2012年10月15日

『フライ・バイ・ワイヤ 最終回』(石持浅海著、東京創元社刊『ミステリーズ! vol.51』掲載)

『フライ・バイ・ワイヤ 最終回』(石持浅海著、東京創元社刊『ミステリーズ! vol.51』掲載)ネタバレ書評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<あらすじ>

『犯罪』で話題沸騰のドイツミステリの現在を紹介する、特集「もっとドイツミステリ」。酒寄進一(翻訳家)マライ・メントライン(NHKドイツ語講座リポーター)対談など。

石持浅海 フライ・バイ・ワイヤ 最終回
学園内の哀しい事件の真相が明らかに。増ページで贈る感動の最終回
(東京創元社公式HPより)


<感想>

石持先生の作品です。
テーマは「ホワイダニット」かな。
犯人の意外な動機には脱帽。
ただ、確かに意外性はあるんだけど、意外性のみという印象もある。

う〜〜〜ん、やっぱり思ったよりもパンチが効いていない印象。
読後にコレというポイントがない。
なんだか、石持先生の作品らしくない感じかな。

<ネタバレあらすじ>

理系クラスにロボットの転校生がやって来た。
遠隔操作型であるそのロボット。
病床にある少女が無線で遠隔操作することで、療養しながら授業に参加することが出来るようになると言う。

ロボットは遠隔操作とは思えぬ行動を示し、クラスメートを驚かせる。
試験を行えば、1位になり。
バレーを行えば、大活躍する。

そんな矢先、殺人事件が発生。
クラスメートが2人も死亡してしまう。

学級委員の主人公は犯人を捜すが……主人公から2人の殺害状況を耳にしたロボットは「犯人が誰かは分からないが、動機は分かった」と述べる。
そこで2人で真犯人に向けて罠を仕掛けることに。

とある雨の日、図書館へと向かうロボット。
その後ろからレインコート姿の人影が近付く。
人影は何かを広げてロボットに被せようとしているようだ。

ところが、その更に後方からもう1人現れる。
現れた人物は先行するレインコートの人影に追いつくと、その頭部へと凶器を振り下ろした。
倒れ込んだレインコートの人影だったが、その正体は主人公だった。

一撃を喰らい死亡した筈の主人公。
ところが、むっくりと起き上がる。

レインコートのフードに隠れて見えなかったが、頭に鍋を被っていたのだ。
鍋は凶器の形に窪んでいた……鍋は兜の代わりだったのである。

愕然とする犯人の前にロボットも駆けつける。
こうして、犯人は拘束された。
その正体はクラスメートの1人である。

「こうすれば現れると思っていた」とロボット。
犯人の動機から、行動を推測していたらしい。

そして、犯人の動機とは「そんなロボットを守ること」だった。
いや、厳密には違う。
正確には「ロボットが抱える秘密を守ること」。

しかし、ロボットは「そんな秘密は最初から存在しなかった」と断言。
犯人が考えていたロボットの秘密とは「ロボットが遠隔操作ではなく、自律式ではないか」とのこと。
犯人は「自律式の最新鋭ロボットが人間と変わらぬ生活が送れるかどうかの秘密実験を行っている」と思い込んでいたのだ。

そんな犯人はある日、当のロボットに後ろから近付く不審な人影を見つける。

それはクラスメートの1人だった。
彼女は、それまでクラスで1番の成績だったが、ロボットに抜かれてしまった。
そこで、彼女はこう考えた。
「人間に負ける筈がない。あれは自律式のロボットなのだ」と。

それを証明するべく無線を絶つ為にアルミを被せようとしていたのである。
目的を察した犯人は慌てた。
もしも、そんなことをすれば実験が中断されるかもしれない。
そこで、彼女を殺害したのだ。
これが1件目の殺人の真相だった。
そして、2件目も同じことが起こったのだった。

同じ状況を作ることで犯人を誘き出す罠を用いた理由はコレだった。
こうして、犯人は特定されたが……結局、告発しないことに決めるのだった。

病床の少女に招かれた主人公。
今回の事件が自分の責任であると感じた少女はロボットを用い自殺を考えていた。
そんな少女を諭し、止める主人公だった―――エンド。

◆石持浅海先生関連過去記事
「見えない復讐」(石持浅海著、角川書店刊)ネタバレ書評(レビュー)

「温かな手」(石持浅海著、東京創元社刊)ネタバレ書評(レビュー)

『人面屋敷の惨劇』(石持浅海著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)

「ミステリ愛。免許皆伝!メフィスト道場」&「ミステリ魂。校歌斉唱!メフィスト学園」(講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)

「フライ・バイ・ワイヤ」です!!
フライ・バイ・ワイヤ





「ミステリーズ! vol.51」です!!
ミステリーズ! vol.51





◆その他の石持浅海先生の作品はこちら。

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posted by 俺 at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 書評(レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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