<あらすじ>
息を切らし、警察犬の力を借りてようやく犯人を逮捕した竹内警部補(渡瀬恒彦)は、突然かつてSPとして警護を担当した国会議員のキリ子(高畑淳子)から声をかけられた。
「そろそろ卒業したら?犯人とかけっこするの」。
得意の嫌味を受け流して署に戻ろうとする竹内だったが、キリ子は強引に自分の車に乗せると人気若手バイオリニスト・華子(上原多香子)の警備をしてほしいと依頼…、いや、命令する。幼いころから欧州でレッスンを受け、国際的なコンクールで数々の賞を受賞。一躍有名バイオリニストとなった華子だが、今回日本で凱旋ツアーを行うことになった。
その華子はバイオリニストであると同時に、数年前から軍事独裁政権の国の民主化を支援。政治的な発言を繰り返していることから、同国の軍事政権から命を狙われているらしい。
華子の母親・小夜子(かたせ梨乃)と親しいキリ子は、凱旋ツアー中の警備を信頼する竹内に担当させようと画策。最初は断った竹内だが、爆弾が仕掛けられたと騒然とするコンサート会場に連れてこられると、かつてのSP魂が蘇ってしまい積極的に捜索を開始。警護課課長の長岡(平泉成)にも頭を下げられ、結局、竹内は警護を引き受けることになる。
爆弾騒ぎの翌日から若い栗本(松田悟志)、ユリ(知念里奈)と3人で華子の警護を担当することになった竹内。爆弾騒ぎの犯人も独裁政権の仕業と決めつける華子を、あわてて諌める小夜子。どうやら華子はかなり気丈な性格らしい。
華子の周囲には、ステージママと揶揄される母親の小夜子、その小夜子の元夫でさえないイベント会社を経営する大谷(片桐竜次)、華子のレッスンを担当してきた音大教授の植木(堀内正美)らの姿が。会社の窮状を見かねた小夜子から今回のツアーのプロモートを任された大谷だったが、少しでも小夜子から金をむしり取ろうとしている。小夜子に愛情に近い感情を抱く植木は、そんな大谷を嫌悪しているが、その植木も愛弟子であるはずの華子の信頼を得られていないようだ。
そんな折、大谷の他殺体が東京にある自らのオフィスで発見された。捜査を担当する磯貝(杉本哲太)は現場で独裁政権国家の国旗のピンバッチを発見する。華子への脅迫と関係があるのだろうか。
一方、神戸のコンサート会場の楽屋に脅迫状が舞い込んだ。やはり独裁政権国家の国旗が描かれており、何者かが忍び込み置いていったらしい。過激派の侵入を許した竹内らSPを悪しざまに非難する植木。そんな騒ぎにも華子は「コンサートは中止しない」と毅然と言い放つ。
神戸でのコンサートを終え、磯貝と合流した竹内は、大谷殺害事件についての情報を聞く。やはり独裁政権国家が関係しているようだが、磯貝は犯人はもっと身近にいると考えているらしい。
一方、竹内の元部下のSP川端(的場浩司)が警備を担当する財津外務大臣(榎木孝明)は、定例会見で独裁政権国家を擁護するコメントを繰り返す。そんなTVニュースを京都のホテルで見て怒りをあらわにする華子。その後、竹内らに守られ、コンサート会場入りするが、なぜか植木はかつて画商として政治家と関係していたころの小夜子について暴露した記事を華子に見せる。その記事の中には、代議士時代の財津の名前も…。
明らかに動揺した華子は、その夜のコンサートで珍しくミスを犯すと、竹内らの目を欺き姿を消してしまう。初めて来た京都で、どこへ行ってしまったのか。竹内らは懸命に捜索を開始するが…。
やがて意外な場所で発見される華子。彼女がそこを訪れた理由とは?母・小夜子の過去から暴かれる華子の秘密とは?そして、再び発生する殺人事件。被害者は?恐るべき犯人の正体は?
(公式HPより)
では、続きから(一部、あらすじと重複あり)……
軍事独裁政権・キラリアを批判したことから、命を狙われている華子。
キリ子に依頼(強要!?)され、SPとしてその警護についた竹内。
だが、その周囲には火種が燻っていた。
キリ子の友人である華子の母・小夜子。
その小夜子の元夫で、華子の義理の父親であった大谷。
大谷と対立する音大教授の植木……など人間関係が複雑に絡み合っていたのだ。
一方、外務大臣の財津はキラリアを庇うような発言を繰り返し、キラリア支持派の筆頭と見られていた。
キラリアを支持する財津に対し、華子は批判的な態度をとる。
竹内の後輩・川端は、そんな財津の警護に就くことに。
矢先、華子周辺の火種が爆発。
大谷が殺害されてしまったのだ。
犯人不明の中、今度はコンサート先の京都で華子が姿を消す。
華子を捜す竹内。
そんな竹内の努力を嘲笑うように、華子は財津の自宅の前に居た。
その目は何かを追い求めているかのようだが……。
華子のコンサートで爆破事件が発生。
竹内の活躍で被害は最小限に止められたが、コンサートは一時中止に。
再開も危ぶまれる事態に陥ってしまう。
やはり、華子がキラリアを批判したことが原因と思われた。
そこでキリ子の発案のもと、キラリア支持派の筆頭ともいえる財津の前でコンサートを行うことに。
表向きキラリア支持の姿勢を見せようとの策略である。
反対するかと思われた華子だが、あっさり承諾。
コンサート当日、華子は財津に何らかの思い入れのある様子を見せ、最高の演奏を行う。
これにより、キラリア支持派による攻撃の矛先をかわすことに成功したかに思われたが……。
大谷殺害容疑で植木が連行される中、華子の次なるコンサート先は博多へ。
そこで、華子は記者会見を行い公然と財津を批判してしまう。
さらに、華子が自身の公式HPでキラリア攻撃を開始。
困った小夜子は竹内に相談を持ちかける。
その夜、任意の事情聴取から逃れた植木が行方不明に。
翌朝、植木が死体で発見される。
何者かに毒殺されたらしい。
その頃、華子は財津に対する批判をエスカレートさせていた。
ネット上で繰り返し財津を攻撃する華子は、遂には「財津を殺害してでも排除すべし」とまで煽る。
いよいよ、日本ツアー最後のコンサートが近付いたある日。
財津が襲撃を受け、これを庇った川端が殉職してしまう。
犯人は華子の批判を目にした男だった。
川端の葬儀に足を運ぶ華子だったが、その死の責任を負うべきだとして川端の遺族の批難を受けるのだった……。
これにショックを受けた華子はコンサートを中止してしまう。
こうして、華子の日本ツアーは終わりを告げた。
華子は国外での生活へ戻らなければならないのだ。
当然、竹内の仕事も終わりを迎えることになる。
その夜、「主役は1人で十分、裏方はそれを支えるべきだ―――」そう語る小夜子。
その言葉の意味を知り「本当にそれでいいのか」と疑問に思う竹内。
其処へ暴漢が来襲、小夜子が襲撃を受ける。
竹内が男を取り押さえたことで、犯行は未然に防がれる。
「何故、私を守るのか?」問う小夜子。
「それが私の仕事ですから」と竹内。
竹内との会話を通じ、自身もまた役割を終えたことを確信した小夜子は自首することに。
植木を殺害したのは小夜子だった。
大谷は華子の出生の秘密を握っており、小夜子を脅迫していた。
植木は大谷を殺害することで、彼にとって代わり華子の出生の秘密を独占し、それをネタに脅迫するつもりだったのだ。
華子の実父には秘密があったのである。
小夜子は華子の実父と華子自身を守ったのだった……。
華子を付け狙っていたキラリア支持派集団のアジトが摘発を受けた。
こうして、華子への脅威も排除される。
華子が日本を去るその当日、父に会いたいと華子が希望を述べる。
竹内はその希望を叶えるべく、華子を連れ財津を訪ねる。
財津を父と呼ぶ華子、それに応える財津。
華子の財津批判は父親の愛情を得られなかった華子が父の愛を求めてのことだった。
川端の告別式が行われる。
そこへ響き渡る華子のヴァイオリンの音色。
その音に誘われ、川端は送り出されて行った。
竹内は元の生活安全課の仕事に戻った。
娘と孫に囲まれ、幸せを噛み締める竹内―――エンド。
<感想>
渡瀬恒彦さん主演のスペシャルドラマの第2弾です。
原作はありません。
前作は2011年10月9日に放送されており、実に5ケ月ぶりの新作となります。
前作はこちら。
・サスペンス特別企画(ドラマスペシャル)「SP〜警視庁警護課 定年間近の刑事が挑む15年前の未解決美女連続殺人!東京〜京都〜大阪、元総理の娘の警護に迫る殺人者の影犬が運ぶ脅迫状!?真犯人の密室トリック…」(10月8日放送)ネタバレ批評(レビュー)
では、早速ドラマの感想を。
結論としては、1本筋も通っていたし、手堅くまとめられた作品としてなかなか良かったのではないでしょうか。
う〜〜〜ん、ミステリとしては取り立てて何もありません。
特に琴線に触れたことも無いし、心を揺さぶられるような点も無し。
その点、普通に視て、普通に楽しめた作品と言えるでしょう。
ストーリーもシンプルだし、1時間でも詰め込める内容だった気もします。
ただ、その分、分かり易くて視易かった。
変に小手先の伏線に頼っていない点も好感が持てました。
今回は、クリント・イーストウッド主演の「ザ・シークレット・サービス」っぽくはありませんでいたね。
どうやら、独自路線に乗ったかな。
これなら、シリーズを続けるのもアリかなと思いました。
<キャスト>
竹内孝治:渡瀬恒彦
鷲尾小夜子:かたせ梨乃
鷲尾華子:上原多香子
川端三樹夫:的場浩司
財津建雄:榎木孝明
矢部まゆ:三倉茉奈
磯貝康一:杉本哲太
石鍋キリ子:高畑淳子 ほか
(敬称略、順不同、公式HPより)
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