2012年01月21日

『リカーシブル リブート』(『Story Seller 2』収録、米澤穂信著、新潮社刊)

『リカーシブル リブート』(『Story Seller 2』収録、米澤穂信著、新潮社刊)ネタバレ書評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<あらすじ>

DREAM TEAM is BACK! 大好評アンソロジー第2弾。

お待たせしました!! 大好評アンソロジー第2弾をお届けします。日本作家界のドリームチームが再び競演。今回もオール読み切りで、読み応え満点。どこから読み始めても、他では経験できない読書体験が味わえます。物語大好きのあなたも、これから読み始めるあなたも、お気に入りの作品が必ず見つかることでしょう。著作リストも完備して、新規開拓のガイドとしても最適です。
(新潮社公式HPより)


<感想>

最後まで謎を残す短編です。
現在、『小説新潮』で連載中の『リカーシブル』が完結して初めてその真の意味が分かるのではないでしょうか。

一応、本短編のみ単独で読んだ際に掴めそうなテーマは「血の繋がりのない弟との関係に困惑しつつも気遣うハルカ」となるのかな。
ただ、明らかにもっと重大なテーマが隠されているっぽいが。

気になる点が幾つかありますね。

まず、短編だとハルカの友人が「リンコ」なのですが、本編だと「リンカ」となっていること。
これに意味があるのか。

次に、タイトルの「リカーシブル」、「リブート」共に「再起」や「再起動」を意味しています。
つまり、「この世界は繰り返している」ということになるのでしょうか。
少なくともサトルは予知ではなく、実際に2度体験しているのだと思われますが。

他には、街の人々が必要以上に警察の介入を渋ること。
外界との接触を恐れているのか、それとも他に何か理由があるのか―――。
ひょっとして「熱海の捜査官」パターンの可能性もあるかも。

「熱海の捜査官」(テレビ朝日系、2010年)まとめ

サトルが恐れるモノも気になりますね。

なお、本誌連載中の『リカーシブル』では第2回(4章)まで掲載されており、「水野報告」なる言葉が登場。
なんとも奇妙な展開に至っています。
やはり、意図的に隔離された世界なのでしょうか。
本誌連載に注目です!!

ちなみに『リカーシブル リブート』のネタバレあらすじの後に、本誌連載の『リカーシブル』ネタバレあらすじも添えてありますので注意!!

<ネタバレあらすじ>

主人公・ハルカはママと弟・サトルと共にママの故郷に引っ越して来た。
転校デビューも無事に済ませたハルカは、地元の少女・リンコと親しくなる。
これで新生活も上手くいくと思われたが……。

急にサトルが不安を口にし始める。
この街の光景を見たことがあると主張し始めたのだ。
しかし、ママに確認してもサトルを連れてこの街に来たことはないとの返事。
その時は、気のせいだろうと一笑に付すことに。

実は、ハルカのパパとサトルのママは再婚。
サトルはママの連れ子でハルカとは実際の血縁はない。
ハルカのパパによれば、再婚したママは可哀想な人だとのことだが、そのパパも再婚してすぐに事故死していた。
当の本人こそが可哀想な人と言うべきだろう。

こんな家庭の事情から、ハルカはサトルを疎ましく思っていた―――。

ある日、リンコと地元の商店街を歩いていたハルカは万引きの現場を目撃してしまう。
慌てて、リンコに相談するハルカだが、リンコは平気なもの。
万引きした人が店のオーナーだから大丈夫だと主張する。
だが、ハルカはリンコの言動に違和感を覚えていた……。

その夜、サトルが万引き犯が万引きすることを知っていたとハルカに訴える。
今回も相手にしないハルカだったが……。

数日後、ハルカはリンコやサトルと共に商店街に福引きに訪れていた。
と、サトルの様子がおかしい。
「さては」と確認したところ、この福引き会場で大当たりが出るが良くないことが起こると云う。
大当たりがいつか出るのは当たり前、あくまで抽象的な表現を用いるサトルの言葉をハルカは信じない。

ところが、ハルカの目の前で実際に大当たりが出る。
しかも、直後にバイクによる引ったくりが発生する。
奇しくも、サトルの預言が当たったことになるが……。

リンコと共に犯人を追ったハルカ。
しかし、パチンコ屋の角でバイクを見失う。
周辺の駐輪場を調べたがそれらしいバイクはない。

そこへ商店会長が追い付いて来る。
ハルカは警察を呼ぼうと繰り返すが、リンコともども要領を得ない。
業を煮やしかけたところに、サトルが現れ「犯人がパチンコ屋に逃げ込んだ」と断定する。
「また、適当なことを」と相手にしないハルカだが、商店会長はサトルの発言を重視。

駐輪場を調べた結果、そこに犯人のバイクを発見する。
犯人はナンバープレートに細工をしており、ぱっと見ただけでは分からないようにしていたのだ。
しかも、店内を覗けばそれらしい男が居るではないか。
早速、取り押さえようとする商店会長に、またもサトルの言葉が。
今度は「犯人はナイフを持っている」らしい。
先の事もあり、またもサトルを信じた会長は慎重に近づくと相手を捕まえる。
すると、サトルの言葉通りに犯人はナイフを所持していたのだった。

一度ならず二度までもサトルの予知が的中した形になり、ハルカは驚く。
こうして、ヒーローになったサトルは2度ほど福引きさせて貰いティッシュを2つ手に入れたのだった。

ところが、サトルは帰宅するなり部屋に引き籠ってしまう。
本来、予知が当たれば手柄を誇っても良いところを、逆に怯えたようなサトルの態度に危機感を募らせていくハルカだった―――エンド。

<『リカーシブル』第4章 ネタバレあらすじ>

地元の少女・リンカと親しくなったハルカ。

そんなある日、学校行事で河川清掃を行うことになった。
周囲に気を配ると「5万円」だのと金銭について語る声が聞こえる。
河川清掃に報酬が出るとは思えなかったハルカはリンカに事情を尋ねる。

これには理由があった。

CDなのか紙なのかUSBなのかすら分からないが「水野報告」を見つければ、街から「50万円」が支給されるらしいのだ。
「水野報告」とは水野という学者の調査報告書。
本来、国に提出する筈だったが、水野が川に架かる橋から落ちて死亡した為に行方が分からなくなっているものだ。

以前、この街を含めて高速道路を敷く計画があった。
途中で計画は変更になり、この街は外されてしまったが、この報告書があれば計画が見直され街に高速が走るようになるかもしれないと期待されているらしい。
高速が走れば街の活性化に繋がると思われているようだ。

この話を聞いたハルカは「寧ろ街から人が流出するだけでは」と感想を述べるが、リンカは血相を変えて「そんなことを口にしたら、街の人間に処罰される」と慌てるのだった。

ここで、ハルカはふと思い出す。
サトルが「橋から人が落ちた」と語っていたことを―――第3回に続く。

◆関連過去記事
「インシテミル」(文藝春秋社)ネタバレ書評(レビュー)

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探偵Xからの挑戦状!「怪盗Xからの挑戦状」(米澤穂信著)本放送(5月5日放送)ネタバレ批評(レビュー)

◆映画情報
米澤穂信さん原作の「インシテミル」映画化!!

◆小説賞関連
2010年ミステリ書籍ランキングまとめ!!

第10回本格ミステリ大賞・小説部門ノミネート作品発表!!
(追想五断章にてノミネート)

「Story Seller〈2〉 (新潮文庫)」です!!
Story Seller〈2〉 (新潮文庫)





リカーシブル連載中の「小説新潮 2012年 01月号 [雑誌]」です!!
小説新潮 2012年 01月号 [雑誌]





◆米澤穂信先生の作品はこちら。



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