ネタバレあります!!注意!!
<あらすじ>
部下の白石の無能ぶりに卒倒し、病院に運ばれた黒川刑事。折しも入院病棟では、不審者が頻繁に病室に侵入しているらしい形跡が見られ……。表題作「田舎の刑事の闘病記」をはじめ6編を収録。田舎でだって難事件は起こる。鬼刑事黒川鈴木、今日も奮闘中。猿を追いかけ、蜂に追いかけられ、奥さんと台湾旅行に出かけて散々な目にあう黒川、今回は殺人事件にも遭遇します。お待たせしました、ミステリーズ!新人賞受賞作家による、待望の脱力系ミステリ・シリーズ第2弾。肩の力を抜いてお楽しみください。
目次
「田舎の刑事の夏休みの絵日記」
「田舎の刑事の昆虫記」
「田舎の刑事の台湾旅行記」
「田舎の刑事の闘病記」
「田舎の刑事の動物記」
「田舎の刑事の冬休みの絵日記」
(東京創元社公式HPより)
<感想>
「田舎の刑事」シリーズ2作目。
シリーズには他に1作目の『田舎の刑事の趣味とお仕事』がある(2011年11月現在)。
・前作はこちら。
『田舎の刑事の趣味とお仕事』(滝田務雄著、東京創元社刊)ネタバレ書評(レビュー)
シリーズ2作目ということもありキャラクターも定着、その物語形式は熟練の域に、黒川ネタとそのオチは様式美にまで達しています。
ただし、ミステリとしては弱いかなぁ……残念ながらあまり面白くはない。
公式のあらすじにもあるように気軽な読み物として楽しむのが正しい読み方かな。
管理人がどう感じたかはネタバレあらすじをご覧になれば分かる筈。
その詳細さや長さが面白さのバロメーターとなっています。
それと気になったのは前作に比べて凶悪事件が増えていること。
本シリーズには、もう少しほんわか系の事件の方が合いそうな気がするのだが。
ちなみに説明しておくと『田舎の刑事の動物記』は『田舎の刑事の闘病記』を文庫化した際に改題したもので内容は同じです。
なお、本シリーズは2012年に日本テレビ系列にてドラマ化が決定しています。
タイトルは「木曜ミステリーシアター『デカ黒川鈴木』」だそうです。
実写版黒川にも注目!!
・滝田務雄先生『田舎の刑事』シリーズ(東京創元社刊)が日本テレビさんにてドラマ化!!
<ネタバレあらすじ>
・「田舎の刑事の夏休みの絵日記」
もはや白石などよりも署内のイジラレ役として定着した黒川。
そんな黒川を取り巻く相変わらずの面子たち。
そこへまたも事件が!!
男性が殺害されたのだ。
被害者は死の直前に「刑事の狛沢に殺された」と携帯メッセージで言い残していたが……。
調べたところ狛沢猿彦が容疑者として浮上。
犯人で間違いないかと思われたが、猿彦にはその名の通り犬猿の仲の犬彦という双子がいた。
2人の容姿は全く同一。
被害者の言葉がなければどちらが殺害していても不思議ではない。
黒川は推理を巡らせ、犬彦が犯人であると突き止める。
被害者は猿彦の双子である犬彦の存在を知らず、犬彦に殺害されても猿彦の犯行であると思い込んでいた。
なぜ、被害者が言い残すことができたか?
犬彦は猿彦に罪を被せようと被害者の行動を放置していたからだった。
つまり、これにより犬彦の犯行であると断定できたのだった―――エンド。
・「田舎の刑事の昆虫記」
とある男性が殺害された事件。
黒川は犯人が飼育していた蜂からとれた蜂蜜で犯人を突き止める。
その蜂蜜は殺害現場付近に群生する花のもの。
現地に行ったことを否定していた犯人もこれにはお手上げとなったのだ―――エンド。
・「田舎の刑事の台湾旅行記」
妻の豪運で台湾旅行を引き当てた黒川。
さっそく現地に向かったところ、事件に巻き込まれることに。
誘拐事件である。
被害者の送ってきたメッセージをもとに行方を追う黒川。
秋葉原のメイド喫茶から電話を寄越した白石のヒントから事件を解決に導く。
被害者にとって、メッセージ「welcome」は日本語で「またのお越しを」だったのだ。
空港の出入り口で2つの言葉が並んでいることを見かけた被害者が意味を誤解したのだ。
黒川は白石の「メイド喫茶でのおかえりなさいがようこそである」とのヒントでこのことに気付いたのだ ―――エンド。
・「田舎の刑事の闘病記」
病院に居た黒川は盗聴器に気付く、いったい誰が何のために?
真相は見舞客に扮した探偵が調査対象に仕掛けたものだった。
黒川はお茶とオレンジジュースのペットボトルについての証言などからそれを見破ったのだった―――エンド。
・「田舎の刑事の動物記」
天才とされる猿・通称ヌエが殺害された。
当初は事故による感電死と思われていたが、黒川が保健所職員から預かった遺体を調べてみると罠にかかり命を落としたことがわかる。
事件の第一発見者であり、ヌエをよく知る研究者によればヌエはオス。
ところが死体はメスの猿だった。
他に死因なども研究者の証言と食い違っている。
白石は、研究者が存在しない天才猿を名声のために捏造し、発表したのちに事実を確認されないよう殺害したのではと推理する。
これを聞いた黒川は真犯人の存在に気付く。
真犯人は保健所職員だった。
この事件は猿の殺害事件ではなかったのだ!!
彼は猿ではなく猿を追う研究者を殺害しようと感電の罠を仕掛けていた。
それにヌエがかかったので殺意を隠すべくヌエと他の猿の死体を入れ替えたのだ。
すべての矛盾はここから生まれていた。
こうして、隠されていた殺人未遂が暴かれたのだった―――エンド。
・「田舎の刑事の冬休みの絵日記」
胡麻という男が微罪で出頭してきた。
胡麻を拘束したところ、同時刻に胡麻が廃棄したローリー車が放火され爆発する事件が発生。
容疑は胡麻に向いたが胡麻にはアリバイが。
アリバイについては胡麻が人を使ったと考えられたが、問題は胡麻の所有していたローリー車を見分けた方法。
廃棄したのは胡麻と関わりのない業者の人間、しかも、廃棄場所には同型のローリー車が多数停まっていたのだ。
この中からどうやって目的のローリー車を見分けることが出来たのか?
この謎に挑んだ黒川。
署長の娘とサンタコスプレの妻のヒントにより、犯人が紫外線を使ったことを突き止める。
紫外線で浮かび上がる目印をつけていたのだった―――エンド。
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