2011年12月30日

「ビッグオーダー1巻」(えすのサカエ作、角川書店刊)ネタバレ批評(レビュー)

「ビッグオーダー1巻」(えすのサカエ作、角川書店刊)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

アニメ版「未来日記」も好調なえすのサカエ先生。
その最新作「ビッグオーダー」(少年エースにて絶賛連載中!!)の1巻が発売されました。
読んでみたところ、かなり燃える展開が始まっています。

そこで「ビッグオーダー」の良さを伝えるべくネタバレ批評(レビュー)を行います。
この批評(レビュー)を機に本作のファンが増えてくれたらいいなぁ……。

ちなみに、感想部分には管理人の展開推理もあるよ!!

では、早速ネタバレあらすじから。

<1巻ネタバレあらすじ>

願望をもとに能力を生み出す者たち「オーダー」が存在する世界。
この世界では十年前に大災害が起こっており、そこから次々と「オーダー」たちが生まれていた。
これも1人のある「オーダー」によるものだったらしいが……。

そして現在、自身が大災害を引き起こした記憶を持つ少年・星宮エイジが九州地方の天草に住んでいた。
彼は自身が「世界の滅亡」を願ったために大災害が引き起こされたと信じていた。

帰宅したエイジの目の前に「DAISY(以下、デイジーと記載)」と名乗る妖精のような少女が現れる。
彼女こそ10年前の幼いエイジの願いをかなえた人物。
そして、あらゆる「オーダー」の生みの親らしい。
「デイジー」によれば、エイジの願いは「世界の滅亡」ではなかったとのことだが……。
エイジは10年前の自身の行為が両親を妹から奪ってしまったと後悔しており、デイジーの言葉に耳を貸さない。

そんなある日、エイジの通う学校に転校生がやって来る。
転校生は紅鈴(くれない りん)という名の美少女。
エイジの心は高鳴り、楽しい学園ライフとなるかと思われたが……。

その日のうちに鈴から命を狙われてしまう。
鈴は10年前に家族をエイジのオーダーで失っていたらしい。
咄嗟のことに無意識で能力を用いたエイジは鈴を返り討ちに。

エイジはそのままその場を逃亡。
途中、星宮総合病院に入院する妹・瀬奈を訪ねたエイジだったが、そこには生きていた鈴が。
結果、その目の前で瀬奈は鈴に刺されてしまう。

実は鈴もエイジ同様に「オーダー」であった。
能力名は「再生の炎(リバースファイア)」、「無限再生」を司る能力である。
物の修復はもちろん、自身が死んだとしても傷を修復し生き返るのだ。
鈴は武装した軍隊を連れておりエイジは病院内を逃げ回ることに。

途中「デイジー」との会話から自身の能力のもととなった願いに気付いたエイジは能力を発動する。
エイジの願いに応じ、出現したのは“包帯を巻いた影”。
エイジの能力名は「拘束する支配者(バインドドミネイター)」、能力は「支配すること」だった。
エイジが支配した空間(領土)内に入ったものは、エイジが認識したものであれば人であれ無機物であれ自由に操ることが出来るのだ。
“包帯を巻いた影”は領土内に入ったものをエイジの意志通り支配下に置いて行く。

これで鈴を支配したエイジは瀬奈を治療させる。
さらに攻防の末にエイジは鈴に次の3つの契約をさせる。

1つ、エイジの領土内から出ないこと。
2つ、エイジと瀬奈には手出ししないこと。
3つ、エイジを伴侶とすること。

3つ目こそ手違いから生じたものであったが、こうして鈴はエイジに刃向えなくなってしまうのだった。

と、そこへ急転直下で新たな敵が!!
新たな敵の正体は鈴の上司で謎の眼鏡男だった。
謎の眼鏡男は自らを「アブラアン・ルイ・フラン中尉」と名乗ると瀬奈を捕まえ、エイジたちを一瞬で拘束してしまう。
男の能力名は「絶対時計(クロノグラフキャリバー)」、「自由に時間を停止させる」能力だったのだ。

こうして、九州は太宰府へと送られたエイジだったが鈴の活躍で脱走することに。
エイジへ殺意を向ける鈴だが、殺そうとしても例の契約によりどうしても果たせない。
結局、瀬奈を助けるべく共闘する。

今のままでは、フランにエイジは勝てない。
そう断言するデイジー。
デイジーの隣には謎の人物の姿もあるが……。

鈴の情報でフランの能力が「時間停止できる対象が3つまで」と知ったエイジ。
打倒フランの秘策を練る。

遂に再戦を迎えたエイジとフラン。
鈴は3つの手榴弾でフランの能力を止めるがフランは動じない。
エイジとの一騎討ちにまで持ち込むが……。

そこへ、天井から十人の影が現れる!!
太宰府をおさめる十人の能力者たち・十人衆であった。

オーダー「休戦調停(スリーピングシープ)」!!
その言葉とともに身体が動かなくなるエイジ。
十人衆の1人である“1の手”不破雷同により強制的に戦闘を中断させられたのだ。

エイジは十人衆ともことを構えようとするが、相手はエイジの健闘を褒め称える。
十人衆の1人“2の手”鳴神弁慶によれば、すべてはエイジを試すためだったらしい。
肩透かしを食らったエイジに対し、同じく十人衆の1人にして参謀である“3の手”柊義経は意外な事実を告げる。

十人衆はエイジに主となることを望んだのだ。
しかも、既にエイジの名で全世界相手に宣戦布告しているらしい。
十人衆を配下にしなければ、エイジは1人で世界に挑むことになってしまう。
こうして、十人衆に騙されるような形で強制的に彼らの主となったエイジ。
意に沿わないまま世界制覇に乗り出すことに。

まずは日本掌握。
その為に本州へ進軍し、山口を抑える必要に駆られるのだった―――2巻へ続く。

<感想>

「ビッグオーダー」第1巻です、感想や思ったことをつらつらと。

1話から3話までは大人しめでしたが、4話で一気に急展開となりました!!
かなり熱く面白い。
天草、太宰府と来て次は山口となると東京までの各土地が目的地になるのでしょうか。
山口の次は瀬戸内海へ抜けて山陽方面か日本海へと抜けて山陰方面か……気になりますね。

問題はこの展開を活かせるかどうか。
いきなり10人も部下(新キャラ)を加えてしまっており、このキャラクターの動かし方はかなり難しそう。
ただ、これを上手く扱えれば傑作になりそうな予感です。

これまでの印象を既存の作品で表現すると「ジョジョの奇妙な冒険」に「コードギアス」を加えた印象。
まぁ、能力バトルものといえば「ジョジョ」は1つの頂点であり、同じジャンルを志すならば必然的に似通うことになりますね。
目新しいのはこれに「国盗り」要素を加えている点かな。
此処は「コードギアス」っぽいか。

こう見ると「未来日記」に「エヴァンゲリオン」のテイストが使われていたように、今のところ「ビッグオーダー」には「コードギアス」の影響が強いように見られますね。
(「エヴァンゲリオン」のテイストについては、本記事下部の「未来日記」記事に追記しております)

エイジの能力「拘束する支配者」は「ギアス」と同じく支配能力。
エイジは世界に戦いを挑む、その目的は「世界征服による平和」。
鈴のポジションはカレンかな。
病身の妹・瀬奈はもちろんナナリー。
デイジーはCC。
それで、ナイトメアはオーダーに変換。
十人衆は黒の騎士団ポジションとして、スザクポジションは圧倒的な実力を持つフランか。
こうしてみると、なんとなく本作の方向性が見えてくるかも。
鈴とは共闘路線、フランとは袂を分かつことになるか。

ちなみに十人衆は「ジャイアントロボ」の「十傑衆」ぽい。
ただ「伊賀の影丸」のように「能力を見せたら死亡」的な展開は避けてほしいところ。

その十人衆。
ラストでエイジの支配下に入ったように見えますが、中の1人か2人は支配下には無さそう。
特に時間停止が使えるフランのような能力者(フランは十人衆ではないが)も居るので「停止して支配を回避した」はありそうな予感。
そもそも3次元のエイジにフランのような4次元を操る相手は厳しいだろう……。

少なくとも10人の中に裏切り者は確実に居る筈だ!!
それと同時に鈴の3つの拘束内容を見ても瀬奈との対決もありそう……瀬奈がラスボスかも。
大破壊を起こしたのもエイジじゃなくて、別の誰か(瀬奈)の可能性が高そうだし。
フランの能力も底を見せていないようにも思える(フランが腕に嵌めている時計は4つなので少なくとも4箇所は時間停止出来そう、など)し、太宰府勢には注目だな。

一方、本作の「ムルムル」ポジションである「デイジー」。
彼女と対話する謎の人物の存在も確認されており、気になるところ。
世界を監視する超越者というよりはプレイヤーっぽいのが気になる。
ひょっとして、エイジの存在する世界が「作られた世界」であるパターン、来るかも。
現時点で考えられるのは「この世界はエイジの願いにより作られた世界である」パターン?

そしてタイトルである「ビッグオーダー」、その意味は作中設定に従えば「大きな願い」か。
つまり「大願」。
こうくれば次には「成就」と続くことが考えられるわけですが、意味ありげ。

タイトル的に「THE ビッグオー」と似てますね。
あちらは「何者かにより作られた世界」でしたが、こちらもそのような雰囲気を感じます。
やはり、「作られた世界」パターンあるかも。

う〜〜〜ん、いろいろ考えさせられる展開にワクワク。
2巻も期待です。

参考までに1巻での登場人物まとめをば。

登場人物一覧:

星宮エイジ:主人公。オーダーは無機物、有機物問わず意に沿うように支配する「拘束する支配者(バインドドミネイター)」。

星宮瀬奈:エイジの血の繋がらない妹。

・太宰府政庁側

紅鈴:ヒロイン?オーダーは無機物、有機物問わず再生させる「再生の炎(リバースファイア)」。この効果により鈴は不死となっている。

アブラアン・ルイ・フラン:オーダーは3つまで(鈴による)対象の時間を停止させる「絶対時計(クロノグラフキャリバー)」。階級は中尉。

十人衆:太宰府政庁のリーダーである10人。判明しているのは次の通り。

“1の手”不破雷同:オーダーは戦闘を強制的に中断させる「休戦調停(スリーピングシープ)」。
“2の手”鳴神弁慶:オーダーは不明。十人衆でもまとめ役っぽい。大男。
“3の手”柊義経:オーダーは不明。参謀を名乗りエイジを主と仰ぐが……。
“4の手”壱与:オーダーは占い能力?ウサギ耳の若い女性。
“5の手”根原大系:オーダーは不明。ゴーグルをした坊主頭の男。

・その他

デイジー:すべてのオーダーを司る謎の生物。
謎の影:デイジーと会話していた影、エイジについてデイジーに尋ねていた。

◆関連過去記事
少年エース連載「未来日記」(えすのサカエ作)が遂に完結&最終話ネタバレ批評(レビュー)

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