2011年12月08日

『インシデント 悪女たちのメス』(秦建日子著、講談社刊)

『インシデント 悪女たちのメス』(秦建日子著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<あらすじ>

「アンフェア」シリーズ著者が、医療の聖域に挑む緊迫のメディカル・ミステリー! 

女子高生のさやかは、脳機能iPS細胞再生術を用いた世界初の脳外科手術を受ける。執刀医は、日本随一のオペ技術を持つ天才女医・桧山冬実(ひやまふゆみ)。しかし、誰もが手術の成功を確信する中、悲劇は起きた。それは医療事故(インシデント)だったのか、それとも罠なのか。現代医療の矛盾に迫る緊迫の医療ミステリー。<文庫書下ろし>
(講談社公式HPより)


<感想>

「アンフェア」の原作で知られる秦建日子先生の作品です。

あの「アンフェア」に続編登場!!その名も「アンフェア2」、ついに完結するのか注目集まる。

ちなみに、ときどき書店の女性作家コーナーで見かける秦先生ですが、男性なので注意!!
女性作家のコーナーにあったら、店員さんに声かけして場所を変えて貰いましょう。

さて、本作は“ミステリ”よりは“サスペンス”ですね。

ジェットコースター式の展開に「あれよあれよ」と言う間に物語は意外な結末を迎えます。
ただ、あの結末には賛否両論ありそうかなぁ。

それと、意外な展開を狙い過ぎている気もします。
伏線らしい伏線は存在しないので、後出しが苦手な人は要注意!!

そして、秦先生といえば日本テレビ系列にて『ダーティ・ママ!』(双葉社刊)がドラマ化されます。
『ダーティ・ママ!』にはネタバレ書評(レビュー)がありますね。
興味のある方はリンクからどうぞ!!

『ダーティ・ママ!』(秦建日子著、河出書房新社刊)ネタバレ書評(レビュー)

秦建日子先生『ダーティ・ママ!』シリーズ(河出書房新社刊)がドラマ化!!

<ネタバレあらすじ>

日本随一のオペ技術を持つ天才女医・桧山冬実(ひやまふゆみ)。
新進気鋭の彼女のオペは芸術品とも称されていた。

そんな冬実は、病院を拡大する野望を持つ院長・瀧川のバックアップを受けて、患者のさやかに脳機能iPS細胞再生術を用いた世界初の脳外科手術を施すことに。
これが成功すれば冬実の名前は世界に轟くこととなる。
そして、冬実にとっては成功を確信できる手術の筈だった。
途中、大物代議士の緊急手術が飛び込んで来るなど多少のアクシデントがあったものの、手術は成功。
ところが、術後にさやかの容態が急変しそのまま死亡してしまう。

さやかの死は医療事故(インシデント)なのか?

医療コーディネーターの中原永遠子は冬実の医療事故を主張し譲らない。
だが、冬実にはどうしても医療事故とは思えない―――成功した自信があったからだ。

中原はさやかの友人・望月悠たちと共に証拠を捜す。
そして、手術を記録した映像があることが判明する。

記録映像に価値があることに気付き、持ち出していた冬実の助手・真田。
そんな真田に近付いた看護師・恵は真田を殺害し、映像を奪う。
奪った映像をオークションにかける恵。

冬実、永遠子はそれぞれの目的の為にオークションに参加することに。
結果、落札したのは永遠子だった。

映像受け渡しの日、約束の場所へと向かった永遠子たちは金と引き換えに映像を入手する。
ところが、そこへ何者かが乱入。

永遠子を殴りつけ昏倒させると映像を持ち去る。
永遠子に映像を取り返すよう託された望月はその場を離れることに。

冬実の姉・夏帆が自宅に戻ると、そこには望月の姿があった。
永遠子を襲撃し映像を奪ったのは夏帆だった。
瀧川に冬実の窮地を告げられ、姉として妹を助けようとした結果らしい。

さやかの仇を討とうとする望月は映像を守り抜こうとするが……。
冬実を守ろうとする夏帆と激突。
思い余った夏帆は望月を刺殺してしまう。

同じ頃、冬実の前に緊急患者として永遠子がやって来る。
夏帆に殴られた傷が思いの外に深かったのだ。
遺恨のある相手にも関わらず、冬実は命を救うべく緊急手術を行うことに。
永遠子は命を取り留める。

そして、映像を落札できず無念の思いを抱えたまま帰宅した冬実を待っていたのは血塗れの姉と死体となった望月だった。

こうして、冬実は医療事故の汚名と共に姉が殺人者になってしまった。
一方、映像をオークションにかけた恵も真田殺害が露見し逮捕される。
実は恵に映像の価値を教えた人物が居たらしいが……。
映像もなく、不利を悟った瀧川は、沈みかけた船を捨て別の病院へと転身を図る。

姉が殺人まで犯して守ろうとした手術の映像を確認した冬実。
だが、その映像内での手術には一切ミスが無い。
むしろ、完璧なものだった。
さやかの死には別の原因があったのだ。

しかし、今となってはそれも分からない。

真実も藪の中となり、1人残された冬実の前に鳴沢が現れる。
鳴沢は冬実に代わり世界に出ようとしていた。
そこで、脳機能iPS細胞再生術のデータを渡せば、真相を教えると取引を持ちかけて来る。
姉の為にも、死んでいった人々の為にも真相が知りたいと願った冬実は取引に応じる。
真相は意外なものだった。

さやかの死を望んでいたのは永遠子だったのである。
永遠子は医療技術の向上の為に、自身の後進となる医療コーディネーターを育てようとしていた。
その第一歩がコーディネーターを養成する機関の設置。
その為には大金が必要となる。
永遠子は病院の買収を狙っていたが、少しでも安く買えるように病院に不祥事を起こすことを思いつく。
そこで冬実の手術に目を着けた。

術後、さやかを殺害すべく病室に忍び込んだ永遠子。
しかし、ここで予想外の事が起こる。
さやかは目覚めており、永遠子の狙いを察していた。
自分の命が大勢の人の役に立つのならと、さやかは永遠子の用意していた薬物で自殺してしまう。

恵に映像の価値を教えたのも永遠子。
永遠子が恵を介して映像を入手しようとしたことが、映像の価値を恵に教えたのだ。
価値を知った恵は真田を殺害してしまう。

これが真相だったのだ。
本来、誰もが殺し合う必要はなかったのだ。
多くの者が無為に傷付け合ってしまったのである。

エピローグ

鳴沢は冬実から得たデータをもとに世界で成功した。
瀧川は心機一転、転身を図った直後に卒中で倒れ動けない身体となった。
夏帆は刑事罰を受けた。

永遠子はあの事件以来、寝食を惜しみ24時間を医療の更新に捧げている。
それが贖罪であるかのように。

そして、冬実は今日も患者を助けるべく駆け回っている―――エンド。

金曜プレステージ「大ヒット医療ミステリー小説待望の映像化! 悪女たちのメス〜成功したはずのオペで患者が急死!止まらない死の連鎖…真相を巡り激突する4人の悪女!誰が嘘で誰が真実?全員容疑者」(12月9日放送)ネタバレ批評(レビュー)

金曜プレステージ特別企画「超傑作医療ミステリー小説続編・ドラマ化! 悪女たちのメス episode2〜最凶スーパードクターが挑む患者の連続死!医療ミス?陰謀?罠?騙し合う4人の悪女!病棟に眠る忌まわしき黒い秘密」(12月21日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「インシデント 悪女たちのメス」です!!
インシデント 悪女たちのメス



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posted by 俺 at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 書評(レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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