ネタバレあります、注意!!
<あらすじ>
飛びこみ出産の身元不明の妊婦が急死。それにかかわった「聖職者」たちは、小さな嘘を重ねるうちに、人生が狂っていく……。妊婦は誰なのか? 新生児は誰の子か? 傑作医療ミステリ。
(幻冬舎公式HPより)
<感想>
その著作『瞬(またたき)』で知られる河原れん先生の作品です。
2012年1月からドラマ放送が決定しています。
・河原れん先生『聖なる怪物たち』(幻冬舎刊)がテレビ朝日系列にて2012年1月よりドラマ化!!
話題の作品なので読んでみました。
物語はジェットコースター式の展開で進みますが、決してディティールが荒いわけではなく、むしろ丁寧に描かれており好感が持てます。
テーマは「誰にでも裏がある」というところでしょうか。
このテーマは強い説得力がないと荒唐無稽に終わりがちなのですが、本作はなかなかに上手く構成されており良かった。
それと、読み易い文章でなかなか面白く読めた点もアリ。
人の2面性やエゴについて触れた作品としてもなかなかです。
決して名作や傑作の類ではありませんが、「読んで損はない」作品だと思います。
河原れん先生は、本作を読む限り筆力がある方のようなので要注目の作家さんですね。
<ネタバレあらすじ>
外科医・司馬健吾は急患でやって来た妊婦の帝王切開手術を執刀し、子供を取り上げた。
ところが、妊婦はそのまま死亡してしまう。
妊婦の死は司馬による医療ミスとされ、責任を追及しない代わりに司馬は病院を追われてしまう。
当初こそ、人を死なせた後ろめたさから従っていた司馬だったが日が経つにつれ疑問を抱くように。
調べ始めた司馬の身の回りで起こる妨害の数々。
司馬は遂に事件の背後に日向という資産家が関わっていることを突き止める。
そこから司馬はある仮説に辿り着く。
死亡した妊婦は有馬三恵という女性。
三恵は友人である日向の妻・圭子の代理母を行っていた……表向きは。
しかし、裏では日向と不倫しており子供を妊娠したことをきっかけに日向に代理母を持ちかけていたのだ。
日向は三恵の提案に従い圭子の子供とすることに決め、「自分と圭子の子供である」と圭子を騙した。
それと知らず圭子は三恵のお腹の子供は自分の子供であると信じ、子供を三恵に取られないように姉に処方して貰った薬を服用させ三恵を追いつめた。
薬により苦しみだした三恵は病院に担ぎ込まれ、そこを司馬が緊急手術したのだ。
三恵の死因は、A型までは正しかったが三恵が単なるA型ではなく稀な血液型だったため。
誤って輸血してしまい死亡していたのだ。
院長は日向に資金提供して貰う約束ですべてを闇に葬っていた。
司馬は自身の誇りを取り戻すために、院長と日向の取引現場へと赴く。
そこには師長の春日井も居た。
春日井もグルだったのだ。
調査内容について明かす司馬。
非を認めるよう日向たちを追及するが、彼らは動じない。
業を煮やした司馬は正義を行うべく三恵の子供を警察に届けようとする。
急に現れた司馬に子供を奪われ混乱する圭子にすべてを説明する司馬。
圭子は何も知らなかった。
司馬の言葉に大きなショックを受けてしまう。
しかし、現実はもっと厳しかった。
そこへ現れた春日井により、日向も知らなかった真実が明らかにされる。
実は、春日井は圭子の姉。
圭子に薬を処方したのは春日井だった。
しかも、三恵が生んだ子供は日向の子供ではなかった。
交友関係が派手だった三恵は誰とも知れぬ男の子供を妊娠したことで日向を利用したのだ。
おぞましい真実を知った司馬はなおさら子供を警察に届けようとする。
ところが、子供を取り上げられまいとした圭子がそこに立ちはだかる。
圭子の手にはナイフが握られていた。
赤ん坊を胸に逃げ出した司馬に追いすがる圭子。
結果、司馬を庇った院長が刺されてしまう。
幸い院長の傷は軽傷。
司馬は院長から、真実を明るみに出しても誰も得しないことと、大学病院への推薦を餌に丸め込まれてしまう。
数ヶ月後、大学病院の第一線で腕を振るう司馬の姿があった―――エンド。
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そんでもって今日も右側のたいやき君と遊ばせて頂きました☆Z・・と眠ってしまった、たいやき君を起こしてしまったら今度は、たいやき君に怒られてしまいました(笑)。
こんばんわ(^O^)/。
管理人の“俺”です!!
原作である『聖なる怪物たち』は群像劇っぽいのでドラマにすると映えると思います。
内容的にも期待できそうですし、キャストも映画版『告白』『悪人』に出演した岡田将生さん主演ということで注目です!!
たいやき君、癒されますよね。
ときどき、タイヤになるパターンもあって面白いし。