<あらすじ>
“俺”(上川隆也)はドロボウである。巷では「怪盗キング」などと呼ばれている。
雇い主である弁護士の柳瀬(伊東四朗)から情報をもらい、不正に私腹を肥やしている悪人たちから金品を巻き上げている。
義賊だと世間を騒がせているが、これまで一度も捕まったことはない。
それに“所詮は泥棒。誇れるような仕事じゃない”と思っている。
誰にも迷惑をかけぬよう一人で仕事し、住む家も持たず、柳瀬の事務所の物置でひっそりと寝泊まりしている。
今回のターゲットは井口雅子。
詐欺で荒稼ぎした金を宝石に替えて、新興住宅地に潜伏しているらしい。
柳瀬のオヤジからは全身ブランド品で厚化粧だとは聞いているが、顔写真さえ貰っていない。しかも自宅は防犯カメラの山。
おまけに出入りしているのは地味な女だけだ。
その夜、高台から井口家を監視していた“俺”はふとした弾みに足を滑らせて転がり落ちてしまった…。
暫くして“俺”が意識を取り戻すと、同じ顔をした二人が覗き込んでいる。井口家の隣に住む宗野直(渋谷龍生)と哲(渋谷樹生)という双子に助けられたようだが、同時にドロボウであることを見抜かれてしまった。
双子はこの家に二人だけで暮らしているという。この家に引っ越してきた直後に両親が揃って駆け落ちしてしまったというのだ。
そんなやり取りをしているところに、玄関のチャイムが鳴った。
なんと担任の礼子先生(小西真奈美)がやってきたのだ。この状況を打破するために“俺”は「二人の父親です」とウソをつく羽目に。
そして礼子先生が帰った後、学校行事が終わるまでパパになると約束させられる。
翌日から、“俺”と双子の奇妙な生活が始まった。双子の父親を装って生活しながら隣の家を観察する。井口家には何か秘密がありそうだ。
“俺”が着々と情報を集めているころ、直と哲が通う小学校では校長のカバンが盗まれるという事件が発生していた。
そして双子が犯人だという噂が流れ…。
(公式HPより)
では、続きから(一部、重複あり)……
直と哲、2人は強がりながらも寂しがっていた。
少しずつ、双子と親しくなっていく俺。
この機会を利用し、井口雅子宅を窺う。
井口雅子は四六時中ヘッドホンを耳に着け、家中に鏡を配するなど風変りな生活をしていた。
しかも、姿こそ見せないが、もう1人が生活している痕跡がある。
そこから俺は、ある仮説を立てる。
遂に井口宅に忍び込んだ俺は、貴金属などを見つけ目的を達成する。
去り際に、なぜか警察へと通報するが……。
宗野家の近所に住む脇坂家の主人・脇坂信之助は警察官であった。
脇坂は通報を受け、井口家に急行。
この犯行が「怪盗キング」によるものと知ると共に、1人の女性が監禁されていることに気付く。
助け出されたその女性こそ、本物の井口雅子。
俺たちが井口雅子と思っていたのは別人だったのだ。
柳瀬の情報と食い違うのも当然である。
偽井口は本物を監禁して生活していた。
偽物は井口の詐欺の被害者、すべては復讐だったのだ。
こうして、本物の井口雅子は解放されることに。
仕事を終えた俺に「何故、真相に気付いたか」尋ねる柳瀬。
本物の井口は柳瀬の情報によれば「派手好きで社交的」。
ところが、俺が見た井口は無愛想な人間だった。
さらに、耳にヘッドホンを着け、家には鏡だらけ。
つまり、今の井口は耳が聞こえないのだ。
それを隠す為に、音が聞こえない理由をヘッドホンの所為にした。
誰かに声をかけられた場合に気付くように屋内には鏡を置いた。
そして、もう1人が存在する痕跡。
これらを考慮すれば答えは1つ。
井口は入れ替わったのだ。
今の井口は偽物に違いない。
そして、それは事実だった。
さて、こうして目的を果たした今、双子と生活する理由はない。
だが、俺は両親からの愛情が薄かった自身の生い立ちを考えると双子と離れ難く思うのだった。
日曜日、俺が去り際に組み立てていたラジコン飛行機を見つけた直と哲は学校でそれを飛ばそうとする。
校庭で遊ぶ2人の姿は礼子に目撃されるが……。
矢先に直と哲はひょんなことから、校長の孫娘・美鈴が校長の鞄を盗み出す現場を目撃してしまう。
2人は美鈴を庇うと決めるが……。
その為に、鞄を盗んだ罪を着せられてしまう。
礼子は進退を賭して直と哲を庇う。
深夜、礼子は双子の父親であると思い込んでいる俺を呼び出し相談を持ちかける。
当初、冷たく突き放す俺だったが、その態度に怒った礼子に説き伏せられ、考え方を改めざるを得なくなる。
俺は責任をとるべく直と哲に真実を問い質すが、2人は「やっていない」と訴える。
それを信じた俺だったが、双子の部屋から校長・矢代久子の鞄を発見してしまう。
直と哲に裏切られたと感じた俺は2人をなじってしまう。
衝突した俺と双子たち。俺は改めて家を出るが……。
翌日、直と哲は美鈴に協力し街を尋ね歩いていた。
美鈴は校長から盗み出した手帳を頼りに母親・沙織を捜していたのだ。
沙織はシングルマザー。美鈴を生んだ後、美鈴を置いて家を出たらしい。
そこで校長が美鈴を引き取ったのだった。
手帳を頼りにスナック「みゆき」を訪れた3人だったが、それは誤った情報だった。
肩を落とした3人は、それでも沙織を捜し続けるが……。
結局、夜まで捜し続けた3人は補導されてしまう。
礼子が身許を引き受けに向かうが、3人は真実を明かさない。
補導されたと聞きつけた俺は引き受けに駆けつけるが、双子とはすれ違いになってしまう。
しかし、1人残っていた美鈴は俺と礼子に真相を打ち明ける。
美鈴が母親・沙織に会いたがっていたこと。
そこで住所を知るべく手帳を盗み見るだけの筈が、慌てたために鞄を盗んでしまったこと。
それを直と哲に見咎められ、事情を打ち明けたところ協力を申し出てくれたこと。
このことは3人の秘密にしようと決めたこと。
真相を知った俺に、柳瀬は「直と哲は両親が帰って来られるように家を守っている」と教える。
双子の真摯な想いに打たれた俺はある計画を実行に移す。
「怪盗キング」を名乗り、校長室に盗みに入ったのだ。
以前の盗難も「怪盗キング」によるものとされた。
これにより、直と哲への疑惑は払拭される。
ちなみに校長が用意したタイムカプセル用の手紙が盗まれたらしいが……。
礼子は校長の許可を得た上で、美鈴たちを連れ沙織を訪ねる。
沙織はつれない態度をとってしまい、美鈴はそんな母親に幻滅してしまう。
しかし、沙織は素直になれないだけだった。
俺の依頼で柳瀬は沙織に接近、心情を聞き出す。
沙織は美鈴を愛していたが、自分に母親の資格がないと思い込んでいた。
柳瀬はそんな沙織を手相にかこつけて励ます。
しかも、こっそりと校長の手紙を渡すのだった。
校長は沙織に向け「愛していること、美鈴が沙織を待っていること」を手紙の中で伝えていた……。
父兄参加で「タイムカプセル」を埋めるイベントが実施され、その当日。
他の家族に囲まれ、肩身の狭い直と哲。
その前に俺が現れる。
思ってもみなかった展開に大喜びする2人。
さらに沙織も現れる、その手には校長の手紙が。
もう1度母親をやり直したいと語る沙織を認める校長と美鈴。
校長一家はこうして和解する。
イベントの帰り道、俺は双子に謝罪する。
直と哲は許す代わりに、約束を破らない約束を求める。
こうして、意図せず双子の父親となった俺の新しい生活が始まった。
一方、秋山ナオは双子の両親が同時に駆け落ちしたことに疑問を抱いていた。
そんな話があるものだろうか?
その頃、とある湖の底に白骨化した男女の遺体が―――1話エンド。
<感想>
タイトルの「ステップファザー」とは「継父」のこと。
見知らぬ双子から、いつの間にか「お父さん」と呼ばれるようになっていた泥棒によるハートウォーミングな物語です。
原作についてのネタバレ書評(レビュー)はこちらをどうぞ!!
続編についても少し触れています。
・『ステップファザー・ステップ』(宮部みゆき著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・宮部みゆき先生『ステップファザー・ステップ』(講談社刊)がTBSにてドラマ化か!?
それにしても、ドラマ版は原作をかなり改変してきましたね。
かなりファミリー向けの作品に仕上げてきたように感じられました。
「怪盗キング」に「礼子先生」などはその最たるものでしょう。
双子の年齢も変更されていますし、原作というよりは原案に近い気もします。
そんなドラマ版の感想。
今回は原作第1話「ステップファザー・ステップ」のエピソードでした。
鏡やヘッドホンなど、割と原作に忠実でしたね。
ただ、入れ替わった人間が原作と真逆でしたが。
ここは変更する必要がなかったように思えるけどなぁ……。
後半部分のエピソードは分からないんだけど、オリジナルかな。
前半のように伏線も配されていなかったし。
原作のファンであることもあってかなり批判的に見ていましたが、これはこれでアリだと思いました。
ただ、これは原作とは別物として見た方が楽しめそうな気がします。
今回のラストから見て、次回は原作の「へルター・スケルター」のエピソードのようですね。
果たして白骨は双子の両親なのか?
興味のある方は、前述したネタバレ書評をどうぞ!!
そして、「ワンナイト・スタンド」は外して来そうだなぁと確信。
ちなみに管理人なりの注目点は、次の箇所。
原作だと、実の父親は「パパ」、俺に対しては「お父さん」と呼び方を変えていた双子の気持ち。
ドラマ版だと共に「パパ」と呼んでいるようですが、果たして変化はあるのか。
此処に注目して視聴すると、いろいろ思うところがあるかも。
◆宮部みゆき先生関連過去記事
【書評】
・「魔術はささやく」(宮部みゆき著、新潮社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・「パーフェクト・ブルー」(宮部みゆき著、東京創元社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・「燔祭(鳩笛草 燔祭/朽ちてゆくまでより)」&「クロスファイア(上・下巻)」(宮部みゆき著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『火車』(宮部みゆき著、新潮社刊)ネタバレ書評(レビュー)
【ドラマ批評(レビュー)】
・金曜プレステージ「3週連続・罪と女とミステリー最終夜!宮部みゆきスペシャル 魔術はささやく〜大ヒット原作が今蘇る!大罪を犯した女を襲う復讐地獄…死の着信が私を今日殺す!姿なき悪魔は誰?」(9月9日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・サスペンス特別企画「火車 宮部みゆき作 東京〜伊勢〜大阪…死体なき連続殺人の謎に挑む!名前も顔も捨て1000キロを逃げる美女!!“このミステリーがすごい!”過去20年間のNo.1小説完全映像化!借金地獄に堕ちたOL衝撃の結末」(11月5日放送)ネタバレ批評(レビュー)
【その他】
・宮部みゆきさんの「パーフェクト・ブルー」ドラマ化!!
・宮部みゆきさん「パーフェクト・ブルー」ドラマ化・続報!!
・宮部みゆき原作「パーフェクト・ブルー」ドラマ版が劇場公開決定!!
・映画「パーフェクト・ブルー」2010年11月24日DVD発売決定!!
・柳家花緑さん、宮部みゆき先生「我らが隣人の犯罪」を演ずる!!
・宮部みゆき先生新作「ペテロの葬列」が岐阜新聞で6月21日より連載開始!!
・宮部みゆき先生「火車」が韓国で映画化!!
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