<あらすじ>
「おらっ、俺を入院させろ!」安永記念病院のロビーでペンタジン(鎮静剤)中毒の男がナイフを振りかざし暴れる。誰も手が出せない状態だ。この日、この病院に新人看護師として就職した駿は、男の説得を命じられるが、どうしていいか分からない。そこへどこからともなく長身の女医が現れ、突然駿を投げ飛ばし、男に「黙らないとこうなるわよ!」と迫力満点で言い放つ。男は意気消沈ナイフを置く…。女医の名は倉石祥子、本来は関東医大の内科医だが週末はこの安永記念病院で当直医を担当する。祥子の迫力に圧倒される駿だが、祥子は駿を上から下まで一瞥し、大きくため息をつく。どうもタイプではないらしい。
祥子の医者としての仕事ぶりは、ルールにとらわれない祥子流。しかし医者としての腕は超一流! どんな患者にも変わらずに接し、入れ墨がある荒くれ者の患者にも、ひるむことなく診察する祥子。そんな祥子のペースに、クールな駿も振り回されっぱなし。
入院患者の一人に祥子の友人、里子がいた。病名は十二指腸潰瘍。容体は安定し、もうすぐ退院できることになっていた。里子は実は赤井の亡くなった妻の妹。祥子と赤井のこともよく知る里子は、姉の死から10年も経っているため、祥子と赤井が幸せになることを望んでくれていた。
そんなある日、入院中の里子が突然死亡する。十二指腸潰瘍が原因の出血性ショック死だというのだ。里子が急変した現場に居合わせなかった祥子は死因に納得がいかない。何とか里子の死の原因を究明しようと病院内を探る祥子。一方で里子の突然の死は祥子の診断ミスではないかとの噂が病院中に広まる。事態は祥子には不利な方向へ…。病院長である安永(井上順)と看護師主任の酒井(床嶋佳子)も祥子の勝手な行動に不信感を持つ。
そんな時、また一人患者が突然死する。祥子が、入院措置をとったペンタジン(鎮静剤)中毒の患者佐藤だ。佐藤の荷物から、あるものが見つかる。それは里子の名前が入った点滴のパック!! なぜ佐藤が里子の点滴のパックを隠し持っていたのか? 佐藤の死因は? 祥子と瞬は病院中を調べ、ある仮説にたどり着く。患者の死によって隠されたあるおそろしい陰謀とは? 果たして祥子と駿はその陰謀を暴くことができるのだろうか?
(金曜プレステージ公式HPより)
では、続きから……(一部、重複あり)。
関東医科大学病院から当直医として派遣されている祥子。
同じ関東医科大学病院の赤井とは、長い付き合いがあるが恋人ともいえない微妙な関係である。
近頃、赤井は教授選に出馬を決めるが……。
赤井の義理の妹・里子が急死した。
里子は真っ赤な血を吐いて死亡。
だが、潰瘍が死因ならば赤黒い血となる筈だ。
これに疑問を抱いた祥子は里子の死に不審なモノを感じ取る。
調べたところ、入院患者の佐藤が里子に付きまとっていたことが分かる。
まさか、佐藤が?
疑い始めた矢先、佐藤がペンタジン中毒で死亡してしまう。
佐藤の死の直前、胃潰瘍で入院中の患者・中山百合が薬品保管棚の前で不審な行動を示していたことを目撃していた祥子は彼女を疑う。
一方、当の百合は赤井と何やら密談を……。
百合が看護師であることが判明。
当然、百合はペンタジンの使用も可能である。
祥子は百合を問い詰めるが、途端に百合は苦しみ出してしまう。
祥子が潰瘍にストレスを与えたことが原因とされるが……。
こうして、祥子と駿は2つの死に関連があると考える。
里子の死因もペンタジンではないかと疑う祥子。
里子の血が真っ赤だったのは、輸血用の血液で偽装したからではなかったか?
なおさら、百合への疑惑が強まる中、百合が姿を消してしまう。
酒井と共に百合を追う祥子。
百合が関東医科大学の関係者と頻繁に密会していたらしいが……まさか、赤井が?
里子と佐藤の死について、祥子の誤診が原因との噂が流れ始め、祥子は窮地に立たされる。
同僚の荒木に揶揄される祥子だが、患者の為と忍耐を重ねる。
百合について調査する駿。
結果、百合が奇妙な長期入院をしていたことを突き止める。
どうも、別の目的を持って病院に潜入していたらしい。
祥子は百合が病院に関わる何かを調べていたと推理する。
百合の検査結果とカルテが消えていたことが判明。
病院側の作為が見え隠れする中で、地下の段ボール箱からそれが発見される。
そこは限られた者以外立ち入り禁止の部屋だった。
他にも怪しげな資料が収納されていたが……。
百合のカルテによれば、ウイルス性肝炎に罹患していることが分かる。
院内感染の隠蔽ではないかと気付く祥子。
そこへ、内科部長が現れたことで祥子たちは追い出されてしまう。
祥子は、点滴ルートの使い回しを疑い始める。
佐藤が所持していたのも点滴。
そして、百合が調べていたのもこの使い回しではないか。
さらに、里子がこの事実を知り、口封じされたとすれば……里子と佐藤を殺害した犯人は、病院関係者になる。
百合の居所が判明。
早速、向かった祥子たちだが、その目の前で百合が墜落死してしまう。
何らかの陰謀を感じる祥子たち。、
ここで駿が疑問を持つ。
百合が点滴の使い回しを調べていたのならば、当の百合が点滴により感染するだろうか?
祥子の疑惑は見当違いなのではないか……。
祥子の患者の協力で、百合をスパイとして送り込んでいた人物の正体が明らかに。
それは、関東医大の-――。
その頃、安永院長が駿を解雇する。
駿は祥子と関わったことが原因だと絶望してしまう。
駿の解雇に責任を感じた祥子は、使い回しの証拠を必死に捜す。
酒井主任はそんな祥子に「うちクラスの病院では、使い回しで得る利益などあてにしない」と使い回しを否定する。
一方、関東医大の夢見沢と安永院長は赤井を教授選に勝たせるべく暗躍していた。
安永が資金面でバックアップする代わりに、夢見沢が大学病院のスタッフを提供する密約が結ばれていたのだ。
この事実を知った祥子は赤井を責める。
百合は、赤井の教授選のライバル・竜崎の愛人だったのだ。
竜崎は百合を使い、赤井の資金源である安永の弱味を握ろうと病院について調べていたのだ。
赤井が百合と会っていたのは、百合に手を引くよう警告する為だったらしい。
これを聞いた祥子は赤井と決裂してしまう。
深夜、安永はどこかへと電話をかけていた。
「彼女は肝心なことに気付いていない」と相手に洩らす安永だが……。
赤井が診療中の祥子のもとへ現れる。
赤井は、里子が点滴ルートの使い回しに気付いていたと告白。
里子は直接訴えると主張していたらしい。
これまでは安永の手前、沈黙していたらしいが、祥子に責められたことで思い直したのだ。
そのまま謝罪する赤井。
こうして、赤井は教授選を辞退する。
祥子は遂に安永へ使い回しの不正を認めるよう直談判を。
警備員を呼ぶ安永だが、警備員は全員、祥子にのされていた。
祥子は安永に不正を止めるよう説得。
患者の立場に立つよう諭す祥子だが、安永は動じない。
警備の増援を呼ぶが……。
其処へ、駿が駆け付ける。
その手には点滴の納品書が握られていた。
具体的な使い回しの証拠品である。
さらに、もっと大きな不正の証拠も。
駿はアンプルのラベルも手に入れていた。
安永の病院では、使用期限切れのアンプルをラベルを貼り替えることで再利用していたのだ。
駿によれば、他にも不正を行っているらしい。
百合は点滴ルートの使い回しではなく、アンプルのラベル貼り替えを調べていたのだ。
その為に点滴により院内感染してしまった。
真相を知った祥子の追及に、安永は「今の医療では当然のこと」と断言。
あくまで罪を認めない。
この言葉に駿は「それは間違っている。こんな病院ならクビになって良かった」と叫ぶ。
監査機関が介入することになった。
しかし、安永は里子と佐藤を殺害した犯人ではない。
祥子は「犯人は使い回しがないと嘘を吐いた人」と断言する。
犯人は酒井主任だった。
経営に行き詰った安永に、点滴ルートの不正を提案したのは彼女だったのだ。
それに味を占めた安永は、以降、点滴ルートやアンプルのラベル貼り替え、さらには、過剰な検査や投薬などにも手を染めてしまった。
これが常態化しつつあったが……。
ところが、里子に点滴ルートの使い回しを見抜かれてしまった。
訴訟も辞さない里子の態度に酒井は殺害を決意。
ペンタジンを用い殺害した。
佐藤は、里子が点滴の使い回しを疑っていたことを知っていた。
その里子が死亡したことで、点滴の使い回しに確信を抱いた佐藤は証拠を押さえると安永を脅迫した。
佐藤に脅迫された安永は、責任を取り辞職の決意を固める。
それを知った酒井は安永を救うべく、佐藤をペンタジンにより殺害。
酒井は安永を愛していたのだ。
「あなたに私の気持ちは分からない」と絶叫する酒井。
そんな酒井に、安永が最後まで不正を認めなかったのは酒井の為だと伝える祥子。
酒井は涙を浮かべたまま、警察に連行されて行く。
里子の遺影に手を合わせる祥子。
その帰り道、里子宅を目指す荒木と出会う。
荒木の手には花束が……里子の死の真相を見抜けなかった責任を感じていたらしい。
駿が掴んだ証拠は荒木が協力したものだった。
荒木は医者として大切なものを取り戻したと語る。
一方、駿は新たな職場で第一歩を踏み出していた。
その目に週刊誌の記事が飛び込んで来る。
そこには「百合が竜崎に殺害された」ことが載っていた。
安永の不正の証拠を掴めなかった百合は、竜崎に用済みとして殺害されてしまったのだ。
その夜、祥子、赤井、駿の3人は屋台で呑んでいた。
駿の再就職先は関東医科大学病院らしい。
赤井は物も言わずその場を去るが、其処には指輪が残されていた。
泣いて喜ぶ祥子だが、指輪のサイズが合わない―――エンド。
<感想>
原作は霧村悠康先生『死の点滴』(二見書房刊)。
『死の点滴』あらすじ
薬剤中毒患者が急死した翌日、
治癒目前の十二指腸潰瘍患者も出血死した──。
二人の患者に何が起こったのか?
現役医師作家による待望の新作!
薬物中毒患者が死亡した翌日、治癒間近の十二指腸潰瘍患者も急変し命を落とした。「おかしい!?」 O大学病院から当直にきていた医師・倉石祥子は疑惑を抱く。点滴使いまわし及び使用期限切れの薬剤使用疑惑、そこに不可解な殺人が──。同じ頃、O大学医学部では欲と金にまみれた教授選が始まっていた。白亜の虚塔に鋭いメスを入れる、現役医師作家による書き下ろし医療ミステリー!
『特効薬 疑惑の抗癌剤』 に続く、変人刑事・乱風と美人医師・祥子シリーズ第二弾!
(二見書房公式HPより)
原作によれば倉石祥子はシリーズもの。
本作も含め、既刊が5冊出版されているようです。
『特効薬 疑惑の抗癌剤』
『死の点滴』
『黒い研究室』
『感染爆発 パンデミック』
『女医・倉石祥子 死人の病室』(最新刊、2012年2月13日発売)
本記事下部にリンクを用意してありますので、興味のある方はどうぞ!!
著者・霧村悠康先生には、他にぶんか社で古閑志保梨シリーズも展開しており、こちらも医療サスペンスものです。
では、ドラマの感想を。
かなり軽快で良かったですね。
「業界の暗部を斬る」となると重苦しいものが多いのですが、重過ぎることも無く、かといって軽過ぎることもなく、程よいバランスのドラマとなっていたように思います。
なかなか面白かった。
原作にもストックがあるようなので、シリーズ続編も期待できそうかな。
<キャスト>
女医 倉石祥子役:片平なぎさ
新人看護師 蒲田 駿:小池徹平
看護師主任 酒井裕美:床嶋佳子
院長 安永弘道:井上 順
医師 赤井和義:大友康平 ほか
(公式HPより、順不同、敬称略)
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