2012年02月05日

『プラチナデータ』(東野圭吾著、幻冬舎刊)

『プラチナデータ』(東野圭吾著、幻冬舎刊)ネタバレ書評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<あらすじ>

男は優秀な科学者だった。連続殺人犯のDNAが、自分と一致するまでは――。信じられるのは、科学か、自分自身か? 確信は疑念に、追う者は追われる者に。すべての謎は、DNAが解決する。
(幻冬舎公式HPより)


<感想>

映画化決定との報を受けて、読んでみました。
ちなみに映画版のキャストは、神楽役に二宮和也さん、浅間役に豊川悦司さんとのこと。

東野圭吾先生『プラチナデータ』(幻冬舎刊)が映画化!!公開は2013年を予定!!

そんな本作ですが、なんとなく洋画の「マイノリティ・リポート」っぽい。
読みながら、ずっとそんな感想を抱いた。
あちらは「DNA」ではなく「未来予知」だけど、絶対的な捜査手法という点で同じだと思うし。
それと「逃亡者」のミックスかな。

テーマを考えていて、どんな高機能なハードでも利用する人間次第との至言を思い出した。
結局は人間なんだよなぁ……。
紅茶好きの提督がイゼルローン要塞を陥落せしめたのも、むべなるかな。

結論として、本作は名作ではないが、読んでみるのも面白いと思う。
明らかにエンタメ寄りの作品です。
映画化すれば、映える筈。

そして著者の東野圭吾先生と言えば、『容疑者Xの献身』がエドガー賞候補に!!
他にも、韓国版「白夜行」が現在公開中。
さらに、「人気作品ランキング」も中間結果が発表されています。
こちらも注目!!

東野圭吾先生『容疑者Xの献身』がエドガー賞候補に!!気になる結果は2012年4月26日!!でも、何故2012年の今なのか、知りたいと思いませんか!?

韓国版『白夜行』遂に上陸!!2012年1月7日(土)日本公開!!

東野圭吾先生「人気作品ランキング」中間結果発表!!

<ネタバレあらすじ>

犯罪防止を目的としたDNA法案が国会で可決された世界。
国民のDNAをデータバンクに登録することで、犯罪現場の遺留物から犯人を選定することが出来るようになったのである。
この捜査法により検挙率は飛躍的に上昇し、誰もが完璧を信じて疑わなかったが……。
特にこのシステムを操る警察庁特殊解析研究所の神楽龍平は絶対的な信頼を置いていた。

だが、この科学捜査を嘲笑うかのような連続殺人事件が発生してしまう。
被害者は銃で頭部を撃ち抜かれていた。
ところが、遺留物のDNAを調べても「NOT FOUND」、適合する人物が浮上しないのだ。
こうなると、データバンクに登録していない人物が犯人となるのだが、一向にそれらしき人物が見つからない。
犯人はこの世に存在しないのか?

矢先、システムの開発者である蓼科早樹までが殺害される。
現場に残された毛髪から解析された結果は「RYUHEI KAGURA 適合率99.99%」。
つまり、犯人が神楽自身であることを示していた。
こうして、神楽は追われる立場になってしまう。

神楽を追うは、捜査一課の浅間警部補。
ここに追う者と追われる者との戦いが始まった。

神楽には犯行の記憶がない。
だが、神楽には“リュウ”という別人格が存在していた。
今回の犯行は“リュウ”の手によるものなのか?

神楽の担当医であり、システム作成を蓼科早樹に指示して管理していた水上から“リュウ”の存在を聞いた浅間だったが、直後から捜査の様子がおかしくなり始める。
不審な圧力がかかるようになったのだ。

“リュウ”の恋人・スズランの助けを借りて逃亡生活を続ける神楽。
一方で、神楽の犯行に疑念を抱いていたアメリカのDNAプロファイリング研究者・白鳥里沙も殺害されてしまう。
謎の言葉「プラチナデータ」、そして「モーグル」。
やがて、神楽が辿り着いた真相とは―――。

「プラチナデータ」とは、登録されれば捜査対象外になるように設定されたデータだった。
特権階級の人々が登録することにより捜査の対象外となることが出来るのだ。
DNA捜査法には、初めから穴が開いていた……。

そして、今回の犯人が捕まらなかったのはその「プラチナデータ」に属していたから。
犯人はシステム作成を蓼科早樹に指示していた水上だったのである。
水上は内容を教えずに「プラチナデータ」の作成を指示した際に、自身もそこに紛れ込ませることに成功していた。
だから、特定されなかったのだ。

水上は脳に電流を流すことで快楽中枢を刺激し快楽物質を生成する電子麻薬・ハイデンの実験を行っていた。
その過程で被験者となった者たちを殺害し、ハイデンの痕跡を消すべく頭部に弾丸を撃ち込んでいたのだ。
これが連続殺人の真相だった。

そして、「モーグル」とは「プラチナデータ」の穴に気付いた蓼科早樹が作成した検索システム。
「プラチナデータ」内だとしても該当のデータがあれば引っ張り出すことが出来るのだ。
だが、蓼科早樹はこれを作成した為に水上に殺害された。

白鳥里沙もまた「プラチナデータ」の存在に気付き、水上の犯行を疑った為に殺害されたのだった。

水上と対峙する神楽と浅間だったが、浅間は水上が犯人と知らなかった為に隙を突かれ意識を失う。
神楽も捕まり、致死量のハイデンの実験材料にされてしまう。
神楽を殺害したと思った水上は浅間に止めを刺そうとする。

だが、神楽は生きていた。
何時の間にやらリュウに交代すると、水上を「スズランの仇」として射殺する。
浅間は朦朧とした意識の中で、この顛末を確認していた……。

結局、事件は水上の暴走として処理された。
「プラチナデータ」については表沙汰にされることもなく、「モーグル」も没収された。
神楽と浅間は事件について知り得た情報を漏らさないことを条件に解放される。

浅間は水上殺害直後のリュウの言葉を神楽に伝える。
「スズランの仇」との意味が分からない神楽。
スズランと共に逃亡生活を送ったと思っていた神楽だが、それは脳が見せた幻だった。
神楽は1人で逃避行を続けていたのである。
本物の「スズラン」は既に死亡していた。
神楽の別人格がリュウであったように、蓼科早樹の別人格こそがスズランだったのだ。
水上は早樹=スズランを殺害した、ゆえに仇だったのだ。

リュウは復讐を果たしたものの、スズランを失ったことで存在意義を失った。
こうして、リュウもまた消えてしまう。
後には神楽だけが残るのだった。

一方、浅間。
あのとき、水上は致死量のハイデンを神楽に施した筈だった、にも関わらず神楽は助かった。
これには理由があった。
以前、水上の研究室を訪ねた浅間はそこで水上が隠していたハイデンを見た。
ハイデンの設定が致死量になっていることに気付いた浅間は、事故があってはならないと効果を弱めるよう設定を変更したのだ。
設定を変更されたことに気付かぬまま水上は使用し、神楽は助かったのである―――エンド。

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映画化される「プラチナデータ」です!!
プラチナデータ



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