<あらすじ>
閑静な住宅街で、殺人事件が発生。自宅玄関先で刺殺された被害者は大手製薬会社の社員・長塚淳(窪寺昭)。スーツにサンダル履きとの姿から、淳は会社から帰宅後、一度家に入り、着替える間もなく何者かに呼び出され、外に出たところをいきなり襲われ殺害されたようだ。
第一発見者は長塚の父・利一(佐々木勝彦)だった。菊田(西島秀俊)ら姫川班が臨場する中、玲子(竹内結子)は、葉山(小出恵介)と警察学校の同期である真弓(加藤あい)と組むことになった。事件のあった夜は激しい雨のため、現場周辺から足跡、指紋は現段階では採取できなかった。家に入った被害者を呼び出したのに、呼び鈴に指紋が残っていないことに疑問を持った玲子は、家政婦の良枝(上岡紘子)の証言から、ある事に気付く。
(@nifty tv番組表より)
では、続きから(一部、重複アリ)……
ある雨の夜、帰宅した長塚淳はレインコート姿の人物の訪問を受けた。
数分後、スーツにサンダルで屋外へと出迎えた淳を待っていたのはナイフの洗礼。
レインコートの人影は憎しみのすべてを淳にぶつけると、そのまま夜の闇に消え去った。
後には、物言わぬ死体が1つ残された―――。
その頃、菊田は葉山に呼び出され、バーのカウンターに居た。
やって来た葉山によれば、何か相談事があるらしい。
さて、相談の内容をと切り出したところで玲子からの電話が。
冒頭の事件が発生したとの連絡である。
こうして、現場へ向かう菊田と葉山。
一方、連絡を入れた玲子はデパートの靴売り場で苛立っていた。
ヒールの踵が折れたのだ。
そこで新しい靴の購入となったのである。
その場でヒールを履き直すと、こちらも現場へ。
被害者は長塚淳。
淳はスーツにサンダル履き姿で死亡していたことから、帰宅直後に殺害されたと思われた。
ちなみに、犯人のものと思われる指紋は呼び鈴など現場から検出されていない。
頭を悩ます玲子に近付く女性があった。
彼女は、成城南署強行班係・高野。
葉山の同期らしいが、今回、玲子と組むことになったのだ。
高野は捜査に意欲を見せる。
淳の周囲からは特に恨まれていたとのウワサは出てこない。
淳に大学時代からの恋人がおり、別れ話が浮上していたとの情報が飛び込んで来る。
恋人の名は、出版社勤務の森尾恵子。
ところが、恵子は淳殺害時に大阪出張のアリバイがあった。
一方、葉山もこの事件に対し妙に意気込むが……。
そんな葉山を気遣う菊田。
当の葉山は過去を思い返していた。
若かりし日の葉山が夜の路上を帰宅の途についていた。
その目の前を行く女性。
と、黒い人影が女性に駆け寄り激しくナイフを突き刺す。
女性は倒れ、多量の血が流れていく……葉山は呆然と立ち尽くして……。
悪夢を振り払うように、膝を抱えて座り込む葉山。
同じ頃、ネット上で「アンマスク」と言う名の掲示板が盛り上がりを見せていた。
翌朝、菊田は高野から葉山が刃物に恐怖心を抱いているとのエピソードを聞かされる。
ちなみに、高野は玲子を尊敬する先輩、目指すべき目標としているらしいが……。
淳の着衣のボタンから犯人のものと思われる指紋が検出。
その大きさから男性のものと推察された。
玲子はここから推理を進めることに。
長塚家の呼び鈴からは指紋が検出されていない。
だが、ボタンからは指紋が出た。
つまり、犯人は呼び鈴を押さずに淳を呼び出した?
いや、違う。
犯人は玄関前で帰宅した淳に声をかけたのではないか。
だが、それならばその時に殺害しなかったのは不自然だ。
つまり、犯人の標的は淳ではない。
淳の父・長塚利一は元厚生官僚。
非加熱製剤にそのまま使用許可を出した薬事課長……その人だったのだ。
この非加熱製剤により、女性の自殺者まで出ていた。
犯人の標的は淳ではなく、利一だった。
帰宅した淳を呼び止めた犯人は、利一を呼び出すよう頼んだ。
ところが、利一は不在。
留守を伝えるべく犯人のもとへ戻った淳を犯人が利一と誤って刺してしまった。
もしも、淳が助かれば面が割れ、利一を狙えなくなってしまう。
そこで、犯人は淳を刺殺したのだ。
だとしたら、利一はもう一度狙われる。
玲子と高野、葉山は陰ながらに利一の身辺を警護することに。
葉山は玲子に逆らってまで、自身で犯人を検挙することに拘るが……。
その様子に不審を抱いた菊田は葉山を問い詰める。
葉山は中学二年生のとき、自分の家庭教師をしていた女子大生を目の前で刺殺されていたのだ。
だが、恐怖に駆られた葉山は目撃者として名乗り出なかった。
以降、葉山はこのトラウマを乗り越えるべく、警察官となったのだった。
翌日、非加熱製剤により自殺にまで追い込まれた大友麻里の父を訪ねる菊田。
大友は新橋で仕事仲間と酒を呑んでいたとアリバイを証言。
麻里の恋人についても情報を提供する。
大友の情報に基づき、麻里の恋人・矢部を訪ねた菊田は、そこで掲示板「アンマスク」を見つける。
そこには利一の個人情報が曝されていた。
利一が帰宅。
そこへ駆け寄る男が1人―――その手にはナイフが握られている、矢部だ。
それに気付いた葉山は矢部を呼び止めるが、ナイフを突きつけられると止まってしまう。
葉山に代わり、矢部に飛び掛かる玲子、高野。
だが、次々と負傷していく。
それでも、葉山は足が竦んで動けない。
遂には倒れた高野にナイフが向けられて……。
そこへ菊田がやって来る。
菊田により、矢部は取り押さえられる。
葉山はそれを見詰めることしか出来なかった……。
「なんだこのざまは。人の家の前をなんだと思ってるんだ!!」
自身の置かれた状況を理解しているのか、いないのか、激怒する利一の声がこだまする。
これが、余りに呆気ない事件の終わりだった。
同日夜、取調室。
そこには玲子と矢部の2人の姿があった。
「どうして15年前の恨みを今になって?」
「ネットで見たんです」
掲示板「アンマスク」、そこに「殺されても仕方がない悪人」として利一の名前が挙がっていたと言う。
続いて、矢部はすべてを語り始める。
15年前、麻里が免疫不全症になったと知った大友は、麻里の不貞を疑った。
言われの無い疑いをかけられた麻里はショックのあまり自殺してしまう。
その後、非加熱製剤が原因であると知った矢部は、麻里が殺したのは自分であると罪の意識に支配されていった。
その贖罪には利一の命が必要だったのだそうだ……。
玲子の前に葉山が居る。
「すんませんでした」頭を下げる葉山。
葉山の謝罪に答えることなく玲子は語り出す。
矢部が覗いていた掲示板には個人を攻撃するような酷い事がたくさん書き込まれていた。
それは憎悪を育て、人を悪意に駆り立てる。
その悪意は感染し、人を容易に殺人者に変える。
「今後はこういった犯罪が増えるかもしれない」呟く玲子。
玲子は葉山に慰めの言葉をかけない、それが葉山を追い詰めることを知っているから。
玲子はそのまま去って行く。
残された葉山に菊田が近付く。
「主任はなぁ、俺たちのことを何でも知ってるんだよ」
葉山が大きく頷く、其処には真に姫川班のメンバーとなった葉山が居た。
一方、階段を下りる最中にヒールの踵が折れる玲子。
「これで今月、3足目だ」―――6話了。
<感想>
1話完結となった「感染遊戯」。
連作短編集である同名原作を活かしまるまる1冊分をドラマ化し、てっきり前後編になるかと思っていただけに意外な感じです。
どうやら該当する同名短編をそのままドラマ化したと言えそうです。
では、感想を。
ドラマは原作である短編『感染遊戯』としては正しいが、連作短編集タイトルの『感染遊戯』として見た場合には、モチーフを記号化しさらっと流したとの印象。
・原作『感染遊戯』ネタバレ書評(レビュー)はこちら。
「感染遊戯」(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
「アンマスク」も殆ど意味がなかったし。
個人的に『感染遊戯』は複数の短編を受けてまとめたあの結末がすべてだと思うので、「アンマスク」を介して「感染する悪意」を表現するならば原作のストーリー展開(複数の被害者、複数の犯人)は必須だと思う。
その点、ドラマ版「感染遊戯」のテーマは「葉山のキャラクターの掘り下げ」に留まったと思われる。
ラストの菊田と葉山のやり取りを見てもそれは分かるだろう。
そして、「ドラマ版はストーリー性よりもキャラクター性に力点を置いているのかな」と今更ながら気付いた。
それと関連して、ドラマ版だと菊田や葉山たちの玲子への依存心が強過ぎるかもしれない。
原作だと、もっと独立した大人の雰囲気があるのだが、ドラマ版はどこか頼り切っている気がする。
もちろん、玲子を信頼していることの表現なのだろうとは思うが、流石に違和感がある。
個人的には玲子と姫川班のメンバーの絆や信頼は、口に出さずとも感じられる表現に留めるべきだと思う。
そして、肝心のドラマ部分も余り活きていたとは思えないかな。
玲子の対立軸として活躍するのかと期待していた高野の意味が余りなかったのはマイナス。
葉山の過去を絡めるにしても、高野である必要があったか疑問。
同じ女性刑事として、玲子の特別性を際立たせる為とはいえ、登場させるのならばもっと活躍させても良かった。
この点で、高野の再登場に期待したい。
……って、撮影は終わってるし、再登場あるのかなぁ。
などなど、ちょっと不満が残る出来だったかな。
とはいえ、いろいろ述べたものの、それなりには楽しめました。
次回も期待です。
そんな次回は『悪しき実』。
原作は『シンメトリー』収録の短編です。
ネタバレ書評(レビュー)にこそ記載していませんが「樒(シキミ)」のくだりは必見です。
あれがドラマ化されると思っただけで気になる、気になる。
来週も楽しみだ!!
『悪しき実(『シンメトリー』収録)』ネタバレ書評(レビュー)はこちらから。
・シリーズ3作目、短編集「シンメトリー」はこちら。
「シンメトリー」(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
◆関連過去記事
【姫川玲子シリーズ】
・シリーズ1作目「ストロベリーナイト」はこちら。
「ストロベリーナイト」(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・シリーズ2作目「ソウルケイジ」はこちら。
「ソウルケイジ」(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・シリーズ3作目、短編集「シンメトリー」はこちら。
「シンメトリー」(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・シリーズ4作目「インビジブルレイン」はこちら。
「インビジブルレイン」(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・シリーズスピンオフ作品「感染遊戯」です。
「感染遊戯」(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『アンダーカヴァー(「宝石 ザ ミステリー」掲載)』(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
【ドラマ版】
・土曜プレミアム ストロベリーナイト「大ベストセラー小説初ドラマ化!!連続猟奇殺人事件のカギを握る感染死体…真相に迫る孤高の女刑事悲しみの過去と驚愕の結末!!」(11月13日)ネタバレ批評(レビュー)
・連続ドラマ「ストロベリーナイト」第1話「シンメトリー」(1月10日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・連続ドラマ「ストロベリーナイト」第2話「右では殴らない(前編)」(1月17日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・連続ドラマ「ストロベリーナイト」第3話「右では殴らない(後編)」(1月24日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・連続ドラマ「ストロベリーナイト」第4話「過ぎた正義(前編)」(1月31日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・連続ドラマ「ストロベリーナイト」第5話「選ばれた殺意の径〜過ぎた正義(後編)」(2月7日放送)ネタバレ批評(レビュー)
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