2011年12月01日

『田舎の刑事の趣味とお仕事』(滝田務雄著、東京創元社刊)

『田舎の刑事の趣味とお仕事』(滝田務雄著、東京創元社刊)ネタバレ書評(レビュー)です!!

ネタバレあります!!注意!!

<あらすじ>

彼の名は黒川鈴木。姓名どちらも姓に見えるという点で、まあ珍名の部類に入る。職業は警察官。階級は巡査部長。既婚で子供はない。ふだんはヒマでも、事件が起これば無能な白石と真面目な赤木、二人の部下を連れて現場に急行する。起こる事件は本ワサビ泥棒、カラス騒動……。第三回ミステリーズ!新人賞受賞作から始まる愉快な脱力系ミステリ短編集。肩の力を抜いてお楽しみください。著者あとがき=滝田務雄

目次

「田舎の刑事の趣味とお仕事」
「田舎の刑事の魚と拳銃」
「田舎の刑事の危機とリベンジ」
「田舎の刑事の赤と黒」
「田舎の刑事のウサギと猛毒」
(東京創元社公式HPより)


<感想>

「田舎の刑事」シリーズ記念すべき1作目。
シリーズには他に2作目の『田舎の刑事の動物記(田舎の刑事の闘病記改題)』がある(2011年11月現在)。

『田舎の刑事の動物記(田舎の刑事の闘病記改題)』(滝田務雄著、東京創元社刊)ネタバレ書評(レビュー)

本作は表題作こそ物慣れぬ感じがしたが、シリーズを重ねるごとに黒川のキャラが固まって行くようで面白くなる。
特に「田舎の刑事のウサギと猛毒」は完成度が高い。

ロジック自体は奇抜ではなく手堅いくらいに手堅いので物足りないと感じられるかもしれないが、伏線も丁寧に張られていて良い。
絶対に読むべきというほどの作品ではないが、充分に楽しめるだろう。
シリーズを重ねるともっと良くなりそう。

それにしても「田舎の刑事のウサギと猛毒」の井馬南司(いまなんじ)と戸景美奈(とけいみな)には不覚にも笑ってしまった。

尚、ネタバレあらすじは伏線が多く、すべてを拾って行くと量が多くなるのでかなり端折っています。
本作を本当に楽しみたい方は『田舎の刑事の趣味と推理』を読むことをオススメします。

ちなみに、2012年に日本テレビ系列にてドラマ化が決定しています。
タイトルは「木曜ミステリーシアター『デカ黒川鈴木』」だそうです。
実写版黒川にも注目!!

でも、管理人的に黒川は中村梅雀さんのイメージなんだよなぁ……。

滝田務雄先生『田舎の刑事』シリーズ(東京創元社刊)が日本テレビさんにてドラマ化!!

<ネタバレあらすじ>

・「田舎の刑事の趣味とお仕事」

わさび盗難事件が発生し、所轄署の黒川が捜査に乗り出す。
部下の白石のマイペースぶりに苛立ちながらも捜査を続ける黒川。

ライトの明りを2つ見たとの目撃証言から犯人が車で移動していたらしいことが判明。
そこから容疑者を捜すが……。

黒川の趣味はオンラインゲーム。
初心者に優しいとの事情でネカマをやっている黒川だが、慣れたら男キャラを作ろうと思っているうちに辞め時を見失いベテランになってしまっていた。
その世界は白石に煩わされることのない心安らぐ場所の筈だったが……そこでも新参プレイヤーとして白石と出会ってしまう。
リアルとバーチャル、2つの世界で白石に手間をかけさせられる黒川は休まる暇がない。
と、あるシナリオのプレー中に鏡のトリックが用いられていたことで犯人のトリックに気付く。

犯人は1つのライトを鏡を用いて2つに見せかけたのだった。
つまり、バイクの所持者が犯人だったのだ―――エンド。

・「田舎の刑事の魚と拳銃」

人気のない山奥で発砲事件が発生。
黒川は犯人の狙いが鬼乃山にあると睨む。

鬼乃山が釣りを趣味としていることを調べ上げた黒川はボートの管理人を疑う。

実は管理人は息子一家を鬼乃山に自殺にまで追い詰められ殺されていた。
その復讐を狙っていたのだ。
その為にXLとLのクーラーボックスに細工し自動的に射殺しようと計画していた。

しかし、黒川が事前にそれに気付いたことで自首を促し、事件は未然に防がれるのだった。

・「田舎の刑事の危機とリベンジ」

妻に命じられて風呂場の電球を買いに出た黒川。
たまたまコンビニ強盗を発見し、1人を取り押さえたはいいが他の仲間に捕まり気絶させられてしまう。

黒川が気付いた時にはトイレに閉じ込められていた。
しかも、外では課長や白石、赤木たちが強盗を説得している真っ最中。
どうやら、強盗は立て籠もっているようだ。

外の様子が分からない黒川が必死に聞き耳を立てると、とてもではないが説得しているような内容では無い。
挙句には自身の妻も現れ「電球はまだ買えないのか」とのたまう始末。
うなだれる黒川だが、へこたれるワケにはいかない。
俺は孤独な狼だ……呟きつつ必死に脱出する。
その甲斐あってかトイレから脱出した黒川の目に信じられない光景が!!
コンビニの中から犯人の姿が忽然と消えていたのだ。

そして、それは外も同じだった。
包囲していた筈の課長たちの後方に犯人グループが突如として現れたのだ!!
しかも、そのまま逃走してしまう。

呆気にとられた課長と妻に裏切られ傷心の黒川。
それもその筈、黒川の妻は糠味噌を気にかけて夫の安否を確認もせずに一足先に帰ってしまっていた。

半ば逆恨みのこもった怒りの黒川の推理が炸裂する!!
中にいた犯人グループが、何故煙のように外に出られたか?
答えは簡単、初めから中に居なかったからだ。

犯人グループは黒川を気絶させた後でコンビニを引き払っていた。
その後、店内に設置されていた無線機器で外部と連絡を取り交渉し、あたかもその場に居たかのように偽装したのだ。

つまり、犯人はコンビニの設備を良く知り、防犯機器の扱いも慣れていた人々。
事件発生後に現場へと来る必要のあった人々。

そう、コンビニが契約している警備会社の人間だったのである―――エンド。

・「田舎の刑事の赤と黒」

トーテムポール破壊事件が発生していた。
しかし、これは無理もないこと、町は時ならぬゴールドラッシュだったのだ……。

都会からやって来た丸田の所持していた時価2憶のルビーがカラスに盗まれた。
丸田によれば亡き妻の復讐だと言う。

これには事情があった。
丸田の妻は資産家の娘だったが病気で余命幾許もなかった。
病気が原因で婚約者にも逃げられた彼女は、そこに金目当てで近付いてきた丸田と結婚してしまった。
しかし、丸田との夫婦仲は冷めたまま。
そこで、彼女は死の直前に黒いカラスにルビーを盗ませると予告していたらしい。

案の定、丸田はルビーを紛失しカラスに盗まれたと被害届を提出したから、さぁ大変。
狭い町は蜂の巣ならぬ、カラスの巣をつつく大騒ぎ。
巣を探してはルビーを捜すという状態に陥っていたのだ。

トーテムポールが破損したのも、よじ登り近くの木の上にあったカラスの巣を調べようとした人間が原因だった。
現場を目撃した目撃者兼トーテムポール製作者の山吹により犯人は御用となったが……。

黒川は丸田が本当にルビーを失くしているのかを疑問視。
さらに、山吹が何故現場を目撃したのかも疑問視する。

そこから推理を進めた黒川は山吹がトーテムポールから何かを回収しようとしたのではないかと気付く。
そして、丸田が初めからルビーを所持していなかったことにも。

そう、丸田の妻は丸田に渡さないように生前からルビーを元婚約者だった山吹に渡していた。
山吹は丸田夫人を捨てた後ろめたさから彼女に協力、トーテムポールに隠した。
カラスとはトーテムポールの頂上に鎮座する青い鳥を指していたのだ。

山吹によれば丸田夫人存命中はまだ青く染めておらずカラスのようだったらしい。

こうして事件は解決。
ルビーは丸田のもとへ。

しかし、黒川は気付いていた。
この事件の恐ろしい真相に。

実は丸田は山吹が怪しいと睨んでいた。
カラスの件も山吹を揺さぶる為の罠だった。
最終的には痛めつけても在処を吐かせるつもりだったらしい。

そう、丸田夫人は丸田にではなく、自分を捨てた山吹に復讐しようと狙っていたのだ。
あえて、丸田に情報を洩らすことで山吹を危地に追い込んだのだった。
しかし、山吹は意図せず夫人への愛を証明するべくカラスを青く塗ったので丸田も確信が持てず助かったのだ―――エンド。

・「田舎の刑事のウサギと猛毒」

井馬南司という男が大量の白米と共に自殺した。
井馬は戸景美奈のストーカーで、彼女を道連れにするべく生前、何処かに青酸カリを仕込んだらしい。
東京から井馬を追って来ていた野呂刑事と共に捜査に当たる黒川たち。

白米に青酸カリの反応があったことから戸景美奈の食生活に注視する一同。
だが、美奈の食生活に特に不穏な点は無い。
美容の為に糠を入浴剤代わりに用いているなどしっかり者であることが分かっただけだ。

一方、黒川は交通教室の腹話術人形を用いた妻の精神攻撃にリタイア寸前。
妻の本音を腹話術として語るウサ丸君の為に憂さが溜まる一方。

しかし、黒川はただでは転ばない。
井馬が玄米を大量購入していたことに着目する。
しかし、井馬の周囲にあったのは白米だった。

どこかで精米したのだ!!
精米時に生じるものは糠である。
美奈は糠を入浴剤などに使っていた。
井馬の狙いは、青酸カリ入りの糠を美奈に使用させることだった。
美奈は糠を精米所から無料で譲り受けていたのだ!!

こうして、既に亡い井馬の無理心中計画は破れた。
だが、黒川は妻の操るウサ丸君に恐怖心をすり込まれてしまうのだった―――エンド。

「田舎の刑事の趣味とお仕事 (創元推理文庫)」です!!
田舎の刑事の趣味とお仕事 (創元推理文庫)





2011年12月22日発売予定、シリーズ2作目「田舎の刑事の動物記 (創元推理文庫)」です!!
田舎の刑事の動物記 (創元推理文庫)





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posted by 俺 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 書評(レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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