖はこれで史子との約束を果たせたと胸を撫で下ろすが……。
翠殺害について捜査が開始。
捜査本部の蛭田刑事は茜に情報を尋ねるが、茜は大湖のことを伏せる。
茜は偽名を使った大湖に恋していたのだ。
蛭田刑事は、殺害の動機を持つ悠子を疑うが悠子にはアリバイがあった。
悠子は大湖が残した医学雑誌を不審物として捜査本部に手渡す。
蛭田は医学関係者の関与を知ることに。
一方、吉見殺害を追う薊野刑事は大湖を疑っていた。
しかし、大湖には完璧なアリバイがあった。
吉見殺害現場で目撃された黒いコートの女こそが実行犯であると考えた薊野は大湖との交換殺人を確信。
大湖を揺さぶるべく捜査情報を明かす。
黒いコートの女はゲランの香水を身に着けていた。
そして、箱根芦ノ湖の絵ハガキを所持していたらしい。
これを聞いた大湖はやはり史子が吉見を殺害してくれたと喜ぶ。
尚更、史子に会いたくなった大湖は悠子との接触方法を考える。
その頃、蛭田刑事は池内という不審な男が翠を調べていたことを突き止める。
池内の人相書きまで作成。
そこから鳴瀬文子に行き当り、文子から「フランス旅行」と「フミコ」というキーワードを引き出す。
悠子を史子だと信じる大湖は久米の友人を騙り麻布のシンシアホテルに悠子を呼び出す。
しかし、悠子には蛭田刑事の尾行がついていた……。
こうして、大湖は蛭田の捜査線上に自ら姿を現してしまう。
そして、そこには薊野刑事も居たのである。
黒いコートの女は悠子なのか?
池内の正体は誰だ?
薊野と蛭田が注目する中、悠子こそ史子と信じる大湖はそのままあの夜を再現すべくホテルの自室へと招く……。
そのまま史子の名を呼び悠子を押し倒す大湖だったが、悠子は抵抗。
大湖は逃走を余儀なくされる。
悠子は史子ではなかった。
これにより、薊野と蛭田は互いの情報を交換し合同捜査に乗り出す。
交換殺人だと確認されてしまったのだ。
自ら正体を明かした格好となった大湖は進退窮することに。
逃亡生活に入った大湖。
もしかして、茜こそが史子ではないかと思い至る。
蛭田刑事は池内=大湖説を固める為に茜に証言を求めるが、茜は否定。
茜の大湖への想いは日に日に大きくなっていたのだ。
これに疑念を抱いた蛭田刑事は茜を監視する。
そんなこととは露知らぬ大湖は茜に連絡を入れる。
「あなたが史子さんですね……」
「はい」
大湖の問いを認めた茜は再会場所を指定する。
茜の車が夜の道を走る。
尾行する蛭田だったが茜は搭乗しておらず、まかれてしまう。
本物の茜は大湖と密会していた。
あの夜と同じく、そのまま関係を持つ大湖。
事後に茜が史子ではないことに気付く。
史子の正体を問い質す大湖。
茜が答えた名は意外なものだった。
久米と心中する筈だったが出来ず、独り死なせてしまったことを後悔し続けていた翠こそが史子だったのだ。
翠は久米の後を追いたがっていたが自分の手では死ねなかった。
そこで、大湖にそれと知られずに依頼したのだった。
茜は翠の遺した日記を読み真相を知ると、さらに大湖を愛してしまったのだ。
その場を去ろうとする大湖だったが、茜は愛を告白し呼び止める。
姉・翠の分まで2人で愛を高め合おうと告げられた大湖は……。
数日後―――フランス。
そこに国外へと新たな人生を求めた大湖の姿があった。
そして、その傍らには茜が……。
肩を寄せ合い歩く2人。
しかし、その背後には薊野刑事と蛭田刑事が迫っていた―――エンド。
<感想>
ドラマ原作は夏樹静子先生『第三の女』(光文社刊)。
過去にネタバレ書評(レビュー)していますね。
興味のある方はリンクよりどうぞ!!
・「第三の女」(夏樹静子著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
では、ドラマ版感想。
かなり良かったと思います。
ラストで「原作と違って逃げ切りかよ〜〜〜」とがっかりしかけましたが、その後がきちんとあって良かった。
ただ、原作だと大湖は「“保身の為に翠との交換殺人を反故にし、翠を殺した男”と捜査陣に思われており、本当は翠を愛していたにも関わらず、その推理に対し反証する術を持たない点」がキモだったので、そこもきっちり描いて欲しかったなぁとも思います。
オープニングで小沢真珠さん声色を変えてましたね。
結末を知っててもちょっと分からないほどでした。
流石、プロの女優さんです!!
『第三の女』は大湖が“自身が”運命と思う女性である史子を捜す物語。
そこはきっちり描けていたのでアリでしょう。
何回も史子を誤認する点も、原作だと愛の狩人的な雰囲気だったのですが、実写化しちゃうと単に節操のない男のように見えてしまったのが不思議です。
「“運命の相手”なら一回で見分けろよ〜〜〜」との視聴者の声が聞こえてきそう。
でも、現実はこんなものです。
まぁ、本作はフィクションですが。
全体的に原作の重要ポイントは、前述のアレ以外は押さえられていたし、キャスティングもマッチしてました。
かなり良かったと思います。
◆夏樹静子先生関連過去記事
【書籍】
・「見えない貌」(夏樹静子著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・「てのひらのメモ」(夏樹静子著、文藝春秋社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・「天使が消えていく」(夏樹静子著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『死なれては困る』(夏樹静子著、徳間書店刊)ネタバレ書評(レビュー)
【ドラマ】
検事・霞夕子シリーズ
・金曜プレステージ 夏樹静子サスペンス・検事・霞夕子「首吊り死体が歩いた!悲劇の始まりは1年前の交通事故…歯科医の死体!残された親指の指紋の謎が解けた時…事件の真相が明らかになる(森を歩く死体)」(2月4日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・金曜プレステージ「3週連続・罪と女とミステリー第2夜 夏樹静子サスペンス・検事霞夕子〜無関係な死〜猟銃に撃たれた老人・痴漢に間違えられた男…2つの事故に疑惑が生じた時女たちの運命が変わる…!」(9月2日放送)ネタバレ批評(レビュー)
その他
・月曜ゴールデン夏樹静子原作「Wの悲劇」(1月11日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・月曜ゴールデン 夏樹静子サスペンス「見えない貌〜イソ弁里村タマミの事件簿〜ダムに美しき水死体!出会い系美人妻の孤独と禁断愛…真相を追う母を襲う新たな殺人…真実のカギは親子愛」(6月7日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・NHKドラマスペシャル てのひらのメモ「あなたは本当にわが子を放置したの?裁判員に選ばれた一人の主婦がたどり着く真実」(10月23日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・土曜ワイド劇場「夏樹静子作家40年記念 天使が消えていく〜小さな命を守れ!欲望の街を走る女性記者!死者からの手紙!驚愕の結末とは!?」(10月30日放送)ネタバレなし感想
・金曜プレステージ「夏樹静子サスペンス弁護士・朝吹里矢子〜古都・おさない証言にゆらぐ老舗〜能登和倉温泉・目撃者は5才児金沢−東京繋ぐ犯行のシナリオ」(12月10日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・土曜ワイド劇場「女刑事・左近山響子 90便緊急待避せよ 復讐殺人フライト!!ハイジャック未遂の罠隣席は、連続殺人犯!?立ち聞きされた密会」(5月7日放送)ネタバレ批評(レビュー)
<キャスト>
大湖浩平(北九州大学准助教授):村上弘明
永原茜(翠の妹/画家):菊川 怜
永原翠(ピアニスト):小沢真珠
久米悠子(倫也の妻/翻訳家):高橋かおり
大湖志保子(大湖の妻):中山 忍
成瀬文子(間違われた女):秋本奈緒美
薊野刑事(福岡県警):佐藤B作
蛭田刑事(神奈川県警):深水三章
吉見昭臣(北九州大学教授):津川雅彦 ほか
(順不同、敬称略、公式HPより)
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コメントありがとうございます(^O^)/!!
管理人の“俺”です!!
ご指摘頂いた箇所は、公式HPからの引用部分ですね。
なにぶん、半年以上前に放送された作品です。
視聴した際の記憶も曖昧なので映像を確認したいところなのですが、録画していないので確認が出来ません。
ネット上の他の情報も当たってみたのですが、調べた範囲では該当箇所を見つけられませんでした。
その為、正確な台詞については分からない状態。
折角、ご指摘頂きながらお答え出来ず申し訳ないです。