<あらすじ>
春成衿子(余貴美子)がタクシードライバーになって10年。結城興建という建設会社の営業部長だった夫・正浩(田中健)は11年前に謎の死を遂げた。当時、結城興建は贈収賄事件への関与が疑われ、担当だった正浩が取り調べを受けた。警察は自殺と判断したが、事実は今もわからない。その結城興建が倒産したというニュースが世を駆け巡った頃、衿子は坂下(小林隆)という男性客を車に乗せた。建設会社に勤務していたという坂下は、住宅街でそそくさと降りていった。
数日後、衿子は「事務所に妙な男が訪ねてきた」と課長・大城(北村総一朗)から聞かされる。その男が坂下だと直感した衿子が彼を降ろした場所へ向かってみると、そこには人だかりが。なんと坂下が殺害され、捜査が行われていたのだ。その時、家から出てきた坂下の妻・静恵(阿知波悟美)と衿子の目が合った。衿子の中に記憶が蘇る。夫の死後、真相を求めて坂下家を何度も訪れた衿子だったが、坂下本人に会うことはできず、静恵に迷惑がられたことを…。坂下は亡き夫の直属の部下だったのだ!
衿子は新聞記者の宮本(村田雄浩)に、坂下が殺害された事件について相談する。その頃、結城興建の会長・結城(近藤正臣)は、愛人・美佳(りりィ)宅で坂下殺害のニュースを見ていた…。
捜査が進むうち、坂下が事件前日に女と2人でスカイツリーを見ていたという目撃証言があがった。警察は衿子を疑う。衿子は真相を解明するために静恵の勤め先を訪れ、静恵や彼女の雇い主・藤田(蛍雪次朗)から話を聞く。そうこうするうちに坂下と会っていた女が美佳だとわかった。衿子は夫と坂下の死の真相を知るため、宮本が止めるのも聞かず結城と美佳に会いに行く。
(月曜ゴールデン公式HPより)
では、続きから……(一部、重複あり)。
春成衿子は、シンガポールに転勤する宮本に共に行かないか誘われていた。
夫のことは忘れられなかったが、新しい人生を生きるべきか悩む衿子だが……。
その頃、衿子の亡き夫・正浩の勤務していた結城興建が倒産。
多くの従業員が路頭に迷っていた。
ある日、衿子は昔の夫の部下だった坂下を運ぶ。
坂下は衿子を見て顔色を変えるが……。
翌日、坂下が衿子の営業所を訪ねて来る。
折悪しく、衿子は不在。
大城から坂下の来訪を聞かされた衿子が坂下宅に向かうと、其処には思わぬ人垣が出来ていた。
なんと、坂下が殺害されたと言う。
驚く衿子、そんな衿子の姿を目にした坂下の妻・静恵は隠れるように屋内へと消えるのだった。
衿子は静恵について思い起こしていた。
贈収賄事件の捜査が進み正浩の出頭が求められていた当時、衿子は急な正浩の死を聞かされた。
捜査当局によれば、正浩の死は自殺だと言うが……。
正浩の性格を知る衿子は到底納得できず、真相を突き止めようと部下だった坂下を訪ねた。
ところが、坂下の妻である静恵はそんな衿子に邪険な態度をとった。
まるで、もうあなたとは関係ないとでも言うように―――。
衿子は思い切って静恵に会いに行く。
表面上、静恵は衿子に理解を示す。
暫し、亡くなった互いの夫について談笑する2人。
結城興建が倒産した後は、静恵が坂下の友人である藤田が社長を務める藤田工業でパートをして生計をたてていたそうだ。
さらに、坂下自身は病気で余命幾許もない状態だったらしい。
しかし、静恵は衿子が帰るや否や表情を硬くし、坂下の遺した衿子宛ての手紙を忌々しげに破り棄てるのだった。
静恵は夫が「上司である春成殺害に関与していたことを知っていた」のだ。
一方、衿子は上辺こそ親しげな様子を見せた静恵が、その心中では昔と変わらず警戒心に満ちていると察していた。
静恵が何故、そんな態度をとるのか?
気にかける衿子は宮本に相談を持ちかける。
宮本は、正浩の死が殺人であり、会社ぐるみの贈収賄を告発しようとしたために殺害されたのではないかと衿子が考えていることに気付く。
坂下と美佳がスカイツリーの下、業平橋で密会していたことを警察が掴む。
美佳は結城興建の会長・結城秦一郎の愛人だった。
宮本からその情報を聞かされた衿子は結城と美佳に直接会いに行く。
美佳は坂下とは業平橋で偶然出会っただけだと述べる。
同じ頃、静恵は藤田から「正社員には出来ない」と告げられていた。
福岡の娘夫婦のもとへ行くよう勧められる静恵。
藤田は「結城興建が健在だったならなぁ……」と洩らす。
藤田の会社・藤田工業は結城興建の孫請けだったのだ……。
美佳は「正浩の死に結城は関与していない」と断言。
「結城はドライな性格だが、殺人までは行わない」と言うのだ。
経営トップの結城の方針にたびたび諫言していたという正浩。
美佳は「結城興建が倒産した今となっては春成さんの言葉の正しかったと分かる」と呟く。
数日後、雨の中、客を運んでいた衿子は業平橋で藤田工業の車を見つける。
美佳が坂下と偶然出会った場所も此処だった……ふと、気になった衿子は藤田に声をかける。
藤田は自身が春成を知っていること、10年前から孫請けであることを笑いながら話す。
それを聞いた衿子は何かに引っ掛かりを覚えるが……。
翌日、大城は衿子の思いつめた様子を気にかける。
大城の心遣いを感謝する衿子。
そんな衿子の前に静恵が現れる。
静恵は、破棄した筈の坂下が書いた衿子宛ての手紙を所持していた。
そっと衿子に差し出す静恵。
そこには「坂下が春成を殺害した」と書かれていた。
さらに、命のリミットを宣告されたその日に衿子と出会い神の配剤だと思ったこと。
だからこそ、真実を告白しなければならないとも記載されていた。
静恵は誰にも見せず隠し通すつもりだったが、坂下の遺志を無にすることは出来ないと思い直し衿子に渡しに来たと言う。
衿子はあまりに辛い真実に言葉を失い狼狽、ふらふらと街を彷徨い歩く。
やがて、衿子の足は自然と藤田のもとへ向かっていた。
藤田は衿子を目にし明らかに動揺、そんな藤田に衿子は坂下の手紙を突き付ける。
坂下の手紙には「私たちは追い詰められていた、我々は弱い立場だった」とも書かれていた。
坂下は春成を殺害した人物の名指しこそ避けていたが、複数人であることを明かしていたのだ。
そんな坂下が死の間際に業平橋で美佳、そしておそらく藤田と会っていた。
これが意味するところは何か。
衿子は坂下と共謀し正浩を殺害した人物が美佳と藤田だと主張。
そんな衿子に藤田は「(正浩殺害は)仕方なかった。にも関わらず、余命が短いからといって真相を告白し罪の意識から逃げようとした坂下は卑怯者だ」と言い募る。
坂下を殺害したのは藤田、動機は正浩殺害の口封じだったのだ。
糾弾しなければならない相手はもう1人いる。
衿子は藤田を連れ、美佳のもとへ乗り込む。
そこには結城も居た。
藤田は坂下の手紙により、正浩殺害がバレたと美佳に伝える。
美佳はすべて藤田が原因だと非難するが……。
その言葉に激怒した藤田は真相を語り始める。
正浩を殺害したのも藤田だった。
当時、正浩は告発することでしか社の未来はないと考え、実行に移そうとしていた。
そこで、困ったのは美佳たちである。
美佳は孫請けである藤田から説得すれば翻意させることも出来るのではないかと提案。
藤田は坂下に呼び出され、正浩を説得するよう促された。
藤田は必死に正浩を説得。
だが、正浩の決意は固かった。
やがて、業を煮やした藤田は美佳の合図をきっかけに正浩を殺害してしまう。
その後、自殺に見せかけるよう正浩の死体を崖から突き落とすことを提案したのも美佳だった。
藤田は「美佳こそが黒幕だ」と指弾する。
しかし、美佳は「結城の為だった」と開き直る。
それぞれが勝手な言い分を続けることに衿子は激怒。
「夫を殺された怒りを誰に向ければいいのか」と行き場を失った怒りを持て余す。
そんな衿子に、結城は「今となっては遅すぎるが、春成の判断こそが正しかった。スマン」と謝罪。
その様子を見た美佳は「いい人は嫌いなのよ」と吐き捨てるように呟くと、過去に正浩を誘ったが妻が居ると断られたエピソードを明かす。
やり場のない怒りを抱えたまま、衿子は美佳の頬を張ると夜の街へと消えて行った―――。
宮本の海外渡航の日がやって来た。
だが、宮本の隣に衿子の姿はない。
宮本は大城に衿子を託すと単身シンガポールへ。
衿子は宮本の乗る飛行機を見送るのだった―――エンド。
<感想>
2010年11月29日に放送された第5弾に続くシリーズ6作目。
前作放送からまる1年を経過してのシリーズ新作となりました。
前作のネタバレ批評(レビュー)はこちらから。
・月曜ゴールデン 女タクシードライバーの事件日誌5「1人の孤独の男の暴行死から連鎖した大都会の闇!通販女王が隠す16年前の過去…女子高生に迫るストーカー…全ては車載カメラが!」(11月29日放送)ネタバレ批評(レビュー)
このシリーズは原作なし、オリジナルです。
前作は余さんの演技もあって、管理人が選ぶ2010年2時間ドラマにノミネートされていました。
・【企画】2時間ドラマアカデミー賞&ラズベリー賞、ついに発表!!
では、ドラマの感想から。
やっぱり、このシリーズは人間ドラマがイイですね。
視ていて衿子にグイグイ引っ張られ、その感情の揺れに共感してしまいました。
ただ、衿子はもっと怒りに身を任せてもいいと思う。
衿子の怒りは正当かつ純粋なもので、その矛先は関係者すべてに向けられるべきものなのではないでしょうか。
しかし、それが出来ないのもまた衿子。
自制心の非常に強い女性です。
それにしても、衿子の心を掴みかけたかに見えた宮本は辛いですね。
にも関わらず、大城に衿子の後事を託す男意気。
是非、衿子の為にも戻って来て欲しい人です。
長らく衿子が抱えて来た「夫に置いて行かれた虚無感(空虚感)」が今回の事件により、夫の意志ではなかったことが判明。
これは衿子を救うことになったのでしょうか。
いろいろ考えてしまいますね。
内容的には衿子の虚無感の原因が解消されたことで、シリーズの1つの区切りとも言えるものだったように思います。
これでシリーズは終わってしまうのか。
それとも、今後もシリーズは継続されて行くのか。
綺麗な終わり方だっただけにこのままシリーズをまとめて欲しいとも思いますが、衿子の今後について知りたいとの気持ちも根強くあります。
出来れば、今後もシリーズを続けて行ってくださることを願って止みません。
シリーズ続編にも期待です!!
<キャスト>
春成衿子(はるなりえりこ):余貴美子
宮本幸治(みやもとこうじ):村田雄浩
結城秦一郎(ゆうきしんいちろう)近藤正臣
山岸美佳(やまぎしみか):りりィ
大城重雄(おおしろしげお):北村総一朗
春成正浩(はるなりまさひろ):田中健
藤田忠雄(ふじたただお):蛍雪次朗
坂下信也(さかしたしんや):小林隆
近藤太一(こんどうたいち):佐藤二朗
坂下静恵(さかしたしずえ):阿知波悟美
長島満夫(ながしまみつお):斉藤洋介 ほか
(順不同、敬称略、公式HPより)
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