<あらすじ>
ジョギング中の公園で神奈川県警の刑事・五十嵐鞘次郎(西村雅彦)は左ほほに特徴的な、あざのあるホームレスの死体を発見した。遺体は横浜中央大学病院の法医学教室に運ばれ、法医学者の西田眞弓(伊藤かずえ)と病理医の坂巻直人(池内万作)によって解剖されることに。同行した五十嵐が解剖の結果を待つ間、廊下でウトウトしていると警察庁の特別捜査課課長の瀬戸四朗(北村総一朗)が現れ、嫌な予感がする五十嵐。案の定、事件性がないと眞弓が五十嵐に説明しているところに、医師免許を持つ刑事、医療捜査官の財前一二三(高島礼子)が勤務医として現れるのだった。同時進行で行われた遺体の血液検査の結果、ごくわずかだが筋弛緩(しかん)剤の成分が検出されたのだ。一二三も含め、再度解剖室に入り遺体に注射痕がないかを確かめることに。五十嵐から毎晩のように大いびきをかいて寝ていたらしいという話を聞いた一二三は遺体の舌の裏側あたりにかすかな注射痕を発見するのだった。
一二三は亡くなる患者にやたら高額の保険金がかけられていることから、保険金殺人への関与が疑われている横浜中央大学病院に潜入捜査を行っていた。科捜研で亡くなった患者の血液サンプルを調べると、持病のある患者にそれを悪化させるような薬物を飲まされたという事案がいくつも挙がってきたが、担当医はすべてバラバラ。だが、病理解剖を担当し、診断書のデータを改ざんしたのは、ホームレスの件でも解剖に携わった坂巻だった。一二三は坂巻の身柄をすぐに押さえるべく、瀬戸課長に依頼する。
そのころ、ホームレス殺人事件の捜査会議に出席していた五十嵐は捜査の指揮を執る有村和志(中原丈雄)と旧交を温めていた。有村はノンキャリアからのたたき上げで警視にまでなった五十嵐にとってのあこがれの先輩だった。
病院に戻った一二三のもとに瀬戸課長から坂巻が姿を消したという連絡が入る。坂巻が勤務していた病理検査室に入ると、そこには眞弓がいた。眞弓から坂巻がかお金に困っていたこと、厄介な連中と付き合いがあったことなどを一二三は教えられるのだった…。
(金曜プレステージ公式HPより)
では、続きから……(一部、重複あり)。
頬にあざのある男・野本は筋弛緩剤により殺害されていた!!
捜査に乗り出す一ニ三と五十嵐。
ある日の警察庁の食堂。
そこで鑑識課の杉と清掃員の阿部が何やら話している現場を目撃した一ニ三。
阿部は杉に女性の似顔絵を描いて貰っていたらしい。
それから、数日後に坂巻が死体で発見される。
坂巻の死体には妙な擦過傷が残っていた。
複数犯の犯行とする西田、単独犯の素人による犯行とする一ニ三。
互いの見解は割れるが……。
病院の廊下にて、杉が木谷ともえから薬を受け取る現場を見る一ニ三。
杉について調べるべく、阿部に話を聞くことに。
阿部が杉に描いて貰った女性は、彼の娘・典子。
典子は急性骨髄性白血病で死亡してしまったとのことだが……。
さらに、阿部は杉が捨てた似顔絵を拾ったと一ニ三に渡す。
それは頬にあざのある最初の被害者・野本だった。
一方、死亡当日における坂巻の足跡を追った五十嵐は、坂巻が何かの写真を印刷していたことを知る。
一ニ三は杉を調べた結果、彼女が抗鬱剤を服用していたことを突き止める。
木谷から受け取っていた薬は抗鬱剤だったのだ。
杉が抗鬱剤に頼っているのには理由があった。
とある事件が冤罪かもしれないと悩んでいたのだ。
久保田という会社員が資産家の老人を殺害したとされるその事件。
ところが、目撃者の証言によれば犯人は久保田とは似ても似つかぬ男。
似顔絵を作成した結果、浮かび上がったのは野本だった。
杉は再三、有村に再捜査を意見具申したが却下され続けたと言う。
最近になって、杉は野本を見かけた。
そこで再度、有村に伝えた矢先に野本が殺害されてしまったらしい。
杉は随分前に捨てた野本の似顔絵を一ニ三が持っていることに驚く。
久保田の冤罪事件について調べる一ニ三。
久保田は若い頃はかなり荒れており補導歴があった。
裁判資料に当った一ニ三はそこに久保田の恋人として木谷の名前を見つける。
五十嵐の捜査は新展開を迎えていた。
坂巻は、商店街にある8番のロッカーに何かを隠していたらしい。
開けてみるとメモリーカードが見つかる。
一ニ三は木谷に接触。
木谷が抗鬱剤を無断で処方していたのは、杉から久保田の事件について情報を得る為だったらしい。
久保田は獄中で自殺しており、久保田の無実を信じる木谷は真相を追っていたのだ。
一ニ三はさまざまな仮説を検討するが……。
そこへ五十嵐が来訪、メモリーカードの情報について明かす。
そこに写っていたのは、筋弛緩剤を盗み出す西田眞弓の姿だった。
筋弛緩剤は野本殺害の凶器である。
五十嵐は野本と坂巻を殺害したのは眞弓ではないかと疑う。
証拠がないとシラを切る眞弓だったが……。
一ニ三は坂巻殺害に眞弓が関与していることを立証する。
眞弓の腕時計の擦過傷が坂巻に残っていたのだ。
ここに眞弓は坂巻殺害を認める。
薬を盗み出す眞弓の姿を盗撮していた坂巻は眞弓を脅迫。
坂巻は眞弓を襲おうとして、抵抗され殺されたのだ。
野本殺害も眞弓の犯行らしい。
しかし、詳細については沈黙を貫く眞弓。
そのまま、連行されて行く。
一ニ三には釈然としないものが残っていた。
眞弓の腕時計に注目した一ニ三。
それは高級ブランド・ティアモのものだった。
坂巻死亡後も腕時計をしていたからには何か想い入れがあるのではと考える。
眞弓の経歴を追った一ニ三は、眞弓が明央大学OGであることに注目。
同じくOBだった五十嵐の相棒・深山を使って調べたところ、剣道部という接点で有村と眞弓に繋がりがあることが判明する。
眞弓は有村の愛人だった!!
時計は有村からの贈り物だったのだ。
一ニ三は冤罪事件の真犯人である野本を有村が眞弓を通じて殺害したと推理。
有村を尊敬する五十嵐と激しく対立する。
有村の無実を証明したい五十嵐は一ニ三を連れ、有村と対峙する。
冤罪事件の失敗を隠蔽るべく眞弓に野本を殺害させたのか?
問い詰める五十嵐だが、有村はあくまで否定。
老人殺害に野本が真犯人である証拠がないと主張したのだ。
久保田も野本も死亡した以上、事件の真相は藪の中だと繰り返す有村。
今更、調べたところで誰も得しないとまで口にする。
信頼して来た有村の余りに横暴なその言葉に、五十嵐は失望。
一ニ三とともに久保田の事件を調べ始めることに。
過去の事件の証拠品から煙草を見つける一ニ三。
木谷を訪ねた一ニ三は久保田の無実の証拠が見つかったと伝える。
そこで、骨髄バンク提供者カードを見かける一ニ三。
木谷によれば、久保田の意志を継いだらしい。
久保田は以前に骨髄提供をしており、提供を受けた患者は助かったとのことだった。
ところが、結局、再発した為に命を落としたらしいと続ける木谷。
同じ頃、有村率いる捜査本部のもとに爆弾が送りつけられる。
本物は「東亜新町ビル」に仕掛けてあるらしい。
有村は自身を除く全捜査員をビルへと向かわせる。
レシピエントの再発を何故、木谷が知っているのか?
疑問を口にした一ニ三。
木谷は「偶然、知り合いになって」と答えるが……そこへ杉から電話が入る。
典子の似顔絵がいつの間にやら返却され、裏に「さよなら、ありがとう」と書かれていたと言う。
まさか……木谷に確認したところ、その知り合いは阿部だった!!
その頃、有村の背後に近付く影があった……。
同じ頃、五十嵐は有村の不在を知り不安に駆られ、一ニ三に連絡を取る。
一ニ三から阿部の計画を知らされ、慌てて有村を捜すことに。
ビル爆破事件は有村の周囲から人を減らす為の囮だった。
屋上に転がされた有村。
阿部は彼に灯油をかけながら真実を語り始める。
阿部の娘・典子は骨髄性白血病で苦しんでいた。
ところが、急転直下でドナーが見つかった。
助かったと安堵していたところ、再発してしまう。
同じ提供者に助けて貰おうとするが、仲介者から「事情により提供できない」と断られてしまう。
そのまま、典子は死亡してしまう。
失意のどん底にあった阿部は、ある日、久保田の無実を証明しようとする木谷と出会う。
それは全くの偶然だったが、なんだか他人事に思えなかった阿部は協力することに。
何度か木谷と会ううちに久保田が骨髄提供していることを知った阿部は、ひょっとしてと考えるように。
阿部から久保田へ、久保田から阿部へ、それぞれ匿名でしたためた手紙を見せ合い、それが正しかったことを確認した阿部は久保田の死の顛末を知り、娘の為にもその無実を証明すると決心する。
そこで、警察庁に清掃員として出入りしていたのだ。
有村に冤罪を認めるよう迫る阿部。
そこへ、五十嵐、一ニ三、木谷が駆け付ける。
有村は久保田を犯人だと信じていた。
ところが、証拠がない。
そこで、有村は物証を偽造してまで久保田を犯人に仕立てあげた。
あくまで、自分は正義だと言い募る有村。
阿部は「そのやり方は真実を覆い隠してしまう」と有村を殺害しようとする。
一ニ三は、証拠品の煙草から野本のDNAが検出されたことを伝え、法の下で裁きを受けさせようと訴える。
遂に過ちを認める有村。
阿部は犯行を思い留まり、殺人未遂で現行犯逮捕される。
そして、有村も……。
後日、有村の失敗は正義感の裏返しだったと口にする瀬戸。
真面目なのも考えものだと思う一ニ三だった―――エンド。
<感想>
「医療捜査官 財前一二三」シリーズ第2弾です。
前作は2011年5月14日放送なので、7ヶ月ぶりの新作となります。
過去記事はこちら。
・金曜プレステージ「医療捜査官 財前一二三 顔と指紋の無い身元不明の焼死体!重病患者の謎の退院に隠された陰謀〜病院内に渦巻く復讐の罠…消えたカルテが誘う第2殺人」(5月13日放送)ネタバレ批評(レビュー)
原作はおそらく漫画の「医療捜査官像王」?
漫画は主人公が男性だそうですが、どちらも酒井直行先生が原作に関わっているらしいのでたぶん合ってるかな。
気になる方は本記事下部にアマゾンさんへのリンクを用意したのでどうぞ!!
では、ドラマ版感想。
悪くないと思うんだけど、何かが足りないドラマでしたね。
まず、野本殺害が眞弓の犯行であるとの証拠がない。
確かに、注射や筋弛緩剤は使われたけど、盗んだ眞弓から受け取った有村の犯行でもいいワケだし。
再現VTRも入らなかったので、野本殺害の真犯人が別に居るのかと思ってた。
別にミスリードでも無かったみたいだし、微妙。
次に、腕時計。
あらすじには有村からのプレゼントと明記しているけど、劇中では明言無し。
はっきりさせて欲しかった。
有村を信じていた筈の五十嵐のスタンスも不明瞭。
台詞では有村寄りを匂わせつつも、初めから一ニ三寄りでした。
正直、眞弓が犯人であると分かって終わりでも良かった気がする。
ラストでも、眞弓については触れないままだし。
一体、どうなったのか?
有村の改心も早過ぎだろう。
命がけで悪びれもしなかったのに、あっさり折れ過ぎ。
阿部がやったのは。
・爆弾を送って撹乱。
・有村を脅して真実を告白させようとした。
の2点でいいんだよね。
見てても分かり辛かった。
ラストできちんと振り返りさせるべきでしょう。
前半と後半の接続がイマイチちぐはぐで、別の物語を無理に繋ぎ合せただけにしか見えなかった。
全体的に悪くは無いんだけど、「なにか違う」感を受けるドラマでした。
次回に期待。
<キャスト>
財前一二三:高島礼子
有村和志:中原丈雄
西田眞弓:伊藤かずえ
阿部壮介:螢雪次朗
木谷ともえ:井村空美
杉 清美:阿南敦子
坂巻直人:池内万作
瀬戸課長:北村総一朗
五十嵐鞘次郎:西村雅彦 ほか
(順不同、敬称略、公式HPより)
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