2012年02月07日

『星月夜』(伊集院静著、文芸春秋社刊)

『星月夜』(伊集院静著、文芸春秋社刊)ネタバレ書評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<あらすじ>

東京湾で東北出身の若い女性と、出雲の鍛冶職人の遺体が発見され、警察の捜査が始まった。
女性の勤め先から被疑者が浮上する一方、老人の仕事場には何かを作った形跡があった。
事件の鍵を握るのは老人の孫娘、黄金色の銅鐸、そしてはるか昔の「星月夜」の記憶……。
今、乗りに乗っている伊集院静さんの新刊は著者初の推理小説です。
刑事の息遣いが聞こえてくるような臨場感と、人々の思いが滲む美しい情景の数々。
清張さんに代表される社会派推理小説の流れを汲みつつ、高い文学性を湛えた傑作が誕生しました。(SE)
(文芸春秋社公式HPより)


<感想>

伊集院静先生、初のミステリということで読んでみました。

まず、ミステリというよりは純文学っぽい。
どちらかと言えば、内田康夫先生の作品に近いか。
この印象については感想で語っても分かりにくいと思うので、ネタバレあらすじをご覧頂いた方が早いかも。

アリと言えばアリだが、管理人の想像していたミステリと違っていたのは間違いないかな。

ちなみに、伊集院先生は推理小説を3作ものにする予定。
本作『星月夜』がその第1作目。
そして、2作目『日傘を差す女』が既に2011年12月発売の「オール読物」から連載開始。
伊集院先生が「asahi.com」に寄せたコメントによれば、「今度は捕鯨を考えてみようと思っています」とのこと。

<ネタバレあらすじ>

東京湾で2つの死体が発見された。
東北出身の若い女性と年老いた出雲の鍛冶職人である。
鍛冶職人の自宅からは何かを作ったあとがあった。
こうして、警察の捜査が始まった―――。

その頃、乾は交際している女性の友人の写真を見て驚く。
その友人・由紀子が彼が過去に愛した女性・美智子にそっくりだったのだ。
乾には忘れ難い過去があった。

過去、乾は美智子を愛していた。
だが、乾は養子に引き取られることに。
養子先は乾を働き手としか考えていなかった。
乾と同じく養子に貰われて来た仲間は2人いたが、1人は殺されてしまった。
乾は此処から逃げ出したいと望んでいた。

やがて、乾は事業のノウハウを積むと、養父一家を皆殺しにし、その金を持ち逃げした。
そして、故郷へと戻った乾が見た光景は―――乾の弟分と結婚した美智子の姿だった。

乾は激しいショックを受け、養子先と同じことを繰り返す。
その一家を惨殺したのだ、美智子1人を残して。

当初こそ、真相を知らなかった美智子は乾を認めるが、乾の行為を知るや彼を拒否。
精神のバランスを崩した美智子は父方の実家である出雲に引き取られる。

その後も、乾は美智子の影を追った。
面影を持った東北出身の若い女性に鬘を着用させ監禁したのも、その一環だった。
その最中、ある銅鐸が手元に届く。
銅鐸は乾と美智子を繋ぐ思い出の品だった。

さらにある日、乾のもとへ美智子の父が訪ねて来る。
銅鐸を作り送りつけたのは彼だった。
彼は乾を娘の仇だと考えていた。
出雲へと引き取られて後、美智子は病死していたのだ。

ところが、此処で思わぬことが起こる。
女性の監禁に美智子の父が気付いたのだ。
乾は口封じの為に2人を殺害した。

そして今また、乾は由紀子を見つけた。
人妻であり、妊娠している由紀子に邪な想いを募らせた乾は彼女を呼び出す。
由紀子は海を見たいと乾の誘いに乗って来るが……。

すべては由紀子の罠だった。
由紀子は捜査当局からの依頼で囮となっていたのだ。
実は、由紀子は美智子の忘れ形見だった。
容姿が似ているのも当然である。
由紀子は母亡き後、祖父に育てられたが、その祖父が殺害された為に夫に頼んで婚家から戻り警察に協力することにしたのだ。

クルーザーで出かけた乾と由紀子。
戻った乾の前に警察が待っていた。
留守宅を調べられ、物的証拠を押さえられたためである―――エンド。

「星月夜」です!!
星月夜



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