<あらすじ>
【特集】大河ドラマの主人公がよくわかる! 「平清盛」を小説で読む ◎インタビュー 三田誠広/浅倉卓弥 ほか 【連作読切小説】乾くるみ「カラット探偵事務所の事件簿 2」【連載小説】宮部みゆき「桜ほうさら」/桂望実「手の中の天秤」/諸田玲子「帰蝶」/五十嵐貴久「ぼくたちのアリウープ」 ほか
【連作読切小説】
●秘密の味は、ソース味!? 老舗の食堂の伝統の味に訪れたピンチを救え! 乾くるみ 一子相伝の味 カラット探偵事務所の事件簿 Season2 6
(PHP研究所公式HPより)
<感想>
管理人の通う書店では女性作家の棚に並ぶ乾くるみ先生。
で・す・が、れっきとした男性です(これもある意味叙述か)!!
乾先生、市川尚吾名義で評論もされてます。
その著作のひとつにして、意外なサプライズでラストを締め括った「カラット探偵事務所の事件簿」がシーズン2を迎えました。
そう、乾くるみ先生「カラット探偵事務所の事件簿 Season2」が「文蔵」にて連載中!!
2012年2月号には第6回が掲載されました。
これまでに、1から3回まではネタバレ書評(レビュー)してますね。
・シーズン2第1回「小麦色の誘惑」ネタバレ書評(レビュー)はこちら。
「カラット探偵事務所の事件簿 Season2(1)小麦色の誘惑(文蔵2010年11月号掲載)」(乾くるみ著、PHP研究所刊)ネタバレ書評(レビュー)
・シーズン2第2回「昇降機の密室」ネタバレ書評(レビュー)はこちら。
「カラット探偵事務所の事件簿 Season2(2)昇降機の密室(文蔵2011年2月号掲載)」(乾くるみ著、PHP研究所刊)
・シーズン2第3回「車は急に……」ネタバレ書評(レビュー)はこちら。
「カラット探偵事務所の事件簿 Season2(3)車は急に……(文蔵2011年5月号掲載)」(乾くるみ著、PHP研究所刊)ネタバレ書評(レビュー)
そこで今回は第6回「一子相伝の味」についてネタバレ書評(レビュー)しちゃいます!!
久しぶりの書評(レビュー)ですね。
しかし、「事件簿1」を知る身としてはあの壮大なラブレターオチ(詳しくは本記事最下部にネタバレあり)がある限り続編は難しいのではないかと考えていただけにこのシーズン2自体が大きなサプライズです!!
早速、第6回も読んでみました。
「使い終われば自然と道が開ける」が凄く良かった。
それと「暖簾の秘密」かな。
この2つが本作のキモ。
なかなか面白かったかな。
次の話にも期待!!
<ネタバレあらすじ>
古谷たちは、今日も今日とて事務所で暇な1日を過ごしていた。
そこへ依頼が舞い込む。
依頼主は「マルチ食堂」の3代目。
代々続いた秘伝のマルチソースの製法を突き止めて欲しいと言う。
ソースの製法は一子相伝のもので、3代目が教わる前に2代目が急死してしまったのだ。
しかし、3代目によれば製法自体が店の何処かに隠されているらしい。
もし困っても「使い終われば自然に道は開ける」と語っていたと言う2代目。
さらに「暖簾を守る」よう常々口にしていたらしいが……。
これらからある推理を固める古谷。
2代目が「暖簾を守る」よう伝え、暖簾に描かれた絵柄が「マルチ」にも関わらず亀甲だったことから、そこに意味があると考える。
「亀」つまり「甕」ではないかと考えたのだ。
ソースの甕に何かが隠されている。
さらに、「使い終われば自然に道が開ける」ということは……。
ソースを使い終われば分かること、これまた、甕の裏に製法が書かれているに違いないと推理。
それを3代目に伝えたところ、3代目も古谷の推理を支持。
もしも、甕の裏から製法が見つかれば食堂メニューすべてをそれぞれ1回限り無料で提供すると約束する。
そして……古谷たちは今、その恩恵に与ることに成功しているのだった―――エンド。
◆「カラット探偵事務所の事件簿1」のラストについて
注意、ネタバレです!!
上にラブレターオチとあるけどその通り。
実はこの事件簿自体が壮大な告白の一環だった……とのラスト。
これに男性だと思われていた記録者こそが実は女性だったとの叙述トリックが絡む。
多少、蛇足気味ではあるが結構効果的だった。
ある意味、乾くるみという女性的なペンネームで実は男性というのに通じている。
◆「乾くるみ先生」関連過去記事
・「六つの手掛り」(乾くるみ著、双葉社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・「カラット探偵事務所の事件簿 Season2(1)小麦色の誘惑(文蔵2010年11月号掲載)」(乾くるみ著、PHP研究所刊)ネタバレ書評(レビュー)
・「カラット探偵事務所の事件簿 Season2(2)昇降機の密室(文蔵2011年2月号掲載)」(乾くるみ著、PHP研究所刊)
・「カラット探偵事務所の事件簿 Season2(3)車は急に……(文蔵2011年5月号掲載)」(乾くるみ著、PHP研究所刊)ネタバレ書評(レビュー)
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