<あらすじ>
多摩南署の管内で、フリーカメラマンの久木眉美(三津谷葉子)とフィットネスクラブのインストラクター・酒井あずさ(原久美子)の殺害遺体が同じ場所で発見された。事件の捜査には、警視庁捜査一課管理官の山形(三浦浩一)を筆頭に、所轄のたたき上げ刑事・近松丙吉(伊東四朗)らがあたることになる。捜査陣は、さまざまな状況から、犯人の狙いは眉美にあり、あずさは偶然事件に巻き込まれたものと推測し、 また、眉美の手の上に重なるようにしてあずさの手が乗っていたことから、先に殺害されたのは眉美であると判断する。
しかし、多摩南署主任刑事の近松丙吉(伊東四朗)は、あずさのコートの裾が眉美の髪の下になっていたことを見逃さず、あずさが先に殺害されたのではないかと推測する。さらに、眉美が持っていたはずのカメラが現場で見つかっていないことも気にかかっていた。
そんな中、眉美の母の証言から、捜査線上に亀山利一(笹野高史)という男が浮上する。利一は眉美が以前付き合っていた男性・亀山英明(杉本泰郷)の父で、交通事故で英明を失って以来眉美に恨みを抱いていたのだという。事故の原因は英明の運転中に眉美が英明にメールを送ってきたせいだと考えていたのだ…。
利一は半年前に妻の典子(藤吉久美子)と離婚して以来行方がわからなくなっていたが、間もなく典子が営むラーメン店にいるところを発見され、家宅捜査の結果、自宅から血痕が付着したウィンドブレーカーと凶器が発見される。取り調べで利一は、恨みを抱いていた眉美を殺害し、その後犯行現場を目撃したあずさも殺害してしまったとの自供を始める。
しかし近松は、眉美を先に殺害したという利一の供述や、利一がウィンドブレーカーを所持していたことなどに違和感を覚える。
しかも、眉美が持っていたはずのカメラは利一の自宅からは発見されなかった。
近松は犯人が別にいるのではないかとにらみ、独自に捜査を開始するが…。
(水曜ミステリー9公式HPより)
では、続きから(一部、重複アリ)……。
亀山が罪を認めたことで事件は解決したかに思われたが、近松はこの結末を疑問に思っていた。
1人捜査を続ける近松。
そんな近松の捜査線上に亀山の主治医・奥島覚が浮上。
奥島はあずさと不倫関係にあったのだ。
手の重なり具合により殺害順序を理解していたが、それが犯人の工作だとしたら……。
眉美の消えたカメラを捜す近松は、典子宅が何者かに荒らされたと聞き其処にカメラがあると推理する。
近松の推理は当たっていた。
典子は亀山から「将来、金になるから」とカメラを預けられていたのだ。
しかも、亀山は余命幾許もないことも判明。
典子から眉美のカメラを預かった近松。
其処に写っていたものは……奥島があずさを殺害する現場だった。
こうして急転直下、動かぬ物証により奥島が逮捕されることに。
奥島が逮捕されたことで亀山も自身が身代わりであることを認める。
奥島はあずさと不倫しており、別れ話を切り出していた。
殺害当日、あずさに呼び出された奥島はキスを迫られその現場を眉美に撮影されてしまう。
あずさは自分との関係を暴露されたくなければ、今後も交際を続けるよう脅迫する。
あずさと眉美はグルになって奥島の不倫現場の証拠写真を撮影したのだ。
これに激怒した奥島はあずさを殺害すると、続いて眉美も殺害してしまう。
一方、亀山は英明の死について眉美を詰問しようとしていた。
ところが、待ち合わせの時間に遅れてしまった。
慌てて現場に向かうと、其処では奥島が2人を殺害した後だった。
これを見た亀山にあるアイデアが浮かぶ。
自身の余命は短い、そこで家族に金を残そうと考えたのだ。
亀山は奥島に身代わりになるからと提案、家族に報酬を支払うよう依頼した。
その上で、保証としてカメラを預かり偽装工作を行ったのだ。
重ね合わせた手の順番を工作したのも亀山だった。
近松は亀山に「妻子を殺人犯の家族にしていいのか」と説得。
これに応じた亀山は限りある生を家族の為に生きると決める。
典子宅にカメラを奪おうとして侵入した人間は、眉美の同僚だった。
金の匂いを嗅ぎ付け、カメラを手に入れようとしたらしい―――エンド。
<感想>
「多摩南署・たたき上げ刑事近松丙吉」シリーズ9作目。
前作は2008年11月5日に放送されているので、実に3年3ヶ月ぶりの新作となりました。
もともとは東野圭吾先生の短編をテレビドラマ化したこのシリーズ。
管理人にとっては非常に思い入れの深いシリーズとなります。
詳しく説明すると、3作目までが東野圭吾先生原作。
4作目が飛島高先生、5作目がオリジナル、6作目が日下圭介先生の原作と変遷し、7作目からは夏樹静子先生の原作が用いられています。
そんなシリーズ9作目の原作は、これまでと同じく夏樹静子先生『仮説の行方』(文藝春秋社刊『最後の藁』収録)。
<あらすじ>
多額の負債をかかえ、経営難にあえいでいた開業医が死体で発見された。どうみても自殺だが、はたして……。本格ミステリーを三作
院長はソファで息絶えていた。テーブルにはブランデーボトルとグラス。いずれからも青酸反応が認められた。病院は多額の負債を抱え、院長にはそれを返済してもなお余る巨額の生命保険がかけられていた。自殺か、他殺か。捜査はいくつもの推論のあいだで揺れ動く。推理の醍醐味を満喫できる傑作ミステリー集。 解説・佐野洋
(文藝春秋社公式HPより)
1冊に3編収録とのことで短編ではなく中編のようですね。
つまり、2時間ドラマに最適な長さとなります。
では、そんなドラマ版の感想を。
う〜〜〜ん、ドラマ単体としては及第点なんだけど、近松シリーズとしては物足りないかな。
トリックとしては被害者の手の重なった順番だけだし。
ちょっと弱い。
犯人断定については、これ以上ない物証なんだけど……。
ちょっと、期待していたものとは違ったか。
でも、決して悪くはない。
もう一捻りあったら満足できたかも。
次回に期待!!
あと、伊東四朗さんで鴨志田という名を聞くと、これを思い出しました。
・土曜ワイド劇場「おかしな刑事 居眠り刑事とエリート女警視の父娘捜査 東京タワーは見ていた!消えた少女の秘密・血痕が描く謎のルート」(12月10日放送)ネタバレ批評(レビュー)
<キャスト>
近松丙吉(多摩南署刑事課・主任刑事):伊東四朗
近松春子(近松丙吉の妻):市毛良枝
村越実(多摩南署刑事課・係長):角野卓造
山形治(警視庁捜査一課管理官):三浦浩一
西尾昭夫(多摩南署刑事課刑事):マギー
亀山利一(元日本料理職人):笹野高史
小林典子(亀山利一の元妻):藤吉久美子
奥島覚(大学病院外科医):堀部圭亮
酒井あずさ(フィットネスクラブインストラクター):原久美子
久木眉美(フリーカメラマン):三津谷葉子
鷹見幸彦(ルポライター):鈴木省吾
池田光男(警視庁捜査一課刑事):杉崎真宏
鴨志田寿一(多摩南署鑑識課):袴田裕幸 ほか
(順不同、敬称略、公式HPより転載)
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