<あらすじ>
私書箱にあった写真を特設現場資料室の林(半海一晃)に持ち込んだ玲子(竹内結子)は、写真に写っている射殺された神部(松本元)、鷹見(清水哲也)以外の3人も暴力団関係者で、射殺されたことを教えてもらう。玲子は他の6人も合わせ、写っている11人全員が殺害されていたとしたらと考える。11という数字にひらめいた玲子は今泉(高嶋政宏)に、岸谷(松田賢二)が暴力団の殺し屋で、17歳の時の傷害致死と29歳の時の殺人を合わせて、13人を殺害したのではと訴える。殺害した人間の数だけ、木片を削っていたというのだ。玲子は、岸谷の死の真相を知る美津代(木村多江)を捜しに、菊田(西島秀俊)と共に静岡・伊豆へ向かう。
(@nifty tv番組表より)
では、続きから(一部、重複アリ)……
・前編はこちら。
連続ドラマ「ストロベリーナイト」第7話「悪しき実(前編)」(2月21日放送)ネタバレ批評(レビュー)
岸谷の私書箱から11人の隠し撮り写真が見つかった。
その中に神部と鷹見の姿を発見した玲子は、とある確信を抱く。
資料室の林の力を借りた玲子は、写真の人物たちが既に殺害された暴力団関係者であることを突き止める。
そこから、岸谷が大和会系の殺し屋だったと推測する玲子。
さらに、過去に岸谷が起こした2件の殺人と併せ、岸谷宅から発見された13の木片が13人の死者を指し示していると考える。
この推論を今泉に伝える玲子だったが、其処に居た日下に一笑に付されてしまう。
その頃、逃亡中の春川美津代は岸谷の銃を海へと遺棄していた―――。
一方、私書箱から見つかった美津代の写真から、其処が網代であると分析した玲子は菊田と共に現地へ向かう。
同時刻、日下と井岡。
玲子の捜査手法を認めるものの、勘偏重なそれに危機感を抱く日下。
何故、玲子に嫌われているのか、よく考えてみたらどうですかと日下をからかう井岡。
2人は、そのまま五十嵐興業へ捜査に乗り込む。
玲子たちは美津代を確保する。
こうして、美津代の取り調べが始まる……。
岸谷の死を通報したのは美津代だった。
だが、通報し、同棲の痕跡を消してまで姿を隠したのは何故か?
岸谷がプロの殺し屋であったことを知っていたか?
矢継ぎ早な玲子の問いに。
「私が岸谷を殺したんです……」とだけ答える美津代。
玲子は美津代が本当のことを語っているワケではないと察していた。
美津代には何処か壁がある。
この壁を打ち崩すには、岸谷の死後硬直の解け方が左右で違っていた理由を解き明かすしかない。
国奥の言葉「何か冷たいもので死体の半身を冷やしたのでは?」を思い浮かべる玲子。
日下と井岡の捜査により、神部と鷹見が裏で繋がっていたことが判明。
神部は大和会を裏切っていたのだ。
其処で大和会が殺し屋を差し向けていたことが証明される。
殺し屋とはもちろん岸谷だ。
この情報を掴んだ玲子は自動販売機のジュースと井岡をヒントに真実に辿り着く。
逆だ!!
冷たいものが右半身にあてられていたのではなく、暖かいものが左半身にあてられていたのだ!!
美津代に再度、ぶつかる玲子。
岸谷の死後硬直の解け方が左右で違っていた理由。
それは、美津代が岸谷の死体に添い寝をしていた為だった。
「岸谷はあなたが殺したのではなく、間違いなく自殺だ」と断言する玲子。
その上で「美津代の口から岸谷の死の理由を聞きたい」と訴える。
これに応えるように美津代はすべてを語り始める。
29歳の殺人の罪を償い社会に復帰した岸谷、そんな彼と美津代は出会った。
寡黙だが、笑うと優しい男だったそうだ。
ある日、岸谷は美津代を連れ逃げ出すように土地を離れた。
これはそれ以降も続いた。
岸谷は常に何かから逃げ続けていた。
今にして思えば、それは大和会だった。
逃げて逃げて、東京へ帰って来た岸谷。
暫く幸せな日々が続いた後、あれが起こった。
帰宅した岸谷の目の前に、男が2人と彼らに捕まった美津代の姿があった。
男たちは岸谷に何事かを要求。
美津代を人質にとられた岸谷はそれに応じた。
そして、10日ほど前に岸谷から別れを切り出された。
それでも美津代は彼のもとを離れなかった。
その翌日、神部が射殺された。
岸谷は自宅に戻るなり、台所へ向かうと「消えねぇ、消えねぇ」と繰り返しながら手を洗い続けた。
まるで、穢れを払うかのように。
そして、木片を使い13体の仏像を彫り始めた。
それは贖罪だったのだろうか。
岸谷の自殺当日、岸谷は「ありがとう」と一言メッセージを残すと自殺してしまった。
美津代が駆け付けた時には、岸谷は既にこと切れていた。
岸谷の亡骸をベッドに横たえると添い寝して最期の別れを済ませた。
通報したのは岸谷を見つけて貰う為。
エアコンを入れたのは腐敗を遅らせる為。
美津代が部屋を出たのは……。
「妊娠しているんですね」玲子が問う。
美津代が部屋を出て姿を消したのは、お腹の子供の為だった。
父が殺し屋をしていたことを知られない為だったのだ……。
日下と擦れ違う玲子。
「岸谷が死に証拠も無い。殺害を指示した黒幕は不起訴になった」と告げる日下。
「勘だけでは黒幕は捕まらん!!」
「重箱の隅をつつく捜査は嫌いです!!」
互いに言葉を交わし、去り行く2人。
菊田から岸谷について最後の報告が届いた。
木片は樒(シキミ)だった。
語源には「悪しき実」との意味があるらしい。
岸谷はそれを知った上で、これを選んだのだろうか―――8話了。
<感想>
前後編となった「悪しき実」の後編。
・前編はこちら。
連続ドラマ「ストロベリーナイト」第7話「悪しき実(前編)」(2月21日放送)ネタバレ批評(レビュー)
原作は短編集『シンメトリー』に収録された短編『悪しき実』。
・「シンメトリー」(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
では、感想を。
今回も良かったですね〜〜〜。
「悪しき実」のエピソードはドラマ版の完成度が高いように思います。
ただ、2点だけ不満点が。
1つは原作からのある変更点。
原作と比較すると、美津代が通報後に姿を消した動機の面で改変がありました。
原作だと、美津代が姿を消した理由は次の通り。
自身の存在が岸谷を殺人に走らせてしまったと考えた美津代。
つまり、意に沿わぬ殺人を実行させられたが為に自殺の道を選んだ岸谷を殺したのは自分も同然である。
そこで、自分が罪に問われてもよいとの覚悟で容疑が向くように姿を消した。
同時に、人を殺した岸谷の気持ちを理解したかったとの理由だった筈。
妊娠したことよりは、こちらの方が添い寝にも繋がり、より深いような気がします。
あと、もう1つ。
60分×2話分として、ドラマ化された為に「樒」のエピソードの比重が小さくなってしまった点。
サブタイトルでもあるように「樒」は岸谷の心の動きを示す重要な道具の1つ。
原作では、短編であるがゆえに占める割合も大きかったのですが……。
この2点を除けば、ドラマ版のオリジナル要素もアリかなと思いました。
基本路線は原作に沿っていたことも良かった。
では、ここからは「姫川玲子シリーズ」についての情報をつらつら。
まず、原作について。
『小説宝石』(光文社刊)では、姫川班解散後を描いた姫川玲子シリーズ最新作『ブルーマーダー』が連載中。
第3回では、謎の男・マサ登場に、菊田の結婚疑惑浮上と目が離せません。
果たして、菊田は玲子以外の女性と本当に結婚してしまったのか?
注目です!!
そして、情報によると、ドラマ版の残り3話は『ソウルケイジ』となるようです。
・原作『ソウルケイジ』ネタバレ批評(レビュー)はこちら。
「ソウルケイジ」(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
さらに噂では本作が「映画化されるのでは」とも囁かれていますが、果たして。
次回、『ソウルケイジ』にも期待です!!
◆関連過去記事
【姫川玲子シリーズ】
・シリーズ1作目「ストロベリーナイト」はこちら。
「ストロベリーナイト」(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・シリーズ2作目「ソウルケイジ」はこちら。
「ソウルケイジ」(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・シリーズ3作目、短編集「シンメトリー」はこちら。
「シンメトリー」(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・シリーズ4作目「インビジブルレイン」はこちら。
「インビジブルレイン」(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・シリーズスピンオフ作品「感染遊戯」です。
「感染遊戯」(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『アンダーカヴァー(「宝石 ザ ミステリー」掲載)』(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
【ドラマ版】
・土曜プレミアム ストロベリーナイト「大ベストセラー小説初ドラマ化!!連続猟奇殺人事件のカギを握る感染死体…真相に迫る孤高の女刑事悲しみの過去と驚愕の結末!!」(11月13日)ネタバレ批評(レビュー)
・連続ドラマ「ストロベリーナイト」第1話「シンメトリー」(1月10日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・連続ドラマ「ストロベリーナイト」第2話「右では殴らない(前編)」(1月17日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・連続ドラマ「ストロベリーナイト」第3話「右では殴らない(後編)」(1月24日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・連続ドラマ「ストロベリーナイト」第4話「過ぎた正義(前編)」(1月31日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・連続ドラマ「ストロベリーナイト」第5話「選ばれた殺意の径〜過ぎた正義(後編)」(2月7日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・連続ドラマ「ストロベリーナイト」第6話「感染遊戯」(2月14日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・連続ドラマ「ストロベリーナイト」第7話「悪しき実(前編)」(2月21日放送)ネタバレ批評(レビュー)
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