読んでみました。
かなり良かったので是非ご紹介したく記事にしてみました。
この記事をきっかけに本作に興味を持って頂ければいいなぁ……。
本作が掲載されている「ヤングマガジン」は現在、書店やコンビニに並んでいるので是非!!
<ネタバレあらすじ>
会社員の紺野は昆虫採集が趣味。
自宅には多数の虫が所狭しと飼育ケースに並んでいた。
ある日、その中の1つ、ミヤマカラスアゲハが死亡しているのを見つける紺野。
お気に入りだったそれの死を目にしたショックで紺野は寝込んでしまう。
翌日、目が覚めた紺野を待っていたのは別世界だった。
街行く人々が皆、昆虫に見えるのだ。
驚き慌てる紺野。
困った紺野は親友・秦野に相談する。
もちろん、秦野も昆虫である。
しかも、ゴキブリだった。
秦野は困惑している紺野の気も知らず、気楽なモノ。
ミヤマカラスアゲハが死んだことが原因ならば、新しいミヤマを採取すればいいと奨める。
その手があったかと秦野の助言に縋る紺野。
山間部や森の中、あちこちを探し回るが見つからない。
諦めかけていた頃、それは現れた。
特大のミヤマカラスアゲハである。
美麗なソレに魅せられた紺野は必死に追いかけ、ソレを捕まえる。
翌日、紺野は人を人として認識できるようになっていた。
もちろん、秦野も人に見える。
秦野の助言のおかげと感謝した紺野は、お礼にコレクションを見せようと秦野を自宅に招く。
紺野宅へと足を踏み入れた秦野。
室内の異臭に顔をしかめる。
それでも、奥へと促された秦野がそこで見たものとは!!
紺野の自慢のコレクション―――それは、縛られ転がされた裸の女性たちだった。
辛うじて生きている彼女たちは一斉に恨めしそうに紺野を見上げる。
愕然とする紺野……こんな筈は……。
紺野の脳裏にこれまでの自分の行為が甦る。
逃げ惑う女性を追いかける紺野。
標的にクロロホルムを嗅がせ抵抗を奪う紺野。
捕まえた女性を鞄へと詰め込む紺野。
「急におかしくなったんじゃない、お前は以前からおかしかったんだよ!!」
恐怖に顔を歪ませた秦野の叫びも紺野の耳には届かない。
拘束されパトカーで連行される紺野。
彼は1人呟く「綺麗なものを追っただけなのに。目が悪いんだ、目が……」―――エンド。
<感想>
22歳の新鋭とのことですが、期待できそうな方が現れました。
本作には伏線が張られています。
ミヤマカラスアゲハを愛していた筈の紺野がそれが死んだから次のを採取すればいいとの秦野の発想を受け入れること自体がアゲハを本当に愛していたワケでは無いことを示しているのでしょう。
本当に愛していれば昆虫とは言え代わりはいないとなっていた筈ですから。
それだけ紺野の独善性を示しているのではないでしょうか。
さらに、山間部や森には居ない昆虫。
これも伏線。
なぜなら、紺野の追い求めるものは人の中にしかないものだから。
この辺りが上手いと思います。
そして、冒頭で死亡したミヤマカラスアゲハ……つまり、被害者が1人死亡しているということですね。
ひょっとすると、これまでにもあったのかもしれません。
そう考えると尚更恐怖感が煽られます、上手いです。
全体的なストーリー自体も「世にも奇妙な物語」的でかなりゾッとする。
ラストは予見できなくもないが、それでも破壊力はある。
そして、特筆すべきはその構成力と物語の運び方。
これには並々ならぬものを感じました。
この長所は強いと思う。
絵も物語とマッチしていました。
サスペンスやミステリ系の原作ありのコミカライズに強そう。
もちろん、ストーリー自体も及第点でオリジナル作品にも期待できそうです。
活又先生の連載作が読んでみたいです。
ただ、本作で一点だけ此処はこうした方が……と思った点が。
登場人物を匿名にした方が良かったかも。
主人公を含め人物名は殆ど出て来ないので、むしろ一切排除して不特定性を高めた方がより“奇妙感”“ゾクッと感”が出ていたのではと思います。
登場人物を匿名にしても物語が成立しそうと感じさせる―――それだけ、台詞よりも絵で表現出来ている漫画家さんだと思います。
今後に注目の方と言えるでしょう。
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ここに来てみました☆読んでいて楽しかったです☆
あと右側にある、たいやき君と遊ばせて頂きました。面白かったです☆
コメントありがとうございます(^O^)/。
管理人の“俺”です!!
楽しんで頂けたとのこと、管理人の励みになります(^O^)/。
“たいやき君”、パターンに割とレパートリーがあって面白いですよね。
管理人も癒されてます(^O^)/。